インドネシアのスタートアップ、カザナ・ヒジャウ・インドネシア(レコシステム)は、市民からごみを回収して分別し、ペットボトルや段ボールなど再利用が可能な資源をリサイクル業者に販売することで収益を上げている。エルネスト・クリスチャン・レイマン最高経営責任者(CEO)は、インドネシアで分別されるごみは1割に満たないと指摘。ごみの回収量増加や再資源化で丸紅と協力するなど、事業を強化するとともに、循環型社会の構築に向け社会へ啓発を続ける。
レコシステムのエルネスト・クリスチャン・レイマン最高経営責任者(NNA撮影)
——ごみの分別事業を始めたきっかけは。
西ジャワ州バンドンの大学に在学中、中小零細企業向けに有機ごみを活用したバイオガス発生装置の研究を行っていた。2019年にレコシステムを設立し、バイオガス事業「Renergi(リネルギ)」を始めたが、燃料として回収したごみに無機物が多く含まれることに困っていた。
調べてみると、インドネシアで廃棄されるごみのうち、分別されてリサイクルされるものは全体の9%にとどまり、残りの90%以上はごみ処理場に堆積されるだけだった。ごみを細かく分別し、リサイクル業者に販売することで利益が生み出せると気づき、ごみ回収・分別事業「Repick(レピック)」を立ち上げ、注力するようになった。
——ごみ回収・分別事業の内容と収益化の仕組みは。
サービスは、一般市民向けと企業・住宅地向けに分けている。
一般市民向けでは、ジャカルタ首都圏や東ジャワ州スラバヤの計27カ所にごみの回収拠点を設置。拠点は、スタッフが常駐する「Waste Station」、無人の「Drop Box」、投入されるごみを自動で分別する無人の「IoT Drop Box」の3タイプがある。これらの拠点ではプラスチックや金属、紙、ガラス、食用油などリサイクルが可能な資源のみを回収する。利用者には、ごみの量に応じて、レコシステムの専用アプリを通じて電子マネーを付与する。
企業・住宅地向けサービスでは、レコシステムのスタッフが企業や住宅地を定期的に巡回し、有機ごみを含む全ての種類のごみを回収する。巡回の頻度に応じてごみ回収のサービス料金を支払ってもらう。
回収拠点と訪問で集めたごみは1カ月あたり1,000トンに上る。これらのごみはジャカルタに3カ所、スラバヤに1カ所ある「ハブ」と呼ばれる分別施設に送る。ハブではごみを60種類以上に分別し、それぞれの種類のリサイクル業者に販売している。
首都ジャカルタの都市高速鉄道(MRT)のブロックM BCA駅に設置された「Drop Box」(NNA撮影)
——ごみ回収は公共サービスの側面が強い。事業の今後の展望は。
事業の継続には、3つのP(Profit、People、Planet)のいずれをもよくしていくことをモットーに掲げている。
政府はごみ削減の目標を掲げているが、現場ではほとんど分別が浸透していないのが現状だ。人口が増えれば消費量が増える。それに伴いごみの量も増加し続ける。そこにビジネスチャンスがある。ごみの回収量を増やせば増やすほど、売り上げも増加する。
——4月に丸紅と協力覚書を締結した。
事業の拡大と発展に向けて、年内に回収拠点とハブの数をそれぞれ今の3倍に増やすことを目標に掲げている。このほか、これまでリサイクル業者に販売していたごみを再資源化して活用する方法も検討している。
また既存のごみ回収業者は、レコシステムのごみ回収パートナーとなりうる。彼らと連携することで、ごみ回収エリアを拡大させることができる。
デジタルアプリを活用してごみの回収を手がけるスタートアップもあるが、まだ回収しきれていないごみが多い以上、競合にはなり得ない。それよりも、ごみの分別の重要性を理解してもらうための啓発活動を共に手がける者と認識しておりメリットのほうが多い。(聞き手=高島雄太)
<会社概要>
2019年設立。21年にRepickのアプリを開発し、回収・分別事業を本格化。本社はジャカルタ南部のブロックM地区。このほかジャカルタとスラバヤにそれぞれ1カ所ずつ事務所を構える。従業員は26人。ごみの回収や分別で協力するパートナーは120人以上。
