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各国の就労(雇用)ビザの概要

1. 日本

日本の就労ビザには、様々な種類があります。就労ビザ取得に関しては、申請者の国籍や就労目的、滞在期間等によって手続きや要件が異なります。そのため、以下では日本の就労ビザのうち、代表的なものを取り上げ、その取得条件について述べます。

(1)ビザの種類
日本の就労ビザは大まかに分けると16種類あります。

a. 教授(大学教授など)
b. 芸術(音楽家や画家など)
c. 宗教(僧侶や宣教師など)
d. 報道(記者やカメラマンなど)
e. 経営・管理(会社社長や役員など)
f. 法律・会計業務(日本の資格を有する弁護士、公認会計士など)
g. 医療(医師、看護師など)
h. 研究(研究所の研究員など)
i. 教育(小・中・高の教員など)
j. 技術・人文知識・国際業務(技術者、外国語教師、通訳、デザイナーなど)
k. 企業内転勤(同一企業の日本支店に転勤する者など)
l. 介護(介護士など)
m. 興行(演奏家、俳優、歌手、ダンサー、スポーツ選手など)
n. 技能(調理師、パイロット、スポーツトレーナー、ソムリエなど)
o.特定技能(特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能/熟練した技能を要する産業に従事するもの)
p.技能実習(海外の子会社等から受け入れる技能実習生、監理団体を通じて受け入れる技能実習生)
(外務省ホームページより引用:https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/chouki/index.html

その他、就労目的での滞在については、高度専門職ビザがあり、学術、技術、経営分野において、高度かつ専門的な活動を行う者に対し、付与されます。同ビザは、申請者の経歴や仕事の内容、年収などをポイント制にして評価し、一定のポイントに達した場合にのみ付与されます。

上記a~pのうち、もっとも代表的なものは、技術・人文知識・国際業務ビザであり、日本で就労する多くの外国人が同ビザを取得しています。

(2) 技術・人文知識・国際業務ビザの取得方法
同ビザの取得要件については、実際に従事する業務によって、学歴・職歴要件が異なります。主に以下の要件が必要となってきます。

①学歴・職歴要件

  • 技術職:従事する予定の業務に関連する専門分野を専攻して大学等を卒業していること、10年以上の実務経験があること、情報処理技術に関する試験の合格または資格を有していることのうち、いずれかの要件を満たしていること。
  • 人文知識:従事する予定の業務に関連する専門分野を専攻して大学等を卒業していること、10年以上の実務経験があることのうち、いずれかの要件を満たしていること。
  • 国際業務:大学等を卒業していること(選考や専門は問わない)、3年以上の実務経験があることのうち、いずれかの要件を満たしていること。

②同業界で働く日本人と同等以上の報酬があること

③勤務先の経営が安定していること

④その他要件(仕事内容や職場の環境、申請者の素行などが適当なものであるか)

日本の就労ビザについては様々な種類があり、その手続きや条件は様々です。日本の出入国管理局や日本の外交使節機関(大使館や領事館)に問い合わせすることが確実かと思われます。

 

2.タイ

(1) タイのビザの概要

タイにおいては、労働者であるかどうかを問わず、外国人が職業的行為を行うためには、就労ビザが必要となります。

そのため、たとえ1日の滞在であっても、ビジネス、教師、スポーツ指導、芸術関連のパフォーマンスまたは興行、インターンシップ(教育機関のプログラム以外(有償))などの目的で入国するためには就労ビザが必要となります。就労ビザは入国日から90日間滞在が可能なシングルビザと、ビザ発行から1年間複数回の出入国が可能なマルチブルビザの2種類があります。通常マルチブルビザの方が取得要件は厳しいとされています。

(2) 就労ビザの取得要件(更新の要件)

タイでは学歴・職歴要件などは特にありませんが、最低給与については申請者の国籍ごとに定められています。申請者が日本人の場合、最低月額5万バーツ以上の給与が当該日本人に支払われている必要があります。

また、タイで就労ビザを取得後、入国管理局で更新するためには、使用者は原則として外国人1人に対してタイ人4人以上を雇用している必要があります(1:4ルール)。この点、2017年3月の日タイ経済連携協定において、日本人である企業内研修生やインターン生については1:4ルールの適用はなく、タイ人の雇用義務を負わないとして、ルールの緩和がなされました。ただし、この場合のビザ延長手続に関して、在タイ日本大使館等が発行したレターをビザ延長申請者が入国管理局に提出することなど所定の手続が必要です。

(3) 就労ビザが不要な場合

2015年にタイ労働省が発表した通達によれば、討論会や講演会、学術講義等への出席、企業視察や商談への出席、会社取締役会への出席等の行為などについては、「就労」行為に該当せず、就労ビザは不要であるとされています。

もっとも、行為者の立場やこれらの行為への関わり方によっては、「就労」行為に該当し就労ビザが要求される可能性があるため、注意が必要です。

3.マレーシア

就労を目的としてマレーシアに来る場合、たとえ短期間でも就労ビザの取得が必要です。就労ビザは、雇用パス、プロフェッショナル・パス、外国人労働者(ワーカー)に対するワークパーミットなどが主なものとして存在します。雇用パス取得後、帯同する家族は、滞在ビザ(ディペンデントパス)を申請し発給を受け、マレーシア滞在が可能になります。当該パスの有効期間は、駐在員の雇用パスの有効期間と一致します。

(1) 雇用パスを取得するための要件

マレーシアで就労する場合に一般的に取得するビザは雇用パス(Employment Pass)です。雇用パスは、通常マレーシアの使用者に雇用される管理職・専門職の外国人に発給されます。

