中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)は9月28日、タイで3モデル目となるEV「シール(中国名:海豹)」を発売した。スポーティーな見た目のセダンで、価格は132万5,000バーツ(約542万円)から。発売初日の時点で、予約は1,000台を突破した。タイ法人、BYDオート(タイランド)の柯育浜(ベンソン・クー)ゼネラルマネジャーは「ライバルはEVではなく内燃機関(ICE)車のセダン。新しい市場を切り開きたい」と意気込んだ。
BYDのタイ投入3モデル目となったEVセダン「シール」=9月28日、タイ・バンコク(NNA撮影)
BYDとタイの販売代理店レバー・オートモーティブは28日、首都バンコクで発売イベントを開いた。柯氏は冒頭で「タイでの1~8月の販売台数は1万4,796台に達し、絶好調だ」とあいさつ。1モデル目のスポーツタイプ多目的車(SUV)「ATTO3(アットスリー)」、2モデル目の小型車「ドルフィン(中国名:海豚)」に続き「プレミアムなスポーツセダンシールを投入することで、環境に優しい交通手段への移行をさらに促進していく」と述べた。
■アウディ出身デザイナーが設計
シールは、タイで売れている米テスラのEVセダン「モデル3」(175万9,000バーツから)同様、スポーティーな外観が特徴だ。ドイツの高級車ブランド「アウディ」に勤務していたデザイナーが設計を担当した。
3仕様あり、航続距離が最大510キロの「ダイナミック」が132万5,000バーツ、最大650キロの「プレミアム」が144万9,000バーツとなる。全輪駆動(AWD)の最上位仕様で、航続距離が最大580キロの「AWDパフォーマンス」は159万9,000バーツに設定した。
シールは、BYDが独自開発した「CTB(セル・トゥー・ボディー)」技術を初めて搭載。CTBは、車体の下部に薄い形状の「ブレードバッテリー」を組み込むことで、車体構造を強化しながら電池の大容量化や高級車並みの出力を目指す技術だ。これにより、最上位AWDパフォーマンスの最高出力は390キロワット、最大トルクは670ニュートンメートルを実現した。静止状態から時速100キロまでの加速時間は3.8秒。
■EV比率「まだ1割」
柯氏はNNAに対し「シールの販売目標は設定していないが、競合車種はEVではない。同じ価格帯の内燃機関(ICE)車の中~高級セダンだ」とコメント。EV販売が急伸しているとはいえ、新車販売に占める割合は「まだ1割に過ぎない」と述べ、最大のライバルであるICE車に対抗し、EVが占めるシェアを拡大させていくと意気込んだ。
BYDとレバー・オートモーティブが共同でイベントを開いた=9月28日、タイ・バンコク(NNA撮影)
同じ中国系を中心にEVを販売する競合メーカーが増えていることについては「EV業界にとって良いことだ」との見方を示す。その上で、「日系メーカーもEVをやろうと方針を変更している。EVはトレンドであり、各社が投資を加速することで競争はさらに激化するだろう」と述べた。
■1カ月で約3千台納車へ
レバーは28日に65カ所余りのショールームでシールの販売・予約を開始した。予約台数は、同日午後7時半の時点で1,000台の大台を突破。納車台数も200台を超えた。レバーによると、10月末までの1カ月余りで2,952台の納車を予定している。
■通年販売は4万台視野
通年の販売台数は、年初に設定した目標2万台の達成は既に確実となった。柯氏は「2倍の4万台が視野に入っている」と話す。7月に正式に予約を開始し、9月に納車が本格化したドルフィンが、EV車種別販売で首位を独走してきたアット3の「2倍の勢いで売れている」という。
ドルフィンは69万9,999バーツからという価格の手ごろさが最大の魅力だ。柯氏は「ドルフィンがタイ市場で売れるであろうことは分かっていた。計算通りだ」と述べ、9月の販売は「2,000~3,000台は手堅い。EV車種別販売で首位に躍り出ると確信している」と自信を見せた。
BYDのタイ事業を率いる柯氏。今年通年の販売は、年初に掲げた目標2万台の2倍となる「4万台に届く可能性がある」と自信を見せる=9月28日、タイ・バンコク(NNA撮影)
■現地生産「コスト上がる」
BYDは来年6月から、タイ東部ラヨーン県のWHAラヨーン36工業団地で整備中の工場でEV生産を開始する。バッテリーの組み立ても同時期に開始する予定だ。柯氏は「今年は雨が少なかったので予定より順調に建設が進んだ」と笑顔を見せる。
