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自動車展、二輪も電動主役に地場が新型、普及の鍵は支援金策

インドネシアの首都ジャカルタで15日から開催中の自動車展示・販売会「インドネシア国際モーターショー(IIMS)2024」では、地場エネルギー大手インディカ・エナジーの傘下企業が新型の電動バイクを発表したほか、二輪車最大手のホンダは昨年に日本で初公開したコンセプトモデルの電動バイクをインドネシアで初めて披露するなど注目を集めている。政府は昨年、電動バイクの普及を目指して支援金政策を導入するも販売台数は想定を大きく下回った。一方で、地場メーカーは一定の恩恵を受けており、今年も継続される同政策が、売り上げ拡大の鍵になると期待する。

「インドネシア国際モーターショー(IIMS)2024」では15ブランドの電動バイクが出展した=16日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

IIMSには、15ブランドの電動バイクが出展した。このうち、インディカ・エナジー傘下の電動バイク事業会社イレクトラ・モーター・グループは15日、新型電動バイク「ALVA ONE XP」を発表、同日から販売を開始した。ジャカルタ首都圏での税金や車両登録証の取得手数料などを含めたオンザロード(OTR)価格は3,850万ルピア(約37万円)。
フル充電での航続距離は約70キロメートルで、バッテリー容量は2.7キロワット時。最高速度は時速90キロメートル、最大トルクは46.5Nmとなる。
年産能力10万台を持つ西ジャワ州のチカラン工場で生産する。スピードメーターには薄膜トランジスタ(TFT)液晶モニターを採用し、日中や夜間など外の明るさに応じて自動的に画面色を調整する。またアプリ「MyALVA」を通してバッテリーの充電状況や走行履歴などを確認することも可能だ。
イレクトラ・モーター・グループは、2022年8月に同社初の電動バイク「ALVA ONE」を投入、23年5月には2車種目「ALVA CERVO」を発売した。両モデルはいずれも、政府が23年3月から導入した支援金政策の対象となっており、正規価格から1台当たり700万ルピアを割り引いて販売している。

イレクトラ・モーター・グループが15日に発表した新型電動バイク「ALVA ONE XP」=16日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

アストラ・ホンダ・モーター(AHM)は、昨年9月に日本で開催されたジャパンモビリティショーで世界初公開された電動バイクのコンセプトモデル「SC e:Concept(エスシー イー コンセプト)」を、インドネシアで初めて披露した。
AHMは、昨年2月に行われたIIMS2023で公開した電動バイク「EM1 e:(イーエムワン イー)」を、同年12月に正式発売した。また、22年に発表した同社の電動バイクの戦略ロードマップ(行程表)に基づけば、今年は電動バイク2モデルを新たに投入する予定。最新情報は公式発表しておらず、今回披露したモデルがインドネシアで発売されるかは明らかになっていない。

アストラ・ホンダ・モーター(AHM)は電動バイクのコンセプトモデル「SC e: Concept(エスシー イー コンセプト)」をインドネシア初公開した=16日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

ヤマハ・インドネシア・モーター・マニュファクチャリング(YIMM)は、電動バイク「E01(イーゼロワン)」や同「NEO’S(ネオス)」を展示している=16日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

ヤマハ発動機のインドネシア子会社ヤマハ・インドネシア・モーター・マニュファクチャリング(YIMM)は、ジャカルタや観光地バリ島など全国4都市でテストライドプログラムを実施している電動バイク「E01(イーゼロワン)」のほか、着脱式バッテリー搭載の電動バイク「NEO’S(ネオス)」を会場に展示した。いずれもまだ販売していない。
■オフロードの地場電動バイクが初出展
地場スタジオ・モーター・エレクトリックは、IIMSに初出展した。オフロードの電動バイクブランド「SMEV」を手がける。昨年7月に販売を開始した新興企業で、オフロードの力強い走りを電動バイクで届けると意気込む。昨年10月から今年1月までの受注台数は39台。
「EM—T」と「EM—1」の2モデルを展開し、それぞれ価格は7,830万ルピア、6,470万ルピアから。最高時速は115キロ、105キロで、フル充電での航続距離はいずれも110キロ。バッテリーは固定式。家庭用コンセントなどから充電でき、満充電までの時間は2~3時間。
ジャカルタ首都圏のほか、レジャー用途での需要が高いバリ島での販促にも力を入れており、昨年9月には同島にショールームを開設した。

