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【日本の税務】海外銀行の外貨預金の取扱い

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金本さん:みらい先生、こんにちは。

みらい:金本さん、中国の海外勤務生活はいかがでしょうか?

金本さん:実は来月に5年間の中国子会社勤務が終了して、日本に帰国することになりました。

みらい:そうですか。帰国の準備が忙しくなりますね。

金本さん:中国赴任の間、人民元で給与を受け取っていましたので、中国で定期預金をしていました。日本に帰国した後、定期預金の満期を迎えるため、日本円に換金しようと思いますが、その際に、日本で課税されるでしょうか。

みらい:円安になり、為替差益が出そうですね。日本に帰国した場合には、金本さんは日本の居住者となり、この為替差益に対して日本で課税されます。

金本さん:海外赴任期間中に得た収入の一部を現地通貨で預金しているだけですが、それでも課税されてしまうのですか。

みらい:為替差益は、人民元を保有している時点ではまだ確定していませんが、人民元から日本円に換金した時点で確定します。そのため、非居住者期間中の預金であっても、日本円に換金した時点で日本の居住者であれば、雑所得として日本で課税されることになります。

金本さん:わかりました。人民元のまま持っていれば課税されないということでしたら、日本円にするかどうか、もう少し考えてみます。

みらい:ちなみに、日本に帰国して以降、海外の銀行の定期預金に係る預金利息は日本で利子所得の課税対象となりますよ。

金本さん:利息も日本で課税されるのですか。

みらい:日本の銀行であれば、利息は国内で支払われるため、源泉徴収されて納税が完結します。しかし、海外の銀行では、国外で支払われることになり、源泉徴収されずに納税関係が完了しないことから利子所得としてご自身で確定申告を行っていただく必要があります。ただし、年収2,000万円以下の会社員の方の場合は、給料や退職金以外の「その他の所得」が年間20万円以下であれば少額不追求ということで所得税の確定申告は不要というルールがあります。一方、住民税には所得税のようなルールがないため別途住民税の申告という手続きが必要になってしまいます。

金本さん:利息なので、20万円を超えそうにありませんので、所得税については安心しました。でも、住民税だけは別途申告しなくてはならないのですね。

みらい:そうなんです。ところで、所得税の確定申告する場合にはその他の所得金額が20万円以下であっても全ての所得を申告する必要があります。例えば、医療費控除や株式等の譲渡損失の繰越控除を受けるために確定申告を行う場合には、注意が必要です。

金本さん:分かりました。海外銀行の外貨預金について、外貨のまま持っていれば、利子所得が関係し、日本で換金すれば、為替差益が関係するということですね。

みらい:為替相場が円安になっていれば、為替差益となり、円高になっていれば、為替差損が生じることになります。為替差損だけであれば、確定申告は不要です。

金本さん:なるほど、大変勉強になりました。

みらい:為替相場の予想はなかなか難しいので、くれぐれも気をつけてくださいね。

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金本さん:みらい先生、こんにちは。

みらい:金本さん、中国の海外勤務生活はいかがでしょうか?

金本さん:実は来月に5年間の中国子会社勤務が終了して、日本に帰国することになりました。

みらい:そうですか。帰国の準備が忙しくなりますね。

金本さん:中国赴任の間、人民元で給与を受け取っていましたので、中国で定期預金をしていました。日本に帰国した後、定期預金の満期を迎えるため、日本円に換金しようと思いますが、その際に、日本で課税されるでしょうか。

みらい:円安になり、為替差益が出そうですね。日本に帰国した場合には、金本さんは日本の居住者となり、この為替差益に対して日本で課税されます。

金本さん:海外赴任期間中に得た収入の一部を現地通貨で預金しているだけですが、それでも課税されてしまうのですか。

みらい:為替差益は、人民元を保有している時点ではまだ確定していませんが、人民元から日本円に換金した時点で確定します。そのため、非居住者期間中の預金であっても、日本円に換金した時点で日本の居住者であれば、雑所得として日本で課税されることになります。

金本さん:わかりました。人民元のまま持っていれば課税されないということでしたら、日本円にするかどうか、もう少し考えてみます。

みらい:ちなみに、日本に帰国して以降、海外の銀行の定期預金に係る預金利息は日本で利子所得の課税対象となりますよ。

金本さん:利息も日本で課税されるのですか。

みらい:日本の銀行であれば、利息は国内で支払われるため、源泉徴収されて納税が完結します。しかし、海外の銀行では、国外で支払われることになり、源泉徴収されずに納税関係が完了しないことから利子所得としてご自身で確定申告を行っていただく必要があります。ただし、年収2,000万円以下の会社員の方の場合は、給料や退職金以外の「その他の所得」が年間20万円以下であれば少額不追求ということで所得税の確定申告は不要というルールがあります。一方、住民税には所得税のようなルールがないため別途住民税の申告という手続きが必要になってしまいます。

金本さん:利息なので、20万円を超えそうにありませんので、所得税については安心しました。でも、住民税だけは別途申告しなくてはならないのですね。

みらい:そうなんです。ところで、所得税の確定申告する場合にはその他の所得金額が20万円以下であっても全ての所得を申告する必要があります。例えば、医療費控除や株式等の譲渡損失の繰越控除を受けるために確定申告を行う場合には、注意が必要です。

金本さん:分かりました。海外銀行の外貨預金について、外貨のまま持っていれば、利子所得が関係し、日本で換金すれば、為替差益が関係するということですね。

みらい:為替相場が円安になっていれば、為替差益となり、円高になっていれば、為替差損が生じることになります。為替差損だけであれば、確定申告は不要です。

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みらいコンサルティング(旧中央青山PwCコンサルティング)は、グループに監査法人、税理士法人、社会保険労務士法人、各種事業会社を持つ総勢約300名の総合コンサルティングファーム。国内には東京本社のほか10都市に支社を展開。海外には中国(北京・上海・深セン)、シンガポール、タイ(バンコク)、ベトナム(ホーチミン・ハノイ)、マレーシア(クアラルンプール)に子会社を設立、現地にて日系企業の海外展開におけるビジネスコンサルティングを提供している。

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