旅客用を中心に電動三輪車市場がインドで拡大している。電動オートリキシャ(三輪タクシー)の中でも販売価格が安い車両が成長をけん引している。地場調査会社プレシャント&ストラテジック・インテリジェンスによると、国内の電動リキシャ市場は、2023年の2億9,190万米ドル(約452億円)から、30年には4億6,390万米ドルに達する見通しだ。【Atul Ranjan】
サイクルリキシャ(写真左の赤色)、CNGガスリキシャ(奥の緑と黄色)と一緒に、乗客を待つ電動リキシャ(右の青色)=4月、インド北部グルガオン(NNA撮影)
電動リキシャ販売台数(最高時速25~55キロメートル)は、新型コロナウイルス流行前の18/19年度(18年4月~19年3月)の11万2,000台超から、23/24年度は4倍以上の49万台超に増えた。業界関係者によると、充電インフラが十分ないにもかかわらず、▽車両価格がそこまで高くない▽メンテナンス費がエンジン車より安い▽エネルギー効率が良い——ことなどから、都市部、農村部ともにラストマイルの交通機関として普及が進んでいる。今や、サイクル(自転車)や圧縮天然ガス(CNG)、ガソリンタイプの従来リキシャに代わる存在だ。
道路交通・高速道路省のデータベース「バハン」によると、電動三輪車の23/24年度販売台数(低速車や貨物用を含む)は63万2,000台超。うち78%が旅客用で、ほとんどが最高時速25キロ未満の低価格車とみられる。
さらに、業界関係者によると、未組織の人々が、未登録の電動リキシャを違法に製造販売しているケースも多い。実際の販売台数はバハンのデータより一段と増えるもようだ。業界関係者の一人は「未登録の電動リキシャは、小さな町や村でかなり安く売られている」と話した。
交通開発政策研究所(ITDP)の22年6月の報告書によると、電動リキシャ販売台数は、組織化されたメーカーによる車両が月約1,500~2,000台に対し、未組織の人々による車両も月1万台近くあるという。
農村部で乗客を運ぶ電動リキシャ(写真左と中央の2台)=3月、北部ウッタルプラデシュ州(NNA撮影)
■各メーカー、生産増強検討
成長する電動リキシャ市場を開拓しようと、日系を含む各メーカーが生産能力の増強などを検討している。
テラモーターズ(東京都港区)のインド子会社テラモーターズインドは、東部コルカタに電動リキシャ製造工場を持ち、現在の年産能力は2万台だ。テラモーターズ社長で、インド事業を統括する上田晃裕氏はNNAの取材に対し、「高速タイプを含む車両を生産するため、デリー首都圏(NCR)で新工場開設も検討している」と答えた。
地場ロヒア・オート・インダストリーズは、北部ウッタラカンド州カシプールに工場があり、電動二輪車や電動三輪車を年間10万台生産する能力を持つ。ロヒアのアユシュ・ロヒア(Ayush Lohia)最高経営責任者(CEO)は、電動リキシャ事業の戦略について「今後3年間で市場シェア10%到達を目指す。需要を見ながら、生産能力を増強する」と言及。24/25年度中にアフリカへの輸出を始めることも考えている。
地場マーキュリー・Ev—テック(旧マーキュリー・メタルズ)は今月13日の取締役会で、地場メーカー、アルティウス・EVテックの株式65%を取得する方針を承認。取得に伴い、電動リキシャ市場に参入する予定だ。
地場エンビジョン・エレクトロニクスも、電動リキシャ製造を半年前に始めた。首都ニューデリーで19日に開かれた展示会「ライド・アジア・エキスポ」でも製品を披露。この先、生産をさらに拡大する。
ロヒア・オート・インダストリーズのカシプール工場で製造される電動リキシャ=北部ウッタラカンド州(同社提供)
NNAの取材に応じるロヒア・オート・インダストリーズのアユシュ・ロヒアCEO=4月、首都ニューデリー(NNA撮影)
■「未開拓の南部に注目」
電動リキシャ需要は、北部デリーやハリヤナ州、ウッタルプラデシュ州、東部ビハール州など、国内の北部・東部で旺盛だ。地場メーカー、バーズ・Eビークルズ共同創業者のイシュミート・シン(Ishmeet Singh)氏はNNAの取材に対し、「多くのメーカーが今、未開拓の国内南部に注目している」と指摘。「電動リキシャ運転手は、経済的に恵まれていないことが多い。車両購入時の借り入れをもっと簡単に利用できれば、需要は一層高まるだろう」と述べた。
