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インバウンド、年内に50倍へビジネス往来の活発化にも期待

香港で海外(台湾を含む)からの入境者に対する3日間の行動制限が廃止されたことを受けて、インバウンド客が年内に50倍に増える見通しだ。行動制限解除前の海外からのツアー客数は1日平均わずか38人だったが、クリスマス前後には個人旅行者も含めて「連日2,000人の観光客が香港を訪れるようになる」と旅行業界関係者は予測。海外とのビジネス往来も活発化すると期待される。

イルミネーションで華やかさを増すクリスマスシーズンの香港。今年は海外からの観光客にも楽しんでもらえそうだ=11月、西九文化区(政府観光局提供)

香港では14日から、入境者に対する行動制限が全面解除された。香港政府観光局(HKTB)は13日に出した声明で「香港旅行の門戸が開かれた」と行動制限解除を歓迎。旅行業界の復活に向けてまもなく「大々的な観光客誘致計画を始動する」と宣言した。
香港では9月末に入境者に対する強制隔離措置が廃止されたが、入境後3日間は飲食店の店内利用が禁止されるなど行動制限が課されていたことからインバウンド客が戻らなかった。11月下旬にはツアー客に限定し、条件付きで飲食店の店内利用が許可されたが、飲食店の事前審査が必要なことなどから運用が進んでいなかった。
旅行業界団体、香港旅遊業議会(TICHK)の楊淑芬(ファニー・ヨン)総幹事(事務局長)が経済日報や星島日報などに明らかにしたところによると、ツアー客に対する行動制限の優遇が始まって以降に香港を訪れたツアー客は累計で1,000人程度。1日平均ではわずか38人にとどまっていた。
だが行動制限の全廃により、今後は海外からの個人旅行者が戻ってくると予測。楊氏は「クリスマスから年末にかけて、連日2,000人の観光客が香港を訪れるようになるだろう」と述べた。
新型コロナ発生前の2019年、中国本土を含む域外から香港を訪れた旅客の数は延べ5,600万人、1日平均15万人余りに上っていた。それに比べれば1日2,000人は微々たるものだが、インバウンドの回復に向けた大きな一歩となる。
香港の航空最大手キャセイパシフィック航空(国泰航空)も13日に、政府の決定を歓迎する声明を発表。キャセイと傘下の格安航空会社(LCC)香港エクスプレス(香港快運航空)は10~12月に約3,000便のフライトを追加したと明らかにし、旅客輸送力を年内にコロナ禍前の3分の1、来年末までに同70%、24年末までに同100%へと回復させる計画を改めて宣言した。
■飲食業界なども歓迎
インバウンドが増えないまま香港市民による海外旅行だけが急増し、クリスマス商戦を悲観していた飲食業界も、今回の規制緩和を歓迎する。
飲食業界団体、香港餐飲聯業協会(HKFORT)の黄家和(サイモン・ウォン)会長は文匯報などに対し「こんなに早く新たな措置が発表されるとは予想しておらず、業界は元気づけられた」とコメント。クリスマス前後の売上高はコロナ前の同期の7割程度にとどまる予測だったが、今回の規制緩和により「85%の水準が見込める」と喜んだ。
海外とのビジネス往来活発化を期待する声も上がる。宝飾品業界団体、香港珠宝製造業廠商会(HKJMA)の李偉材(ウィリアム・リー)副主席は、強制隔離がなくなってから東南アジアの業界関係者の香港訪問が増えていたが、行動制限がなくなったことで「欧米からの来訪も増えるだろう」と話した。
香港米国商工会議所(アムチャム・ホンコン)の翁以登(イーデン・ウーン)会頭も「香港政府はかしこい一歩を踏み出した」と緩和を歓迎した。ただ、経済への好影響が目に見えてわかるまでに「半年かかる」と述べ、経済を本格的に回復させるためには早期に中国本土との往来を正常化する必要があると強調。入境時の健康申告手続きについても簡素化すべきだと指摘した。

