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完全無人タクシーを商用化百度が中国初、4兆円市場へ

インターネット検索中国最大手の百度(バイドゥ)は8日、重慶市と湖北省武漢市で完全無人運転のタクシーの商用化について認可を受けたと発表した。安全確認の人員を車内に配置せず、公道を走る完全無人の自動運転タクシーは中国で初めて。自動運転タクシーは今後急速に市場が立ち上がるとみられ、2028年には4兆円に迫る規模になるとの見方もある。
重慶市永川区と武漢市はともに完全無人運転タクシーの商用化に関する試験措置を実施し、百度が唯一営業許可を得た。百度は、自社の自動運転システムプラットフォーム「アポロ」を搭載したライドシェア(相乗り)サービス「蘿蔔快ホウ(ホウ=足へんに包)」を重慶市と武漢市で本格的に展開する。北京商報などによると、武漢市は武漢経済技術開発区内が走行エリアで、まずは5台を投入する。
2市に投入するのは第5世代の「アポロ・ムーン極狐版」。中国自動車大手の北京汽車集団(北汽集団)傘下で電気自動車(EV)大手、北京新能源汽車(北汽新能源)の高級EVブランド「アークフォックス(極狐)T」をベースに開発した。特定の条件下で走行を完全自動化する「レベル4」に対応する自動運転技術を備える。今後は別の車両も投入する方針。
営業時間は午前9時から午後5時までで、初乗り料金は16元(約320円)、加算運賃は1キロメートル当たり2.8元とする。当面は試験営業期間と位置付け、運賃を値引きする。
完全無人運転という状況下での安全面にも配慮する。例えば乗客が悪意を持ってハンドルを切るなど運転を妨げようとした場合、自動で乗客の動きを検知し、強制的に路肩に止まるなどの措置を取る。車両が急停止するなどの緊急事態が起きた場合には、クラウド技術などを活用して安全を確認するという。
百度は13年、自動運転に関する事業に着手。17年にアポロを投入した。高度な自動運転に関する専利(発明特許、実用新案、意匠権)の保有数は1,500件を突破し、世界最多を記録。試験走行距離は3,200万キロを超えた。蘿蔔快ホウは現在、北京市や上海市、広東省広州市、深セン市など9都市で運営する。蘿蔔快ホウの注文件数は現在までに自動運転サービス業者として世界最多の100万件を超えた。23年までにはサービス導入都市を30都市、車両投入台数を3,000台以上とする計画だ。
■法整備にも着手
現在は百度のほか、上海汽車集団や広州文遠知行科技(ウィーライド)、小馬智行(ポニー・エーアイ)など複数の中国企業が自動運転タクシーの導入・普及に動いている。
政府は自動運転車両の普及加速に向けた政策を複数打ち出しており、中央政府が直近6年で発表した自動運転の発展に関する政策は10項目余り。地方でも40以上の省や市が試験運転やモデル地区の設定などに絡む管理弁法、実施細則を投入し、自動運転タクシーの試験走行などを実施している。7月には四川省成都市の成都高新技術産業開発区が自動運転技術を搭載したタクシーの試験運行を始めた。
自動運転車両の営業を巡る法整備にも乗り出した。
交通運輸省は8日、自動運転車両の営業に関する安全・サービスのガイドラインを発表し、意見公募(パブリックコメント)を始めた。
自動運転車両の運営業者には学校や病院、大型商業施設など人が集まる地域を外して営業ルートを設定するよう要求。悪天候時には営業を停止することも求めた。車両の情報管理に関する規定では、記録した情報データを当局に随時送信するほか、車両が事故を起こしたり自動運転機能を失ったりした場合は問題の発生前90秒間と発生後30秒間の運行状況データを自動的に記録・保存する機能を設けるよう定めた。
自動運転車両には運転手、完全無人運転車は遠隔で操作できる運転手か監視員を配置するよう要求。運転手や監視員は研修を受けた上で資格を取得する必要がある。車両には各種の営業許可証の取得や保険の加入を義務化することも盛り込んだ。
交通運輸省は、封鎖された道路環境で旅客輸送用に自動運転車を導入することを奨励。9月7日まで意見を募る。
■長期的に規模3.2兆元も
政策支援や導入を急ぐ企業の動きを追い風に、自動運転タクシーの市場規模は急速に拡大しそうだ。
市場分析サイトの易観分析によると、中国の自動運転タクシーの市場規模は今年158億元となり、ネット配車・従来型タクシー市場に占めるシェアは3%となる見通し。今後は急拡大に向かい、24年に850億元、27年に1,390億元、28年に1,962億元になるとそれぞれ見通した。28年の規模は日本円ベースで4兆円に迫り、市場シェアは30%まで高まるとみている。
市場は長期的に右肩上がりで推移するとの見方もあり、中信証券は、40年までに自動運転タクシーの市場規模が3兆2,000億元まで膨らむ余地があると予測。その他の商用車分野でも3兆元規模になる可能性があると指摘した。
