最新のITやデジタル家電の見本市「CEATEC(シーテック)2023」が17日、千葉市の幕張メッセで開幕し、台湾の情報セキュリティーとデジタルトランスフォーメーション(DX)の業界団体、台湾資訊安全協会(TWISA)の会員企業10社がサービスや製品をPRした。TWISAのシーテックへの出展は前年に続き2回目。
シーテックが17日開幕し、TWISAの会員企業10社がサービスや製品をPRした=千葉市(NNA撮影)
TWISAによると、今回の出展では近年注目を集めるゼロトラスト(全ての通信を信頼しないことを前提とする安全管理)環境での身分認証や情報セキュリティーソリューション、人工知能(AI)技術を活用したサイバーセキュリティーの成功事例、AIoT(AIとモノのインターネット=IoTの結合)、アンケートソリューションなどの技術を紹介する。
今回の出展企業10社のうち、シーテックに初めて出展するのは6社。
このうち2019年設立の数位身分(オースミ)は、AIを活用した顧客確認(KYC)ソリューションを紹介。同社のソリューションは119カ国・地域で300万の検証実績を持つ。事業開発部の日本担当者は、業績が伸びていることから海外展開を図ることにし、かつ同じ漢字圏で台湾に友好的な日本に進出することにしたと説明。金融、カーシェア、不動産など本人確認業務が必要な分野への売り込みを図りたいと述べた。
業安科技(ヤールベンド)はキャッシュレス化を含む自動販売機のDXサービスをPR。アジア7カ国・地域で事業展開しており、日本では21年に開始し既に2,500台の実績を持つ。日本事業担当者は、日本の自販機は「キャッシュレス化率が低く、市場拡大の余地がある」と指摘。コストの低さを強みに、25年に日本の自販機の1%に当たる5万台への導入を目指す考えを示した。
このほか◇情報セキュリティーと認証システム関連のソリューションを手がける全景軟体(全景ソフトウエア)◇情報セキュリティー向けソリューションを提供する衆至資訊(シェアテック)◇SaaS(インターネット上で必要なソフトウエアを提供するサービス)型アンケートシステムを提供する新芽網路(25スプラウト)◇AIを利用した情報セキュリティーサービスの奥義智慧科技(サイクラフト)——がシーテックに初めて出展した。
また◇ゼロトラスト認証などのソリューションを提供する匯智安全科技(ワイセキュアテクノロジーズ)◇モバイル・データセキュリティーサービスを手がける関ケン(ケン=木へんに建、KeyXentic)◇多要素認証サービスを提供する来毅数位科技(LYDSEC)◇情報セキュリティーサービスの中華資安国際(CHTセキュリティー)の4社は前年に続き2回目の出展となった。
TWISAのトウ睿シン理事長(トウ=さんずいに余、シン=王へんに申)は17日のTWISAパビリオン開会式で、「DXのトレンドの中で多くの革新的な技術やサービスが登場したが、情報セキュリティーやネットワークセキュリティーのサポートがなければ未完成だと言わざるを得ない」と指摘。未完成のシステムは国家や企業、人々に大きな損害をもたらす可能性があるとして、ゼロトラストの考えに基づいた情報セキュリティー能力引き上げの重要性を強調した。
日本貿易振興機構(ジェトロ)イノベーション部ビジネスデベロップメント課の渡辺謙二郎・課長代理は「ジェトロはイノベーション関連の投資誘致に努めている」として、台湾企業に向けてジェトロの支援プログラムの活用を呼びかけた。
■3社が日本法人設立
トウ氏によると、今回出展した来毅数位科技と関ケン、サイクラフトは既に日本法人を設立し、事業を手がけた実績があるという。
会員企業と日本企業との連携も進んでいる。今回の出展企業以外では、情報セキュリティーソリューションを手がける杜浦数位安全(TeamT5)が22年にベンチャーキャピタル(VC)のジャフコグループ(東京都港区)と伊藤忠商事、半導体商社のマクニカ(横浜市)からの出資を受けた。
