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「ニコアンド」が東南ア進出バンコクの流行発信地に旗艦店

アパレル大手アダストリアは22日、タイの首都バンコクでライフスタイルブランド「niko and…(ニコアンド)」の東南アジア1号店を開業する。若者が集うタイの流行発信地「サイアムスクエア」で、グローバル旗艦店として出店。タイ人クリエイターとのコラボ商品なども取りそろえ、まずはブランド知名度を上げていくことを目指す。タイでの店舗拡大と並行して来年にはフィリピンに進出。その後はインドネシアやマレーシアで展開を始める考えだ。

地元のKOL200人を招いた内覧会で、にぎわう店内=19日、サイアムスクエア(NNA撮影)

アダストリアは開業を控えた19日、メディアとKOL(キーオピニオンリーダー、インフルエンサー)に向けた内覧会を実施。ニコアンド営業本部長で執行役員の星野明氏と、タイ法人アダストリア(タイランド)の木村秀雄社長がNNAの取材に応じた。
■旗艦店は「メディア」
星野氏はバンコクを東南アジア初出店の場所に選んだ理由について「カルチャーがあり、ファッションも音楽シーンも元気。東南アジアの中で特に勢いを感じる都市だからだ」とコメント。一等地に路面店として構えた旗艦店は「メディア的な機能」を想定しているとして、タイ人消費者に向けてブランドの魅力を発信していく場にしたいと述べた。
同氏は、ニコアンドのようにアパレルだけでなく雑貨やインテリア、クリエイターらとのコラボ商品まで扱う業態は「ほかにはない」として、感度の高いタイの若者の取り込みに自信を見せる。旗艦店は地下1階から地上3階までの4フロア(売り場面積999.19平方メートル)で構成。1階では女性向けアパレル、2階では男性向けアパレルと雑貨を販売し、3階は雑貨売り場のほかカフェスペースを設けた。
タイ出身の著名なイラストレーター、ウィスット・ポンニミット氏や「サンデーキッズ」とコラボした、バンコク店限定商品も販売する。また、地下1階はポップアップ(期間限定イベント用)スペースとし、タイのクリエイターや企業、大学、学生との共同企画などで活用していく考えだ。

バンコク店限定商品を手に、写真撮影に応じる星野氏(左)と木村氏(右)=19日、サイアムスクエア(NNA撮影)

■出店地は「タイの原宿」
初出店となるだけに物件選びには特にこだわった。木村氏は、複数のタイ人KOLに聞き取り調査を実施した上で、現地の若者から「タイの原宿」と称されるサイアムスクエアを第1候補に定めたと説明する。
だが競争率の高いバンコクの一等地で、民間企業ではなく国立チュラロンコン大学が保有するエリアであることなどから、物件探しは難航。同時進行で地場流通大手セントラル・グループなどのショッピングモール、中華街ヤワラートや高級住宅街アーリーの路面店物件などを見て回ったが、「ココだ、という場所がなかった」(星野氏)。物件を探し始めてから半年後、サイアムスクエアの路面店物件が空く予定だという情報をつかみ、ようやく契約にこぎつけたのだという。
■KOL200人が大興奮
内覧会には約200人のKOLが招待され、旗艦店は正式開業を前に大いににぎわった。
インスタグラムで1万人を超えるフォロワーを持つ女性、サオワラック・ダパットさんはNNAに対し「日本のモノが好きなのでニコアンドに興味があった。私の着こなしに合うシャツや、かわいいインテリア雑貨もたくさんある」と笑顔でコメント。ニコアンドを知らないまま参加したという別の女性KOLも「ほかの日本のブランドとシャツのディテールが異なる。合わせやすいし、コーディネートの幅が広がりそう」と話し、満足げだった。

店内で写真撮影を楽しむタイのKOL=19日、サイアムスクエア(NNA撮影)

