ドラッグストアチェーン大手「マツモトキヨシ」はきょう21日、香港屈指の繁華街である香港島・銅鑼湾(コーズウェーベイ)に新店を開業する。海外で最大の売り場面積を誇る「アジアの旗艦店」の位置づけだ。日本で人気のコスメや美容・健康食品をそろえるほか、人工知能(AI)による診断で顔に合ったメーキャップを提案する体験コーナーなどを用意。域外との往来正常化を見据えたトレンド発信型店舗を香港に設けることで、アジアでの存在感をより強固にする。【天野友紀子、蘇子善】
大型ビジョンを備えたカラフルな旗艦店。人通りの絶えない目抜き通り沿いで開業する=20日、銅鑼湾(NNA撮影)
「マツキヨで働いて20年になるが、こんな店づくりができる日が来るとは思わなかった」。そう話すのは、マツキヨココカラ&カンパニーの香港法人、松本清香港の林保範董事長だ。
旗艦店は銅鑼湾のメインストリートである怡和街沿いに立地。地上1~2階から成る890平方メートル超の路面店は、今年の前半までドイツのスポーツ用品大手アディダスが入居していた場所だ。
■「東京の今」そろう店
海外最大となる広々とした店舗の内部は、鳥居や祭りのちょうちんといった日本の伝統的なシンボルを用いながらカラフルでポップな「東京の今」を再現。海外で初の取り組みとして、これまでマツキヨが日本でも扱っていない商品を取りそろえた。
一角には、行列店「プレスバターサンド」のバターサンドや定番の「東京ばな奈」といった手土産用お菓子がずらり。おもちゃ大手バンダイや、再生繊維を使ったバッグブランド「KNT365」の「ショップ・イン・ショップ」も併設した。バンダイショップには、ガンプラ(アニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデル)や香港で人気の高いアニメ「クレヨンしんちゃん」のグッズが並ぶ。
メディアデーには100人を超えるKOL(インフルエンサー)を招待。旗艦店をいち早くお披露目した=17日、銅鑼湾(NNA撮影)
松本清香港は本社の商品部と連携しながら、日本でも取引のなかった企業との間で商流を確立した。17日のメディアデーで来店した香港人ユーチューバーのリリアン・シーさんはNNAに対し「ガンダムの入浴剤とか、見たことのない商品がいっぱいあって驚いた」とコメント。林氏は「アジアの旗艦店として、日本に行かなくても東京の今を体験、体感してもらえる店にした」と胸をはる。
■4店目、インバウンドも意識
今年5月に香港1号店を開業した松本清香港にとって、銅羅湾の旗艦店は4店舗目となった。
1~3号店は、新界地区の沙田や屯門などいわゆる「ベッドタウン」に出店。「地元の人に日常的に利用してもらえる店」として、マツキヨを香港に定着させたいとの戦略からだった。
だがやはり、繁華街にも店を出して地位をしっかりと示したい。そんな思いから、旗艦店を含めた4号店までの出店計画は「1年半前から固めていた」という。旗艦店は中国本土を含むインバウンド客も見据え、商品やサービスをより充実させた。
香港初上陸となる基礎化粧品ブランド「SKIO」と松本清香港の林董事長=17日、銅鑼湾(NNA撮影)
目玉となるのは、AIによる顔診断の体験コーナーだ。体験型アートを企画・制作するネイキッド(東京都渋谷区)が手がける「ブルーミング・ガーデン」、カネボウ化粧品(東京都中央区)の化粧品ブランド「ケイト」の「トーキョー・トゥー・フェーシズ」の2つを用意。どちらもゲーム感覚で体験でき、顔や全身の写真による診断を終えると、旗艦店で売られている化粧品の中から個人の特徴に合った商品を提案してくれる仕組みだ。
ケイトの設備を体験した美容系インスタグラマーのクリス・チャンさんはNNAに対し「AI診断は初体験。新鮮で楽しかった」と笑顔を見せた。
AI診断でメーキャップを提案する「KATE」の体験型設備。今回が世界初導入となる=17日、銅鑼湾(NNA撮影)
スキンケア商品では、ロート製薬が日本で通販限定で販売するブランド「SKIO(スキオ)」を香港に初上陸させる。スキオは、店頭での販売も世界初だ。ほか、新型コロナウイルスの流行前に本土からのインバウンド客に「バカ売れ」だった「リバイシス」のフェースマスクなどを目立つ位置に陳列。薬剤師が個人の悩みに応じてサプリメントを調合してくれる「サプリメントバー」も旗艦店で初導入する。
