半導体産業の展示会「セミコン・インディア2024」が11日、インド北部のデリー首都圏(NCR)で開幕した。13日までの3日間、欧米や日本を含む東アジア、東南アジア、インドなど、24国・地域から250社超が参加。装置や材料業界をはじめ、半導体産業の関係者が連日集結する。
前工程と後工程の両工場をインドで建設する地場タタ・エレクトロニクスのブース=11日、インド北部ウッタルプラデシュ州グレーターノイダ(NNA撮影)
11日の開会式では、主催団体の一つ、米・国際半導体製造装置材料協会(SEMI)のプレジデント兼最高経営責任者(CEO)アジット・マノチャ氏があいさつし、「世界各国や人類のために半導体拠点をつくる上で、インドは信頼できるパートナー。半導体産業は世界のあらゆる産業の基礎であり、人類の基礎だ」と話した。
インドのモディ首相も演説し、1年余りで、投資総額1兆5,000億ルピー(約2兆5,000億円)超に上る半導体5工場誘致に成功した点を強調。「私たちの夢は、世界中の全ての機器にインド製チップを搭載することだ」と述べた。
そのほか、前工程と後工程の両工場をインドで建設している地場タタ・エレクトロニクスのランディル・タクール最高経営責任者(CEO)や、半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスの柴田英利社長、蘭NXPセミコンダクターズのカート・シーバーズCEOが開会式に出席した。
タクールCEOは「東京エレクトロンやシンガポールのASMパシフィック・テクノロジー(ASMPT)と協力し、インドに強固な半導体産業を築きたい」と発言。ルネサスの柴田社長は「インド向け先端半導体の設計を視野に入れ、インドの従業員数を来年までに2倍超に増やす」、NXPのシーバーズCEOは「今後数年間で10億米ドル(約1,420億円)超を投じ、研究開発を強化する」と語った。
展示は、地場や外国系が▽タタ▽米マイクロン・テクノロジー▽米アプライド・マテリアルズ——など、日系が▽東京エレクトロン▽アドバンテスト▽ディスコ▽日立ハイテク▽キヤノン▽富士フイルムホールディングス——などが参加。半導体製造に必要な装置や材料を披露した。
■日系各社、拠点強化へ
インド半導体産業の勃興に合わせ、日系企業は今後しばらく、インド拠点の強化や新設が続きそうだ。
11日のNNAの取材に対し、東京エレクトロンの堂和寛・執行役員は「お客さまの半導体工場の計画次第だが、近々、インドの既存子会社(首都ニューデリー)に装置の点検・修理機能を追加するだろう」、アドバンテストの中原真人・経営執行役員は「今はリサーチ段階だが、インドのビジネスはある程度伸びると想定している。ビジネスモデルが見えた時、技術サポートや販売を行う拠点を立ち上げるかを考えないといけない」と話した。
ディスコは、販売や修理・点検サービスを担うグループ子会社を南部ベンガルール(バンガロール)に設立し、2日に営業を始めた。吉永晃副社長は、タタとマイクロンがインドでそれぞれ建設している後工程工場の試験ラインに対し、装置を納入済みだと言及。量産段階になっても使ってもらうことを期待している。子会社設立の狙いについて、「できる限り、お客さんの近くでサポートするのが、わが社のポリシー」と説明した。
開会式で演説するインドのモディ首相=11日、グレーターノイダ(NNA撮影)
■講演・会議も連日開催
展示会は、米SEMIとドイツ系の展示会運営会社メッセ・ミュンヘン・インディアが、インド電子・情報技術省やインド電子産業協会(ELCINA)の協力を得て、開催した。会場は、北部ウッタルプラデシュ州グレーターノイダの「インディア・エキスポ・マート」。最終日まで、人材育成や、製品のパッケージ(外部環境からの保護や外部との電気的接続)をテーマにした講演・会議も連日開く。
「セミコン・インディア」という名前のイベントは、インド政府系機関が22年と23年に開いたものの、SEMI主催セミコンのインド開催は今回が初めて。SEMI主催セミコンは米国、日本、欧州、台湾、韓国、中国、東南アジアで開催実績があり、インドは8番目の開催国・地域となった。
半導体産業の振興を主導するインド政府系機関「インド半導体ミッション」によると、開催中の3日間で、約10万人の来場を見込んでいる。
■市場規模、30年までに3倍の1090億ドル
半導体の主要メーカーでつくる世界半導体市場統計(WSTS)によると、23年の世界市場は5,268億米ドル。インド電子・情報技術省が算出した同国の半導体市場は、23年が380億米ドルにとどまり世界の10%に満たないものの、30年までに3倍近い1,090億米ドルに伸びる見通しだ。