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——ごみの分別事業を始めたきっかけは。
西ジャワ州バンドンの大学に在学中、中小零細企業向けに有機ごみを活用したバイオガス発生装置の研究を行っていた。2019年にレコシステムを設立し、バイオガス事業「Renergi(リネルギ)」を始めたが、燃料として回収したごみに無機物が多く含まれることに困っていた。
調べてみると、インドネシアで廃棄されるごみのうち、分別されてリサイクルされるものは全体の9%にとどまり、残りの90%以上はごみ処理場に堆積されるだけだった。ごみを細かく分別し、リサイクル業者に販売することで利益が生み出せると気づき、ごみ回収・分別事業「Repick(レピック)」を立ち上げ、注力するようになった。
——ごみ回収・分別事業の内容と収益化の仕組みは。
サービスは、一般市民向けと企業・住宅地向けに分けている。
一般市民向けでは、ジャカルタ首都圏や東ジャワ州スラバヤの計27カ所にごみの回収拠点を設置。拠点は、スタッフが常駐する「Waste Station」、無人の「Drop Box」、投入されるごみを自動で分別する無人の「IoT Drop Box」の3タイプがある。これらの拠点ではプラスチックや金属、紙、ガラス、食用油などリサイクルが可能な資源のみを回収する。利用者には、ごみの量に応じて、レコシステムの専用アプリを通じて電子マネーを付与する。
企業・住宅地向けサービスでは、レコシステムのスタッフが企業や住宅地を定期的に巡回し、有機ごみを含む全ての種類のごみを回収する。巡回の頻度に応じてごみ回収のサービス料金を支払ってもらう。
回収拠点と訪問で集めたごみは1カ月あたり1,000トンに上る。これらのごみはジャカルタに3カ所、スラバヤに1カ所ある「ハブ」と呼ばれる分別施設に送る。ハブではごみを60種類以上に分別し、それぞれの種類のリサイクル業者に販売している。
[caption id="attachment_5328" align="aligncenter" width="620"]首都ジャカルタの都市高速鉄道(MRT)のブロックM BCA駅に設置された「Drop Box」(NNA撮影)[/caption]
——ごみ回収は公共サービスの側面が強い。事業の今後の展望は。
事業の継続には、3つのP(Profit、People、Planet)のいずれをもよくしていくことをモットーに掲げている。
政府はごみ削減の目標を掲げているが、現場ではほとんど分別が浸透していないのが現状だ。人口が増えれば消費量が増える。それに伴いごみの量も増加し続ける。そこにビジネスチャンスがある。ごみの回収量を増やせば増やすほど、売り上げも増加する。
——4月に丸紅と協力覚書を締結した。
事業の拡大と発展に向けて、年内に回収拠点とハブの数をそれぞれ今の3倍に増やすことを目標に掲げている。このほか、これまでリサイクル業者に販売していたごみを再資源化して活用する方法も検討している。
また既存のごみ回収業者は、レコシステムのごみ回収パートナーとなりうる。彼らと連携することで、ごみ回収エリアを拡大させることができる。
デジタルアプリを活用してごみの回収を手がけるスタートアップもあるが、まだ回収しきれていないごみが多い以上、競合にはなり得ない。それよりも、ごみの分別の重要性を理解してもらうための啓発活動を共に手がける者と認識しておりメリットのほうが多い。(聞き手=高島雄太)
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2019年設立。21年にRepickのアプリを開発し、回収・分別事業を本格化。本社はジャカルタ南部のブロックM地区。このほかジャカルタとスラバヤにそれぞれ1カ所ずつ事務所を構える。従業員は26人。ごみの回収や分別で協力するパートナーは120人以上。"
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