オフロードの電動バイク「SMEV」を手がける地場スタジオ・モーター・エレクトリックは初出展した=16日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

■地場メーカー、支援金で販売増
政府は当初、23年通年で20万台への支援金の割り当てを目指していたが、実際の支給台数は1万1,532台と目標のわずか5.8%にとどまった。これを受けて24年は当初目標に設定した60万台から5万台へと大幅に下方修正した。政府の想定と比較すると普及は進んでいないが、地場メーカーからは同政策によって昨年の売り上げが格段に増えているとの声も聞かれた。
「ダフィゴ」ブランドのダフィゴ・アルタ・ルアスは、1月から支援金政策の適用モデルとなった。これまでは中国からバッテリーを仕入れていたため、適用条件である現地調達率40%を超えられなかったが、地場のサプライヤーに切り替えたことで計4モデルが対象となった。ヨギ・マネジャーによると、22年6月から23年末までの販売台数が800台だったのに対して、支援金適用後の1月単月では約200台に上ったという。

今年から計4モデルが支援金支給の対象となったダフィゴ=16日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)


昨年は、支援金政策が第2四半期(4~6月)から適用されたため周知期間も限られていた。また、当初の同政策の対象は低所得層に限定されていたが、一般市民にも拡大したこともあり、ヨギ氏は今年のさらなる売り上げ増に期待を込めた。
「VOLTA(フォルタ)」ブランドのフォルタ・インドネシア・スメスタは、21年と22年の合計販売台数が5,065台だったのに対して、23年は7,560台に増えた。今年は1万5,000台の販売目標を掲げる。
「ユナイテッド」ブランドの正規代理店を務めるビンタン・マス・レスタリのセールス担当エコ氏によると、主力の「MX1200」の売り上げは支援金対象モデルとなってから前年比6割増になったという。エコ氏は、政府が昨年、改造電動バイクに対する支援金を700万ルピアから1,000万ルピアに引き上げたのと同様に、新車購入に対する支援金も1,000万ルピアに改定されれば、今年の売り上げはさらに押し上がると期待した。
IIMSは中央ジャカルタ・クマヨランの国際展示場ジャカルタ・インターナショナル・エキスポ(JIエキスポ)で、25日まで開催されている。

