家具・日用品販売大手のニトリホールディングス(HD)の武田政則副社長はNNAのインタビューに応じ、ベトナムでの店舗数を年10店ペースで増やし、2032年までに70店体制を目指すと明らかにした。ニトリは2月27日に、南部ホーチミン市直属トゥードゥック市の商業施設「ビンコム・メガモール・タオディエン」にベトナム3号店をオープンしたばかり。同国はライバルであるスウェーデンの家具大手イケアが未進出であるため特に開拓余地が大きいとして、ホーチミン市近郊を中心に店舗展開を加速する。
ニトリのベトナム3号店がオープンした=2月27日、ホーチミン市
3号店の初日は開店時刻から来店客が押し寄せた。ホーチミン市在住の30代女性のチャンさんは「ニトリの商品は、優しく調和がとれたデザインで、値段もお手頃で気に入っている」と3号店の開店を喜んだ。
3号店があるタオディエン地区には外国人や富裕層が多い。近くに住むマレーシア人の男性、リーさんは、ニトリの商品はユニークで、品質が良いところが気に入っていると話す。「ボタンでつるすキッチンタオルなど、家庭での使いやすさを意識して細かい部分にこだわっているのは、日本ブランドならでは」と評価する。
■不動産開発で家具需要
ニトリは23年12月に、南部ビンズオン省のビンズオン新都市の商業施設「ソラ・ガーデンズSC」で1号店をオープン、約半年後の24年6月にトゥードゥック市の商業施設「ビンコム・メガモール・グランドパーク」に2号店をオープンした。
武田氏はベトナムでの事業について「非常に手応えを感じている」と語る。当初ベトナム市場では家具の需要は高くないとみていたが、予想に反して売れ行きが好調。「不動産が次々に開発されており、家具の需要が高い」と分析。不動産開発会社と連携の上、ニトリを紹介してもらう取り組みも功を奏していると説明した。
ベトナムでの客層は比較的若く、女性比率が高いことが特徴。そのため、香りに関連する商品や美容小物の売れ行きがよいという。
3号店オープン日は多くの客でにぎわった=2月27日、ホーチミン市
■3号店、メトロ効果も期待
3号店はオープンに先駆け、2月22日に2時間限定の試験営業を行った。武田氏は、約400人が来店し、売り上げは予想の2倍だったことを明かし「現地の人からのニトリへの期待の表れだ」と自信を示した。
3号店が立地するビンコム・メガモール・タオディエンは、昨年12月に開業したホーチミン市都市鉄道(メトロ、地下鉄)1号線のアンフー駅のすぐそば。メトロ開業後、施設全体の入店客数はそれまでと比べて約4割程度伸びているという。来店客からも「今日はメトロで来た。駅から近く便利」(女子大学生のミーさん)など、アクセスの良さに言及する声も複数聞こえてきた。武田氏は「メトロ開業後の集客効果も見込み、3号店の出店場所を決めた」と説明。今後は同商業施設とアンフー駅を直結する計画があり、さらなる集客が見込めると期待感を示した。
■イケア未進出のベトナム市場を切り開く
ドイツの調査会社スタティスタによれば、ベトナムの家具市場は年率約4%のペースで成長しており、29年には19年の約39%増の15億5,900万米ドル(約2,350億円)に達する見込みだ。
ベトナムは、ニトリがライバルとみなすイケアが未進出。武田氏は「イケアが進出していない今、特にチャンスが大きい」として、「ニトリを通じて、ベトナムの人にインテリア自体への興味を高めてほしい」と市場自体を開拓していく考えを示した。イケア進出前に開業した日本市場では、ニトリの売り上げはイケアの約10倍にも上る。

■まずはホーチミン市近郊に出店
武田氏は、大型の自社物流センターを構えるホーチミン市近郊を中心に出店を進め、輸送費用を抑え価格優位性を確保する出店戦略を明かした。年当たり約10店舗、32年までに70店舗の出店を目指す。
同社は首都ハノイと南部バリアブンタウ省の2カ所で工場を操業しており、国内工場で製造した商品を売ることで輸入コストを抑えることができる。工場では約1万人を雇用しており、ベトナムの雇用拡大に貢献している。
ニトリはベトナムの大学18校と提携して、返済不要の奨学金を年間約200人に供与している。武田氏は、ベトナム事業の成長とともに支援を拡大していく考えを明かし、「ベトナムの社会に貢献するとともに、大学生たちにニトリに興味を持ってもらうきっかけにしたい」と力を込めた。