好調なドルフィンの生産をまず開始し、その後、アット3とシールの生産も始める。現地生産開始後の値下げの可能性を聞くと「中国のように量を生産できないのでコストは上がる。現在の価格を維持できれば良いが、というレベルだ」と柯氏。タイ工場の年産能力は15万台だが、初年度の生産は1万~2万台程度と見込んでいるようだ。
バッテリー生産は「セルを生産するとなると完成車工場の何倍もの投資が必要になる」として、あくまで組み立てのみを行う予定であることを強調した。
■部品供給「日系とも協議中」
タイでのサプライヤーについては「日系メーカーと複数の部品で調達を協議中だ」と説明。日系からの部品調達に積極的な姿勢を示した。
現在は1台当たり最大15万バーツとなっているEV購入補助金が、来年に減額となる予定であることに関しては、問題はないと見込んでいるが「ドルフィンの販売が厳しくなるかもしれない」と述べた。
BYDは2003年に自動車業界への参入を決め、11年に中国のメーカーとして初めて一般市場向けにEVを発売した。世界での乗用車の累計販売台数は500万台に達している。シールは、中国本国などでこれまでに10万5,000台を売り上げている。
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■アウディ出身デザイナーが設計
シールは、タイで売れている米テスラのEVセダン「モデル3」(175万9,000バーツから)同様、スポーティーな外観が特徴だ。ドイツの高級車ブランド「アウディ」に勤務していたデザイナーが設計を担当した。
3仕様あり、航続距離が最大510キロの「ダイナミック」が132万5,000バーツ、最大650キロの「プレミアム」が144万9,000バーツとなる。全輪駆動(AWD)の最上位仕様で、航続距離が最大580キロの「AWDパフォーマンス」は159万9,000バーツに設定した。
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■EV比率「まだ1割」
柯氏はNNAに対し「シールの販売目標は設定していないが、競合車種はEVではない。同じ価格帯の内燃機関(ICE)車の中~高級セダンだ」とコメント。EV販売が急伸しているとはいえ、新車販売に占める割合は「まだ1割に過ぎない」と述べ、最大のライバルであるICE車に対抗し、EVが占めるシェアを拡大させていくと意気込んだ。
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■1カ月で約3千台納車へ
レバーは28日に65カ所余りのショールームでシールの販売・予約を開始した。予約台数は、同日午後7時半の時点で1,000台の大台を突破。納車台数も200台を超えた。レバーによると、10月末までの1カ月余りで2,952台の納車を予定している。
■通年販売は4万台視野
通年の販売台数は、年初に設定した目標2万台の達成は既に確実となった。柯氏は「2倍の4万台が視野に入っている」と話す。7月に正式に予約を開始し、9月に納車が本格化したドルフィンが、EV車種別販売で首位を独走してきたアット3の「2倍の勢いで売れている」という。
ドルフィンは69万9,999バーツからという価格の手ごろさが最大の魅力だ。柯氏は「ドルフィンがタイ市場で売れるであろうことは分かっていた。計算通りだ」と述べ、9月の販売は「2,000~3,000台は手堅い。EV車種別販売で首位に躍り出ると確信している」と自信を見せた。
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バッテリー生産は「セルを生産するとなると完成車工場の何倍もの投資が必要になる」として、あくまで組み立てのみを行う予定であることを強調した。
■部品供給「日系とも協議中」
タイでのサプライヤーについては「日系メーカーと複数の部品で調達を協議中だ」と説明。日系からの部品調達に積極的な姿勢を示した。
現在は1台当たり最大15万バーツとなっているEV購入補助金が、来年に減額となる予定であることに関しては、問題はないと見込んでいるが「ドルフィンの販売が厳しくなるかもしれない」と述べた。
BYDは2003年に自動車業界への参入を決め、11年に中国のメーカーとして初めて一般市場向けにEVを発売した。世界での乗用車の累計販売台数は500万台に達している。シールは、中国本国などでこれまでに10万5,000台を売り上げている。
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