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スシロー居酒屋「杉玉」開業海外初、コスパと「映え」で勝負

回転ずし大手「スシロー」の居酒屋ブランド「杉玉」の海外1号店がきょう3日、香港で開業する。和食激戦区で日本酒人気も高まる香港を、居酒屋業態での海外初勝負の舞台に選んだ。スシロー同様「おいしいものを安く」をモットーに、「映え」を意識した遊び心あるメニューで市場を開拓。「予約が取れないほどの人気店」に育てたいと意気込む。【天野友紀子、蘇子善】[2371748_1.jpg]
杉玉は、スシローを運営するフード&ライフカンパニーズが展開するすしを目玉とする居酒屋ブランドだ。日本では2017年8月31日に1号店を開業し、今年8月1日時点で62店を展開。香港店は63店舗目として、香港島・湾仔の軒尼詩道(へネシーロード)沿いにある複合ビル「ザ・ヘネシー」の路面店としてオープンする。
グループ内で杉玉事業を統括するフード&ライフイノベーションズの木下嘉人社長はNNAに対し、杉玉の次の成長段階となる海外1号店を「やっと出店できた」とコメント。香港以外の国・地域への出店も見据え、まずは香港で「お客さまに喜んでもらえる店づくり」に取り組む。消費者の反応を見つつ、メニューやサービスを最適化していく考え。連日数時間待ちとなっている香港のスシロー各店舗を引き合いに出し、杉玉1号店も「予約の取れない居酒屋にしていきたい」と力を込めた。
■遊び心で差別化
杉玉は和食激戦区の香港で、グループの調達力を生かしたコストパフォーマンスの高いメニューで勝負する。目玉は質の高いすしと刺し身。「飲めるサーモン」(サーモン握り2貫、38HKドル=約630円)や「本日の欲張りな刺身四点盛り」(76HKドル)など、日本店の人気メニューを香港でも手頃な価格で提供する。
豊富な品ぞろえの日本酒や、交流サイト(SNS)で「映え」る料理で差別化も図る。映えメニューの筆頭は、杉玉をかたどった「杉玉ポテトサラダ」(48HKドル)だ。
屋号にもなっている杉玉は、酒蔵が軒先につるすスギの葉でできた球体。新しい酒が仕上がったことを伝える目印であり、酒の神様への感謝の気持ちを表したものでもあるという。
ポテトサラダは、まん丸くして青のりで包むことで杉玉を再現した。ランプフィッシュキャビアとネギトロのすしをキャビア缶に詰めた「キャビア寿司」(38HKドル)やランチ限定の「舟盛り丼」(128HKドル)など、SNSで話題になりそうなメニューが盛りだくさんだ。
木下氏は「写真を撮りたくなる、人に話したくなるメニューで遊び心を出した」と説明。店内設計も含めた明るい店作りで、仕事終わりの1杯以外でも「利用シーンを増やしていきたい」と語った。
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■酒は気軽に「半合から」
香港は日本酒の輸入量が多いことも、居酒屋業態参入の動機となった。農林水産省の21年の日本酒輸出統計によると、香港は量・金額とも中国本土、米国に次ぐ3位。輸出量は前年比23.4%増の3,243キロリットル、輸出額は50.7%増の93億800万円だった。
杉玉は、人気の高まりを意識して20種類の日本酒を用意。香港の飲食店では珍しく少量の「半合」(90ミリリットル)から注文できるほか、3種類の日本酒が楽しめる「飲み比べセット」(128HKドル)も提供する。半合は28HKドルからと、かなり手頃な価格に設定。木下氏は「ニーズが上がっているとはいえ、まだまだ日本酒に触れる機会は少ないのが現状。気軽に試しやすい環境を意識した」と説明した。
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■スシロー、年内に2店追加
フード&ライフカンパニーズは19年8月にスシローの香港1号店を出店した。現在は16店舗を展開するが、各店は連日、数時間の待ち時間が発生するほどの人気ぶりだ。
香港法人フード&ライフカンパニーズ香港の荒谷和男社長は「(需要に対し店舗数が)全然足りていない。できるならもっと出店したいが、物件探しに苦労している」と語る。回転ずし店は店内にベルトコンベヤーを設置する必要があるため、物件の広さや天井の高さ、ビルの入り口の位置など、クリアしなくてはならない条件が通常の飲食店に比べ多いという。条件に合う物件は「かなり限られている」ため、物件が見つかり次第、出店を決めているのが現状だ。
