台湾の行政院主計総処(統計局)が11日発表した4月の工業・サービス業の賃金統計によると、従業員1人当たりの経常性賃金(基本給に諸手当を加算)は前年同月比3.22%増の4万7,807台湾元(約23万2,000円)だった。2022年7月(3.39%)以来、2年9カ月ぶりの上昇幅となった。前月比では0.58%増えた。
物価変動の影響を控除した従業員1人当たりの実質の経常性賃金は前年同月比1.16%増の4万3,727元で、同月の伸び率としては5年ぶり高水準となった。4月の消費者物価指数(CPI、21年=100)は前年同月比2.03%上昇で、経常性賃金の伸び率はCPIを上回り、生活実感の改善も期待される。
経常性賃金は、工業が4万5,699元(前年同月比3.58%増、前月比0.33%増)、サービス業が4万9,243元(前年同月比2.98%増、前月比0.73%増)となった。
経常性賃金の中央値は3万8,208元で、前年同月比3.05%増、前月比0.24%増だった。
4月末時点の工業・サービス業の従業員数は849万2,000人で前年同月末から7万人(0.83%)、前月末から2,000人(0.03%)それぞれ増えた。工業の従業員数は344万2,000人で前年同月末から1万4,000人、前月末から2,000人それぞれ増えた。サービス業は505万人で、前年同月末比5万6,000人増、前月末から横ばいだった。
■電子部品業の残業時間が過去最高
中国時報によると、4月の製造業の残業時間は平均17.8時間となり、直近8年半の高水準となった。このうち半導体を中心とする電子部品業では27.9時間に達し、統計開始以来の最高を更新した。
背景には、米国政府が相互関税を導入する方針を発表したことを受け、多くの企業が緊急発注に備えて在庫を事前に確保したことがある。
4月の全体の残業時間は平均8.9時間となり、前年同月比0.4時間、前月比0.3時間それぞれ増えた。残業代は平均2,423元で前年同月比5.85%増、前月比4.44%増だった。
■今年昇給実施・予定が3割
工業・サービス業のうち、25年に既に昇給を実施した、あるいは年内に実施を予定している企業の割合は32.5%に達した。経済日報によると、昨年を上回って過去25年で最高となる見込みだ。
このうち、「今年3月末時点で昇給を実施済み」は22.3%、「年内に昇給予定」は10.2%だった。
既に昇給を実施した企業の昇給幅は、「3%未満」が2.3%、「3~6%未満」が18.1%、「6%以上」が1.9%だった。
一方、年内の昇給が「未定」は37.9%だった。中央通信社によると、主計総処国勢普査処の譚文玲・副処長は、過去の傾向から、未定の企業の一部は業績が予想を上回った場合に昇給を実施する可能性があると指摘した。また、下半期(7~12月)は米国の関税政策や台湾元の為替レートといった不確定要素が残るものの、現在の輸出の力強さを考慮すれば、昇給を実施する企業の割合が最終的に昨年を上回る可能性があるとの見方を示した。
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経常性賃金は、工業が4万5,699元(前年同月比3.58%増、前月比0.33%増)、サービス業が4万9,243元(前年同月比2.98%増、前月比0.73%増)となった。
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■電子部品業の残業時間が過去最高
中国時報によると、4月の製造業の残業時間は平均17.8時間となり、直近8年半の高水準となった。このうち半導体を中心とする電子部品業では27.9時間に達し、統計開始以来の最高を更新した。
背景には、米国政府が相互関税を導入する方針を発表したことを受け、多くの企業が緊急発注に備えて在庫を事前に確保したことがある。
4月の全体の残業時間は平均8.9時間となり、前年同月比0.4時間、前月比0.3時間それぞれ増えた。残業代は平均2,423元で前年同月比5.85%増、前月比4.44%増だった。
■今年昇給実施・予定が3割
工業・サービス業のうち、25年に既に昇給を実施した、あるいは年内に実施を予定している企業の割合は32.5%に達した。経済日報によると、昨年を上回って過去25年で最高となる見込みだ。
このうち、「今年3月末時点で昇給を実施済み」は22.3%、「年内に昇給予定」は10.2%だった。
既に昇給を実施した企業の昇給幅は、「3%未満」が2.3%、「3~6%未満」が18.1%、「6%以上」が1.9%だった。
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