インド東部オディシャ(オリッサ)州で4日までの5日間にわたり開催された州政府のイベントで、日本企業が事業拡大の一環として同州での投資を明らかにした。耐火物メーカーの東京窯業(TYK、東京都港区)は、5億ルピー(約8億2,400万円)を投じ工場の設置を計画している。富士ソフト(横浜市)は研修センターを立ち上げる見通しだ。州内には58社の日系企業が進出している。【Atul Ranjan】
「メーク・イン・オディシャ・コンクラーベ2022」の「日本セッション」に登壇した鈴木浩・駐インド日本大使=1日、東部オディシャ州ブバネシュワル(NNA撮影)
オディシャ州はインド東部に位置し、ベンガル湾の海岸線480キロメートルを有する。鉱物資源や採掘で知られてきたが、2000年代に入ってから製造業やサービス業の強化に力を入れている。
4日までの5日間にわたり開催されたイベント「メーク・イン・オディシャ・コンクラーベ2022」の「日本セッション」で鈴木浩・駐インド日本大使は、「オディシャ州で事業を展開する日系企業は、08年の3社から現在は58社に増えた」と話した。
■製鉄所向けの耐火物を生産
東京窯業は耐火物工場の設置を計画している。取締役兼技術管理部長である加藤久樹氏によると、同社はオディシャ州に隣接する東部・西ベンガル州の州都コルカタで、12年から営業所を構える。現在は、鉱物が豊富で、地場鉄鋼大手アルセロール・ミタル・ニッポンスチール・インディア(AM/NSインディア)をはじめとする鉄鋼会社の存在感が大きいオディシャ州で、製鉄に使用される耐火物を生産する工場の設立を計画している。
加藤氏は1日にイベントに登壇し、「われわれは米国、英国、台湾、中国に工場を置いているが、インド国内で拡大する高品質な耐火物の需要に対応するため、生産施設の設置を計画している」と話した。ただ、事業計画はインドの鉄鋼産業の成長に左右されるという。
推定5エーカー(約2万平方メートル)の土地が必要で、州内のカリンガナガルが候補地になっている。投資予定額は5億ルピー。3回に分けて投じる見通しだ。法的手続きなどが完了してから2~3年以内に着工する予定だ。
東京窯業(TYK)は、州内での工場設置計画について説明した=1日、東部オディシャ州ブバネシュワル(NNA撮影)
18年にインドに進出した富士ソフトは、ITを活用して生産を効率化する「インダストリー4.0」に関連するサービスを提供しており、州政府のIT部門と連携していく方針だ。州の競争力の向上を支援するための研修センターを立ち上げる。
同社のグローバルビジネス部門でカントリー・マネジャーを務めるデバシシュ・マズムダル氏は、「19年には西ベンガル州政府とともにインダストリー4.0の拠点(センター・オブ・エクセレンス)を設置し、学生や社会人、企業に研修などを提供している。国家高速鉄道公社(NHSRCL)との事業では、自動料金徴収システムなどの開発で日本信号と協力している」と同社の事業を紹介した。
■日清、工場拡張を検討
日清食品ホールディングスのインド子会社、インド・ニッシン・フーズ(インド日清)は14年に工場の操業を開始し、過去8年間にわたりオディシャ州で事業を展開してきた。これまでの投資額は合計12億ルピー。
インド日清のゴータム・シャルマ社長がイベントに登壇し、「14年以来、州内のクルダに置く工場を3回拡張した。同工場は現在、国内で最も大きい生産拠点となっており、インドで生産する即席麺の7割を生産している」と話した。現在は、インドから輸出可能なバングラデシュやミャンマー、中東など向けに、クルダ工場のさらなる拡張を検討中だ。
インド日清は、30年以上前にインドに進出。インドの即席麺の需要に対応するため、オディシャ州クルダを含めて3カ所に工場を置いている。15年には三菱商事が34%を出資した。
インド三菱商事によると、インド日清の拡張計画は、アフリカや中東などの近隣市場に参入するための長期的な製造・供給拠点としてインドを活用する戦略の一環だ。
