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《日系進出》人工毛皮を生産、ベトナム初MNインター、動物愛護で需要増

三井物産と日鉄物産が折半出資する繊維商社のMNインターファッション(東京都港区)が、ベトナム中南部ニントゥアン省でエコファー(人工毛皮)生地を生産する。エコファーは動物の毛皮に似せた合成繊維で、動物愛護の観点から海外ブランドの間で急速に浸透しているが、ベトナムでは初の製造工場となる。MNインターは南部ホーチミン市にある既存の工場でもレディースの小ロット・多品種生産を進めており、7月に稼働予定のエコファー工場と合わせてベトナム事業の拡大を加速する。

SBサイゴン・ファッションの縫製ライン=5月8日、ホーチミン市

新工場はニントゥアン省ズーロン工業団地でエコファーの生産工場を建設中。中国に生産拠点を持つ大手毛皮メーカーとの合弁会社を通じてで、完成すれば東南アジア最大の生産能力を誇る人工毛皮工場となる。
ベトナムで製造したエコファーはベトナム国内外で販売予定だ。うち一部は、MNインター保有のフランスの高級ブランド「TISSAVEL(ティサベル)」の生地として使う。2023年2月に設立したベトナム法人、MNインターファッション・ベトナムの小林慶太社長はNNAに対し、「昨今の世界的な動物愛護のトレンドを受けて、欧米を中心にエコファー需要は高まっている」と話す。

人工毛皮の需要は高まっている(MNインターファッション提供)

■ライン方式で生産性向上

MNインターは、日鉄物産の繊維事業と三井物産アイ・ファッションとの事業統合により22年に生まれた会社で、アパレルの川上から川下まで幅広い事業を展開している。ベトナムでのエコファー生地の生産は川上強化の一環だ。
川下では日本の百貨店向けを中心に衣料製品を製造する相手先ブランドによる生産(OEM)メーカーとして、東南アジアではベトナム、ミャンマー、インドネシアで製造拠点を展開している。インドネシアの工場ではスーツやシャツなどのメンズ製品、ミャンマーの工場ではダウンジャケットなど男性向けアウターの製造を、それぞれ手がける。
ベトナムでは、前身の日鉄住金物産(現日鉄物産)が1996年に設立したSBサイゴン・ファッションを通じて、ホーチミン市タントゥアン輸出加工区に自社縫製工場を構える。
工場の敷地面積と延べ床面積はそれぞれ、2,500平方メートル、2,646平方メートル。従業員数は320人で、5つの縫製ラインで月2万枚の製品を生産する能力を持つ。
SBサイゴン・ファッションの横田俊晴社長によると、同社は昨年後半に縫製ラインの生産方式を変更した。従来は少人数で複数作業をして完成まで組み立てる「セル生産方式」だったが、流れ作業の「ライン生産方式」に転換し生産効率の向上を図っている。
ライン生産の導入効果もあり、SBサイゴン・ファッションは24年度は、前年度比20%増の20万着を生産した。注文は全て親会社のMNインターからの注文が100%だ。製品別でみると、コートが26%で最も多いが、ジャケット(19%)、ブラウス(18%)、ボトムス(15%)、ワンピース(12%)、スカート(10%)と幅広い。レディースが全体の95%を占める。

「小ロット・多品種生産に対応できるのが当社の強み」と話す横田社長=5月8日、ホーチミン市

レディースはメンズ以上に流行の影響を受けやすいため、小ロット・多品種への対応力が求められる。布を集めてシワを寄せ、服にアクセントを与えたりデザインに立体感をもたらしたりする「ギャザリング」や刺しゅう技法のひとつである「スモッキング」などメンズ製品にはない工程も必要になってくる。
ベトナム国内にはレディース向けに対応できる縫製工場はまだまだ少なく、横田社長は「地場の縫製企業とは一線を画す実力を持っている」と胸を張る。
■「内販拡大目指す」
MNインターファッション・ベトナムも地場の縫製メーカーとの間で契約を結んだ製造ラインを通じて、日本の百貨店や専門店向けの生産を管理している。商品は作業用ユニホームや学生服、スーツ、コート、ブラウスと幅広い。

「内販の拡大に力を入れたい」と話す小林社長=4月7日、ホーチミン市

小林社長は今後、SBサイゴン・ファッションとも協力しながらベトナム国内での販売を拡大していく考えで、「内販(国内向け)の割合を現在10%から25%に引き上げたい」と話す。注文の受注から原料の調達、サンプルの制作、プライシング(価格設定)、商品の配送までをワンストップで一貫して行う。小林社長は今後も必要な投資についても、「積極的に検討していく」と述べた。
独調査会社スタティスタによると、ベトナム国内のアパレル市場規模は安定的な成長が見込まれ、29年には女性服が6億3,761着、男性服が3億3,402万着、子供服が5億2,163万着で、24年度比で15%、17%、11%それぞれ増加する見通しだ。

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新工場はニントゥアン省ズーロン工業団地でエコファーの生産工場を建設中。中国に生産拠点を持つ大手毛皮メーカーとの合弁会社を通じてで、完成すれば東南アジア最大の生産能力を誇る人工毛皮工場となる。
ベトナムで製造したエコファーはベトナム国内外で販売予定だ。うち一部は、MNインター保有のフランスの高級ブランド「TISSAVEL(ティサベル)」の生地として使う。2023年2月に設立したベトナム法人、MNインターファッション・ベトナムの小林慶太社長はNNAに対し、「昨今の世界的な動物愛護のトレンドを受けて、欧米を中心にエコファー需要は高まっている」と話す。
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■ライン方式で生産性向上

