NNAグローバルナビ アジア専門情報ブログ

ハイボールがMZ世代を魅了角瓶人気、コンビニも商品多様化

韓国では現在、「MZ世代」(1980~2000年代生まれ)を中心にハイボールブームが起きている。新型コロナウイルス禍で家飲み文化が定着する中、自分好みの味をつくれるハイボールが消費者を魅了した。ウイスキーの輸入量も急増し、中でもハイボール向けウイスキーの代表格であるサントリー「角瓶」の人気は絶大だ。ビールが主力だったコンビニエンスストアもハイボールの新商品を相次ぎ投入するなど、市場は急速に成長している。【清水岳志】

コンビニ各社が販売しているハイボールのRTD商品。種類は今後、さらに増える見通しだ=韓国(NNA撮影)

ウイスキーを炭酸水で割ったハイボールは元々、日本式居酒屋を中心に販売されていたが、近年は消費者が好みのウイスキーを購入して自宅で作る定番のカクテルメニューになった。特に、コロナ禍での家飲みがハイボール人気を後押ししている。
ハイボール人気を背景に、その元となるウイスキーの輸入も増えている。韓国関税庁の貿易統計によると、22年のウイスキーの輸入量は2,703万8,100トンで、前年(1,566万1,500トン)に比べて72.6%増えた。今年1~2月はさらに、22年同期の倍以上となっている。
とりわけ、サントリーが製造・販売するウイスキー「角瓶」をベースにした「角ハイボール」は、若者からの絶大な人気を誇る。韓国では日本での販売価格の倍以上の値段が付けられているが、それでも販売されればすぐに売り切れる人気ぶりだ。日本への旅行の際、角瓶を大量に購入する韓国人旅行者も少なくない。
このほど4万ウォン(約4,070円)で角瓶を購入し、自宅でハイボールを作ったというパク・ヘリさん(30代・女性)は、「いろいろなウイスキーを飲む機会があったが、お酒の香りが強過ぎず、マイルドで飲みやすかったのでハイボールにした方がよりおいしく、好みだった。角瓶はハイボールに最適なお酒だと思う」と、角瓶人気の背景について話す。
■コンビニで缶製品の販売急増
「家飲み」でハイボールの需要が急増していることから、コンビニ各社ではハイボールのRTD(Ready—To—Drink、ふたを開けてすぐにそのまま飲める飲料)商品のラインアップが多様化している。
最大手の「CU」を運営するBGFリテールは昨年11月、韓国のコンビニで初のハイボールのRTD商品を発売した。今年2月にはスコッチウイスキーをベースとした新製品「リアルウイスキーハイボール」をラインアップに加えた。売り上げはいずれの商品も好調で、「好みに合わせてお酒をブレンドして楽しむ習慣が若者を中心に広がっていることが、ハイボール人気につながった」(同社関係者)もようだ。

「GS25」や「セブン—イレブン」もハイボール市場に参入した。「GS25」の運営会社GSリテールは、地場人気ドーナツチェーンの「ノティド」と提携し、このほど「アップル」と「レモン」の2種類のハイボール商品を発売した。「セブン—イレブン」を手がけるロッテショッピング傘下のコリアセブンも、スコッチウイスキーの原液を20%使用したハイボールのRTD商品2種を12日に発売した。
ハイボールのRTD商品の売り上げをけん引するのは、やはり20~30代の若者だ。BGFリテールによると、昨年11月から今年3月までのハイボール商品の年代別売り上げを見ると、20代が45.2%、30代が31.0%で全体の7割以上を占めた。
■ビールメーカーもハイボール市場へ
ハイボール人気を受けて、同市場に新規参入するビールメーカーも出てきた。
地場クラフトビール大手のセブンブロイビールは、RTD商品の「ブラックネオン・ハイボール・レモントニック」を発売した。同社は小麦粉メーカー・大韓製粉のブランド「コムピョ」を用いたビールで人気を集めてクラフトビール人気をけん引してきたが、ブログや交流サイト(SNS)での人気に注目して新製品としてハイボールの発売を決めた。
新世界グループでビールや発泡酒、ウイスキーなどを製造・販売する新世界L&Bはこのほど、「ブタハイボール」「イノシシハイボール」などの商標を出願するとともに、ハイボールのRTD商品の発売を準備している。発売時期などは未定で、現在は原価や販売価格などの調整を行っているという。
新しい商品を求める傾向が強い韓国の消費者を、好みのウイスキーを炭酸水で割るという特徴で魅了したハイボール。数年前のクラフトビールブームで商品の種類が急増したように、ハイボール市場へ進出する酒類メーカーはさらに増えそうだ。