(2) 雇用パスの申請手続き

オンラインでの申請が導入されており、雇用パス申請は新規、更新のいずれの場合においてもオンラインでの申請が必須です。まず、入国管理局の外国人サービス部門(ESD:Expatriate Service Division)にオンラインで会社を登録し、登録完了後、申請者の雇用パス申請をオンラインで行うことになります。

また、2023年1月より改正雇用法が施行されたことにより、駐在員を含む外国人労働者を雇用する場合には、労働局の事前の承認を得る必要があります。

(3) 雇用パス申請のための必要書類

一般的には以下の書類が必要になります。

① パスポート写真(ライトブルーの背景、サイズは3.5×5.0cmまたは99×142 pixel)

② パスポートのコピー(全ページ、少なくとも6ページの空白のページが必要、有効期限12か月以上)

③ 最終学歴の英文卒業証明書

④ 履歴書

⑤ 雇用契約書(給与額及び雇用年数の記載が必要であり、申請するカテゴリーの所定の要件を満たす必要があります。)

 

4.ミャンマー

(1) ビザの概要

日本人がミャンマーに入国する場合、たとえ観光目的であっても観光ビザが必要となります。

ミャンマーで就労する場合には、ビジネスビザが必要となります。通常のビジネスビザは70日間有効であり、当該ビザで入国後、ビジネスビザの延長やstay permitの申請手続きを行います。2022年9月に投資企業管理局(DICA)よりビジネスビザの延長要件が発表されており、内容は以下のとおりです。

(2) ビジネスビザの取得要件

a.外国人ビザの延長のための推薦状を申請する企業は登記期間が1年経過していなければならない。

b.会社法を順守していないことにより、「Suspended」及び「Struck-Off」となっている会社は、是正日から1年経過後でなければビザの延長のための推薦状申請が受理されない。

c.外国人ビザの延長のための推薦状の取得を希望する企業は、満期の90日から120日前に申請しなければならない。外国人のパスポートは少なくとも6か月間有効期間が残っていなければならない。

d.外国人ビザの延長のための推薦状の申請に当たり、会社は以下の書類を提出しなければならない。

e.最新のCompany Extract

f.現在の会社運営の証拠(ライセンス/許可/政府機関からの証拠、他の関連機関とのビジネス契約書(もしあれば))

g.外国人に関する取締役会の宣言書

h.会社のtax returnまたは監査報告書等

i.関連する外国人の履歴書(2”×1.5”サイズの6か月以内に撮影された写真、学歴、職歴、外国の居住住所、国内の住所を含む)

j.外国人労働者の職位及び義務に関する委任事項並びに職務概要

k.雇用契約書及び学歴または資格証明書

l.勤務期間中の所得税の支払いの証拠

m.従業員数(外国人/ミャンマー人)

o.家族構成の証拠

 

5.メキシコ

(1)概要

就労(メキシコにおいて報酬を得ること)を目的としてメキシコに滞在する場合、たとえ短期間でも就労許可を伴う査証(ビザ)の取得が必要となります。180日以内のメキシコ滞在の場合は、報酬を得る場合の訪問者用査証、180日から4年の場合は、報酬を得る場合の一時居住者用査証となります。

(2)報酬を得る場合の一時居住者用査証

メキシコでの就労を目的とする場合、180日超の滞在となることが多く、報酬を得る場合の一時居住者用査証を取得する場合が一般的です。その査証取得までの流れは次のとおりです。

i) メキシコにおいて外国人を雇用する企業等の登録(Constancia de Inscripción de Empleador)

外国人を雇用する(外国人に対して報酬を支払う場合を含む)法人又は自然人は、税務上の住所を管轄する移民庁(Instituto Nacional de Migración:INM)に外国人を雇用する者として登録します。

ii) INMに対する就労許可を伴う査証の承認申請(Autorización de Visa por Oferta de Empleo)

外国人を雇用しようとするメキシコ人(法人・自然人)は、INMより当該外国人の雇用に際し、就労許可付査証申請の承認を受けなければなりません。

なお、INMは、この申請を受領した場合、当該雇用の信憑性や雇用主の存在、その他提出された情報を確認する目的で、当該雇用主に対して立入調査を実施することがあります。

iii) 承認の取得(NUTの発行)
ii)の申請が承認されるとNUTと呼ばれる手続管理番号が発行されます。

iv) 在外メキシコ大使館・領事館での面接・査証の発給

査証を申請する本人は、iii)のNUTを用いて、最寄りのメキシコ大使館又は領事館に予約を入れ、面接を受けなければなりません。面接時には、ii)において提出された査証申請者の情報が確認され、領事の判断により査証が発給されます。

なお、面接において、査証申請者の渡航理由に異常がみられる場合、提出資料が不正に入手されたもの、又は改ざんされたものである場合、査証申請者がメキシコに入国することに支障がある場合には、領事はINMに対し、ii)の承認を再検討するように要求し、INMは7営業日以内に承認の是非を判断することになります。

(3)査証取得後の手続

報酬を得る場合の一時居住者用査証を取得した外国人は、メキシコ入国後30日以内に、INMに対し一時居住者カード(Tarjeta de Residente Temporal)を申請しなければなりません。

 

6.バングラデシュ

バングラデシュでの就労ビザ(Eビザ)及び労働許可証(ワークパーミット)の概要について紹介します。なお、政府プロジェクトに従事する駐在員(Aビザ)は個別の規定に従います。経済特区又は輸出加工区の入居企業にて就労する駐在員は、一般的な手続きと同様ですが、担当省庁がそれぞれBEZA、BEPZAとなります。

(1) ビザの概要

バングラデシュでビジネスに従事する場合は、ビジネスビザ(Bビザ)、就労ビザ(Eビザ)、投資家ビザ(PIビザ)のいずれかを取得する必要があります。このうち、ビジネスビザは、現地での情報収集や会議への出席などの目的で、対価があるなしにかかわらず、就労は認められておりません。