TWISAは、台湾政府による情報セキュリティー分野の発展計画で数多くのスタートアップ企業が誕生したことを受けて20年に設立。会員による産業や市場に関する情報交換、海外市場の開拓などを活動の目的としている。新型コロナウイルス禍を経て昨年10月、シーテックに初出展した。現在の会員企業数は70社となっている。
台湾政府系研究機関、工業技術研究院(ITRI、工研院)によると、台湾の22年の情報セキュリティー産業の生産額は前年比14.1%増の688億3,000万台湾元(約3,180億円)。内訳は、ネットワークセキュリティー関連が25.4%増の217億1,000万元、最終製品・モバイル装置防護関連が9.8%増の144億1,000万元、情報セキュリティーのシステムインテグレーション関連が8.4%増の104億5,000万元などとなっている。
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業安科技(ヤールベンド)はキャッシュレス化を含む自動販売機のDXサービスをPR。アジア7カ国・地域で事業展開しており、日本では21年に開始し既に2,500台の実績を持つ。日本事業担当者は、日本の自販機は「キャッシュレス化率が低く、市場拡大の余地がある」と指摘。コストの低さを強みに、25年に日本の自販機の1%に当たる5万台への導入を目指す考えを示した。
このほか◇情報セキュリティーと認証システム関連のソリューションを手がける全景軟体(全景ソフトウエア)◇情報セキュリティー向けソリューションを提供する衆至資訊(シェアテック)◇SaaS(インターネット上で必要なソフトウエアを提供するサービス)型アンケートシステムを提供する新芽網路(25スプラウト)◇AIを利用した情報セキュリティーサービスの奥義智慧科技(サイクラフト)——がシーテックに初めて出展した。
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TWISAのトウ睿シン理事長(トウ=さんずいに余、シン=王へんに申)は17日のTWISAパビリオン開会式で、「DXのトレンドの中で多くの革新的な技術やサービスが登場したが、情報セキュリティーやネットワークセキュリティーのサポートがなければ未完成だと言わざるを得ない」と指摘。未完成のシステムは国家や企業、人々に大きな損害をもたらす可能性があるとして、ゼロトラストの考えに基づいた情報セキュリティー能力引き上げの重要性を強調した。
日本貿易振興機構(ジェトロ)イノベーション部ビジネスデベロップメント課の渡辺謙二郎・課長代理は「ジェトロはイノベーション関連の投資誘致に努めている」として、台湾企業に向けてジェトロの支援プログラムの活用を呼びかけた。
■3社が日本法人設立
トウ氏によると、今回出展した来毅数位科技と関ケン、サイクラフトは既に日本法人を設立し、事業を手がけた実績があるという。
会員企業と日本企業との連携も進んでいる。今回の出展企業以外では、情報セキュリティーソリューションを手がける杜浦数位安全(TeamT5)が22年にベンチャーキャピタル(VC)のジャフコグループ(東京都港区)と伊藤忠商事、半導体商社のマクニカ(横浜市)からの出資を受けた。
TWISAは、台湾政府による情報セキュリティー分野の発展計画で数多くのスタートアップ企業が誕生したことを受けて20年に設立。会員による産業や市場に関する情報交換、海外市場の開拓などを活動の目的としている。新型コロナウイルス禍を経て昨年10月、シーテックに初出展した。現在の会員企業数は70社となっている。
台湾政府系研究機関、工業技術研究院(ITRI、工研院)によると、台湾の22年の情報セキュリティー産業の生産額は前年比14.1%増の688億3,000万台湾元(約3,180億円)。内訳は、ネットワークセキュリティー関連が25.4%増の217億1,000万元、最終製品・モバイル装置防護関連が9.8%増の144億1,000万元、情報セキュリティーのシステムインテグレーション関連が8.4%増の104億5,000万元などとなっている。
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