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半導体への関税が懸念材料に政府、月内に国内と米国で交渉計画

トランプ米政権による「相互関税」に関する発表が二転三転する中、マレーシア投資貿易産業省は14日、首都クアラルンプールの庁舎で記者会見を開き、今後導入が予定される半導体を対象にした関税措置に懸念を示した。マレーシア政府は、今月内にマレーシア国内と米国で米政府との交渉を計画している。

トランプ米政権の「相互関税」が二転三転する中、記者会見を開くザフルル投資貿易産業相(中央)=14日、クアラルンプール(NNA撮影)

マレーシアのアンワル・イブラヒム首相兼財務相は14日午前、国家地経学指令センター(NGCC)の会合を主宰。投資貿易産業省が中心となり、米国の相互関税に関する最新情報や懸念材料などについて話し合った。NGCCは近く、官民から成る作業部会(タスクフォース)を設置する予定だ。
マレーシア政府は、トランプ政権が相互関税の上乗せ部分について90日間停止し、各国との個別交渉に応じると発表したことを歓迎。米国からの輸入品に対して報復関税を課さない方針を改めて確認したという。
ザフルル・アブドゥル・アジズ投資貿易産業相は14日夕方の記者会見で、トランプ大統領が14日の週に半導体関税の税率について説明すると発言したことを受けて、「半導体関税は大きな懸念材料だ」とコメント。地場の半導体関連企業だけではなく、マレーシアの製造拠点で生産した半導体を米国向けに輸出している米企業も打撃を受けるとの懸念を示し、「アンワル氏がインテルやオラクルといった米企業の代表団と会談し、相互関税の影響について話し合っている」と説明した。
ザフルル氏は一方で、「2024年のマレーシアの貿易総額のうち対米貿易の比率は11.3%にとどまった」と説明。「米国は主要貿易相手国の1つではあるが、マレーシアは貿易相手国を多様化できている」とし、今後も継続的に多様化を進めていく方針を示した。
24年のマレーシアの輸出のうち半導体を含む電気・電子製品が39.9%を占めた。中でも米国は主要輸出先の1つとなっており、マレーシアの調査会社クナンガ・リサーチによると、米国の半導体輸入の20.0%をマレーシアからの輸入が占めている。
トランプ氏は13日、今後導入を予定する半導体関税について14日の週に説明すると発言。交流サイト(SNS)には「半導体と電子機器のサプライチェーン(供給網)全体を調査している」と投稿し、幅広い品目を対象にする考えを示唆した。
またラトニック米商務長官は同日、相互関税から除外したスマートフォンなどの電子機器は、半導体関税の対象になるとの見方を示し、半導体関税は「今後1、2カ月でやってくる」とも述べた。
■ペナン州で米ASEAN会議
ザフルル氏によると、今月24日にマレー半島北部ペナン州で東南アジア諸国連合(ASEAN)と米国の会議が開かれる予定。マレーシアはASEAN議長国として、米国と相互関税について協議する見通しだ。
ASEAN全体だけではなく、マレーシアとしても米国と2国間交渉を計画している。アンワル氏は月内に米国へ代表団を派遣する考えを示しており、「米通商代表部(USTR)と米商務省に書簡を送り、日程調整を進めている」(ザフルル氏)という。

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マレーシア政府は、トランプ政権が相互関税の上乗せ部分について90日間停止し、各国との個別交渉に応じると発表したことを歓迎。米国からの輸入品に対して報復関税を課さない方針を改めて確認したという。
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ザフルル氏は一方で、「2024年のマレーシアの貿易総額のうち対米貿易の比率は11.3%にとどまった」と説明。「米国は主要貿易相手国の1つではあるが、マレーシアは貿易相手国を多様化できている」とし、今後も継続的に多様化を進めていく方針を示した。
24年のマレーシアの輸出のうち半導体を含む電気・電子製品が39.9%を占めた。中でも米国は主要輸出先の1つとなっており、マレーシアの調査会社クナンガ・リサーチによると、米国の半導体輸入の20.0%をマレーシアからの輸入が占めている。
トランプ氏は13日、今後導入を予定する半導体関税について14日の週に説明すると発言。交流サイト(SNS)には「半導体と電子機器のサプライチェーン(供給網)全体を調査している」と投稿し、幅広い品目を対象にする考えを示唆した。
またラトニック米商務長官は同日、相互関税から除外したスマートフォンなどの電子機器は、半導体関税の対象になるとの見方を示し、半導体関税は「今後1、2カ月でやってくる」とも述べた。
■ペナン州で米ASEAN会議
ザフルル氏によると、今月24日にマレー半島北部ペナン州で東南アジア諸国連合(ASEAN)と米国の会議が開かれる予定。マレーシアはASEAN議長国として、米国と相互関税について協議する見通しだ。
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