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香港では14日から、入境者に対する行動制限が全面解除された。香港政府観光局(HKTB)は13日に出した声明で「香港旅行の門戸が開かれた」と行動制限解除を歓迎。旅行業界の復活に向けてまもなく「大々的な観光客誘致計画を始動する」と宣言した。
香港では9月末に入境者に対する強制隔離措置が廃止されたが、入境後3日間は飲食店の店内利用が禁止されるなど行動制限が課されていたことからインバウンド客が戻らなかった。11月下旬にはツアー客に限定し、条件付きで飲食店の店内利用が許可されたが、飲食店の事前審査が必要なことなどから運用が進んでいなかった。
旅行業界団体、香港旅遊業議会(TICHK)の楊淑芬(ファニー・ヨン)総幹事(事務局長)が経済日報や星島日報などに明らかにしたところによると、ツアー客に対する行動制限の優遇が始まって以降に香港を訪れたツアー客は累計で1,000人程度。1日平均ではわずか38人にとどまっていた。
だが行動制限の全廃により、今後は海外からの個人旅行者が戻ってくると予測。楊氏は「クリスマスから年末にかけて、連日2,000人の観光客が香港を訪れるようになるだろう」と述べた。
新型コロナ発生前の2019年、中国本土を含む域外から香港を訪れた旅客の数は延べ5,600万人、1日平均15万人余りに上っていた。それに比べれば1日2,000人は微々たるものだが、インバウンドの回復に向けた大きな一歩となる。
香港の航空最大手キャセイパシフィック航空(国泰航空)も13日に、政府の決定を歓迎する声明を発表。キャセイと傘下の格安航空会社(LCC)香港エクスプレス(香港快運航空)は10~12月に約3,000便のフライトを追加したと明らかにし、旅客輸送力を年内にコロナ禍前の3分の1、来年末までに同70%、24年末までに同100%へと回復させる計画を改めて宣言した。
■飲食業界なども歓迎
インバウンドが増えないまま香港市民による海外旅行だけが急増し、クリスマス商戦を悲観していた飲食業界も、今回の規制緩和を歓迎する。
飲食業界団体、香港餐飲聯業協会(HKFORT)の黄家和(サイモン・ウォン)会長は文匯報などに対し「こんなに早く新たな措置が発表されるとは予想しておらず、業界は元気づけられた」とコメント。クリスマス前後の売上高はコロナ前の同期の7割程度にとどまる予測だったが、今回の規制緩和により「85%の水準が見込める」と喜んだ。
海外とのビジネス往来活発化を期待する声も上がる。宝飾品業界団体、香港珠宝製造業廠商会(HKJMA)の李偉材(ウィリアム・リー)副主席は、強制隔離がなくなってから東南アジアの業界関係者の香港訪問が増えていたが、行動制限がなくなったことで「欧米からの来訪も増えるだろう」と話した。
香港米国商工会議所(アムチャム・ホンコン)の翁以登(イーデン・ウーン)会頭も「香港政府はかしこい一歩を踏み出した」と緩和を歓迎した。ただ、経済への好影響が目に見えてわかるまでに「半年かかる」と述べ、経済を本格的に回復させるためには早期に中国本土との往来を正常化する必要があると強調。入境時の健康申告手続きについても簡素化すべきだと指摘した。" ["post_title"]=> string(80) "インバウンド、年内に50倍へビジネス往来の活発化にも期待" ["post_excerpt"]=> string(0) "" ["post_status"]=> string(7) "publish" ["comment_status"]=> string(4) "open" ["ping_status"]=> string(4) "open" ["post_password"]=> string(0) "" ["post_name"]=> string(200) "%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%90%e3%82%a6%e3%83%b3%e3%83%89%e3%80%81%e5%b9%b4%e5%86%85%e3%81%ab50%e5%80%8d%e3%81%b8%e3%83%93%e3%82%b8%e3%83%8d%e3%82%b9%e5%be%80%e6%9d%a5%e3%81%ae%e6%b4%bb%e7%99%ba%e5%8c%96" ["to_ping"]=> string(0) "" ["pinged"]=> string(0) "" ["post_modified"]=> string(19) "2022-12-15 04:00:03" ["post_modified_gmt"]=> string(19) "2022-12-14 19:00:03" ["post_content_filtered"]=> string(0) "" ["post_parent"]=> int(0) ["guid"]=> string(34) "https://nnaglobalnavi.com/?p=10721" ["menu_order"]=> int(0) ["post_type"]=> string(4) "post" ["post_mime_type"]=> string(0) "" ["comment_count"]=> string(1) "0" ["filter"]=> string(3) "raw" }
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