1本4万ウォンで販売されているサントリーの「角瓶」=韓国(パク・ヘリさん提供)
object(WP_Post)#9816 (24) {
  ["ID"]=>
  int(12841)
  ["post_author"]=>
  string(1) "3"
  ["post_date"]=>
  string(19) "2023-04-14 00:00:00"
  ["post_date_gmt"]=>
  string(19) "2023-04-13 15:00:00"
  ["post_content"]=>
  string(6573) "韓国では現在、「MZ世代」(1980~2000年代生まれ)を中心にハイボールブームが起きている。新型コロナウイルス禍で家飲み文化が定着する中、自分好みの味をつくれるハイボールが消費者を魅了した。ウイスキーの輸入量も急増し、中でもハイボール向けウイスキーの代表格であるサントリー「角瓶」の人気は絶大だ。ビールが主力だったコンビニエンスストアもハイボールの新商品を相次ぎ投入するなど、市場は急速に成長している。【清水岳志】[caption id="attachment_12844" align="aligncenter" width="620"]コンビニ各社が販売しているハイボールのRTD商品。種類は今後、さらに増える見通しだ=韓国(NNA撮影)[/caption]
ウイスキーを炭酸水で割ったハイボールは元々、日本式居酒屋を中心に販売されていたが、近年は消費者が好みのウイスキーを購入して自宅で作る定番のカクテルメニューになった。特に、コロナ禍での家飲みがハイボール人気を後押ししている。
ハイボール人気を背景に、その元となるウイスキーの輸入も増えている。韓国関税庁の貿易統計によると、22年のウイスキーの輸入量は2,703万8,100トンで、前年(1,566万1,500トン)に比べて72.6%増えた。今年1~2月はさらに、22年同期の倍以上となっている。
とりわけ、サントリーが製造・販売するウイスキー「角瓶」をベースにした「角ハイボール」は、若者からの絶大な人気を誇る。韓国では日本での販売価格の倍以上の値段が付けられているが、それでも販売されればすぐに売り切れる人気ぶりだ。日本への旅行の際、角瓶を大量に購入する韓国人旅行者も少なくない。
このほど4万ウォン(約4,070円)で角瓶を購入し、自宅でハイボールを作ったというパク・ヘリさん(30代・女性)は、「いろいろなウイスキーを飲む機会があったが、お酒の香りが強過ぎず、マイルドで飲みやすかったのでハイボールにした方がよりおいしく、好みだった。角瓶はハイボールに最適なお酒だと思う」と、角瓶人気の背景について話す。
■コンビニで缶製品の販売急増
「家飲み」でハイボールの需要が急増していることから、コンビニ各社ではハイボールのRTD(Ready—To—Drink、ふたを開けてすぐにそのまま飲める飲料)商品のラインアップが多様化している。
最大手の「CU」を運営するBGFリテールは昨年11月、韓国のコンビニで初のハイボールのRTD商品を発売した。今年2月にはスコッチウイスキーをベースとした新製品「リアルウイスキーハイボール」をラインアップに加えた。売り上げはいずれの商品も好調で、「好みに合わせてお酒をブレンドして楽しむ習慣が若者を中心に広がっていることが、ハイボール人気につながった」(同社関係者)もようだ。

