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JMAMタイが生産人材育成体験セミナーでデータ分析を訓練

日本能率協会マネジメントセンター(JMAM、東京都中央区)のタイ法人、JMAM(タイランド)がものづくりの中核人材の育成に乗り出す。製造現場のリーダーの立場にあるタイ人を対象に、データの収集・分析を通じた問題解決力の強化と生産性の向上に向けた教育プログラムを提供する。3月29日に開催された体験セミナーには日系企業などから15人が参加。データに対する感度を磨いた。

ボタンの製造工程で作業する実習生=3月29日、タイ・チョンブリ県(NNA撮影)

タイは、労働集約的な産業ではより人件費の安い後発新興国に追い上げられて経済成長率が鈍る「中進国の罠(わな)」からの脱却が喫緊の課題。そのためには、データの分析を通じて問題点を把握し、現場の改善につなげられる人材の養成が必須になっている。
体験セミナーは、日立製作所のタイ法人、日立アジア(タイランド)がタイ政府肝いりの産業高度化政策「タイランド4.0」の推進に向け、タイ東部チョンブリ県に開設した「Lumada Center Southeast Asia」で行われた。
参加者は座学の後の実習で、同センター内の「IoTソリューションルーム」に備えられているエレベーターのボタン製造工程を活用した。ボタンが取り付けられたユニットを各実習生がコンベヤーから取り出して配線を施した後、再びコンベヤーに戻すまでに要した時間を紙に記入し、エクセルに入力。コンピューターで収集したデータと照らし合わせることで、デジタル化による時間短縮効果や精度の高さを実感した。
実習生はさらに、ヒストグラムを作成してデータを見える化。実習生ごとに作業時間のバラツキがあることを認識した。
タイの製造現場では、日々発生するトラブルや不具合などについて、人によって見方や認識が異なる傾向が強いという。JMAM(タイランド)の谷口淳社長は「データを読み、分析する力を養うことで共通認識が高まる。例えば、ヒストグラムで一人一人の技能の習熟レベルを見える化できれば、改善による生産性の向上につながる」と説明する。
参加者はIoTソリューションルームでの実習と並行して、ビジネスにおける課題解決の手法の1つである「特性要因図」についても学んだ。
特性要因図とは、複数の原因と1つの結果を図にまとめたもの。図は背骨や小骨で構成されるため、「フィッシュボーン(魚の骨)チャート」とも呼ばれる。課題と要因の関係性を可視化することで、チームや組織間で解決の糸口となる要因まで共有できるなどのメリットがある。
体験セミナーでは5人ずつ3つのグループに分かれ、「なぜタイは交通渋滞が深刻なのか」というテーマに対し、原因を追究し、さらにその原因の原因を掘り下げるという形で議論を深めた。

フィッシュボーンチャートを作成する実習生たち=3月29日、タイ・チョンブリ県(NNA撮影)

実習生からは体験セミナーについて「実際の現場でも応用できそうだ」などの感想が聞かれ、谷口社長は手応えを感じている様子。今後は今年7月をめどに正式なトレーニングを開始するための準備を進めていくという。場所は同じくLumada Center Southeast Asiaで、参加費は1万バーツ(約3万9,000円)ほどとなる見通し。
プログラムの特徴は、1日目の座学と実習の後、実習生は各社に戻って上司の協力を得ながら現場のデータを収集して、職場改善の方向性を考える。1カ月後にそれらのデータを持ち寄って、今後のアクションプランなどを作成する。JMAM(タイランド)はその後も、アクションプランがどれだけ実行され、現場がどう変化したかをモニタリングする。
谷口社長は「企業がいきなり自動化などのシステムを導入するのはコスト的にもハードルが高い。実習生にはまずは現場でできるところからデータを収集・分析することで職場改善に取り組んでほしい」とし、「プログラムで学んだ内容を部下にも伝えることで自身の理解も一層深まっていくだろう」と期待を寄せた。
■人材育成キーワード「見える化」
JMAM(タイランド)は「見える化」をコンセプトに、「データの見える化」だけではなく、「能力の見える化」として、日本でのものづくり資格「生産マイスター」をタイ政府系の資格認証機関TPQIと協力してタイ向けに公的な資格としてカスタマイズした。
生産マイスターは、製造業の人材の育成を目的とした教育プログラム・資格認定制度。ものづくりの現場では、役割や品質、納期、コスト、安全などさまざまな知識や技術、管理能力が求められる。生産マイスターでは、これらの知識と技術を体系的に学び、資格として客観的に認証することで、ものづくりの中核を担う人材を育成する。
さらに「思考の見える化」として、手帳の活用を通じたPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルの回し方に関する教育も実施している。

