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《日系進出》テラ、EV充電でタイ参入進む電動化、インフラ拡大(上)

電気自動車(EV)ベンチャーのテラモーターズ(東京都港区)が、充電インフラ事業でタイに参入することがNNAの独自取材で分かった。タイでは今年、乗用車の新車登録に占めるEVの割合が1割を超え、充電インフラの設置も急速に進んでいる。地場系を中心に既に1,500カ所の公共充電所が設置されたが、サービスの質が伴っていないことなどから、テラは「商機がある」と判断。日本で1年余りで1,000基以上、インドでは1カ月で20カ所に設置した実績を生かし、市場獲得を目指す。

テラモーターズはEV充電サービス開始から1年余りで日本各地に充電器を整備。同事業は急成長を遂げている(同社提供)

テラモーターズは2010年に創業した。ベトナムやインドで電動スクーターや電動三輪車の製造販売を展開。13年に始動したインドの電動三輪車事業は年商30億円規模に成長した。
■開始2年で売上20億円超へ
EV充電インフラ事業は、22年4月に日本で開始した。日本政府から補助金を受けて、全国各地のマンションや商業施設、ホテル、コインパーキング、道の駅などに充電ステーション「テラチャージ」を設置。開始から1年半で契約実績は4,700基に達し、当初3人だった人員数は1年で200人に増えた。
同事業の今期(23年4月~24年3月)の売上高は20億~25億円となり、急成長を遂げている。
■インド・タイへ拡大
今年は日本での実績をもとに、EV普及が急速に進むインド、タイの2カ国に事業を広めると決めた。
テラモーターズの取締役で、10月に設立されたばかりのタイ法人、テラチャージ(タイランド)の鈴木剛社長によると、インドでは今夏に事業を始動した。10月6日に同国デリー首都圏(NCR)で1カ所目となる充電所を稼働し、NCRや東部コルカタなどで既に20カ所近くを開設した。インドでは今のところ、集合住宅や、電動車を使う配送業者の拠点での設置が多い。

インド北部グルガオンの集合住宅で10月に設置した充電所。同国での設置実績は1カ月で20カ所近くに達した(テラモーターズ提供)

■競合乱立も「いける」と判断
鈴木氏は「タイでは8月に市場調査を開始し、9月に進出を決めた」と語る。かなり速い意思決定だが「競合全社にヒアリングした上で、シェアをとれると判断した」
国を挙げてEVへの移行を推進するタイでは、充電網の整備も急ピッチで進んでいる。タイ電気自動車協会(EVAT)のクリサダ会長によると、国内の公共充電器の数は6月末時点で4,628基、公共充電ステーションの数は1,482カ所となった。地場発電エナジー・アブソルート(EA)傘下の「EAエニウェア」、タイ政府系の給油所最大手PTTオイル・アンド・リテール・ビジネス(PTTOR)傘下の「EVステーション・プラス(PluZ)」、タイ発電公団(EGAT)傘下の「EleXA」など10ブランド超がしのぎを削る。

テラモーターズの充電サービスは専用アプリを使って予約から利用、支払いまで完結できる(同社提供)

鈴木氏は競合の乱立に対し「公営系は設置の稟議(りんぎ)が下りるまでに時間がかかるほか、その他も全体的にサービスの質が伴っていないという問題があることが分かっている」と語る。各社はアプリを通じてEV所有者に充電サービス(予約、使用、決済まで)を提供しているが、地場社は充電時のトラブルに対応できていないと指摘。自社は「日本レベル」のサービスを提供できると自信を見せ、地場社が充電設備を設置した施設から既に「テラに切り替えたい」と問い合わせが複数件来ていると明らかにした。
また、競合他社のアプリが外部発注であるのに対しテラは自社設計であるため「バグの改善も速い」という。
■とにかくまず「網を張る」

テラチャージ(タイランド)の鈴木剛社長。タイでも迅速に事業展開を進めると意気込む(同社提供)

テラは基本的に、まずマンションや商業施設、ホテル、ガソリンスタンドなどに充電設備を設置し、アプリを通じてユーザーから徴収する充電費用を収入とするビジネスモデルをとっている。充電にかかる電気代は施設所有者に還元する形だ。設置の初期費用がかさむため、自社も含めEVの充電インフラ整備は「数年という短いスパンで利益を出すのが難しい」と鈴木氏は語る。
そのため大企業が参入することはほとんどなく、世界中でベンチャー企業が台頭。上場済みの米チャージポイントやスペインのウォールボックスなど各社はいまだに赤字経営ながら「将来的に必ず利益が出る」との期待度から、時価総額が膨れ上がっている。
同様の期待が寄せられるテラも、6月に大阪ガスや東京センチュリーなど4社からシリーズCラウンド(事業発展段階の資金調達)で40億円を調達した。鈴木氏はNNAに対し、「資金力を生かして速く広く充電所の“網”を張っていきたい。充電インフラで日系の存在感を示したい」と意気込んだ。
明日15日付では地場社の充電インフラ事業の状況や、タイのEV普及の現状を紹介する。

