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ミャンマーの債権回収に遅れKDDIと住商、1千億円を引当

KDDIと住友商事は、ミャンマー事業に関連して2024年3月期決算に合わせて1,050億円の貸倒引当金を計上する。現地での通信事業に絡む債権の回収が遅れているためだ。同期業績について、KDDIは連結純利益予想を450億円減額したと発表。住友商事は350億円の損失を計上すると発表した。

商業施設内にあるMPTの店舗=11日、ヤンゴン(NNA)

両社が出資しているミャンマーの現地法人KDDIサミット・グローバル・ミャンマー(KSGM)が保有する米ドル建てリース債権の回収が遅れているため、合わせて1,050億円を引き当てる。債権は、KSGMが支援する現地通信会社の国営ミャンマー郵電公社(MPT)に対するものだ。22年4月に軍事政権が始めた米ドル兌換(だかん)規制の状況が改善されていないことや、24年3月期時点で現地の通信事業の営業赤字が続いていることが影響し、回収が遅れていた。MPTに対するリース債権の総額は同期時点で約1,300億円。
引当金はKSGMへの出資比率に応じ、KDDIと住友商事が約525億円ずつ計上する。出資比率はそれぞれ50.1%、49.9%となっている。
引当金の計上を受けてKDDIは10日、24年3月期の業績予想を下方修正したと発表した。同社は、ミャンマー以外の事業での250億円を減損などとして計上することもあり、1兆800億円としていた営業利益の予想を9,500億円に減額。純利益予想を6,800億円から6,350億円に見直した。キャッシュフローに影響はないという。
一方で住友商事は同日、24年3月期に350億円を損失として計上すると発表した。525億円のうち175億円については、23年3月期に持分法投資に対する減損損失として計上していた。24年3月期業績への影響は精査中としている。
KDDIと住友商事は14年、MPTと共同で同国の通信事業に参入することで合意。KSGMを設立してMPTの携帯通信事業をサポートしてきた。両社については、21年2月の軍事クーデター後もMPTを支援しているとして、国際的な人権団体や民主派の市民などが批判。両社は今年1月、コンサルタントの助言やステークホルダーとの対話から「ミャンマー国民のための通信網維持・確保が人権尊重上重要であると改めて確認できた」とし、支援を継続する姿勢を示していた。

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