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【日本の税務】不動産所得について

第295回

加藤さん:みらい先生、こんにちは。このたびベトナムに赴任することになりました。私は日本国内で事業用の不動産所得があるのですが、海外赴任にあたり注意しなければならないことはありますか?

みらい:加藤さん、お久しぶりです。ベトナム赴任とのことですが、期間は決まっていますか?

加藤さん:会社からは3年間と言われています。

みらい:そうなりますと、海外で1年以上勤務することになりますので、税務上は日本の「非居住者」となります。非居住者に日本国内で生じた所得があるときは、日本で確定申告をする必要があります。

加藤さん:海外から確定申告をするのは大変ですね。誰かにやってもらうことはできるのでしょうか?

みらい:はい。「納税管理人」に代行してもらうことになります。そのために出国前に「納税管理人の届出書」を税務署に提出する必要があります。

加藤さん:初めて聞きました。「納税管理人の届出書」について詳しく教えていただけますか?

みらい:納税管理人とは確定申告書の提出や税金の納付等を加藤さんの代わりに行う人のことです。「納税管理人の届出書」は出国の日までに税務署に提出してください。

加藤さん:そうなんですね。出国の日がまだ決まっていないので提出を忘れてしまいそうです。

みらい:納税管理人を指定せずに出国してしまうと、税務当局に納税管理人を指定されてしまいます。また提出しなかった場合、1月1日から出国日までと、出国日の翌日から12月31日までの期間でそれぞれ確定申告をしなければなりません。出国日までの確定申告は、出国日が申告・納付期限となってしまうので期限後に提出してしまうと加算税、延滞税の対象となりますので、出国日が決まったら届け出を忘れずに行いましょう。

加藤さん:それは大変ですね。出国日までに必ず提出します。その他に注意点はありますか?

みらい:そうですね。今までとの違いでいえば、非居住者が日本国内にある不動産賃借料の支払いを受ける際には、20.42%の税率で源泉徴収がされます。自己や親族の居住用であれば源泉徴収は必要ありませんが、先ほど事業用とお話がありましたので、源泉徴収が必要になってきます。

加藤さん:それは受け取る収入が減ってしまうということでしょうか。

みらい:いいえ。源泉徴収は税金の前払いになります。確定申告をすることで、源泉徴収された税額を精算することになるので収入が減るわけではありません。

加藤さん:わかりました。安心しました。

みらい:また、非居住者に適用される所得控除は、寄附金控除、基礎控除、国内にある資産について生じた損失に限られる雑損控除のみですので覚えておいてください。

加藤さん:わかりました。もしも源泉徴収されずに入金されてしまった場合はどうなりますか?

みらい:源泉徴収義務者である賃借人が不足分を納付しなければいけませんので、加藤さんは特になにもしなくて大丈夫です。ただ、賃借人からその不足分を払うように後で請求がくる可能性があります。自分が非居住者となったので源泉徴収が必要になることを事前に把握しているのであれば、賃借人に前もって伝えておくと親切かもしれません。

加藤さん:そうですね。今年の確定申告は事前準備を早めにしておこうと思います。本日はありがとうございました。

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加藤さん:みらい先生、こんにちは。このたびベトナムに赴任することになりました。私は日本国内で事業用の不動産所得があるのですが、海外赴任にあたり注意しなければならないことはありますか?

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加藤さん:会社からは3年間と言われています。

みらい:そうなりますと、海外で1年以上勤務することになりますので、税務上は日本の「非居住者」となります。非居住者に日本国内で生じた所得があるときは、日本で確定申告をする必要があります。

加藤さん:海外から確定申告をするのは大変ですね。誰かにやってもらうことはできるのでしょうか?

みらい:はい。「納税管理人」に代行してもらうことになります。そのために出国前に「納税管理人の届出書」を税務署に提出する必要があります。

加藤さん:初めて聞きました。「納税管理人の届出書」について詳しく教えていただけますか?

みらい:納税管理人とは確定申告書の提出や税金の納付等を加藤さんの代わりに行う人のことです。「納税管理人の届出書」は出国の日までに税務署に提出してください。

加藤さん:そうなんですね。出国の日がまだ決まっていないので提出を忘れてしまいそうです。

みらい:納税管理人を指定せずに出国してしまうと、税務当局に納税管理人を指定されてしまいます。また提出しなかった場合、1月1日から出国日までと、出国日の翌日から12月31日までの期間でそれぞれ確定申告をしなければなりません。出国日までの確定申告は、出国日が申告・納付期限となってしまうので期限後に提出してしまうと加算税、延滞税の対象となりますので、出国日が決まったら届け出を忘れずに行いましょう。

加藤さん:それは大変ですね。出国日までに必ず提出します。その他に注意点はありますか?

みらい:そうですね。今までとの違いでいえば、非居住者が日本国内にある不動産賃借料の支払いを受ける際には、20.42%の税率で源泉徴収がされます。自己や親族の居住用であれば源泉徴収は必要ありませんが、先ほど事業用とお話がありましたので、源泉徴収が必要になってきます。

加藤さん:それは受け取る収入が減ってしまうということでしょうか。

みらい:いいえ。源泉徴収は税金の前払いになります。確定申告をすることで、源泉徴収された税額を精算することになるので収入が減るわけではありません。

加藤さん:わかりました。安心しました。

みらい:また、非居住者に適用される所得控除は、寄附金控除、基礎控除、国内にある資産について生じた損失に限られる雑損控除のみですので覚えておいてください。

加藤さん:わかりました。もしも源泉徴収されずに入金されてしまった場合はどうなりますか?

みらい:源泉徴収義務者である賃借人が不足分を納付しなければいけませんので、加藤さんは特になにもしなくて大丈夫です。ただ、賃借人からその不足分を払うように後で請求がくる可能性があります。自分が非居住者となったので源泉徴収が必要になることを事前に把握しているのであれば、賃借人に前もって伝えておくと親切かもしれません。

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 みらいコンサルティンググループ
ミライ コンサルティング グループ みらいコンサルティンググループ
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みらいコンサルティング(旧中央青山PwCコンサルティング)は、グループに監査法人、税理士法人、社会保険労務士法人、各種事業会社を持つ総勢約300名の総合コンサルティングファーム。国内には東京本社のほか10都市に支社を展開。海外には中国(北京・上海・深セン)、シンガポール、タイ(バンコク)、ベトナム(ホーチミン・ハノイ)、マレーシア(クアラルンプール)に子会社を設立、現地にて日系企業の海外展開におけるビジネスコンサルティングを提供している。

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