インドネシアの首都ジャカルタ郊外で22日、自動車展示・販売会「ガイキンド・ジャカルタ・オート・ウイーク(GJAW)」が開幕した。四輪車から28ブランドが参加するなどブランド数が増加した今年は、開催地をジャカルタから郊外の大型展示場に移した。中国自動車大手の浙江吉利控股集団(吉利、ジーリー)傘下ブランドが初出展した。新車市場は1~10月で前年同期比15%減となるなど停滞するが、各社はGJAW通じて年末商戦に向けた弾みをつけたい考え。
「ガイキンド・ジャカルタ・オート・ウイーク(GJAW)」は出展ブランドが増加し、今年はBSDの国際展示場「インドネシア・コンベンション・エキシビション(ICE)」で開催=22日、バンテン州(NNA撮影)
GJAWは、バンテン州南タンゲランのブミ・セルポン・ダマイ(BSD)の国際展示場「インドネシア・コンベンション・エキシビション(ICE)」で12月1日まで開催されている。四輪車のほか、二輪車14ブランド、関連産業40社以上がブースを設ける。GJAWは各社が新車を披露する展示会というよりも販売を重視したイベントとしての意味合いが強い。
新車市場の90%近くのシェアを占める日系ブランドのうち、三菱自動車のインドネシア販売子会社ミツビシ・モーターズ・クラマ・ユダ・セールス・インドネシア(MMKSI)は小型スポーツタイプ多目的車(SUV)「エクスフォース」に新タイプの追加を発表した。
車間距離を制御するアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)や衝突軽減ブレーキシステム(FCM)などの安全機能を強化した「Ultimate DS」モデルは、ジャカルタでのオンザロード(OTR)価格が4億2,290万ルピア(約410万円)。エクスフォースの最上位タイプとなる。
ミツビシ・モーターズ・クラマ・ユダ・セールス・インドネシア(MMKSI)は小型SUV「エクスフォース」に新タイプを追加した=22日、バンテン州(NNA撮影)
MMKSIの三井光取締役(商品戦略担当)はNNAに、今後の製品ラインアップについて「できるだけ早くハイブリッド車(HV)モデルを発売できるように準備を進めている」と明らかにした。
■トヨタ、バイオ燃料利用で実証試験
トヨタ自動車のインドネシア現地販売会社トヨタ・アストラ・モーター(TAM)は、トヨタ自動車が脱炭素化に向けて掲げる「マルチパスウェイ・アプローチ」の一環として、バイオエタノールを10%混合したガソリン「E10」を使用した実証実験を実施すると発表した。
トヨタ・アストラ・モーターは「マルチパスウェイ・アプローチ」の一環として、国営石油プルタミナなどと協力し、バイオエタノールを10%混合したガソリン「E10」の実証実験を実施すると発表=22日、バンテン州(NNA撮影)
国営石油プルタミナの下流部門子会社プルタミナ・パトラ・ニアガや、トヨタのインドネシア合弁パートナーの複合企業アストラ・インターナショナル傘下セラシ・オートラヤ(TRAC)との協業で実施する。TAMは、多目的車(MPV)「キジャン・イノーバ・ゼニックス」のHVや小型MPV「アバンザ」など50台の車両を提供し、東ジャワ州を中心に行う。
TAMはこれまでもフレックス燃料車(FFV)などバイオエタノール対応車の展示はしてきたが、上田裕之社長は「実証実験が決まり、バイオエタノールの利用に向けてより実践的なレベルに落とし込むことができた」と説明。プラボウォ・スビアント新政権がエネルギー自給を目指しバイオ燃料の活用を重視していることからも、脱炭素に向けバイオエタノールが普及する環境が整いつつあるとみて取り組みを支援したい考えだ。TAMの販売モデルは現在、E10までには対応できるよう設計されている。
インドネシアで初めて公開された燃料電池車「MIRAI(ミライ)」の第2世代モデルを見学したアグス産業相=22日、バンテン州(NNA撮影)
トヨタはまた、HVの新型「クラウン」と新世代の燃料電池システムを採用した燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」(2020年発売モデル)をインドネシアで初めて公開した。投入予定は未定。
■7人乗りEV投入、地場が吉利と提携