インドは現在、前工程も後工程工場もないが、25年初めにインド初の後工程工場が稼働する。インド政府は、中国輸入を減らしつつ国内需要を賄うため、7,600億ルピーの大型補助金を準備。各社の半導体工場の建設を支援する。
来場者でにぎわう東京エレクトロンのブース=11日、グレーターノイダ(NNA撮影)
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インドのモディ首相も演説し、1年余りで、投資総額1兆5,000億ルピー(約2兆5,000億円)超に上る半導体5工場誘致に成功した点を強調。「私たちの夢は、世界中の全ての機器にインド製チップを搭載することだ」と述べた。
そのほか、前工程と後工程の両工場をインドで建設している地場タタ・エレクトロニクスのランディル・タクール最高経営責任者(CEO)や、半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスの柴田英利社長、蘭NXPセミコンダクターズのカート・シーバーズCEOが開会式に出席した。
タクールCEOは「東京エレクトロンやシンガポールのASMパシフィック・テクノロジー(ASMPT)と協力し、インドに強固な半導体産業を築きたい」と発言。ルネサスの柴田社長は「インド向け先端半導体の設計を視野に入れ、インドの従業員数を来年までに2倍超に増やす」、NXPのシーバーズCEOは「今後数年間で10億米ドル(約1,420億円)超を投じ、研究開発を強化する」と語った。
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■日系各社、拠点強化へ
インド半導体産業の勃興に合わせ、日系企業は今後しばらく、インド拠点の強化や新設が続きそうだ。
11日のNNAの取材に対し、東京エレクトロンの堂和寛・執行役員は「お客さまの半導体工場の計画次第だが、近々、インドの既存子会社(首都ニューデリー)に装置の点検・修理機能を追加するだろう」、アドバンテストの中原真人・経営執行役員は「今はリサーチ段階だが、インドのビジネスはある程度伸びると想定している。ビジネスモデルが見えた時、技術サポートや販売を行う拠点を立ち上げるかを考えないといけない」と話した。
ディスコは、販売や修理・点検サービスを担うグループ子会社を南部ベンガルール(バンガロール)に設立し、2日に営業を始めた。吉永晃副社長は、タタとマイクロンがインドでそれぞれ建設している後工程工場の試験ラインに対し、装置を納入済みだと言及。量産段階になっても使ってもらうことを期待している。子会社設立の狙いについて、「できる限り、お客さんの近くでサポートするのが、わが社のポリシー」と説明した。
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■講演・会議も連日開催
展示会は、米SEMIとドイツ系の展示会運営会社メッセ・ミュンヘン・インディアが、インド電子・情報技術省やインド電子産業協会(ELCINA)の協力を得て、開催した。会場は、北部ウッタルプラデシュ州グレーターノイダの「インディア・エキスポ・マート」。最終日まで、人材育成や、製品のパッケージ(外部環境からの保護や外部との電気的接続)をテーマにした講演・会議も連日開く。
「セミコン・インディア」という名前のイベントは、インド政府系機関が22年と23年に開いたものの、SEMI主催セミコンのインド開催は今回が初めて。SEMI主催セミコンは米国、日本、欧州、台湾、韓国、中国、東南アジアで開催実績があり、インドは8番目の開催国・地域となった。
半導体産業の振興を主導するインド政府系機関「インド半導体ミッション」によると、開催中の3日間で、約10万人の来場を見込んでいる。
■市場規模、30年までに3倍の1090億ドル
半導体の主要メーカーでつくる世界半導体市場統計(WSTS)によると、23年の世界市場は5,268億米ドル。インド電子・情報技術省が算出した同国の半導体市場は、23年が380億米ドルにとどまり世界の10%に満たないものの、30年までに3倍近い1,090億米ドルに伸びる見通しだ。
インドは現在、前工程も後工程工場もないが、25年初めにインド初の後工程工場が稼働する。インド政府は、中国輸入を減らしつつ国内需要を賄うため、7,600億ルピーの大型補助金を準備。各社の半導体工場の建設を支援する。
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