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外国人の労災対策に不備電池工場火災で浮き彫りに

韓国・京畿道華城市にある1次電池メーカー、アリセルのリチウム電池工場で24日発生した火災では、死亡した23人のうち18人が外国人労働者だった。国内では少子高齢化などによる人材不足で製造業や農畜産業などを中心に外国人労働者の雇用が増えているが、今回の火災で外国人労働者の労働災害防止対策の不備が浮き彫りになった形だ。意思疎通問題や雇用形態により外国人労働者には適切な労災教育が行われないケースも多く、労災対策強化の必要性が高まっている。

火災現場を視察する尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(大統領府提供)

消防当局によると、火災は約3万5,000個のリチウム電池が保管されていた工場内で発生。死亡した外国人の内訳は中国籍が17人、ラオス国籍が1人で、18人全員が人材派遣会社が派遣した労働者だった。アリセル側は平素から安全教育を実施するとともに、安全対策規則を順守していたとしているが、犠牲となった外国人労働者は工場内部の構造を十分に把握しておらず、避難が遅れた可能性もある。
外国人労働者の場合、危険性が高く韓国人が好まない事業場に投入されることが多い上、言葉の面で意思疎通が困難なため安全教育が難しいという問題がある。とりわけ、日雇い労働者や派遣労働者の場合は、適切な教育を受けないまま事業現場に投入されるケースが少なくない。
■労災死亡者の1割が外国人
韓国統計庁によると、国内の2023年の外国人就業者数は92万3,000人で初めて90万人を超え、全体の就業者数(2,841万6,000人)の3.2%を占めた。その一方で、労災事故による外国人労働者の死亡者数(23年)は85人と、全体(812人)の10.5%に上った。24年1~3月期には死亡者213人のうち24人が外国人で、同割合が11.3%に拡大した。
韓国政府は今年、人材不足の解消に向けて「非専門就業ビザ(E—9)」で就業する外国人労働者数を16万5,000人まで拡大すると明らかにした。同ビザで就業可能な業種に「外食業」「鉱業」「林業」を追加して、前年比で4万5,000人増やす計画だ。
ただ、今回の火災を受けて専門家の間からは、産業現場に投入する外国人を増やすだけでなく、外国人労働者に対する産業安全保健政策を全面的に改編しなければならないとの指摘が出ている。

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■労災死亡者の1割が外国人
韓国統計庁によると、国内の2023年の外国人就業者数は92万3,000人で初めて90万人を超え、全体の就業者数(2,841万6,000人)の3.2%を占めた。その一方で、労災事故による外国人労働者の死亡者数(23年)は85人と、全体(812人)の10.5%に上った。24年1~3月期には死亡者213人のうち24人が外国人で、同割合が11.3%に拡大した。
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