「開店に間に合わなかった新商品やブランドがほかにもたくさんある」と林氏。1万品目を超える取扱商品数はさらに増やす方針で、日本のトレンドや香港の消費者のし好に合わせて「新しいものをどんどん取り入れていく」と意気込んだ。
マツキヨは香港のほかタイ、台湾、ベトナムに進出している。市民の可処分所得が高い香港は、1店舗当たりの平均売上高が4市場の中で最も高い。松本清香港は、向こう5年で30店の展開を目指している。
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旗艦店は銅鑼湾のメインストリートである怡和街沿いに立地。地上1~2階から成る890平方メートル超の路面店は、今年の前半までドイツのスポーツ用品大手アディダスが入居していた場所だ。
■「東京の今」そろう店
海外最大となる広々とした店舗の内部は、鳥居や祭りのちょうちんといった日本の伝統的なシンボルを用いながらカラフルでポップな「東京の今」を再現。海外で初の取り組みとして、これまでマツキヨが日本でも扱っていない商品を取りそろえた。
一角には、行列店「プレスバターサンド」のバターサンドや定番の「東京ばな奈」といった手土産用お菓子がずらり。おもちゃ大手バンダイや、再生繊維を使ったバッグブランド「KNT365」の「ショップ・イン・ショップ」も併設した。バンダイショップには、ガンプラ(アニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデル)や香港で人気の高いアニメ「クレヨンしんちゃん」のグッズが並ぶ。
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■4店目、インバウンドも意識
今年5月に香港1号店を開業した松本清香港にとって、銅羅湾の旗艦店は4店舗目となった。
1~3号店は、新界地区の沙田や屯門などいわゆる「ベッドタウン」に出店。「地元の人に日常的に利用してもらえる店」として、マツキヨを香港に定着させたいとの戦略からだった。
だがやはり、繁華街にも店を出して地位をしっかりと示したい。そんな思いから、旗艦店を含めた4号店までの出店計画は「1年半前から固めていた」という。旗艦店は中国本土を含むインバウンド客も見据え、商品やサービスをより充実させた。
[caption id="attachment_9611" align="aligncenter" width="620"]香港初上陸となる基礎化粧品ブランド「SKIO」と松本清香港の林董事長=17日、銅鑼湾(NNA撮影)[/caption]
目玉となるのは、AIによる顔診断の体験コーナーだ。体験型アートを企画・制作するネイキッド(東京都渋谷区)が手がける「ブルーミング・ガーデン」、カネボウ化粧品(東京都中央区)の化粧品ブランド「ケイト」の「トーキョー・トゥー・フェーシズ」の2つを用意。どちらもゲーム感覚で体験でき、顔や全身の写真による診断を終えると、旗艦店で売られている化粧品の中から個人の特徴に合った商品を提案してくれる仕組みだ。
ケイトの設備を体験した美容系インスタグラマーのクリス・チャンさんはNNAに対し「AI診断は初体験。新鮮で楽しかった」と笑顔を見せた。
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スキンケア商品では、ロート製薬が日本で通販限定で販売するブランド「SKIO(スキオ)」を香港に初上陸させる。スキオは、店頭での販売も世界初だ。ほか、新型コロナウイルスの流行前に本土からのインバウンド客に「バカ売れ」だった「リバイシス」のフェースマスクなどを目立つ位置に陳列。薬剤師が個人の悩みに応じてサプリメントを調合してくれる「サプリメントバー」も旗艦店で初導入する。
「開店に間に合わなかった新商品やブランドがほかにもたくさんある」と林氏。1万品目を超える取扱商品数はさらに増やす方針で、日本のトレンドや香港の消費者のし好に合わせて「新しいものをどんどん取り入れていく」と意気込んだ。
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