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米関税、1100社に負担増輸出業者、競争力低下を懸念

タイ全国荷主協会は24日、トランプ米政権が一部発動した「相互関税」の影響で会員輸出業者の約5割に相当する1,100社がコスト負担増を強いられていると明らかにした。貿易状況を踏まえて税率が決定される上乗せ分については適用が90日間停止されているため、交渉次第で今後の輸出にどの程度影響が出るのかはまだ見通せないとした。米側の要求通りなら競争力が低下すると懸念を示した。

米相互関税の影響について説明するタイ全国荷主協会の幹部ら=24日、首都バンコク(NNA撮影)

同協会がトランプ政権の相互関税発表後に影響や対応に関して公式に説明するのは初めて。タナコーン会長は首都バンコクで24日開いた記者会見で「会員企業のコスト負担増は避けられないが、現時点で事業継続に支障が出るほどの影響は出ていない」と説明した。2025年の輸出額が前年比でどの程度減少するのかはまだ予測できないとした。
米の相互関税は2段階に分かれている。ほぼ全ての国・地域を対象にした一律10%の追加関税は既に発動した。上乗せ分を含めるとタイは計36%となる。
タナコーン氏は「一律関税は世界各国で同条件のため影響が小さいものの、計36%の追加関税が課される事態になれば、割安な他国製品に需要が移りタイは競争力を失う恐れがある」と危機感を示した。米向け輸出は1TEU(20フィートコンテナ換算)当たり数百米ドル跳ね上がる可能性があるとした。
政府には対策を提案した。輸入品の品質管理を徹底して低品質の製品流入を防止することや、関税の影響回避へ国内製造の優先度を高め、海外企業には国内調達率を40%以上にすることを要請した。輸出先の多様化や自由貿易協定(FTA)の拡大も訴えた。
タイと米国の両政府の関係者は当初、23日に関税交渉を始める予定だったが延期された。タイの交渉担当チームが米側へ事前に提案内容を伝えたところ、一部の重要項目について見直すよう求められた。新たな日程はまだ決まっていない。
タイ全国荷主協会のタナコーン氏は、交渉開始時期の遅れは問題にならないと主張した。相互関税の税率が46%と高いベトナムがいち早く米国に掛け合ったが、まだ結論が出ていないことを挙げた。米国と日本が本格的な交渉に入ったため各国が結果に注目している。タイの今後の対応にも影響が出るとの見解を示した。
タイ商務省によると、24年の輸出額は3,005億米ドル(約43兆円)だった。このうち米国向けは550億米ドルと全体の18%を占めた。対米貿易黒字は354億米ドルと大きく、東南アジア諸国の中でも高い関税率が課される要因になっている。

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