GJAWに合わせて、インドネシアで電気バスなどを販売するシナール・アルマダ・グローバリンド(SAG)の傘下企業アレトラ・モービル・ヌサンタラが手がける乗用車ブランド「ALETRA(アレトラ)」は初の販売モデルとして、7人乗りMPVのEV「L8 EV」を発表した。ALETRAは中国吉利傘下の睿藍汽車(リバン)と提携したブランド。
中国吉利傘下の睿藍汽車と提携した乗用車ブランド「ALETRA」は初の販売モデルとして、7人の乗りMPVのEVを発表した=22日、バンテン州(NNA撮影)
L8 EVには航続距離が415キロメートル(バッテリー容量50.4キロワット時)と540キロ(同64.7キロワット時)の2種類があり、最初の受注200台分の価格はそれぞれ4億1,500万ルピア、4億4,800万ルピアから。
来年から地場ハンダル・インドネシア・モーターの自動車組立工場で生産し、4~6月に納車を開始する。
インドネシア市場に新規参入した吉利の高級EVブランド「極ケ(ケ=きがまえに克、ZEEKR)」は、SUV「Zeekr X」と、MPV「Zeekr 009」の2車種を投入すると発表した。
Zeekr X(バッテリー容量66キロワット時、航続距離最大540キロ)の価格帯は11億~13億ルピアで、Zeekr 009が22億5,000万~27億ルピア(同116キロワット時、最大582キロメートル)。正式価格は追って公表する。中国から完成車(CBU)を輸入する。納車は25年1月以降を予定する。
地場自動車販売プレミアム・グループのプレミアム・オート・プリマが販売代理店を務める。最初のディーラーは25年初頭にジャカルタ南部のポンドックインダ地区に開所する予定だ。
新規参入した中国吉利の高級EVブランド「ZEEKR」=22日、バンテン州(NNA撮影)
中国のEV最大手、比亜迪(BYD)の現地法人BYDモーター・インドネシアは、3列シートMPV「M6」をはじめとする計4車種を展示した。BYDは今年、乗用車市場に参入して10月までに1万1,000台超を販売し、EVブランドで首位となった。
イーグル・チャオ社長は「今後も先進的な技術、製品を提供していく」と意欲を示した。現在、インドネシアでは未投入のプラグインハイブリッド車(PHV)については「包括的に消費者の需要を調査する必要がある」と述べた。
BYDモーター・インドネシアはこれまでに18都市の計31カ所でディーラーを開業した。
BYDモーター・インドネシアは、3列シートMPV「M6」など計4車種を展示した=22日、バンテン州(NNA撮影)
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新車市場の90%近くのシェアを占める日系ブランドのうち、三菱自動車のインドネシア販売子会社ミツビシ・モーターズ・クラマ・ユダ・セールス・インドネシア(MMKSI)は小型スポーツタイプ多目的車(SUV)「エクスフォース」に新タイプの追加を発表した。
車間距離を制御するアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)や衝突軽減ブレーキシステム(FCM)などの安全機能を強化した「Ultimate DS」モデルは、ジャカルタでのオンザロード(OTR)価格が4億2,290万ルピア(約410万円)。エクスフォースの最上位タイプとなる。
[caption id="attachment_23408" align="aligncenter" width="620"]ミツビシ・モーターズ・クラマ・ユダ・セールス・インドネシア(MMKSI)は小型SUV「エクスフォース」に新タイプを追加した=22日、バンテン州(NNA撮影)[/caption]
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■トヨタ、バイオ燃料利用で実証試験
トヨタ自動車のインドネシア現地販売会社トヨタ・アストラ・モーター(TAM)は、トヨタ自動車が脱炭素化に向けて掲げる「マルチパスウェイ・アプローチ」の一環として、バイオエタノールを10%混合したガソリン「E10」を使用した実証実験を実施すると発表した。
[caption id="attachment_23407" align="aligncenter" width="620"]トヨタ・アストラ・モーターは「マルチパスウェイ・アプローチ」の一環として、国営石油プルタミナなどと協力し、バイオエタノールを10%混合したガソリン「E10」の実証実験を実施すると発表=22日、バンテン州(NNA撮影)[/caption]