別の地場メーカー幹部は「完成車メーカーから部品メーカー、ディーラーに至るまで、全ての人々が電動リキシャから利益を得る機会をうかがっている」と語った。この幹部によると、多数の完成車メーカーが、中国から部品を輸入し、インドで組み立て、ディーラーに車両を供給している。「どのメーカーも利幅を増やしている。販売価格が11万~17万ルピーで手頃なことも、需要を後押ししている」と話した。
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電動リキシャ販売台数(最高時速25~55キロメートル)は、新型コロナウイルス流行前の18/19年度(18年4月~19年3月)の11万2,000台超から、23/24年度は4倍以上の49万台超に増えた。業界関係者によると、充電インフラが十分ないにもかかわらず、▽車両価格がそこまで高くない▽メンテナンス費がエンジン車より安い▽エネルギー効率が良い——ことなどから、都市部、農村部ともにラストマイルの交通機関として普及が進んでいる。今や、サイクル(自転車)や圧縮天然ガス(CNG)、ガソリンタイプの従来リキシャに代わる存在だ。
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交通開発政策研究所(ITDP)の22年6月の報告書によると、電動リキシャ販売台数は、組織化されたメーカーによる車両が月約1,500~2,000台に対し、未組織の人々による車両も月1万台近くあるという。
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成長する電動リキシャ市場を開拓しようと、日系を含む各メーカーが生産能力の増強などを検討している。
テラモーターズ(東京都港区)のインド子会社テラモーターズインドは、東部コルカタに電動リキシャ製造工場を持ち、現在の年産能力は2万台だ。テラモーターズ社長で、インド事業を統括する上田晃裕氏はNNAの取材に対し、「高速タイプを含む車両を生産するため、デリー首都圏(NCR)で新工場開設も検討している」と答えた。
地場ロヒア・オート・インダストリーズは、北部ウッタラカンド州カシプールに工場があり、電動二輪車や電動三輪車を年間10万台生産する能力を持つ。ロヒアのアユシュ・ロヒア(Ayush Lohia)最高経営責任者(CEO)は、電動リキシャ事業の戦略について「今後3年間で市場シェア10%到達を目指す。需要を見ながら、生産能力を増強する」と言及。24/25年度中にアフリカへの輸出を始めることも考えている。
地場マーキュリー・Ev—テック(旧マーキュリー・メタルズ)は今月13日の取締役会で、地場メーカー、アルティウス・EVテックの株式65%を取得する方針を承認。取得に伴い、電動リキシャ市場に参入する予定だ。
地場エンビジョン・エレクトロニクスも、電動リキシャ製造を半年前に始めた。首都ニューデリーで19日に開かれた展示会「ライド・アジア・エキスポ」でも製品を披露。この先、生産をさらに拡大する。
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■「未開拓の南部に注目」
電動リキシャ需要は、北部デリーやハリヤナ州、ウッタルプラデシュ州、東部ビハール州など、国内の北部・東部で旺盛だ。地場メーカー、バーズ・Eビークルズ共同創業者のイシュミート・シン(Ishmeet Singh)氏はNNAの取材に対し、「多くのメーカーが今、未開拓の国内南部に注目している」と指摘。「電動リキシャ運転手は、経済的に恵まれていないことが多い。車両購入時の借り入れをもっと簡単に利用できれば、需要は一層高まるだろう」と述べた。
別の地場メーカー幹部は「完成車メーカーから部品メーカー、ディーラーに至るまで、全ての人々が電動リキシャから利益を得る機会をうかがっている」と語った。この幹部によると、多数の完成車メーカーが、中国から部品を輸入し、インドで組み立て、ディーラーに車両を供給している。「どのメーカーも利幅を増やしている。販売価格が11万~17万ルピーで手頃なことも、需要を後押ししている」と話した。"
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