昨年売り上げを伸ばした「VOLTA(フォルタ)」ブランドのフォルタ・インドネシア・スメスタは、今年1万5,000台の販売目標を掲げる=16日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)
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IIMSには、15ブランドの電動バイクが出展した。このうち、インディカ・エナジー傘下の電動バイク事業会社イレクトラ・モーター・グループは15日、新型電動バイク「ALVA ONE XP」を発表、同日から販売を開始した。ジャカルタ首都圏での税金や車両登録証の取得手数料などを含めたオンザロード(OTR)価格は3,850万ルピア(約37万円)。
フル充電での航続距離は約70キロメートルで、バッテリー容量は2.7キロワット時。最高速度は時速90キロメートル、最大トルクは46.5Nmとなる。
年産能力10万台を持つ西ジャワ州のチカラン工場で生産する。スピードメーターには薄膜トランジスタ(TFT)液晶モニターを採用し、日中や夜間など外の明るさに応じて自動的に画面色を調整する。またアプリ「MyALVA」を通してバッテリーの充電状況や走行履歴などを確認することも可能だ。
イレクトラ・モーター・グループは、2022年8月に同社初の電動バイク「ALVA ONE」を投入、23年5月には2車種目「ALVA CERVO」を発売した。両モデルはいずれも、政府が23年3月から導入した支援金政策の対象となっており、正規価格から1台当たり700万ルピアを割り引いて販売している。
[caption id="attachment_18496" align="aligncenter" width="620"]イレクトラ・モーター・グループが15日に発表した新型電動バイク「ALVA ONE XP」=16日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)[/caption]
アストラ・ホンダ・モーター(AHM)は、昨年9月に日本で開催されたジャパンモビリティショーで世界初公開された電動バイクのコンセプトモデル「SC e:Concept(エスシー イー コンセプト)」を、インドネシアで初めて披露した。
AHMは、昨年2月に行われたIIMS2023で公開した電動バイク「EM1 e:(イーエムワン イー)」を、同年12月に正式発売した。また、22年に発表した同社の電動バイクの戦略ロードマップ(行程表)に基づけば、今年は電動バイク2モデルを新たに投入する予定。最新情報は公式発表しておらず、今回披露したモデルがインドネシアで発売されるかは明らかになっていない。
[caption id="attachment_18497" align="aligncenter" width="620"]アストラ・ホンダ・モーター(AHM)は電動バイクのコンセプトモデル「SC e: Concept(エスシー イー コンセプト)」をインドネシア初公開した=16日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)[/caption]
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ヤマハ発動機のインドネシア子会社ヤマハ・インドネシア・モーター・マニュファクチャリング(YIMM)は、ジャカルタや観光地バリ島など全国4都市でテストライドプログラムを実施している電動バイク「E01(イーゼロワン)」のほか、着脱式バッテリー搭載の電動バイク「NEO’S(ネオス)」を会場に展示した。いずれもまだ販売していない。
■オフロードの地場電動バイクが初出展
地場スタジオ・モーター・エレクトリックは、IIMSに初出展した。オフロードの電動バイクブランド「SMEV」を手がける。昨年7月に販売を開始した新興企業で、オフロードの力強い走りを電動バイクで届けると意気込む。昨年10月から今年1月までの受注台数は39台。
「EM—T」と「EM—1」の2モデルを展開し、それぞれ価格は7,830万ルピア、6,470万ルピアから。最高時速は115キロ、105キロで、フル充電での航続距離はいずれも110キロ。バッテリーは固定式。家庭用コンセントなどから充電でき、満充電までの時間は2~3時間。
ジャカルタ首都圏のほか、レジャー用途での需要が高いバリ島での販促にも力を入れており、昨年9月には同島にショールームを開設した。
[caption id="attachment_18499" align="aligncenter" width="620"]オフロードの電動バイク「SMEV」を手がける地場スタジオ・モーター・エレクトリックは初出展した=16日、ジャカルタ特別州(NNA撮影)[/caption]
■地場メーカー、支援金で販売増
政府は当初、23年通年で20万台への支援金の割り当てを目指していたが、実際の支給台数は1万1,532台と目標のわずか5.8%にとどまった。これを受けて24年は当初目標に設定した60万台から5万台へと大幅に下方修正した。政府の想定と比較すると普及は進んでいないが、地場メーカーからは同政策によって昨年の売り上げが格段に増えているとの声も聞かれた。
「ダフィゴ」ブランドのダフィゴ・アルタ・ルアスは、1月から支援金政策の適用モデルとなった。これまでは中国からバッテリーを仕入れていたため、適用条件である現地調達率40%を超えられなかったが、地場のサプライヤーに切り替えたことで計4モデルが対象となった。ヨギ・マネジャーによると、22年6月から23年末までの販売台数が800台だったのに対して、支援金適用後の1月単月では約200台に上ったという。
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昨年は、支援金政策が第2四半期(4~6月)から適用されたため周知期間も限られていた。また、当初の同政策の対象は低所得層に限定されていたが、一般市民にも拡大したこともあり、ヨギ氏は今年のさらなる売り上げ増に期待を込めた。
「VOLTA(フォルタ)」ブランドのフォルタ・インドネシア・スメスタは、21年と22年の合計販売台数が5,065台だったのに対して、23年は7,560台に増えた。今年は1万5,000台の販売目標を掲げる。
「ユナイテッド」ブランドの正規代理店を務めるビンタン・マス・レスタリのセールス担当エコ氏によると、主力の「MX1200」の売り上げは支援金対象モデルとなってから前年比6割増になったという。エコ氏は、政府が昨年、改造電動バイクに対する支援金を700万ルピアから1,000万ルピアに引き上げたのと同様に、新車購入に対する支援金も1,000万ルピアに改定されれば、今年の売り上げはさらに押し上がると期待した。
IIMSは中央ジャカルタ・クマヨランの国際展示場ジャカルタ・インターナショナル・エキスポ(JIエキスポ)で、25日まで開催されている。
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