(2) 労働許可証発行の要件

BIDAが労働許可証を発行する要件は以下の通りです。

・ 就労先が適切な当局によって認可/登録されている産業/事業所であること

・ 現地の専門家や技術者が不足している職種は優先される(バングラデシュ国内で人材募集を行ったが、適切な人材が確保できなかったことの証明が必要)

・ 18歳以上であること

・ 新規採用・雇用延長について当該企業の取締役会の決議があること

・ 就労先の支店・駐在員事務所・現地法人が存在すること

・ 外国人従業員数が従業員の総数に対して、次の割合を超えないこと(製造業の場合は5%、非製造業の場合は20%)

・ 支店・駐在員事務所の場合、初期設立費用として5万ドルの振込及び現金化証明があること

・ 労働許可証を付与する外国人の最低給与額が規定額を満たしていること

・ 内務省からのセキュリティクリアランスが完了していること

 

(3) 就労ビザ及び労働許可証の申請手続き

一般的な手続きは、以下の通りです。

(a) バングラデシュに支店・駐在員事務所、現地法人を設立し、BIDAにEビザの推薦状発行を依頼する

(b) 日本のバングラデシュ大使館にて、Eビザを申請する

(c) バングラデシュにEビザで入国後、15日以内に労働許可証を申請する

(d) セキュリティクリアランスが開始される(セキュリティクリアランスには数ヶ月かかるため、完了前に労働許可証は発行されます)

(e) バングラデシュ国内にてEビザを更新する(セキュリティクリアランスの進捗状況で、当局により、更新されるEビザの有効期限が決められます)

 

(4) 注意事項

最近、Bビザでの滞在に関し、トラブルとなるケースが増えていますので、ビザの手続きを依頼しているエージェントに確認が必要です。また、必要書類、要件などは随時変わることがあり、在日バングラデシュ大使館や各行政庁の情報に留意する必要があります。一般的にビザ発行に時間がかかることが多く、特に、ラマダン中やイード前は更に時間を要しますので、余裕をもって手続きを行う必要があります。

 

7.フィリピン

(1) フィリピンにおける就労ビザの概要

フィリピンで就労を希望する外国人は、「9(G)VISA」や「Pre-arranged Employment VISA」と呼ばれるビザ(以下「フィリピン就労ビザ」といいます。)を取得する必要があります。フィリピン就労ビザを取得すると、ビザ取得の際に申請した企業で働く間は、原則としていつでも出入国する権利が与えられます。フィリピン就労ビザの最初の有効期間は、1年、2年または3年間となります。その後は雇用契約の期間に応じて、一度の更新で3年まで延長することができます。

(2) フィリピン就労ビザ取得の流れ① フィリピンで適法に設立している現地企業または現地に拠点をもつ企業において仕事を確保する。

フィリピン就労ビザ取得のためには、大まかに分けて以下の3つのステップを経ることが必要です。

  1. フィリピンで適法に設立している現地企業または現地に拠点をもつ企業において仕事を確保する。
  2. フィリピン労働雇用省(以下「DOLE」といいます。)から、フィリピン外国人雇用許可証(以下「AEP」といいます。)を取得する。
  3. 雇用する会社が、フィリピン就労ビザ取得のための必要書類を提出する

②で述べたAEPは、フィリピンで有給の雇用に従事しようとする外国人に必要な最も一般的な就労関係の証明になります。6ヶ月以内の短期就労を希望する場合は、入国管理局に特別就労許可を申請することができる場合があります。

 

(3) フィリピン就労ビザ取得に必要な提出書類

フィリピン就労ビザの取得に必要な提出書類は、以下のとおりです。

  1. 申請書提出
  2. AEP
  3. コミッショナー宛のジョイントレター
  4. 入国管理局からの証明書
  5. 委任状
  6. 従業員数についての証明書
  7. 保証書
  8. 申請者のパスポート
  9. 外国人の登録証明書
  10. 雇用契約書のコピー

 

(4) フィリピン就労ビザ取得にかかる時間

フィリピン就労ビザの取得には、2~3ヶ月かかると言われています。フィリピン就労ビザの承認を待っている間にフィリピンに入国を希望する外国人は、観光ビザを申請し承認前に入国することも可能です。また、一定の条件のもとではフィリピン就労ビザの申請中に暫定的な就労許可を申請することにより、直ちに就労を開始することができる場合があります。

8.インド

外国人がインドで就労するためには雇用ビザ(Employment Visa)を取得する必要があります。その他の在留資格としては、インド到着時に空港で取得することも可能な観光ビザ(TouristVisa)や拠点設立の準備等の目的で取得するビジネスビザ(Business Visa)等があります。以下では、雇用ビザの取得手続等について説明します。

(1) 雇用ビザ取得の要件
以下が雇用ビザ取得のための要件となります。

① 高度な技能や資格を有する専門家でありインド国内の会社等に雇用されている者であること

② ルーティーンワーク、一般的業務、秘書業務等の適任のインド人がいる業務ではないこと

③ インド国内の会社で雇用される又はインド国内で実施されるプロジェクトに従事する外国企業に雇用されることを目的とした入国であること

④ 一部の業種を除き、年間の給与が25,000米ドルを超えていること

⑤ 納税義務等の全ての法律上の義務を遵守していること

⑥ 出身国のインド大使館(領事館)又は2年以上居住する国のインド大使館(領事館)から雇用ビザが発給されること

⑦ 会社の登記等の就労に関する書類は、徹底的に確認されビザの種類を判断される

⑧ 使用者の名称はビザのシールに印字される

 