ダパットさんのように既にニコアンドを知っていたり、ファンだったりするタイ人も少なくないようだ。何年も前から日本の店舗が訪日外国人の間で人気が高いことが背景にあり、星野氏によると、原宿・明治通り沿いの東京旗艦店の3月の売上高は「4割をインバウンド(訪日客)が占めた」。東京旗艦店はタイを含むアジア各地や欧米からの観光客だけでなく、世界のバイヤーがトレンドをキャッチするために「わざわざ足を運ぶ場所」になっているという。
19日にはタイメディアから「地方都市にも多くのニコアンドファンがいるが、地方向けに電子商取引(EC)は行わないのか」との質問が上がった。これに対し星野氏は、店舗展開を広げると同時にECの準備も進めると説明した。
■主要モールに出店へ
タイではバンコクの主要モールを中心に出店を拡大していく方針だ。セントラル・グループや商業施設運営大手ザ・モール・グループなどが運営する5~6モールをターゲットに据える。木村氏は、各社と協議しながら各モールに「しっかり出店していきたい」と意気込んだ。ECは他社が運営するマーケットプレースと、自社サイトでの展開の両方を検討する。
タイ以外では、フィリピンでパートナー企業との協議が進行中だ。星野氏は、店舗とECのどちらから始めるかも含め「検討中」だとした上で、展開開始は来年を見込んでいると明らかにした。インドネシアやマレーシア、ベトナムも「市場がある」(木村氏)ことから、近い将来の進出を目指していく。

首都バンコクの一等地に路面店で開業=19日、サイアムスクエア(NNA撮影)

<メモ>
ニコアンド
20~40代の男女をターゲットに日本で141店舗(2023年2月末時点)を展開。海外では12年の香港での1号店開業を皮切りに、中国や台湾に出店。台北と上海にも旗艦店を持つ。
アダストリア
「グローバルワーク」や「ローリーズファーム」など、30ブランド以上を展開するアパレル大手。23年2月末時点の海外店舗数は95店舗。22年12月期の海外売上高は日本円ベースで前期比34.9%増の180億1,700万円。海外売上高は、23年2月期の総売上高(2,425億5,200万円)の7.4%を占めている。