インタビューに答える谷口社長=3月30日、タイ・バンコク(NNA撮影)
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参加者は座学の後の実習で、同センター内の「IoTソリューションルーム」に備えられているエレベーターのボタン製造工程を活用した。ボタンが取り付けられたユニットを各実習生がコンベヤーから取り出して配線を施した後、再びコンベヤーに戻すまでに要した時間を紙に記入し、エクセルに入力。コンピューターで収集したデータと照らし合わせることで、デジタル化による時間短縮効果や精度の高さを実感した。
実習生はさらに、ヒストグラムを作成してデータを見える化。実習生ごとに作業時間のバラツキがあることを認識した。
タイの製造現場では、日々発生するトラブルや不具合などについて、人によって見方や認識が異なる傾向が強いという。JMAM(タイランド)の谷口淳社長は「データを読み、分析する力を養うことで共通認識が高まる。例えば、ヒストグラムで一人一人の技能の習熟レベルを見える化できれば、改善による生産性の向上につながる」と説明する。
参加者はIoTソリューションルームでの実習と並行して、ビジネスにおける課題解決の手法の1つである「特性要因図」についても学んだ。
特性要因図とは、複数の原因と1つの結果を図にまとめたもの。図は背骨や小骨で構成されるため、「フィッシュボーン(魚の骨)チャート」とも呼ばれる。課題と要因の関係性を可視化することで、チームや組織間で解決の糸口となる要因まで共有できるなどのメリットがある。
体験セミナーでは5人ずつ3つのグループに分かれ、「なぜタイは交通渋滞が深刻なのか」というテーマに対し、原因を追究し、さらにその原因の原因を掘り下げるという形で議論を深めた。
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実習生からは体験セミナーについて「実際の現場でも応用できそうだ」などの感想が聞かれ、谷口社長は手応えを感じている様子。今後は今年7月をめどに正式なトレーニングを開始するための準備を進めていくという。場所は同じくLumada Center Southeast Asiaで、参加費は1万バーツ(約3万9,000円)ほどとなる見通し。
プログラムの特徴は、1日目の座学と実習の後、実習生は各社に戻って上司の協力を得ながら現場のデータを収集して、職場改善の方向性を考える。1カ月後にそれらのデータを持ち寄って、今後のアクションプランなどを作成する。JMAM(タイランド)はその後も、アクションプランがどれだけ実行され、現場がどう変化したかをモニタリングする。
谷口社長は「企業がいきなり自動化などのシステムを導入するのはコスト的にもハードルが高い。実習生にはまずは現場でできるところからデータを収集・分析することで職場改善に取り組んでほしい」とし、「プログラムで学んだ内容を部下にも伝えることで自身の理解も一層深まっていくだろう」と期待を寄せた。
■人材育成キーワード「見える化」
JMAM(タイランド)は「見える化」をコンセプトに、「データの見える化」だけではなく、「能力の見える化」として、日本でのものづくり資格「生産マイスター」をタイ政府系の資格認証機関TPQIと協力してタイ向けに公的な資格としてカスタマイズした。
生産マイスターは、製造業の人材の育成を目的とした教育プログラム・資格認定制度。ものづくりの現場では、役割や品質、納期、コスト、安全などさまざまな知識や技術、管理能力が求められる。生産マイスターでは、これらの知識と技術を体系的に学び、資格として客観的に認証することで、ものづくりの中核を担う人材を育成する。
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