(2) 雇用ビザを申請できるその他の資格

上記(1)の要件を充足した上で、以下に該当する外国人も雇用ビザを申請することができます。

① 月給ではない固定の報酬をインド企業から得る契約に基づきコンサルタントとして入国する者

② ホテルやクラブ等で定期的にパフォーマンスを行うことを目的とした外国人アーティスト

③ 国/州レベルのチーム又は著名なスポーツクラブでコーチとして雇用されることを目的として入国する者

④ インドのクラブ/組織と特定の期間の契約がある外国人スポーツ選手

⑤ 独立したコンサルタントとしてエンジニアリング、医療、会計、法律のサービスを提供するために入国する自営業の外国人

⑥ 外国語講師/通訳

⑦ 外国の専門シェフ

⑧ 設備や機械等の設置のための契約で設備や機械の設置等のために入国した外国のエンジニアや技師

⑨ 外国企業に手数料やロイヤルティを支払うインド企業にテクニカルサービス、ノウハウの移転等の提供を行うために委任された外国人

 

(3)雇用ビザ申請のための必要書類

以下が雇用ビザ申請のための必要書類となります。

① 履歴書
② 日本の会社からの推薦状(無職の場合は自己推薦状)
③ インドの雇用会社からのアポイントメントレター
④ インドの雇用会社のプロフィール
⑤ 雇用契約書
⑥ インドでは得ることのできない技能を有することの証明書
⑦ インドの雇用会社の登記証明書
⑧ 申請者の住居(ホテル可)が確保されていることを示す書類

 

(4)雇用ビザの申請手続

申請者は、オンラインシステム(Indianvisaonline.gov.in)を通じて申請書を作成し提出します。また、申請者は印刷した申請書と必要書類をインド大使館に提出する必要があります。申請が承認された後、申請者は大使館でビザを受領するか、大使館が申請者に郵送で送付します。就労ビザを得てインドに入国した後、14日以内に外国人地域登録局(FRRO)、外国人登録事務所(FRO)に登録する必要があります。

 

9.アラブ首長国連邦(ドバイ)

アラブ首長国連邦(UAE)では、労務を提供する場合、人的資源・自国民化省(Ministry of Human Resources and Emiratisation(「MoHRE」))から労働許可を取得しなければならず、入国後、各首長国の保健当局で健康診断を受け、連邦アイデンティティ・市民権庁(Federal Authority for Identity and Citizenship)から身分証明書(Emirates ID)を取得した後に、各首長国の居住外事総局(General Directorate of Residency and Foreigners Affairs(「GDRFA」))から居住ビザを取得する必要があります。

(1)入国

UAEでの就労先が決まっている場合は、MoHREから発行された就業先のオファーレターに署名後、雇用者(UAE国民、有効な居住許可を有する外国人滞在者、民間又はフリーゾーンの企業等)を通じて就労入国許可(employment visa/entry permit)を取得し、入国から60日以内に、居住ビザと就労許可を取得しなければなりません。訪問ビザや観光ビザで入国した場合、就労は認められません。

就労先が未定の場合、身元保証人(sponsor)なしで求職者訪問ビザ(jobseeker visit visa)を取得することもできます。申請要件は、職歴(MoHREの規定する第1(議員、経営者、会社役員)、第2(科学、技術または人的分野の専門家)または第3(科学、技術または人的分野の技術者))もしくは学歴(教育省が承認した世界優良500大学を卒業後2年以内で、学士またはそれと同等以上)および経済的保証を有していることです。

(2) 就労許可

就労許可は、有効な営業許可を有する雇用者が、従業員の有効な旅券、写真、Emirate ID及び健康診断の結果、雇用契約書等を添えて、申請して取得することとなります。

(3) 居住ビザ

UAEで就労する者に対する居住ビザには、通常就労ビザ(standard work visa)、グリーンビザ(green visa for skilled worker)及び家事使用人ビザ(domestic worker visa)の3種類があります。

通常就労ビザは、通常2年有効で、雇用者を通じて、民間業者で雇用される者については民間企業就労者用居住ビザを、政府またはフリーゾーンで雇用される者についてはフリーゾーン内個人居住ビザを該当首長国のGDRFAに申請することで取得できます。

グリーンビザは、自営業者または技能労働者が申請でき、雇用者または身元保証人なしで、5年間の居住が認められます。自営業者・フリーランサーについては、MoHREからの自営許可、学歴証明(学士または専門的免状)、収入証明(過去2年間の自営収入が36万UAEディルハム以上またはUAE滞在期間中の経済的自立)を有すること、技能就労者については、MoHREの規定する第1、第2または第3の職種に属し、学歴証明(学士またはそれと同等以上)、有効な雇用契約と給与証明(月15,000UAEディルハム以上)を有することが要件とされています。

この他、投資家、起業家、専門家等の一定の基準を満たす外国人は、身元保証人なしで5年または10年有効なゴールデンビザ(golden visa)を取得することができます。申請には、投資家の場合は200万UAEディルハム以上の資本証明等、専門家の場合は医師、AI等特定分野の科学者、発明家等で管轄官庁からの承認等が要件とされています。

