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比向けODAで日本最多22年1.5兆円、インフラ支援強く

フィリピン国家経済開発庁(NEDA)が3日発表した政府開発援助(ODA)に関する報告書によると、2022年は前年比0.5%増の324億309万米ドル(約4兆8,500億円)だった。国別では日本が全体の約3割に相当する99億6,000万米ドルで最多だった。政権の大型インフラ整備計画に多額の資金を援助し、経済発展を後押ししている。
新興国のフィリピンは政府予算の規模が小さく、経済成長に必要な社会インフラを整備する資金が不足している。国際金融機関や日本など先進国からの資金供与を原資に、政府予算も活用しながら開発計画を推進している。
国家経済開発庁によると、22年のODAの内訳は無償が320件で22億55万米ドル、有償が106件で302億254万米ドルだった。22年は6月末に政権交代があったため、ドゥテルテ前政権とマルコス現政権の過渡期の統計となる。
項目別ではインフラ開発が160億7,210万米ドルと全体の5割を占めた。以下、政府・政府機関開発が71億6,486万米ドル、社会・共同体開発が61億4,108万米ドルなどと続いた。
開発パートナー別に見ると、アジア開発銀行(ADB)が全体の33.5%を占め最大。日本が30.8%、世界銀行が21.2%、中国が3.0%、韓国が2.8%と続いた。国別では日本が20年以上にわたって最大の援助国で、国際協力機構(JICA)を通じて支援している。
JICAフィリピン事務所の坂本威午(さかもと・たけま)所長はNNAに対し「長年の信頼関係と誠実な協力の蓄積が表れていると認識している。インフラや防災、社会開発、南部ミンダナオ和平など開発ニーズは多様・膨大だ。地政学的な重要性も踏まえて、今後も迅速かつ着実に取り組んでいきたい」と話した。
日本のODAはインフラ整備で貢献度が高い。フィリピン政府が推進する大規模インフラ整備計画のうち、前政権が選定した優先事業112件で日本の資金援助は69億932万米ドルと全体の44.8%を占めた。2位の中国の8.3%を大きく突き放している。
プロジェクト別にODAの規模を見ると、最も大きかったのは南北通勤鉄道事業(総事業費8,736億ペソ=約2兆3,000億円)の各区間で1~3位を占めた。日本の資金供与額は46億4,467万米ドルだった。4位は日本の円借款で進むマニラ首都圏地下鉄計画(第1期)で、25億3,139万米ドルを供与した。上位10位のうち、日本による資金援助は7件を占めた。
フィリピンは25年にも世界銀行の所得分類で上位中所得国入りすることが見込まれる。国際支援は無償から有償に切り替わり、支援自体も縮小される段階に突入する。政府は債務管理の強化や政府系ファンドの活用を通じてインフラ整備を進めていく計画を示す。
日本政府は6月、ODAの指針を定めた新たな「開発協力大綱」を閣議決定した。従来型の支援に加え、相手国の要請を待たずに提案する協力を明記した。
JICAフィリピン事務所はこれまでのフィリピンへの協力が抜本的に変更されるものではないと説明。相互の信頼に基づく緊密な対話と協働を基本方針に、ハードとソフトを織り交ぜながら日本の経験・技術も積極的に活用していく方針を示した。

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JICAフィリピン事務所の坂本威午(さかもと・たけま)所長はNNAに対し「長年の信頼関係と誠実な協力の蓄積が表れていると認識している。インフラや防災、社会開発、南部ミンダナオ和平など開発ニーズは多様・膨大だ。地政学的な重要性も踏まえて、今後も迅速かつ着実に取り組んでいきたい」と話した。
日本のODAはインフラ整備で貢献度が高い。フィリピン政府が推進する大規模インフラ整備計画のうち、前政権が選定した優先事業112件で日本の資金援助は69億932万米ドルと全体の44.8%を占めた。2位の中国の8.3%を大きく突き放している。
プロジェクト別にODAの規模を見ると、最も大きかったのは南北通勤鉄道事業(総事業費8,736億ペソ=約2兆3,000億円)の各区間で1~3位を占めた。日本の資金供与額は46億4,467万米ドルだった。4位は日本の円借款で進むマニラ首都圏地下鉄計画(第1期)で、25億3,139万米ドルを供与した。上位10位のうち、日本による資金援助は7件を占めた。
フィリピンは25年にも世界銀行の所得分類で上位中所得国入りすることが見込まれる。国際支援は無償から有償に切り替わり、支援自体も縮小される段階に突入する。政府は債務管理の強化や政府系ファンドの活用を通じてインフラ整備を進めていく計画を示す。
日本政府は6月、ODAの指針を定めた新たな「開発協力大綱」を閣議決定した。従来型の支援に加え、相手国の要請を待たずに提案する協力を明記した。
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