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アダストリアは開業を控えた19日、メディアとKOL(キーオピニオンリーダー、インフルエンサー)に向けた内覧会を実施。ニコアンド営業本部長で執行役員の星野明氏と、タイ法人アダストリア(タイランド)の木村秀雄社長がNNAの取材に応じた。
■旗艦店は「メディア」
星野氏はバンコクを東南アジア初出店の場所に選んだ理由について「カルチャーがあり、ファッションも音楽シーンも元気。東南アジアの中で特に勢いを感じる都市だからだ」とコメント。一等地に路面店として構えた旗艦店は「メディア的な機能」を想定しているとして、タイ人消費者に向けてブランドの魅力を発信していく場にしたいと述べた。
同氏は、ニコアンドのようにアパレルだけでなく雑貨やインテリア、クリエイターらとのコラボ商品まで扱う業態は「ほかにはない」として、感度の高いタイの若者の取り込みに自信を見せる。旗艦店は地下1階から地上3階までの4フロア(売り場面積999.19平方メートル)で構成。1階では女性向けアパレル、2階では男性向けアパレルと雑貨を販売し、3階は雑貨売り場のほかカフェスペースを設けた。
タイ出身の著名なイラストレーター、ウィスット・ポンニミット氏や「サンデーキッズ」とコラボした、バンコク店限定商品も販売する。また、地下1階はポップアップ(期間限定イベント用)スペースとし、タイのクリエイターや企業、大学、学生との共同企画などで活用していく考えだ。
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■出店地は「タイの原宿」
初出店となるだけに物件選びには特にこだわった。木村氏は、複数のタイ人KOLに聞き取り調査を実施した上で、現地の若者から「タイの原宿」と称されるサイアムスクエアを第1候補に定めたと説明する。
だが競争率の高いバンコクの一等地で、民間企業ではなく国立チュラロンコン大学が保有するエリアであることなどから、物件探しは難航。同時進行で地場流通大手セントラル・グループなどのショッピングモール、中華街ヤワラートや高級住宅街アーリーの路面店物件などを見て回ったが、「ココだ、という場所がなかった」(星野氏)。物件を探し始めてから半年後、サイアムスクエアの路面店物件が空く予定だという情報をつかみ、ようやく契約にこぎつけたのだという。
■KOL200人が大興奮
内覧会には約200人のKOLが招待され、旗艦店は正式開業を前に大いににぎわった。
インスタグラムで1万人を超えるフォロワーを持つ女性、サオワラック・ダパットさんはNNAに対し「日本のモノが好きなのでニコアンドに興味があった。私の着こなしに合うシャツや、かわいいインテリア雑貨もたくさんある」と笑顔でコメント。ニコアンドを知らないまま参加したという別の女性KOLも「ほかの日本のブランドとシャツのディテールが異なる。合わせやすいし、コーディネートの幅が広がりそう」と話し、満足げだった。
[caption id="attachment_12994" align="aligncenter" width="620"]店内で写真撮影を楽しむタイのKOL=19日、サイアムスクエア(NNA撮影)[/caption]
ダパットさんのように既にニコアンドを知っていたり、ファンだったりするタイ人も少なくないようだ。何年も前から日本の店舗が訪日外国人の間で人気が高いことが背景にあり、星野氏によると、原宿・明治通り沿いの東京旗艦店の3月の売上高は「4割をインバウンド(訪日客)が占めた」。東京旗艦店はタイを含むアジア各地や欧米からの観光客だけでなく、世界のバイヤーがトレンドをキャッチするために「わざわざ足を運ぶ場所」になっているという。
19日にはタイメディアから「地方都市にも多くのニコアンドファンがいるが、地方向けに電子商取引(EC)は行わないのか」との質問が上がった。これに対し星野氏は、店舗展開を広げると同時にECの準備も進めると説明した。
■主要モールに出店へ
タイではバンコクの主要モールを中心に出店を拡大していく方針だ。セントラル・グループや商業施設運営大手ザ・モール・グループなどが運営する5~6モールをターゲットに据える。木村氏は、各社と協議しながら各モールに「しっかり出店していきたい」と意気込んだ。ECは他社が運営するマーケットプレースと、自社サイトでの展開の両方を検討する。
タイ以外では、フィリピンでパートナー企業との協議が進行中だ。星野氏は、店舗とECのどちらから始めるかも含め「検討中」だとした上で、展開開始は来年を見込んでいると明らかにした。インドネシアやマレーシア、ベトナムも「市場がある」(木村氏)ことから、近い将来の進出を目指していく。
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<メモ>
ニコアンド
20~40代の男女をターゲットに日本で141店舗(2023年2月末時点)を展開。海外では12年の香港での1号店開業を皮切りに、中国や台湾に出店。台北と上海にも旗艦店を持つ。
アダストリア
「グローバルワーク」や「ローリーズファーム」など、30ブランド以上を展開するアパレル大手。23年2月末時点の海外店舗数は95店舗。22年12月期の海外売上高は日本円ベースで前期比34.9%増の180億1,700万円。海外売上高は、23年2月期の総売上高(2,425億5,200万円)の7.4%を占めている。" ["post_title"]=> string(81) "「ニコアンド」が東南ア進出バンコクの流行発信地に旗艦店" ["post_excerpt"]=> string(0) "" ["post_status"]=> string(7) "publish" ["comment_status"]=> string(4) "open" ["ping_status"]=> string(4) "open" ["post_password"]=> string(0) "" ["post_name"]=> string(198) "%e3%80%8c%e3%83%8b%e3%82%b3%e3%82%a2%e3%83%b3%e3%83%89%e3%80%8d%e3%81%8c%e6%9d%b1%e5%8d%97%e3%82%a2%e9%80%b2%e5%87%ba%e3%83%90%e3%83%b3%e3%82%b3%e3%82%af%e3%81%ae%e6%b5%81%e8%a1%8c%e7%99%ba%e4%bf%a1" ["to_ping"]=> string(0) "" ["pinged"]=> string(0) "" ["post_modified"]=> string(19) "2023-04-22 04:00:04" ["post_modified_gmt"]=> string(19) "2023-04-21 19:00:04" ["post_content_filtered"]=> string(0) "" ["post_parent"]=> int(0) ["guid"]=> string(34) "https://nnaglobalnavi.com/?p=12971" ["menu_order"]=> int(0) ["post_type"]=> string(4) "post" ["post_mime_type"]=> string(0) "" ["comment_count"]=> string(1) "0" ["filter"]=> string(3) "raw" }
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