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ハノイメトロ3号線が開通西郊へ15分、新エリア形成に期待

ベトナムの首都ハノイ市で8日朝、ハノイ都市鉄道(メトロ、地下鉄)3号線(北トゥーリエム区ニョン—ドンダー区ハノイ駅間)の一部区間が開業した。都市鉄道の開通は国内2路線目で、年々深刻化する首都の交通渋滞の緩和に期待がかかる。市西部ニョンから日本人が多く住むキンマー通りに近いカウザイ駅(バーディン区)まで約15分でアクセスが可能になり、ニョン周辺での不動産開発や沿線の商業施設の活性化につながりそうだ。

ハノイ都市鉄道3号線の開業初日は大勢の市民が乗車した=8日、ハノイ

開業したのは総延長12.5キロメートルのうち、ニョン駅からカウザイ駅までの8駅の高架区間8.5キロメートルで、約15分で結ぶ。4両編成で、開業当初は午前5時30分から午後10時まで10分おきに運行する。乗車料金は1駅8,000ドン(約0.32米ドル、46円)で全区間は1万2,000ドン。8日から15日間は体験期間として無料とする。
ベトナムでの都市鉄道の開業は、2021年11月の2A号線(ドンダー区カットリン—ハドン区イエンギア間)に続き2路線目。初日8日の午前中は物珍しさもあって周辺住民が詰めかけ、座席はうまった。
沿線にはハノイ国家大学や交通運輸大学などがあり、学生の利用が見込まれる。ニョン駅近くにあるハノイ工業大学の女子学生リンさんは、「市街地に遊びに行くときに使いたい。エアコンが効いていて涼しいし運賃が安いのがいい」と笑った。
高架区間の国家大学駅に隣接して高島屋傘下の東神開発が運営する商業施設「ザ・ループ・バイ・タカシマヤグループ」があり、地下区間のキムマー駅付近には高層ビル「ロッテセンター・ハノイ」もある。日系デベロッパー関係者は「メトロの利用者が増えれば沿線の活性化につながる」と予測する。ニョン駅周辺では建設中のマンションもあり、今後は住宅開発が進みそうだ。
ニョンからカウザイは自家用車で20分はかかり、バスならさらにかかるため、メトロを使えば移動時間は短縮される。ハノイ市は3号線の開通により車の利用者が減り交通渋滞が緩和することを期待するが、都心にあるハノイ駅までの地下区間が完成するのは27年末だ。現段階では2A号線とも接続しておらず、市民が日常の足として使うには駅から乗り換えられるバス路線の拡充が欠かせない。
市は3号線の開通に合わせて沿線で36本のバス路線を運行させ、32カ所にバス停を設置した。

■土地収用遅れ、開業9年ずれ込み
3号線はフランスなどの支援を受けており、車両はフランスの重電大手アルストムが製造した。総投資額は35兆ドン。建設は09年に開始し、当初は15年の完成を目指したが9年遅れでようやく一部開業にこぎつけた。
工事が大幅に遅れたのは、土地収用の難航や設計変更に伴う予算修正の承認手続きに手間取ったことが主な原因だ。高架区間を請け負った韓国・大林産業は20年、当局からの用地引き渡しが契約通りに進まなかったため工期が2年延びたとし、追加支払いを要求した。
21年には韓国・現代建設とイタリア・ゲルラの共同企業体(JV)も用地引き渡しの遅れで損害を受けたとして地下区間の工事を中断し、1億1,470万米ドルの賠償を市に請求した。
ハノイ市は都市鉄道のマスタープラン(基本計画)で45年までに14路線を整備する計画だ。3号線はハノイ駅から市南部ホアンマイ区までの延伸に向けた事業化調査に取りかかっているが、工事のあり方や財源などについて抜本的な対策を取らない限り計画の実現はおぼつかない。市は政府開発援助(ODA)のほかに土地使用権の売却などで35年までに371億7,400万米ドルを捻出する青写真を描く。
南部ホーチミン市では日本の円借款でメトロ1号線(1区ベンタイン市場—市直属トゥードゥック市スオイティエン公園間)の工事が大詰めを迎えている。年内の開業を目標としており、開通すればホーチミン市では初の都市鉄道となり、国内初の地下鉄路線となる。

3号線の車内。車両はフランスのアルストム製だ=8日、ハノイ
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ベトナムでの都市鉄道の開業は、2021年11月の2A号線(ドンダー区カットリン—ハドン区イエンギア間)に続き2路線目。初日8日の午前中は物珍しさもあって周辺住民が詰めかけ、座席はうまった。
沿線にはハノイ国家大学や交通運輸大学などがあり、学生の利用が見込まれる。ニョン駅近くにあるハノイ工業大学の女子学生リンさんは、「市街地に遊びに行くときに使いたい。エアコンが効いていて涼しいし運賃が安いのがいい」と笑った。
高架区間の国家大学駅に隣接して高島屋傘下の東神開発が運営する商業施設「ザ・ループ・バイ・タカシマヤグループ」があり、地下区間のキムマー駅付近には高層ビル「ロッテセンター・ハノイ」もある。日系デベロッパー関係者は「メトロの利用者が増えれば沿線の活性化につながる」と予測する。ニョン駅周辺では建設中のマンションもあり、今後は住宅開発が進みそうだ。
ニョンからカウザイは自家用車で20分はかかり、バスならさらにかかるため、メトロを使えば移動時間は短縮される。ハノイ市は3号線の開通により車の利用者が減り交通渋滞が緩和することを期待するが、都心にあるハノイ駅までの地下区間が完成するのは27年末だ。現段階では2A号線とも接続しておらず、市民が日常の足として使うには駅から乗り換えられるバス路線の拡充が欠かせない。
市は3号線の開通に合わせて沿線で36本のバス路線を運行させ、32カ所にバス停を設置した。

■土地収用遅れ、開業9年ずれ込み
3号線はフランスなどの支援を受けており、車両はフランスの重電大手アルストムが製造した。総投資額は35兆ドン。建設は09年に開始し、当初は15年の完成を目指したが9年遅れでようやく一部開業にこぎつけた。
工事が大幅に遅れたのは、土地収用の難航や設計変更に伴う予算修正の承認手続きに手間取ったことが主な原因だ。高架区間を請け負った韓国・大林産業は20年、当局からの用地引き渡しが契約通りに進まなかったため工期が2年延びたとし、追加支払いを要求した。
21年には韓国・現代建設とイタリア・ゲルラの共同企業体(JV)も用地引き渡しの遅れで損害を受けたとして地下区間の工事を中断し、1億1,470万米ドルの賠償を市に請求した。
ハノイ市は都市鉄道のマスタープラン(基本計画)で45年までに14路線を整備する計画だ。3号線はハノイ駅から市南部ホアンマイ区までの延伸に向けた事業化調査に取りかかっているが、工事のあり方や財源などについて抜本的な対策を取らない限り計画の実現はおぼつかない。市は政府開発援助(ODA)のほかに土地使用権の売却などで35年までに371億7,400万米ドルを捻出する青写真を描く。
南部ホーチミン市では日本の円借款でメトロ1号線(1区ベンタイン市場—市直属トゥードゥック市スオイティエン公園間)の工事が大詰めを迎えている。年内の開業を目標としており、開通すればホーチミン市では初の都市鉄道となり、国内初の地下鉄路線となる。
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