MNインターは、日鉄物産の繊維事業と三井物産アイ・ファッションとの事業統合により22年に生まれた会社で、アパレルの川上から川下まで幅広い事業を展開している。ベトナムでのエコファー生地の生産は川上強化の一環だ。
川下では日本の百貨店向けを中心に衣料製品を製造する相手先ブランドによる生産(OEM)メーカーとして、東南アジアではベトナム、ミャンマー、インドネシアで製造拠点を展開している。インドネシアの工場ではスーツやシャツなどのメンズ製品、ミャンマーの工場ではダウンジャケットなど男性向けアウターの製造を、それぞれ手がける。
ベトナムでは、前身の日鉄住金物産(現日鉄物産)が1996年に設立したSBサイゴン・ファッションを通じて、ホーチミン市タントゥアン輸出加工区に自社縫製工場を構える。
工場の敷地面積と延べ床面積はそれぞれ、2,500平方メートル、2,646平方メートル。従業員数は320人で、5つの縫製ラインで月2万枚の製品を生産する能力を持つ。
SBサイゴン・ファッションの横田俊晴社長によると、同社は昨年後半に縫製ラインの生産方式を変更した。従来は少人数で複数作業をして完成まで組み立てる「セル生産方式」だったが、流れ作業の「ライン生産方式」に転換し生産効率の向上を図っている。
ライン生産の導入効果もあり、SBサイゴン・ファッションは24年度は、前年度比20%増の20万着を生産した。注文は全て親会社のMNインターからの注文が100%だ。製品別でみると、コートが26%で最も多いが、ジャケット(19%)、ブラウス(18%)、ボトムス(15%)、ワンピース(12%)、スカート(10%)と幅広い。レディースが全体の95%を占める。[caption id="attachment_26383" align="aligncenter" width="620"]「小ロット・多品種生産に対応できるのが当社の強み」と話す横田社長=5月8日、ホーチミン市[/caption]
レディースはメンズ以上に流行の影響を受けやすいため、小ロット・多品種への対応力が求められる。布を集めてシワを寄せ、服にアクセントを与えたりデザインに立体感をもたらしたりする「ギャザリング」や刺しゅう技法のひとつである「スモッキング」などメンズ製品にはない工程も必要になってくる。
ベトナム国内にはレディース向けに対応できる縫製工場はまだまだ少なく、横田社長は「地場の縫製企業とは一線を画す実力を持っている」と胸を張る。
■「内販拡大目指す」
MNインターファッション・ベトナムも地場の縫製メーカーとの間で契約を結んだ製造ラインを通じて、日本の百貨店や専門店向けの生産を管理している。商品は作業用ユニホームや学生服、スーツ、コート、ブラウスと幅広い。[caption id="attachment_26382" align="aligncenter" width="620"]「内販の拡大に力を入れたい」と話す小林社長=4月7日、ホーチミン市[/caption]
小林社長は今後、SBサイゴン・ファッションとも協力しながらベトナム国内での販売を拡大していく考えで、「内販(国内向け)の割合を現在10%から25%に引き上げたい」と話す。注文の受注から原料の調達、サンプルの制作、プライシング(価格設定)、商品の配送までをワンストップで一貫して行う。小林社長は今後も必要な投資についても、「積極的に検討していく」と述べた。
独調査会社スタティスタによると、ベトナム国内のアパレル市場規模は安定的な成長が見込まれ、29年には女性服が6億3,761着、男性服が3億3,402万着、子供服が5億2,163万着で、24年度比で15%、17%、11%それぞれ増加する見通しだ。" ["post_title"]=> string(102) "《日系進出》人工毛皮を生産、ベトナム初MNインター、動物愛護で需要増" ["post_excerpt"]=> string(0) "" ["post_status"]=> string(7) "publish" ["comment_status"]=> string(4) "open" ["ping_status"]=> string(4) "open" ["post_password"]=> string(0) "" ["post_name"]=> string(198) "%e3%80%8a%e6%97%a5%e7%b3%bb%e9%80%b2%e5%87%ba%e3%80%8b%e4%ba%ba%e5%b7%a5%e6%af%9b%e7%9a%ae%e3%82%92%e7%94%9f%e7%94%a3%e3%80%81%e3%83%99%e3%83%88%e3%83%8a%e3%83%a0%e5%88%9d%ef%bd%8d%ef%bd%8e%e3%82%a4" ["to_ping"]=> string(0) "" ["pinged"]=> string(0) "" ["post_modified"]=> string(19) "2025-05-15 04:00:05" ["post_modified_gmt"]=> string(19) "2025-05-14 19:00:05" ["post_content_filtered"]=> string(0) "" ["post_parent"]=> int(0) ["guid"]=> string(34) "https://nnaglobalnavi.com/?p=26380" ["menu_order"]=> int(0) ["post_type"]=> string(4) "post" ["post_mime_type"]=> string(0) "" ["comment_count"]=> string(1) "0" ["filter"]=> string(3) "raw" }
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