シンガポールの中堅企業で女性の経営幹部が増えている。大手会計事務所の英グラントソントン・インターナショナルの2023年版グローバルリポートによると、女性経営幹部の登用率は前回調査時から大幅に拡大して49%となり、世界最高水準となった。出社と在宅勤務を組み合わせたハイブリッド型勤務など柔軟な働き方を採用している企業ほど経営幹部の女性比率が高い傾向にあるという。
グラントソントンは、世界28カ国で中堅企業4,608社の経営幹部ら約1万人を対象として、22年10~12月に調査を実施。シンガポールでは、従業員数50人以上500人未満の企業を対象とし、108人のシニアエグゼクティブを含む経営幹部から回答を得た。
女性幹部の登用率が最も高かったのはシンガポールの49%で、前回調査から15ポイント上昇した。2位のフィリピンも49%だったが、小数点以下のわずかな差でシンガポールが上回った。東南アジア諸国連合(ASEAN)ではこのほか、マレーシア(40%)が4位、インドネシア(39%)が8位につけた。
調査対象となった28カ国全体の女性幹部の登用率は平均で32%となり、前回調査から横ばい。地域別では、ASEAN加盟国(調査対象は6カ国)が40%で最も高かった。
一方、「経営幹部に1人も女性を登用していない中堅企業の割合」では、シンガポールが最も低く1%だった。前年調査から6ポイント低下した。これにフィリピンが2%で続いた。
女性登用率が最も低いのは日本で16%。過去10年間最下位が続いている。女性幹部を1人も登用していない中堅企業の割合では、日本は40%で最も高かった。
グラントソントン・シンガポールの法務顧問であるベリンダ・タン氏は、「(シンガポールでジェンダーの)多様性を拡大する取り組みは、ESG(環境・社会・企業統治)と同様に規制当局の後ろ盾を得て継続的に進められている」と語った。
■「ワークライフバランス」は49%
調査では「過去1年間で従業員のエンゲージメント(会社と従業員の絆)や参画を維持するために実施した施策」についても聞いた。シンガポールでは企業の49%が「従業員のワークライフバランスや柔軟性の促進」と回答し、最も多かった。
「ポストコロナ時代のワーキングモデル」としてシンガポールで最も採用されているのは「オフィスとリモートワークのハイブリッドモデル」で、調査対象となった企業の56%が採用している。
グラントソントンは報告書で、「働き方の柔軟性が女性経営幹部の増加に大きな効果を与える」と分析。調査対象企業でも、ハイブリッドモデルや完全なフレックス制度を採用している企業で女性幹部の登用率が高いと指摘した。
「将来のリーダーを引き付け、引き留めるために役立つ施策」については、「国際的な人材にアクセスするために採用活動を拡大する」と答えたシンガポール企業の割合が27%となり、調査対象国全体の平均を大きく上回った。
グラントソントンは、「シンガポールは『国際的な人材』の採用を拡大することで、多様性や女性の参画を促している」との見解を示した。
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女性登用率が最も低いのは日本で16%。過去10年間最下位が続いている。女性幹部を1人も登用していない中堅企業の割合では、日本は40%で最も高かった。
グラントソントン・シンガポールの法務顧問であるベリンダ・タン氏は、「(シンガポールでジェンダーの)多様性を拡大する取り組みは、ESG(環境・社会・企業統治)と同様に規制当局の後ろ盾を得て継続的に進められている」と語った。
■「ワークライフバランス」は49%
調査では「過去1年間で従業員のエンゲージメント(会社と従業員の絆)や参画を維持するために実施した施策」についても聞いた。シンガポールでは企業の49%が「従業員のワークライフバランスや柔軟性の促進」と回答し、最も多かった。
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