国営石油プルタミナの下流部門子会社プルタミナ・パトラ・ニアガや、トヨタのインドネシア合弁パートナーの複合企業アストラ・インターナショナル傘下セラシ・オートラヤ(TRAC)との協業で実施する。TAMは、多目的車(MPV)「キジャン・イノーバ・ゼニックス」のHVや小型MPV「アバンザ」など50台の車両を提供し、東ジャワ州を中心に行う。
TAMはこれまでもフレックス燃料車(FFV)などバイオエタノール対応車の展示はしてきたが、上田裕之社長は「実証実験が決まり、バイオエタノールの利用に向けてより実践的なレベルに落とし込むことができた」と説明。プラボウォ・スビアント新政権がエネルギー自給を目指しバイオ燃料の活用を重視していることからも、脱炭素に向けバイオエタノールが普及する環境が整いつつあるとみて取り組みを支援したい考えだ。TAMの販売モデルは現在、E10までには対応できるよう設計されている。
[caption id="attachment_23409" align="aligncenter" width="620"]インドネシアで初めて公開された燃料電池車「MIRAI(ミライ)」の第2世代モデルを見学したアグス産業相=22日、バンテン州(NNA撮影)[/caption]
トヨタはまた、HVの新型「クラウン」と新世代の燃料電池システムを採用した燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」(2020年発売モデル)をインドネシアで初めて公開した。投入予定は未定。
■7人乗りEV投入、地場が吉利と提携
GJAWに合わせて、インドネシアで電気バスなどを販売するシナール・アルマダ・グローバリンド(SAG)の傘下企業アレトラ・モービル・ヌサンタラが手がける乗用車ブランド「ALETRA(アレトラ)」は初の販売モデルとして、7人乗りMPVのEV「L8 EV」を発表した。ALETRAは中国吉利傘下の睿藍汽車(リバン)と提携したブランド。
[caption id="attachment_23411" align="aligncenter" width="620"]中国吉利傘下の睿藍汽車と提携した乗用車ブランド「ALETRA」は初の販売モデルとして、7人の乗りMPVのEVを発表した=22日、バンテン州(NNA撮影)[/caption]
L8 EVには航続距離が415キロメートル(バッテリー容量50.4キロワット時)と540キロ(同64.7キロワット時)の2種類があり、最初の受注200台分の価格はそれぞれ4億1,500万ルピア、4億4,800万ルピアから。
来年から地場ハンダル・インドネシア・モーターの自動車組立工場で生産し、4~6月に納車を開始する。
インドネシア市場に新規参入した吉利の高級EVブランド「極ケ(ケ=きがまえに克、ZEEKR)」は、SUV「Zeekr X」と、MPV「Zeekr 009」の2車種を投入すると発表した。
Zeekr X(バッテリー容量66キロワット時、航続距離最大540キロ)の価格帯は11億~13億ルピアで、Zeekr 009が22億5,000万~27億ルピア(同116キロワット時、最大582キロメートル)。正式価格は追って公表する。中国から完成車(CBU)を輸入する。納車は25年1月以降を予定する。
地場自動車販売プレミアム・グループのプレミアム・オート・プリマが販売代理店を務める。最初のディーラーは25年初頭にジャカルタ南部のポンドックインダ地区に開所する予定だ。
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中国のEV最大手、比亜迪(BYD)の現地法人BYDモーター・インドネシアは、3列シートMPV「M6」をはじめとする計4車種を展示した。BYDは今年、乗用車市場に参入して10月までに1万1,000台超を販売し、EVブランドで首位となった。
イーグル・チャオ社長は「今後も先進的な技術、製品を提供していく」と意欲を示した。現在、インドネシアでは未投入のプラグインハイブリッド車(PHV)については「包括的に消費者の需要を調査する必要がある」と述べた。
BYDモーター・インドネシアはこれまでに18都市の計31カ所でディーラーを開業した。
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