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1. 日本

日本の就労ビザには、様々な種類があります。就労ビザ取得に関しては、申請者の国籍や就労目的、滞在期間等によって手続きや要件が異なります。そのため、以下では日本の就労ビザのうち、代表的なものを取り上げ、その取得条件について述べます。 (1)ビザの種類 日本の就労ビザは大まかに分けると16種類あります。 a. 教授(大学教授など) b. 芸術(音楽家や画家など) c. 宗教(僧侶や宣教師など) d. 報道(記者やカメラマンなど) e. 経営・管理(会社社長や役員など) f. 法律・会計業務(日本の資格を有する弁護士、公認会計士など) g. 医療(医師、看護師など) h. 研究(研究所の研究員など) i. 教育(小・中・高の教員など) j. 技術・人文知識・国際業務(技術者、外国語教師、通訳、デザイナーなど) k. 企業内転勤(同一企業の日本支店に転勤する者など) l. 介護(介護士など) m. 興行(演奏家、俳優、歌手、ダンサー、スポーツ選手など) n. 技能(調理師、パイロット、スポーツトレーナー、ソムリエなど) o.特定技能(特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能/熟練した技能を要する産業に従事するもの) p.技能実習(海外の子会社等から受け入れる技能実習生、監理団体を通じて受け入れる技能実習生) (外務省ホームページより引用:https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/chouki/index.html その他、就労目的での滞在については、高度専門職ビザがあり、学術、技術、経営分野において、高度かつ専門的な活動を行う者に対し、付与されます。同ビザは、申請者の経歴や仕事の内容、年収などをポイント制にして評価し、一定のポイントに達した場合にのみ付与されます。 上記a~pのうち、もっとも代表的なものは、技術・人文知識・国際業務ビザであり、日本で就労する多くの外国人が同ビザを取得しています。 (2) 技術・人文知識・国際業務ビザの取得方法 同ビザの取得要件については、実際に従事する業務によって、学歴・職歴要件が異なります。主に以下の要件が必要となってきます。 ①学歴・職歴要件
  • 技術職:従事する予定の業務に関連する専門分野を専攻して大学等を卒業していること、10年以上の実務経験があること、情報処理技術に関する試験の合格または資格を有していることのうち、いずれかの要件を満たしていること。
  • 人文知識:従事する予定の業務に関連する専門分野を専攻して大学等を卒業していること、10年以上の実務経験があることのうち、いずれかの要件を満たしていること。
  • 国際業務:大学等を卒業していること(選考や専門は問わない)、3年以上の実務経験があることのうち、いずれかの要件を満たしていること。
②同業界で働く日本人と同等以上の報酬があること ③勤務先の経営が安定していること ④その他要件(仕事内容や職場の環境、申請者の素行などが適当なものであるか) 日本の就労ビザについては様々な種類があり、その手続きや条件は様々です。日本の出入国管理局や日本の外交使節機関(大使館や領事館)に問い合わせすることが確実かと思われます。  

2.タイ

(1) タイのビザの概要 タイにおいては、労働者であるかどうかを問わず、外国人が職業的行為を行うためには、就労ビザが必要となります。 そのため、たとえ1日の滞在であっても、ビジネス、教師、スポーツ指導、芸術関連のパフォーマンスまたは興行、インターンシップ(教育機関のプログラム以外(有償))などの目的で入国するためには就労ビザが必要となります。就労ビザは入国日から90日間滞在が可能なシングルビザと、ビザ発行から1年間複数回の出入国が可能なマルチブルビザの2種類があります。通常マルチブルビザの方が取得要件は厳しいとされています。 (2) 就労ビザの取得要件(更新の要件) タイでは学歴・職歴要件などは特にありませんが、最低給与については申請者の国籍ごとに定められています。申請者が日本人の場合、最低月額5万バーツ以上の給与が当該日本人に支払われている必要があります。 また、タイで就労ビザを取得後、入国管理局で更新するためには、使用者は原則として外国人1人に対してタイ人4人以上を雇用している必要があります(1:4ルール)。この点、2017年3月の日タイ経済連携協定において、日本人である企業内研修生やインターン生については1:4ルールの適用はなく、タイ人の雇用義務を負わないとして、ルールの緩和がなされました。ただし、この場合のビザ延長手続に関して、在タイ日本大使館等が発行したレターをビザ延長申請者が入国管理局に提出することなど所定の手続が必要です。 (3) 就労ビザが不要な場合 2015年にタイ労働省が発表した通達によれば、討論会や講演会、学術講義等への出席、企業視察や商談への出席、会社取締役会への出席等の行為などについては、「就労」行為に該当せず、就労ビザは不要であるとされています。 もっとも、行為者の立場やこれらの行為への関わり方によっては、「就労」行為に該当し就労ビザが要求される可能性があるため、注意が必要です。

3.マレーシア

就労を目的としてマレーシアに来る場合、たとえ短期間でも就労ビザの取得が必要です。就労ビザは、雇用パス、プロフェッショナル・パス、外国人労働者(ワーカー)に対するワークパーミットなどが主なものとして存在します。雇用パス取得後、帯同する家族は、滞在ビザ(ディペンデントパス)を申請し発給を受け、マレーシア滞在が可能になります。当該パスの有効期間は、駐在員の雇用パスの有効期間と一致します。 (1) 雇用パスを取得するための要件 マレーシアで就労する場合に一般的に取得するビザは雇用パス(Employment Pass)です。雇用パスは、通常マレーシアの使用者に雇用される管理職・専門職の外国人に発給されます。 (2) 雇用パスの申請手続き オンラインでの申請が導入されており、雇用パス申請は新規、更新のいずれの場合においてもオンラインでの申請が必須です。まず、入国管理局の外国人サービス部門(ESD:Expatriate Service Division)にオンラインで会社を登録し、登録完了後、申請者の雇用パス申請をオンラインで行うことになります。 また、2023年1月より改正雇用法が施行されたことにより、駐在員を含む外国人労働者を雇用する場合には、労働局の事前の承認を得る必要があります。 (3) 雇用パス申請のための必要書類 一般的には以下の書類が必要になります。 ① パスポート写真(ライトブルーの背景、サイズは3.5×5.0cmまたは99×142 pixel) ② パスポートのコピー(全ページ、少なくとも6ページの空白のページが必要、有効期限12か月以上) ③ 最終学歴の英文卒業証明書 ④ 履歴書 ⑤ 雇用契約書(給与額及び雇用年数の記載が必要であり、申請するカテゴリーの所定の要件を満たす必要があります。)  

