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大分市、海外初の試食会観光の魅力もアピール

大分市は2月28日、シンガポールで市の特産品の試食会を開催した。海外で同様のイベントを実施するのは初めて。調味料や加工食品、日本酒などの飲食品に加え、観光の魅力も発信。マーケットイン(買い手目線)による輸出促進のほか、新型コロナウイルス禍後、大幅に拡大するシンガポールからの訪日旅行の需要取り込みを狙った。【藤原絵美】

大分市は市の特産品の試食会を開催した=2月28日、シンガポール中心部(NNA撮影)

試食会は大分市と日本貿易振興機構(ジェトロ)大分が共同で主催。中心部のリバーバレー地区にある日本食レストラン「鶏金」で実施した。
市産のカボス、ユズを使ったしょうゆやポン酢、ドレッシングなどの調味料のほか、飲料、スナック菓子など18社、48種類の特産品を取りそろえた。大分県はカボスの生産量で日本一を誇り、全国の生産量の9割以上を占める。カボスの果汁は他の香酸かんきつよりも甘味が強く、酸味がまろやかなのが特徴だ。
日本国内でハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)認証を取得したしょうゆとみそや、廃棄されていたニラの茎部分を活用したニラしょうゆなど、海外市場を意識した商品も用意した。
会場には現地の飲食事業者と小売・卸売業者がそれぞれ2者、サプライヤーが6者、その他メディア関係者やインフルエンサーなど計22人が集まった。サラダや刺し身、鍋料理などの料理がふるまわれた。
■東南アジア市場の足がかりに
大分市はこれまでに友好都市の中国・湖北省武漢市や米国テキサス州オースティンなどでチャリティーや交流イベントを単発で開催した例はあった。
海外初の試食会イベントの開催地としてシンガポールを選んだのは、日本食に対する認知度が高く、東南アジア市場進出への足がかりとして「ショーケース」の役割を担っていることが大きいためだ。
ジェトロ大分の中村志信所長はNNAに対し、「政令指定都市などの大都市を除いた都市が海外で単独イベントを実施するケースは珍しい」と語った。
試食会後には料理や特産品に関するアンケートを実施。飲食事業者や小売・卸売業者からは現地の嗜好(しこう)や製品パッケージのデザインなどについてさまざまな意見を得た。
大分市の商工労働観光部、創業経営支援課の能村貴満主査は「今回のフィードバックを市の食品メーカーなどと共有し、商品の改良や開発に役立てる。きちんと戦略を練った上でシンガポールを皮切りに東南アジア市場を開拓したい」と意気込みを語った。
■地方旅行の需要取り込む
日本政府観光局(JNTO)の統計によると、昨年に東南アジア主要6カ国から日本を訪れた旅行者数(推計値)は計363万人で、前年から3.9倍に拡大した。うちシンガポールからは59万人で6カ国中3位。コロナ禍前の19年比では2割増と伸び率が最も高かった。
大分市は今回のイベントを通じ、新型コロナ禍収束後に需要が拡大するシンガポール人の訪日需要の取り込みも狙った。試食会には観光情報を発信する現地のインフルエンサーも数人招き、大分の印象や観光地に関するヒアリングを実施した。
試食会の参加者の一人は、「日本に行くシンガポール人が増える中、最近では主要な観光地以外の地方へ行きたいという声をよく聞く。試食会や催事、レストランフェアなどを通じて地方の良さを知ってもらうことは大切だ」とコメントした。
大分市の担当者は「日本国内でインバウンド(訪日客)をいかに呼び込むかといったことに重点が置かれる中、われわれが海外で実際に販促活動を行うことで大分に関心を持ってもらい、大分への来訪客の増加につなげたい」と語った。
商工労働観光部、創業経営支援課の児玉直子課長は「日本は少子高齢化が進み、消費も落ち込み頭打ちとなる。海外への販路拡大を通じて地方を支える中小企業の業況水準が高まり財政が潤うことで、日本の人々への手厚い社会福祉や教育支援も可能となる。市として今後も大分の企業を応援していきたい」と述べた。

試食会では観光の魅力なども紹介した=2月28日、シンガポール中心部(NNA撮影)
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市産のカボス、ユズを使ったしょうゆやポン酢、ドレッシングなどの調味料のほか、飲料、スナック菓子など18社、48種類の特産品を取りそろえた。大分県はカボスの生産量で日本一を誇り、全国の生産量の9割以上を占める。カボスの果汁は他の香酸かんきつよりも甘味が強く、酸味がまろやかなのが特徴だ。
日本国内でハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)認証を取得したしょうゆとみそや、廃棄されていたニラの茎部分を活用したニラしょうゆなど、海外市場を意識した商品も用意した。
会場には現地の飲食事業者と小売・卸売業者がそれぞれ2者、サプライヤーが6者、その他メディア関係者やインフルエンサーなど計22人が集まった。サラダや刺し身、鍋料理などの料理がふるまわれた。
■東南アジア市場の足がかりに
大分市はこれまでに友好都市の中国・湖北省武漢市や米国テキサス州オースティンなどでチャリティーや交流イベントを単発で開催した例はあった。
海外初の試食会イベントの開催地としてシンガポールを選んだのは、日本食に対する認知度が高く、東南アジア市場進出への足がかりとして「ショーケース」の役割を担っていることが大きいためだ。
ジェトロ大分の中村志信所長はNNAに対し、「政令指定都市などの大都市を除いた都市が海外で単独イベントを実施するケースは珍しい」と語った。
試食会後には料理や特産品に関するアンケートを実施。飲食事業者や小売・卸売業者からは現地の嗜好(しこう)や製品パッケージのデザインなどについてさまざまな意見を得た。
大分市の商工労働観光部、創業経営支援課の能村貴満主査は「今回のフィードバックを市の食品メーカーなどと共有し、商品の改良や開発に役立てる。きちんと戦略を練った上でシンガポールを皮切りに東南アジア市場を開拓したい」と意気込みを語った。
■地方旅行の需要取り込む
日本政府観光局(JNTO)の統計によると、昨年に東南アジア主要6カ国から日本を訪れた旅行者数(推計値)は計363万人で、前年から3.9倍に拡大した。うちシンガポールからは59万人で6カ国中3位。コロナ禍前の19年比では2割増と伸び率が最も高かった。
大分市は今回のイベントを通じ、新型コロナ禍収束後に需要が拡大するシンガポール人の訪日需要の取り込みも狙った。試食会には観光情報を発信する現地のインフルエンサーも数人招き、大分の印象や観光地に関するヒアリングを実施した。
試食会の参加者の一人は、「日本に行くシンガポール人が増える中、最近では主要な観光地以外の地方へ行きたいという声をよく聞く。試食会や催事、レストランフェアなどを通じて地方の良さを知ってもらうことは大切だ」とコメントした。
大分市の担当者は「日本国内でインバウンド(訪日客)をいかに呼び込むかといったことに重点が置かれる中、われわれが海外で実際に販促活動を行うことで大分に関心を持ってもらい、大分への来訪客の増加につなげたい」と語った。
商工労働観光部、創業経営支援課の児玉直子課長は「日本は少子高齢化が進み、消費も落ち込み頭打ちとなる。海外への販路拡大を通じて地方を支える中小企業の業況水準が高まり財政が潤うことで、日本の人々への手厚い社会福祉や教育支援も可能となる。市として今後も大分の企業を応援していきたい」と述べた。
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