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■開始2年で売上20億円超へ
EV充電インフラ事業は、22年4月に日本で開始した。日本政府から補助金を受けて、全国各地のマンションや商業施設、ホテル、コインパーキング、道の駅などに充電ステーション「テラチャージ」を設置。開始から1年半で契約実績は4,700基に達し、当初3人だった人員数は1年で200人に増えた。
同事業の今期(23年4月~24年3月)の売上高は20億~25億円となり、急成長を遂げている。
■インド・タイへ拡大
今年は日本での実績をもとに、EV普及が急速に進むインド、タイの2カ国に事業を広めると決めた。
テラモーターズの取締役で、10月に設立されたばかりのタイ法人、テラチャージ(タイランド)の鈴木剛社長によると、インドでは今夏に事業を始動した。10月6日に同国デリー首都圏(NCR)で1カ所目となる充電所を稼働し、NCRや東部コルカタなどで既に20カ所近くを開設した。インドでは今のところ、集合住宅や、電動車を使う配送業者の拠点での設置が多い。
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■競合乱立も「いける」と判断
鈴木氏は「タイでは8月に市場調査を開始し、9月に進出を決めた」と語る。かなり速い意思決定だが「競合全社にヒアリングした上で、シェアをとれると判断した」
国を挙げてEVへの移行を推進するタイでは、充電網の整備も急ピッチで進んでいる。タイ電気自動車協会(EVAT)のクリサダ会長によると、国内の公共充電器の数は6月末時点で4,628基、公共充電ステーションの数は1,482カ所となった。地場発電エナジー・アブソルート(EA)傘下の「EAエニウェア」、タイ政府系の給油所最大手PTTオイル・アンド・リテール・ビジネス(PTTOR)傘下の「EVステーション・プラス(PluZ)」、タイ発電公団(EGAT)傘下の「EleXA」など10ブランド超がしのぎを削る。
[caption id="attachment_16612" align="aligncenter" width="620"]テラモーターズの充電サービスは専用アプリを使って予約から利用、支払いまで完結できる(同社提供)[/caption]
鈴木氏は競合の乱立に対し「公営系は設置の稟議(りんぎ)が下りるまでに時間がかかるほか、その他も全体的にサービスの質が伴っていないという問題があることが分かっている」と語る。各社はアプリを通じてEV所有者に充電サービス(予約、使用、決済まで)を提供しているが、地場社は充電時のトラブルに対応できていないと指摘。自社は「日本レベル」のサービスを提供できると自信を見せ、地場社が充電設備を設置した施設から既に「テラに切り替えたい」と問い合わせが複数件来ていると明らかにした。
また、競合他社のアプリが外部発注であるのに対しテラは自社設計であるため「バグの改善も速い」という。
■とにかくまず「網を張る」
[caption id="attachment_16614" align="aligncenter" width="620"]テラチャージ(タイランド)の鈴木剛社長。タイでも迅速に事業展開を進めると意気込む(同社提供)[/caption]
テラは基本的に、まずマンションや商業施設、ホテル、ガソリンスタンドなどに充電設備を設置し、アプリを通じてユーザーから徴収する充電費用を収入とするビジネスモデルをとっている。充電にかかる電気代は施設所有者に還元する形だ。設置の初期費用がかさむため、自社も含めEVの充電インフラ整備は「数年という短いスパンで利益を出すのが難しい」と鈴木氏は語る。
そのため大企業が参入することはほとんどなく、世界中でベンチャー企業が台頭。上場済みの米チャージポイントやスペインのウォールボックスなど各社はいまだに赤字経営ながら「将来的に必ず利益が出る」との期待度から、時価総額が膨れ上がっている。
同様の期待が寄せられるテラも、6月に大阪ガスや東京センチュリーなど4社からシリーズCラウンド(事業発展段階の資金調達)で40億円を調達した。鈴木氏はNNAに対し、「資金力を生かして速く広く充電所の“網”を張っていきたい。充電インフラで日系の存在感を示したい」と意気込んだ。
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