看板商品のソファに座り、ベトナム事業への意気込みを語る武田氏=2月27日、ホーチミン市
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3号店の初日は開店時刻から来店客が押し寄せた。ホーチミン市在住の30代女性のチャンさんは「ニトリの商品は、優しく調和がとれたデザインで、値段もお手頃で気に入っている」と3号店の開店を喜んだ。
3号店があるタオディエン地区には外国人や富裕層が多い。近くに住むマレーシア人の男性、リーさんは、ニトリの商品はユニークで、品質が良いところが気に入っていると話す。「ボタンでつるすキッチンタオルなど、家庭での使いやすさを意識して細かい部分にこだわっているのは、日本ブランドならでは」と評価する。
■不動産開発で家具需要
ニトリは23年12月に、南部ビンズオン省のビンズオン新都市の商業施設「ソラ・ガーデンズSC」で1号店をオープン、約半年後の24年6月にトゥードゥック市の商業施設「ビンコム・メガモール・グランドパーク」に2号店をオープンした。
武田氏はベトナムでの事業について「非常に手応えを感じている」と語る。当初ベトナム市場では家具の需要は高くないとみていたが、予想に反して売れ行きが好調。「不動産が次々に開発されており、家具の需要が高い」と分析。不動産開発会社と連携の上、ニトリを紹介してもらう取り組みも功を奏していると説明した。
ベトナムでの客層は比較的若く、女性比率が高いことが特徴。そのため、香りに関連する商品や美容小物の売れ行きがよいという。
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3号店オープン日は多くの客でにぎわった=2月27日、ホーチミン市
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■3号店、メトロ効果も期待
3号店はオープンに先駆け、2月22日に2時間限定の試験営業を行った。武田氏は、約400人が来店し、売り上げは予想の2倍だったことを明かし「現地の人からのニトリへの期待の表れだ」と自信を示した。
3号店が立地するビンコム・メガモール・タオディエンは、昨年12月に開業したホーチミン市都市鉄道(メトロ、地下鉄)1号線のアンフー駅のすぐそば。メトロ開業後、施設全体の入店客数はそれまでと比べて約4割程度伸びているという。来店客からも「今日はメトロで来た。駅から近く便利」(女子大学生のミーさん)など、アクセスの良さに言及する声も複数聞こえてきた。武田氏は「メトロ開業後の集客効果も見込み、3号店の出店場所を決めた」と説明。今後は同商業施設とアンフー駅を直結する計画があり、さらなる集客が見込めると期待感を示した。
■イケア未進出のベトナム市場を切り開く
ドイツの調査会社スタティスタによれば、ベトナムの家具市場は年率約4%のペースで成長しており、29年には19年の約39%増の15億5,900万米ドル(約2,350億円)に達する見込みだ。
ベトナムは、ニトリがライバルとみなすイケアが未進出。武田氏は「イケアが進出していない今、特にチャンスが大きい」として、「ニトリを通じて、ベトナムの人にインテリア自体への興味を高めてほしい」と市場自体を開拓していく考えを示した。イケア進出前に開業した日本市場では、ニトリの売り上げはイケアの約10倍にも上る。

■まずはホーチミン市近郊に出店
武田氏は、大型の自社物流センターを構えるホーチミン市近郊を中心に出店を進め、輸送費用を抑え価格優位性を確保する出店戦略を明かした。年当たり約10店舗、32年までに70店舗の出店を目指す。
同社は首都ハノイと南部バリアブンタウ省の2カ所で工場を操業しており、国内工場で製造した商品を売ることで輸入コストを抑えることができる。工場では約1万人を雇用しており、ベトナムの雇用拡大に貢献している。
ニトリはベトナムの大学18校と提携して、返済不要の奨学金を年間約200人に供与している。武田氏は、ベトナム事業の成長とともに支援を拡大していく考えを明かし、「ベトナムの社会に貢献するとともに、大学生たちにニトリに興味を持ってもらうきっかけにしたい」と力を込めた。
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