第292回
大内さん:みらい先生、こんにちは。来月から2年間、シンガポール子会社に赴任することになりました。念願だった海外子会社での勤務がかない、とてもうれしくて張り切っています。
みらい:それは良かったですね。おめでとうございます。
大内さん:ありがとうございます。ところで、今回の赴任にあたり、会社の費用負担で語学研修を受けることになりました。この語学研修費用は、私の給与として課税されるのでしょうか?
みらい:従業員に対して、(1)業務遂行上の必要に基づいて、(2)職務に直接必要な知識を習得させるための研修費用を会社が負担した場合には、(3)その金額が費用として適正であれば、給与として課税しなくて良いものとされています。大内さんの場合には、海外子会社への赴任のための語学研修費用を会社が負担してくれるのですから、「(1)業務遂行上の必要に基づいて」、「(2)職務に直接必要な知識を習得させるための研修費用」といえそうですね。
大内さん:はい、現地では日本語が分からないスタッフも大勢いますので、業務を行う上で語学の知識は必要不可欠です。
みらい:それであれば、(1)と(2)には該当しそうですね。次に、「(3)費用として適正」という点についてですが、不相当に高額なものですと、給与として取り扱われる可能性がでてきますが、いかがでしょうか?
大内さん:語学スクールの選定にあたっては、料金の相場を調べた上で、その範囲内のものを選びましたので、特別高額ということはありません。なお、会社が直接スクールに実費を支払っています。
みらい:では、(3)についても該当しそうですね。今回の場合には、給与として課税しなくて良いものと考えられます。
大内さん:なるほど。分かりました。ちなみに、会社負担ではなく、自費で受講した場合にはどうなりますか?
みらい:自費で職務に直接必要な知識を得るための研修を受講した場合には、確定申告をすることで所得金額から差し引くことができる可能性があります。給与所得者の特定支出控除という制度です。自費で支出した金額が、給与所得控除額(図参照)の半分を超える場合には、超えた部分の金額について特定支出控除を受けることができます。例えば、収入金額が400万円の場合、給与所得控除額は(400万円×20%+44万円)=124万円となりますから、その1/2の62万円を超えた部分の金額を、所得金額から控除できることになります。なお、特定支出に関する明細書と、給与の支払者の証明書を、確定申告書に添付する必要があります。特定支出には、他にも業務に必要な資格を取得するための費用や、業務関連の書籍購入費なども含まれます。
大内さん:そうなのですね。シンガポール赴任後も、引き続き現地にて会社負担で語学研修を受講する場合はどうなるのでしょうか?
みらい:まず、シンガポール赴任後は、日本の所得税はかからないことになります。したがって、現地での語学研修費用については、日本の所得税はかかりません。一方、シンガポール赴任後は、現地の税金がかかることになります。現地での語学研修費用についても、シンガポールで課税される可能性があります。申告などの手続き面も含め、実際の税法上の取り扱いについては現地でも確認してみてください。
大内さん:なるほど。よく分かりました。ありがとうございました。
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大内さん:みらい先生、こんにちは。来月から2年間、シンガポール子会社に赴任することになりました。念願だった海外子会社での勤務がかない、とてもうれしくて張り切っています。
みらい:それは良かったですね。おめでとうございます。
大内さん:ありがとうございます。ところで、今回の赴任にあたり、会社の費用負担で語学研修を受けることになりました。この語学研修費用は、私の給与として課税されるのでしょうか?
みらい:従業員に対して、(1)業務遂行上の必要に基づいて、(2)職務に直接必要な知識を習得させるための研修費用を会社が負担した場合には、(3)その金額が費用として適正であれば、給与として課税しなくて良いものとされています。大内さんの場合には、海外子会社への赴任のための語学研修費用を会社が負担してくれるのですから、「(1)業務遂行上の必要に基づいて」、「(2)職務に直接必要な知識を習得させるための研修費用」といえそうですね。
大内さん:はい、現地では日本語が分からないスタッフも大勢いますので、業務を行う上で語学の知識は必要不可欠です。
みらい:それであれば、(1)と(2)には該当しそうですね。次に、「(3)費用として適正」という点についてですが、不相当に高額なものですと、給与として取り扱われる可能性がでてきますが、いかがでしょうか?
大内さん:語学スクールの選定にあたっては、料金の相場を調べた上で、その範囲内のものを選びましたので、特別高額ということはありません。なお、会社が直接スクールに実費を支払っています。
みらい:では、(3)についても該当しそうですね。今回の場合には、給与として課税しなくて良いものと考えられます。
大内さん:なるほど。分かりました。ちなみに、会社負担ではなく、自費で受講した場合にはどうなりますか?
みらい:自費で職務に直接必要な知識を得るための研修を受講した場合には、確定申告をすることで所得金額から差し引くことができる可能性があります。給与所得者の特定支出控除という制度です。自費で支出した金額が、給与所得控除額(図参照)の半分を超える場合には、超えた部分の金額について特定支出控除を受けることができます。例えば、収入金額が400万円の場合、給与所得控除額は(400万円×20%+44万円)=124万円となりますから、その1/2の62万円を超えた部分の金額を、所得金額から控除できることになります。なお、特定支出に関する明細書と、給与の支払者の証明書を、確定申告書に添付する必要があります。特定支出には、他にも業務に必要な資格を取得するための費用や、業務関連の書籍購入費なども含まれます。
大内さん:そうなのですね。シンガポール赴任後も、引き続き現地にて会社負担で語学研修を受講する場合はどうなるのでしょうか?
みらい:まず、シンガポール赴任後は、日本の所得税はかからないことになります。したがって、現地での語学研修費用については、日本の所得税はかかりません。一方、シンガポール赴任後は、現地の税金がかかることになります。現地での語学研修費用についても、シンガポールで課税される可能性があります。申告などの手続き面も含め、実際の税法上の取り扱いについては現地でも確認してみてください。
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