無人の自動運転車の優位性の一つはコストの低さだ。北京商報は「従来型タクシーの走行1キロ当たりのコストは1.89元だが、監視員を置かない完全無人タクシーは0.82元にとどまり、通常のタクシーより6割近く安い」と指摘した。
百度は7月、自動運転技術搭載の第6世代無人車「アポロRT6」を発表。RT6の走行コストは1カ月当たり約4,100元に抑えられると低コストをアピールしていた。車両価格は25万元で、従来の無人車両の約10分の1に抑えた。RT6は来年、蘿蔔快ホウ向けに投入する計画だ。

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営業時間は午前9時から午後5時までで、初乗り料金は16元(約320円)、加算運賃は1キロメートル当たり2.8元とする。当面は試験営業期間と位置付け、運賃を値引きする。
完全無人運転という状況下での安全面にも配慮する。例えば乗客が悪意を持ってハンドルを切るなど運転を妨げようとした場合、自動で乗客の動きを検知し、強制的に路肩に止まるなどの措置を取る。車両が急停止するなどの緊急事態が起きた場合には、クラウド技術などを活用して安全を確認するという。
百度は13年、自動運転に関する事業に着手。17年にアポロを投入した。高度な自動運転に関する専利(発明特許、実用新案、意匠権)の保有数は1,500件を突破し、世界最多を記録。試験走行距離は3,200万キロを超えた。蘿蔔快ホウは現在、北京市や上海市、広東省広州市、深セン市など9都市で運営する。蘿蔔快ホウの注文件数は現在までに自動運転サービス業者として世界最多の100万件を超えた。23年までにはサービス導入都市を30都市、車両投入台数を3,000台以上とする計画だ。
■法整備にも着手
現在は百度のほか、上海汽車集団や広州文遠知行科技(ウィーライド)、小馬智行(ポニー・エーアイ)など複数の中国企業が自動運転タクシーの導入・普及に動いている。
政府は自動運転車両の普及加速に向けた政策を複数打ち出しており、中央政府が直近6年で発表した自動運転の発展に関する政策は10項目余り。地方でも40以上の省や市が試験運転やモデル地区の設定などに絡む管理弁法、実施細則を投入し、自動運転タクシーの試験走行などを実施している。7月には四川省成都市の成都高新技術産業開発区が自動運転技術を搭載したタクシーの試験運行を始めた。
自動運転車両の営業を巡る法整備にも乗り出した。
交通運輸省は8日、自動運転車両の営業に関する安全・サービスのガイドラインを発表し、意見公募(パブリックコメント)を始めた。
自動運転車両の運営業者には学校や病院、大型商業施設など人が集まる地域を外して営業ルートを設定するよう要求。悪天候時には営業を停止することも求めた。車両の情報管理に関する規定では、記録した情報データを当局に随時送信するほか、車両が事故を起こしたり自動運転機能を失ったりした場合は問題の発生前90秒間と発生後30秒間の運行状況データを自動的に記録・保存する機能を設けるよう定めた。
自動運転車両には運転手、完全無人運転車は遠隔で操作できる運転手か監視員を配置するよう要求。運転手や監視員は研修を受けた上で資格を取得する必要がある。車両には各種の営業許可証の取得や保険の加入を義務化することも盛り込んだ。
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■長期的に規模3.2兆元も
政策支援や導入を急ぐ企業の動きを追い風に、自動運転タクシーの市場規模は急速に拡大しそうだ。
市場分析サイトの易観分析によると、中国の自動運転タクシーの市場規模は今年158億元となり、ネット配車・従来型タクシー市場に占めるシェアは3%となる見通し。今後は急拡大に向かい、24年に850億元、27年に1,390億元、28年に1,962億元になるとそれぞれ見通した。28年の規模は日本円ベースで4兆円に迫り、市場シェアは30%まで高まるとみている。
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無人の自動運転車の優位性の一つはコストの低さだ。北京商報は「従来型タクシーの走行1キロ当たりのコストは1.89元だが、監視員を置かない完全無人タクシーは0.82元にとどまり、通常のタクシーより6割近く安い」と指摘した。
百度は7月、自動運転技術搭載の第6世代無人車「アポロRT6」を発表。RT6の走行コストは1カ月当たり約4,100元に抑えられると低コストをアピールしていた。車両価格は25万元で、従来の無人車両の約10分の1に抑えた。RT6は来年、蘿蔔快ホウ向けに投入する計画だ。
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