「GS25」や「セブン—イレブン」もハイボール市場に参入した。「GS25」の運営会社GSリテールは、地場人気ドーナツチェーンの「ノティド」と提携し、このほど「アップル」と「レモン」の2種類のハイボール商品を発売した。「セブン—イレブン」を手がけるロッテショッピング傘下のコリアセブンも、スコッチウイスキーの原液を20%使用したハイボールのRTD商品2種を12日に発売した。
ハイボールのRTD商品の売り上げをけん引するのは、やはり20~30代の若者だ。BGFリテールによると、昨年11月から今年3月までのハイボール商品の年代別売り上げを見ると、20代が45.2%、30代が31.0%で全体の7割以上を占めた。
■ビールメーカーもハイボール市場へ
ハイボール人気を受けて、同市場に新規参入するビールメーカーも出てきた。
地場クラフトビール大手のセブンブロイビールは、RTD商品の「ブラックネオン・ハイボール・レモントニック」を発売した。同社は小麦粉メーカー・大韓製粉のブランド「コムピョ」を用いたビールで人気を集めてクラフトビール人気をけん引してきたが、ブログや交流サイト(SNS)での人気に注目して新製品としてハイボールの発売を決めた。
新世界グループでビールや発泡酒、ウイスキーなどを製造・販売する新世界L&Bはこのほど、「ブタハイボール」「イノシシハイボール」などの商標を出願するとともに、ハイボールのRTD商品の発売を準備している。発売時期などは未定で、現在は原価や販売価格などの調整を行っているという。
新しい商品を求める傾向が強い韓国の消費者を、好みのウイスキーを炭酸水で割るという特徴で魅了したハイボール。数年前のクラフトビールブームで商品の種類が急増したように、ハイボール市場へ進出する酒類メーカーはさらに増えそうだ。[caption id="attachment_12842" align="aligncenter" width="620"]1本4万ウォンで販売されているサントリーの「角瓶」=韓国(パク・ヘリさん提供)[/caption]" ["post_title"]=> string(84) "ハイボールがMZ世代を魅了角瓶人気、コンビニも商品多様化" ["post_excerpt"]=> string(0) "" ["post_status"]=> string(7) "publish" ["comment_status"]=> string(4) "open" ["ping_status"]=> string(4) "open" ["post_password"]=> string(0) "" ["post_name"]=> string(198) "%e3%83%8f%e3%82%a4%e3%83%9c%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%81%8c%ef%bd%8d%ef%bd%9a%e4%b8%96%e4%bb%a3%e3%82%92%e9%ad%85%e4%ba%86%e8%a7%92%e7%93%b6%e4%ba%ba%e6%b0%97%e3%80%81%e3%82%b3%e3%83%b3%e3%83%93%e3%83%8b" ["to_ping"]=> string(0) "" ["pinged"]=> string(0) "" ["post_modified"]=> string(19) "2023-04-14 04:00:04" ["post_modified_gmt"]=> string(19) "2023-04-13 19:00:04" ["post_content_filtered"]=> string(0) "" ["post_parent"]=> int(0) ["guid"]=> string(34) "https://nnaglobalnavi.com/?p=12841" ["menu_order"]=> int(0) ["post_type"]=> string(4) "post" ["post_mime_type"]=> string(0) "" ["comment_count"]=> string(1) "0" ["filter"]=> string(3) "raw" }
 NNA
エヌエヌエー NNA
アジアの経済ニュース・ビジネス情報 - NNA ASIA

アジア経済の詳細やビジネスに直結する新着ニュースを掲載。
現地の最新動向を一目で把握できます。
法律、会計、労務などの特集も多数掲載しています。

【東京本社】
105-7209 東京都港区東新橋1丁目7番1号汐留メディアタワー9階
Tel:81-3-6218-4330
Fax:81-3-6218-4337
E-mail:sales_jp@nna.asia
HP:https://www.nna.jp/

国・地域別
韓国情報
内容別
ビジネス全般人事労務

コメントを書く

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

※がついている欄は必須項目です。

コメント※:

お名前:

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください