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ホクト、輸出や販売促進強化増える中国産に品質で対抗

キノコの生産・販売を手がけるホクトのマレーシア法人ホクト・マレーシアは、同国での販促と輸出拡大にアクセルを踏む。新型コロナウイルス禍を経て足元の市場で競合となる中国産キノコの流通が急速に増えており、これまで培ったブランド力で挽回を図る。マーケティングを強化して消費者の幅を拡大するほか、中長期的に中東などへの出荷も視野に入れる。【笹沼帆奈望】

ホクトがマレーシアで生産する「ブナシメジ」と「ブナピー」=4月、ヌグリスンビラン州(NNA撮影)

ホクト・マレーシアは2012年に現地法人を設立した。ヌグリスンビラン州の工場で茶色の「ブナシメジ」と白色の「ブナピー」の2種類を生産しているほか、「マイタケ」を日本から輸入して販売している。「ブナシメジ」と「ブナピー」の年間生産量は1,000万トンで、6割をシンガポール、タイ、ベトナム、インドネシアに輸出する。シンガポールは東南アジア最大の市場で輸出の8割を占める。
順調に事業を拡大してきたものの、東南アジアではコロナ禍を機に、安価な中国産のキノコの輸入量が増加している。中国ではコロナの感染を抑えるために厳しい外出規制を敷く「ゼロコロナ」政策が取られたことから、出荷されたキノコが国内市場で供給過多となり、東南アジアに流入。安価であるため、業務用・一般消費者向け両方で流通量が増えた。
ホクト・マレーシアは、コロナ禍が収束に向かう中、販促を強化し、品質の高さを売りに消費者の購買欲を引き出したい考えだ。前西和雄代表は、輸送に伴い鮮度が落ちる中国産に対し、ホクト・マレーシアは日本と同じ品質のキノコをマレーシアで生産している強みがあると説明。「価値を理解している取引業者はいる。中国企業などの競合には、キノコを現地生産し、営業スタッフを配置する(要望に対応する)例はなく、(現在の中国産キノコの市場攻勢も)一時的なものとみている」と話す。
■シンガポールでは宣伝強化
ホクトは事業拡大に向け、最大の市場であるシンガポールでスーパーマーケットのマーケティング部門との連携を開始した。来店者にホクトの商品の特売情報を周知するほか、ホームページなどを通じた宣伝を強化している。
ホクト・マレーシアの河野宏セールスマネジャーは「いきなり中国産の取り扱いを止めてもらうのは難しいが、併売で売り上げを伸ばすことでホクトの商品だけに切り替えてもらうことはできる」と意気込む。
シンガポールでは大手スーパーを中心に300店以上で商品を展開。かつては中国産との併売もない独占市場だったこともあり、ホクトの知名度は工場のあるマレーシアより高いという。
一方、マレーシア市場では、マレー系消費者への浸透を目指す。同国での顧客層は現在、中華系が8割、マレー系が2割。前西氏は、マレー系マレーシア人やインドネシア人はキノコを食べる食文化がほとんどないため、手に取ってもらいにくいと指摘。また、ホクトのキノコ1パックの価格は4~5リンギ(約122~152円)と、中国産と比べ割高だ。マレー系の消費伸び悩みには、「所得が低いことや野菜をあまり食べないことも影響している」と話す。
マレーシアでの取扱店舗数は500店以上あり、顧客拡大に向け、フェイスブックやインスタグラムを活用して、レシピなどを紹介している。準公用語の英語のほか、マレー語での配信を強化している。また、中華系とマレー系の利用者が多いスーパーでは、コロナ禍で中止を余儀なくされていた試食販売を再開する。
前西氏は、今後の見通しについて「事業拡大で利益を出していければ、マレーシアで生産したキノコをインドや中東に輸出したり、生産を拡大したりする可能性もある」と話している。

「中国産が増えた市場で、ブランド力を生かして挽回を図る」と話すホクト・マレーシアの前西氏(左)と河野氏=4月、ヌグリスンビラン州(NNA撮影)
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ホクト・マレーシアは2012年に現地法人を設立した。ヌグリスンビラン州の工場で茶色の「ブナシメジ」と白色の「ブナピー」の2種類を生産しているほか、「マイタケ」を日本から輸入して販売している。「ブナシメジ」と「ブナピー」の年間生産量は1,000万トンで、6割をシンガポール、タイ、ベトナム、インドネシアに輸出する。シンガポールは東南アジア最大の市場で輸出の8割を占める。
順調に事業を拡大してきたものの、東南アジアではコロナ禍を機に、安価な中国産のキノコの輸入量が増加している。中国ではコロナの感染を抑えるために厳しい外出規制を敷く「ゼロコロナ」政策が取られたことから、出荷されたキノコが国内市場で供給過多となり、東南アジアに流入。安価であるため、業務用・一般消費者向け両方で流通量が増えた。
ホクト・マレーシアは、コロナ禍が収束に向かう中、販促を強化し、品質の高さを売りに消費者の購買欲を引き出したい考えだ。前西和雄代表は、輸送に伴い鮮度が落ちる中国産に対し、ホクト・マレーシアは日本と同じ品質のキノコをマレーシアで生産している強みがあると説明。「価値を理解している取引業者はいる。中国企業などの競合には、キノコを現地生産し、営業スタッフを配置する(要望に対応する)例はなく、(現在の中国産キノコの市場攻勢も)一時的なものとみている」と話す。
■シンガポールでは宣伝強化
ホクトは事業拡大に向け、最大の市場であるシンガポールでスーパーマーケットのマーケティング部門との連携を開始した。来店者にホクトの商品の特売情報を周知するほか、ホームページなどを通じた宣伝を強化している。
ホクト・マレーシアの河野宏セールスマネジャーは「いきなり中国産の取り扱いを止めてもらうのは難しいが、併売で売り上げを伸ばすことでホクトの商品だけに切り替えてもらうことはできる」と意気込む。
シンガポールでは大手スーパーを中心に300店以上で商品を展開。かつては中国産との併売もない独占市場だったこともあり、ホクトの知名度は工場のあるマレーシアより高いという。
一方、マレーシア市場では、マレー系消費者への浸透を目指す。同国での顧客層は現在、中華系が8割、マレー系が2割。前西氏は、マレー系マレーシア人やインドネシア人はキノコを食べる食文化がほとんどないため、手に取ってもらいにくいと指摘。また、ホクトのキノコ1パックの価格は4~5リンギ(約122~152円)と、中国産と比べ割高だ。マレー系の消費伸び悩みには、「所得が低いことや野菜をあまり食べないことも影響している」と話す。
マレーシアでの取扱店舗数は500店以上あり、顧客拡大に向け、フェイスブックやインスタグラムを活用して、レシピなどを紹介している。準公用語の英語のほか、マレー語での配信を強化している。また、中華系とマレー系の利用者が多いスーパーでは、コロナ禍で中止を余儀なくされていた試食販売を再開する。
前西氏は、今後の見通しについて「事業拡大で利益を出していければ、マレーシアで生産したキノコをインドや中東に輸出したり、生産を拡大したりする可能性もある」と話している。
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