4.ミャンマー

(1) ビザの概要 日本人がミャンマーに入国する場合、たとえ観光目的であっても観光ビザが必要となります。 ミャンマーで就労する場合には、ビジネスビザが必要となります。通常のビジネスビザは70日間有効であり、当該ビザで入国後、ビジネスビザの延長やstay permitの申請手続きを行います。2022年9月に投資企業管理局(DICA)よりビジネスビザの延長要件が発表されており、内容は以下のとおりです。 (2) ビジネスビザの取得要件 a.外国人ビザの延長のための推薦状を申請する企業は登記期間が1年経過していなければならない。 b.会社法を順守していないことにより、「Suspended」及び「Struck-Off」となっている会社は、是正日から1年経過後でなければビザの延長のための推薦状申請が受理されない。 c.外国人ビザの延長のための推薦状の取得を希望する企業は、満期の90日から120日前に申請しなければならない。外国人のパスポートは少なくとも6か月間有効期間が残っていなければならない。 d.外国人ビザの延長のための推薦状の申請に当たり、会社は以下の書類を提出しなければならない。 e.最新のCompany Extract f.現在の会社運営の証拠(ライセンス/許可/政府機関からの証拠、他の関連機関とのビジネス契約書(もしあれば)) g.外国人に関する取締役会の宣言書 h.会社のtax returnまたは監査報告書等 i.関連する外国人の履歴書(2”×1.5”サイズの6か月以内に撮影された写真、学歴、職歴、外国の居住住所、国内の住所を含む) j.外国人労働者の職位及び義務に関する委任事項並びに職務概要 k.雇用契約書及び学歴または資格証明書 l.勤務期間中の所得税の支払いの証拠 m.従業員数(外国人/ミャンマー人) o.家族構成の証拠  

5.メキシコ

(1)概要 就労(メキシコにおいて報酬を得ること)を目的としてメキシコに滞在する場合、たとえ短期間でも就労許可を伴う査証(ビザ)の取得が必要となります。180日以内のメキシコ滞在の場合は、報酬を得る場合の訪問者用査証、180日から4年の場合は、報酬を得る場合の一時居住者用査証となります。 (2)報酬を得る場合の一時居住者用査証 メキシコでの就労を目的とする場合、180日超の滞在となることが多く、報酬を得る場合の一時居住者用査証を取得する場合が一般的です。その査証取得までの流れは次のとおりです。 i) メキシコにおいて外国人を雇用する企業等の登録(Constancia de Inscripción de Empleador) 外国人を雇用する(外国人に対して報酬を支払う場合を含む)法人又は自然人は、税務上の住所を管轄する移民庁(Instituto Nacional de Migración:INM)に外国人を雇用する者として登録します。 ii) INMに対する就労許可を伴う査証の承認申請(Autorización de Visa por Oferta de Empleo) 外国人を雇用しようとするメキシコ人(法人・自然人)は、INMより当該外国人の雇用に際し、就労許可付査証申請の承認を受けなければなりません。 なお、INMは、この申請を受領した場合、当該雇用の信憑性や雇用主の存在、その他提出された情報を確認する目的で、当該雇用主に対して立入調査を実施することがあります。 iii) 承認の取得(NUTの発行) ii)の申請が承認されるとNUTと呼ばれる手続管理番号が発行されます。 iv) 在外メキシコ大使館・領事館での面接・査証の発給 査証を申請する本人は、iii)のNUTを用いて、最寄りのメキシコ大使館又は領事館に予約を入れ、面接を受けなければなりません。面接時には、ii)において提出された査証申請者の情報が確認され、領事の判断により査証が発給されます。 なお、面接において、査証申請者の渡航理由に異常がみられる場合、提出資料が不正に入手されたもの、又は改ざんされたものである場合、査証申請者がメキシコに入国することに支障がある場合には、領事はINMに対し、ii)の承認を再検討するように要求し、INMは7営業日以内に承認の是非を判断することになります。 (3)査証取得後の手続 報酬を得る場合の一時居住者用査証を取得した外国人は、メキシコ入国後30日以内に、INMに対し一時居住者カード(Tarjeta de Residente Temporal)を申請しなければなりません。  

6.バングラデシュ

バングラデシュでの就労ビザ(Eビザ)及び労働許可証(ワークパーミット)の概要について紹介します。なお、政府プロジェクトに従事する駐在員(Aビザ)は個別の規定に従います。経済特区又は輸出加工区の入居企業にて就労する駐在員は、一般的な手続きと同様ですが、担当省庁がそれぞれBEZA、BEPZAとなります。 (1) ビザの概要 バングラデシュでビジネスに従事する場合は、ビジネスビザ(Bビザ)、就労ビザ(Eビザ)、投資家ビザ(PIビザ)のいずれかを取得する必要があります。このうち、ビジネスビザは、現地での情報収集や会議への出席などの目的で、対価があるなしにかかわらず、就労は認められておりません。 (2) 労働許可証発行の要件 BIDAが労働許可証を発行する要件は以下の通りです。 ・ 就労先が適切な当局によって認可/登録されている産業/事業所であること ・ 現地の専門家や技術者が不足している職種は優先される(バングラデシュ国内で人材募集を行ったが、適切な人材が確保できなかったことの証明が必要) ・ 18歳以上であること ・ 新規採用・雇用延長について当該企業の取締役会の決議があること ・ 就労先の支店・駐在員事務所・現地法人が存在すること ・ 外国人従業員数が従業員の総数に対して、次の割合を超えないこと(製造業の場合は5%、非製造業の場合は20%) ・ 支店・駐在員事務所の場合、初期設立費用として5万ドルの振込及び現金化証明があること ・ 労働許可証を付与する外国人の最低給与額が規定額を満たしていること ・ 内務省からのセキュリティクリアランスが完了していること   (3) 就労ビザ及び労働許可証の申請手続き 一般的な手続きは、以下の通りです。 (a) バングラデシュに支店・駐在員事務所、現地法人を設立し、BIDAにEビザの推薦状発行を依頼する (b) 日本のバングラデシュ大使館にて、Eビザを申請する (c) バングラデシュにEビザで入国後、15日以内に労働許可証を申請する (d) セキュリティクリアランスが開始される(セキュリティクリアランスには数ヶ月かかるため、完了前に労働許可証は発行されます) (e) バングラデシュ国内にてEビザを更新する(セキュリティクリアランスの進捗状況で、当局により、更新されるEビザの有効期限が決められます)   (4) 注意事項 最近、Bビザでの滞在に関し、トラブルとなるケースが増えていますので、ビザの手続きを依頼しているエージェントに確認が必要です。また、必要書類、要件などは随時変わることがあり、在日バングラデシュ大使館や各行政庁の情報に留意する必要があります。一般的にビザ発行に時間がかかることが多く、特に、ラマダン中やイード前は更に時間を要しますので、余裕をもって手続きを行う必要があります。  