イベントに登壇したインド三菱商事の田口洋二社長は、「インドで積極的な投資を行っている。24社に投資しており、このうち12社は当社の関連企業やパートナー企業だ」と話した。業界は自動車、産業機械、鉄鋼、発電、都市開発、食品、化学、物流など幅広い。三菱商事はまた、日本企業で国際的に活躍できる人材をインドで発掘する取り組みも進めている。
2日には、鈴木大使がオディシャ州のカリンガ工科大学(KIIT)を訪れ、日本語を学ぶ学生たちと交流した。同氏はツイッターで「カリンガ工科大学で日本語を勉強している学生との交流を通じ、この若い世代がインドと日本の力強い架け橋になると確信した」と述べた。
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■製鉄所向けの耐火物を生産
東京窯業は耐火物工場の設置を計画している。取締役兼技術管理部長である加藤久樹氏によると、同社はオディシャ州に隣接する東部・西ベンガル州の州都コルカタで、12年から営業所を構える。現在は、鉱物が豊富で、地場鉄鋼大手アルセロール・ミタル・ニッポンスチール・インディア(AM/NSインディア)をはじめとする鉄鋼会社の存在感が大きいオディシャ州で、製鉄に使用される耐火物を生産する工場の設立を計画している。
加藤氏は1日にイベントに登壇し、「われわれは米国、英国、台湾、中国に工場を置いているが、インド国内で拡大する高品質な耐火物の需要に対応するため、生産施設の設置を計画している」と話した。ただ、事業計画はインドの鉄鋼産業の成長に左右されるという。
推定5エーカー(約2万平方メートル)の土地が必要で、州内のカリンガナガルが候補地になっている。投資予定額は5億ルピー。3回に分けて投じる見通しだ。法的手続きなどが完了してから2~3年以内に着工する予定だ。
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同社のグローバルビジネス部門でカントリー・マネジャーを務めるデバシシュ・マズムダル氏は、「19年には西ベンガル州政府とともにインダストリー4.0の拠点(センター・オブ・エクセレンス)を設置し、学生や社会人、企業に研修などを提供している。国家高速鉄道公社(NHSRCL)との事業では、自動料金徴収システムなどの開発で日本信号と協力している」と同社の事業を紹介した。
■日清、工場拡張を検討
日清食品ホールディングスのインド子会社、インド・ニッシン・フーズ(インド日清)は14年に工場の操業を開始し、過去8年間にわたりオディシャ州で事業を展開してきた。これまでの投資額は合計12億ルピー。
インド日清のゴータム・シャルマ社長がイベントに登壇し、「14年以来、州内のクルダに置く工場を3回拡張した。同工場は現在、国内で最も大きい生産拠点となっており、インドで生産する即席麺の7割を生産している」と話した。現在は、インドから輸出可能なバングラデシュやミャンマー、中東など向けに、クルダ工場のさらなる拡張を検討中だ。
インド日清は、30年以上前にインドに進出。インドの即席麺の需要に対応するため、オディシャ州クルダを含めて3カ所に工場を置いている。15年には三菱商事が34%を出資した。
インド三菱商事によると、インド日清の拡張計画は、アフリカや中東などの近隣市場に参入するための長期的な製造・供給拠点としてインドを活用する戦略の一環だ。
イベントに登壇したインド三菱商事の田口洋二社長は、「インドで積極的な投資を行っている。24社に投資しており、このうち12社は当社の関連企業やパートナー企業だ」と話した。業界は自動車、産業機械、鉄鋼、発電、都市開発、食品、化学、物流など幅広い。三菱商事はまた、日本企業で国際的に活躍できる人材をインドで発掘する取り組みも進めている。
2日には、鈴木大使がオディシャ州のカリンガ工科大学(KIIT)を訪れ、日本語を学ぶ学生たちと交流した。同氏はツイッターで「カリンガ工科大学で日本語を勉強している学生との交流を通じ、この若い世代がインドと日本の力強い架け橋になると確信した」と述べた。"
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