年内には新たに2店舗の開業を予定。新界地区・馬鞍山の商業施設「新港城中心(MOSタウン)」4期と、香港島・銅鑼湾(コーズウェーベイ)の「銅鑼湾広場(コーズウェーベイプラザ)」2期で、それぞれ開業準備が進んでいる。
スシローは海外では香港と韓国、台湾、シンガポール、タイ、中国本土の6カ国・地域に出店している。海外店舗は24年9月までに212店へと増やす目標を掲げており、うち香港は30~40店舗を占める予定だ。荒谷氏は「物件が順調に見つかりさえすれば、目標は達成できる」と自信を見せた。
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グループ内で杉玉事業を統括するフード&ライフイノベーションズの木下嘉人社長はNNAに対し、杉玉の次の成長段階となる海外1号店を「やっと出店できた」とコメント。香港以外の国・地域への出店も見据え、まずは香港で「お客さまに喜んでもらえる店づくり」に取り組む。消費者の反応を見つつ、メニューやサービスを最適化していく考え。連日数時間待ちとなっている香港のスシロー各店舗を引き合いに出し、杉玉1号店も「予約の取れない居酒屋にしていきたい」と力を込めた。
■遊び心で差別化
杉玉は和食激戦区の香港で、グループの調達力を生かしたコストパフォーマンスの高いメニューで勝負する。目玉は質の高いすしと刺し身。「飲めるサーモン」(サーモン握り2貫、38HKドル=約630円)や「本日の欲張りな刺身四点盛り」(76HKドル)など、日本店の人気メニューを香港でも手頃な価格で提供する。
豊富な品ぞろえの日本酒や、交流サイト(SNS)で「映え」る料理で差別化も図る。映えメニューの筆頭は、杉玉をかたどった「杉玉ポテトサラダ」(48HKドル)だ。
屋号にもなっている杉玉は、酒蔵が軒先につるすスギの葉でできた球体。新しい酒が仕上がったことを伝える目印であり、酒の神様への感謝の気持ちを表したものでもあるという。
ポテトサラダは、まん丸くして青のりで包むことで杉玉を再現した。ランプフィッシュキャビアとネギトロのすしをキャビア缶に詰めた「キャビア寿司」(38HKドル)やランチ限定の「舟盛り丼」(128HKドル)など、SNSで話題になりそうなメニューが盛りだくさんだ。
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■酒は気軽に「半合から」
香港は日本酒の輸入量が多いことも、居酒屋業態参入の動機となった。農林水産省の21年の日本酒輸出統計によると、香港は量・金額とも中国本土、米国に次ぐ3位。輸出量は前年比23.4%増の3,243キロリットル、輸出額は50.7%増の93億800万円だった。
杉玉は、人気の高まりを意識して20種類の日本酒を用意。香港の飲食店では珍しく少量の「半合」(90ミリリットル)から注文できるほか、3種類の日本酒が楽しめる「飲み比べセット」(128HKドル)も提供する。半合は28HKドルからと、かなり手頃な価格に設定。木下氏は「ニーズが上がっているとはいえ、まだまだ日本酒に触れる機会は少ないのが現状。気軽に試しやすい環境を意識した」と説明した。
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■スシロー、年内に2店追加
フード&ライフカンパニーズは19年8月にスシローの香港1号店を出店した。現在は16店舗を展開するが、各店は連日、数時間の待ち時間が発生するほどの人気ぶりだ。
香港法人フード&ライフカンパニーズ香港の荒谷和男社長は「(需要に対し店舗数が)全然足りていない。できるならもっと出店したいが、物件探しに苦労している」と語る。回転ずし店は店内にベルトコンベヤーを設置する必要があるため、物件の広さや天井の高さ、ビルの入り口の位置など、クリアしなくてはならない条件が通常の飲食店に比べ多いという。条件に合う物件は「かなり限られている」ため、物件が見つかり次第、出店を決めているのが現状だ。
年内には新たに2店舗の開業を予定。新界地区・馬鞍山の商業施設「新港城中心(MOSタウン)」4期と、香港島・銅鑼湾(コーズウェーベイ)の「銅鑼湾広場(コーズウェーベイプラザ)」2期で、それぞれ開業準備が進んでいる。
スシローは海外では香港と韓国、台湾、シンガポール、タイ、中国本土の6カ国・地域に出店している。海外店舗は24年9月までに212店へと増やす目標を掲げており、うち香港は30~40店舗を占める予定だ。荒谷氏は「物件が順調に見つかりさえすれば、目標は達成できる」と自信を見せた。
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