7.フィリピン

(1) フィリピンにおける就労ビザの概要 フィリピンで就労を希望する外国人は、「9(G)VISA」や「Pre-arranged Employment VISA」と呼ばれるビザ(以下「フィリピン就労ビザ」といいます。)を取得する必要があります。フィリピン就労ビザを取得すると、ビザ取得の際に申請した企業で働く間は、原則としていつでも出入国する権利が与えられます。フィリピン就労ビザの最初の有効期間は、1年、2年または3年間となります。その後は雇用契約の期間に応じて、一度の更新で3年まで延長することができます。 (2) フィリピン就労ビザ取得の流れ① フィリピンで適法に設立している現地企業または現地に拠点をもつ企業において仕事を確保する。 フィリピン就労ビザ取得のためには、大まかに分けて以下の3つのステップを経ることが必要です。
  1. フィリピンで適法に設立している現地企業または現地に拠点をもつ企業において仕事を確保する。
  2. フィリピン労働雇用省(以下「DOLE」といいます。)から、フィリピン外国人雇用許可証(以下「AEP」といいます。)を取得する。
  3. 雇用する会社が、フィリピン就労ビザ取得のための必要書類を提出する
②で述べたAEPは、フィリピンで有給の雇用に従事しようとする外国人に必要な最も一般的な就労関係の証明になります。6ヶ月以内の短期就労を希望する場合は、入国管理局に特別就労許可を申請することができる場合があります。   (3) フィリピン就労ビザ取得に必要な提出書類 フィリピン就労ビザの取得に必要な提出書類は、以下のとおりです。
  1. 申請書提出
  2. AEP
  3. コミッショナー宛のジョイントレター
  4. 入国管理局からの証明書
  5. 委任状
  6. 従業員数についての証明書
  7. 保証書
  8. 申請者のパスポート
  9. 外国人の登録証明書
  10. 雇用契約書のコピー
  (4) フィリピン就労ビザ取得にかかる時間 フィリピン就労ビザの取得には、2~3ヶ月かかると言われています。フィリピン就労ビザの承認を待っている間にフィリピンに入国を希望する外国人は、観光ビザを申請し承認前に入国することも可能です。また、一定の条件のもとではフィリピン就労ビザの申請中に暫定的な就労許可を申請することにより、直ちに就労を開始することができる場合があります。

8.インド

外国人がインドで就労するためには雇用ビザ(Employment Visa)を取得する必要があります。その他の在留資格としては、インド到着時に空港で取得することも可能な観光ビザ(TouristVisa)や拠点設立の準備等の目的で取得するビジネスビザ(Business Visa)等があります。以下では、雇用ビザの取得手続等について説明します。 (1) 雇用ビザ取得の要件 以下が雇用ビザ取得のための要件となります。 ① 高度な技能や資格を有する専門家でありインド国内の会社等に雇用されている者であること ② ルーティーンワーク、一般的業務、秘書業務等の適任のインド人がいる業務ではないこと ③ インド国内の会社で雇用される又はインド国内で実施されるプロジェクトに従事する外国企業に雇用されることを目的とした入国であること ④ 一部の業種を除き、年間の給与が25,000米ドルを超えていること ⑤ 納税義務等の全ての法律上の義務を遵守していること ⑥ 出身国のインド大使館(領事館)又は2年以上居住する国のインド大使館(領事館)から雇用ビザが発給されること ⑦ 会社の登記等の就労に関する書類は、徹底的に確認されビザの種類を判断される ⑧ 使用者の名称はビザのシールに印字される   (2) 雇用ビザを申請できるその他の資格 上記(1)の要件を充足した上で、以下に該当する外国人も雇用ビザを申請することができます。 ① 月給ではない固定の報酬をインド企業から得る契約に基づきコンサルタントとして入国する者 ② ホテルやクラブ等で定期的にパフォーマンスを行うことを目的とした外国人アーティスト ③ 国/州レベルのチーム又は著名なスポーツクラブでコーチとして雇用されることを目的として入国する者 ④ インドのクラブ/組織と特定の期間の契約がある外国人スポーツ選手 ⑤ 独立したコンサルタントとしてエンジニアリング、医療、会計、法律のサービスを提供するために入国する自営業の外国人 ⑥ 外国語講師/通訳 ⑦ 外国の専門シェフ ⑧ 設備や機械等の設置のための契約で設備や機械の設置等のために入国した外国のエンジニアや技師 ⑨ 外国企業に手数料やロイヤルティを支払うインド企業にテクニカルサービス、ノウハウの移転等の提供を行うために委任された外国人   (3)雇用ビザ申請のための必要書類 以下が雇用ビザ申請のための必要書類となります。 ① 履歴書 ② 日本の会社からの推薦状(無職の場合は自己推薦状) ③ インドの雇用会社からのアポイントメントレター ④ インドの雇用会社のプロフィール ⑤ 雇用契約書 ⑥ インドでは得ることのできない技能を有することの証明書 ⑦ インドの雇用会社の登記証明書 ⑧ 申請者の住居(ホテル可)が確保されていることを示す書類   (4)雇用ビザの申請手続 申請者は、オンラインシステム(Indianvisaonline.gov.in)を通じて申請書を作成し提出します。また、申請者は印刷した申請書と必要書類をインド大使館に提出する必要があります。申請が承認された後、申請者は大使館でビザを受領するか、大使館が申請者に郵送で送付します。就労ビザを得てインドに入国した後、14日以内に外国人地域登録局(FRRO)、外国人登録事務所(FRO)に登録する必要があります。  

