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24年出生率0.75、やや上昇世界最低の低空飛行は継続

韓国統計庁が26日発表した2024年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むとされる子供の数、暫定値)は0.75だった。過去最低の0.72を記録した23年からは微増となったが、依然として世界最低水準にとどまる。20年から続いた新型コロナウイルス禍の影響で出産を控える動きが解消されたとの見方がある中、教育費などの子育てに対する経済的不安などは依然としてあり、出生率の低空飛行は今後も続く可能性が高い。
出生率が増加に転じたのは15年以来9年ぶりだが、経済協力開発機構(OECD)平均の1.51(22年時点)を大きく下回る上に、同じく少子高齢化が深刻な問題とされている日本(1.20、23年時点)よりも低い。OECD加盟国で出生率が1を下回るのも、依然として韓国が唯一だ。
24年の出生児数は前年比3.6%(8,300人)増の23万8,300人となった。韓国の出生児数は15年時点で43万8,420人だったが、その後は右肩下がりだ。20年以降は20万人台で推移している。
■韓国政府は微増にも「歓迎」
世界最低水準の出生率が続いているが、0.03の微増でも韓国政府は「喜ばしいこと」との見方が強い。
統計庁によると、出生率と出生児数の9年ぶりの増加だけでなく、第1子や第2子の出生児数、人口1,000人当たりの出生児数が増加した点や婚姻数が昨年から増え始めた点、結婚・出産に対する認識が良くなっている点などを挙げ、「反騰の兆しが見える」と評価した。
婚姻数の増加は、コロナ禍による結婚の延期ムードが解消されたことが背景にあり、それに伴って出産も増えているとの見方だ。
24年の母親の平均出産年齢は33.7歳と、23年より0.1歳上昇。第1子を産む平均年齢も33.0歳から33.1歳に上昇している。ただ、35歳以上で子供を産む女性の比率は35.9%と、23年の36.3%から0.4ポイント下落した。35歳以上で子供を産む女性の比率が下がったのは、1987年以降で初という。
■ソウル・首都圏が低水準
特別・広域市別で出生率を見ると、首都のソウル市が0.58で最も低く、釜山市が0.68、大邱市が0.75で続いた。光州市(0.70、0.01下落)と大田市(0.79、横ばい)を除く全ての市で23年から上昇。政府機関が移転した世宗市は1.03と唯一の1超えとなった。
道別では、京畿道が最も低い0.79で、慶尚南道が0.82、済州道が0.83だった。全羅南道のみ1.03と、1を超えた。
この結果から、ソウル・首都圏の出生率がとりわけ低いことが分かる。ソウル・首都圏には韓国の人口の多くが集中しているが、同時に不動産価格や教育費などの子育てにかかる費用も高騰しており、経済的不安から出産しない夫婦が多いとみられている。
韓国保健社会研究院によると、子供(小中高校生)1人当たりの月平均の私教育費は16年時点で26万ウォン(約2万7,100円)水準だったが、22年には40万ウォン水準まで急上昇している。私教育費が1%増えると、出生率は最大0.3減少する恐れがあるという。
■育児休暇など支援拡大
韓国政府は「育児しやすい環境支援策」を新たに盛り込んだ◇男女雇用平等法◇雇用保険法◇勤労基準法(労働基準法に相当)——の3法を改正し、23日に施行した。増加傾向を定着させて出生率をさらに引き上げるための支援を拡大していく。
改正法ではまず、育児休暇の期間をそれまでの1年から1年6カ月に拡大する。共働き夫婦の場合、合計で最長3年間、育児休暇を取得できるようになる。育児休暇中の手当ては、最初の3カ月は月250万ウォン、4~6カ月は月200万ウォン、7カ月以降は月160万ウォンが支給される。夫婦が同時に育児休暇を取得する場合は、夫婦それぞれに最大450万ウォンが支給される。
雇用労働省によると、24年に育児休暇を取得した人は13万2,535人で、前年比5.2%増えた。男性の取得者が31.6%を占めたが、男性の比率が30%を超えたのはこれが初めてという。

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出生率が増加に転じたのは15年以来9年ぶりだが、経済協力開発機構(OECD)平均の1.51(22年時点)を大きく下回る上に、同じく少子高齢化が深刻な問題とされている日本(1.20、23年時点)よりも低い。OECD加盟国で出生率が1を下回るのも、依然として韓国が唯一だ。
24年の出生児数は前年比3.6%(8,300人)増の23万8,300人となった。韓国の出生児数は15年時点で43万8,420人だったが、その後は右肩下がりだ。20年以降は20万人台で推移している。
■韓国政府は微増にも「歓迎」
世界最低水準の出生率が続いているが、0.03の微増でも韓国政府は「喜ばしいこと」との見方が強い。
統計庁によると、出生率と出生児数の9年ぶりの増加だけでなく、第1子や第2子の出生児数、人口1,000人当たりの出生児数が増加した点や婚姻数が昨年から増え始めた点、結婚・出産に対する認識が良くなっている点などを挙げ、「反騰の兆しが見える」と評価した。
婚姻数の増加は、コロナ禍による結婚の延期ムードが解消されたことが背景にあり、それに伴って出産も増えているとの見方だ。
24年の母親の平均出産年齢は33.7歳と、23年より0.1歳上昇。第1子を産む平均年齢も33.0歳から33.1歳に上昇している。ただ、35歳以上で子供を産む女性の比率は35.9%と、23年の36.3%から0.4ポイント下落した。35歳以上で子供を産む女性の比率が下がったのは、1987年以降で初という。
■ソウル・首都圏が低水準
特別・広域市別で出生率を見ると、首都のソウル市が0.58で最も低く、釜山市が0.68、大邱市が0.75で続いた。光州市(0.70、0.01下落)と大田市(0.79、横ばい)を除く全ての市で23年から上昇。政府機関が移転した世宗市は1.03と唯一の1超えとなった。
道別では、京畿道が最も低い0.79で、慶尚南道が0.82、済州道が0.83だった。全羅南道のみ1.03と、1を超えた。
この結果から、ソウル・首都圏の出生率がとりわけ低いことが分かる。ソウル・首都圏には韓国の人口の多くが集中しているが、同時に不動産価格や教育費などの子育てにかかる費用も高騰しており、経済的不安から出産しない夫婦が多いとみられている。
韓国保健社会研究院によると、子供(小中高校生)1人当たりの月平均の私教育費は16年時点で26万ウォン(約2万7,100円)水準だったが、22年には40万ウォン水準まで急上昇している。私教育費が1%増えると、出生率は最大0.3減少する恐れがあるという。
■育児休暇など支援拡大
韓国政府は「育児しやすい環境支援策」を新たに盛り込んだ◇男女雇用平等法◇雇用保険法◇勤労基準法(労働基準法に相当)——の3法を改正し、23日に施行した。増加傾向を定着させて出生率をさらに引き上げるための支援を拡大していく。
改正法ではまず、育児休暇の期間をそれまでの1年から1年6カ月に拡大する。共働き夫婦の場合、合計で最長3年間、育児休暇を取得できるようになる。育児休暇中の手当ては、最初の3カ月は月250万ウォン、4~6カ月は月200万ウォン、7カ月以降は月160万ウォンが支給される。夫婦が同時に育児休暇を取得する場合は、夫婦それぞれに最大450万ウォンが支給される。
雇用労働省によると、24年に育児休暇を取得した人は13万2,535人で、前年比5.2%増えた。男性の取得者が31.6%を占めたが、男性の比率が30%を超えたのはこれが初めてという。
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