9.アラブ首長国連邦(ドバイ)

アラブ首長国連邦(UAE)では、労務を提供する場合、人的資源・自国民化省(Ministry of Human Resources and Emiratisation(「MoHRE」))から労働許可を取得しなければならず、入国後、各首長国の保健当局で健康診断を受け、連邦アイデンティティ・市民権庁(Federal Authority for Identity and Citizenship)から身分証明書(Emirates ID)を取得した後に、各首長国の居住外事総局(General Directorate of Residency and Foreigners Affairs(「GDRFA」))から居住ビザを取得する必要があります。 (1)入国 UAEでの就労先が決まっている場合は、MoHREから発行された就業先のオファーレターに署名後、雇用者(UAE国民、有効な居住許可を有する外国人滞在者、民間又はフリーゾーンの企業等)を通じて就労入国許可(employment visa/entry permit)を取得し、入国から60日以内に、居住ビザと就労許可を取得しなければなりません。訪問ビザや観光ビザで入国した場合、就労は認められません。 就労先が未定の場合、身元保証人(sponsor)なしで求職者訪問ビザ(jobseeker visit visa)を取得することもできます。申請要件は、職歴(MoHREの規定する第1(議員、経営者、会社役員)、第2(科学、技術または人的分野の専門家)または第3(科学、技術または人的分野の技術者))もしくは学歴(教育省が承認した世界優良500大学を卒業後2年以内で、学士またはそれと同等以上)および経済的保証を有していることです。 (2) 就労許可 就労許可は、有効な営業許可を有する雇用者が、従業員の有効な旅券、写真、Emirate ID及び健康診断の結果、雇用契約書等を添えて、申請して取得することとなります。 (3) 居住ビザ UAEで就労する者に対する居住ビザには、通常就労ビザ(standard work visa)、グリーンビザ(green visa for skilled worker)及び家事使用人ビザ(domestic worker visa)の3種類があります。 通常就労ビザは、通常2年有効で、雇用者を通じて、民間業者で雇用される者については民間企業就労者用居住ビザを、政府またはフリーゾーンで雇用される者についてはフリーゾーン内個人居住ビザを該当首長国のGDRFAに申請することで取得できます。 グリーンビザは、自営業者または技能労働者が申請でき、雇用者または身元保証人なしで、5年間の居住が認められます。自営業者・フリーランサーについては、MoHREからの自営許可、学歴証明(学士または専門的免状)、収入証明(過去2年間の自営収入が36万UAEディルハム以上またはUAE滞在期間中の経済的自立)を有すること、技能就労者については、MoHREの規定する第1、第2または第3の職種に属し、学歴証明(学士またはそれと同等以上)、有効な雇用契約と給与証明(月15,000UAEディルハム以上)を有することが要件とされています。 この他、投資家、起業家、専門家等の一定の基準を満たす外国人は、身元保証人なしで5年または10年有効なゴールデンビザ(golden visa)を取得することができます。申請には、投資家の場合は200万UAEディルハム以上の資本証明等、専門家の場合は医師、AI等特定分野の科学者、発明家等で管轄官庁からの承認等が要件とされています。" ["post_title"]=> string(42) "各国の就労(雇用)ビザの概要" ["post_excerpt"]=> string(0) "" ["post_status"]=> string(7) "publish" ["comment_status"]=> string(4) "open" ["ping_status"]=> string(4) "open" ["post_password"]=> string(0) "" ["post_name"]=> string(126) "%e5%90%84%e5%9b%bd%e3%81%ae%e5%b0%b1%e5%8a%b4%ef%bc%88%e9%9b%87%e7%94%a8%ef%bc%89%e3%83%93%e3%82%b6%e3%81%ae%e6%a6%82%e8%a6%81" ["to_ping"]=> string(0) "" ["pinged"]=> string(0) "" ["post_modified"]=> string(19) "2023-07-04 01:37:47" ["post_modified_gmt"]=> string(19) "2023-07-03 16:37:47" ["post_content_filtered"]=> string(0) "" ["post_parent"]=> int(0) ["guid"]=> string(34) "https://nnaglobalnavi.com/?p=14245" ["menu_order"]=> int(0) ["post_type"]=> string(4) "post" ["post_mime_type"]=> string(0) "" ["comment_count"]=> string(1) "0" ["filter"]=> string(3) "raw" }
 TNY国際法律事務所
ティエヌワイコクサイホウリツジムショ TNY国際法律事務所
世界11か国13拠点で日系企業の進出及び進出後のサポート

世界11か国13拠点(東京、大阪、佐賀、ミャンマー、タイ、マレーシア、メキシコ、エストニア、フィリピン、イスラエル、バングラデシュ、ベトナム、イギリス)で日系企業の進出及び進出後のサポートを行っている。具体的には、法規制調査、会社設立、合弁契約書及び雇用契約書等の各種契約書の作成、M&A、紛争解決、商標登記等の知財等各種法務サービスを提供している。

堤雄史(TNYグループ共同代表・日本国弁護士)、永田貴久(TNYグループ共同代表・日本国弁護士)

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