第301回
白井さん:みらい先生、こんにちは。海外渡航も緩和されてきて、来月10日間タイに出張することになりました。念願だった新規プロジェクトの立ち上げに関わることになり、とても張り切っています。
みらい: それは良かったですね。今後は海外に出張する機会も増えてくるかもしれませんね。海外出張中のスケジュールはどのようなご予定ですか?
白井さん:今回は1人で出張することになっているのですが、休日を挟んで9泊10日のスケジュールになっています。海外出張に行く場合、その出張期間中の費用について、課税上問題となるようなことはあるのでしょうか?
みらい:海外出張ですと、論点はさまざまありますが代表的なものをお伝えします。往復の航空運賃、日当、宿泊費などの海外渡航費は会社が負担しているところが多いと思いますが、この海外渡航費について、会社の費用として認められない場合や、個人の給与課税で問題になる場合があります。
白井さん:どのような場合に問題になるのでしょうか?
みらい:会社の費用として認められるかどうかですが、まずはその海外出張が業務の遂行上必要なものかどうかが論点になります。これについては、その旅行の目的、旅行先、旅行期間等から実質的に判定することになります。白井さんの場合、新規プロジェクトの立ち上げに関わる海外出張なので、この点については問題なさそうですね。
白井さん:はい。私の今回の海外出張の目的は、タイ各地の工場視察、市場調査、現地法人との打ち合わせなど今後の業務遂行上必要となってくるものです。
みらい:次に、個人の給与課税についてですが、支給された海外渡航費の額が適正な額であるかどうかが論点となります。これについては、その旅行先における物価事情、旅行先経路等から勘案して、その支給額の適否を判断することになります。不相当に高額なものについては給与として取り扱われる可能性がでてきます。
白井さん:私の場合、タイまでの往復の航空運賃、滞在期間の宿泊料ともに通常の料金で、日当についても海外出張旅費規程に基づいて3,000円が支給される予定です。
みらい:金額についても問題なさそうですね。あと、給与課税となるのは海外出張期間中に休日を含んでいる場合です。休日等の余暇は観光地を回ったり、ゴルフをしたり、業務と関係ないことをして過ごす方も多いと思います。この業務と関係ない休日の滞在費用を会社が負担しているときの取り扱いも問題となることがあります。
白井さん:確かにそうですね。私も休日にはバンコクを観光したいと思っています。私の場合、休日にあたる土・日曜日の2日間の滞在費用は給与として取り扱われることになるのでしょうか?
みらい:海外渡航費ですが、海外出張がその旅行期間のおおむね全期間を通じて、明らかに会社の業務の遂行上必要であると認められるときは、たとえ休日を利用して観光した場合であっても、その休日期間中の滞在費用も含めた全額をその会社の旅費として取り扱うことができます。白井さんの場合、10日間のうち休日は土日の2日なので、おおむね全期間を通じて業務遂行上必要な海外出張と考えられます。したがって、給与として取り扱われる可能性は低いと思います。出張先での現地課税と租税条約についても確認しておいてくださいね。
白井さん:よくわかりました。社内で海外渡航費がどのように取り扱われているのかも確認してみたいと思います。ありがとうございました。
筆者:みらいコンサルティンググループ/提供:NNA(先行連載)
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みらい: それは良かったですね。今後は海外に出張する機会も増えてくるかもしれませんね。海外出張中のスケジュールはどのようなご予定ですか?
白井さん:今回は1人で出張することになっているのですが、休日を挟んで9泊10日のスケジュールになっています。海外出張に行く場合、その出張期間中の費用について、課税上問題となるようなことはあるのでしょうか?
みらい:海外出張ですと、論点はさまざまありますが代表的なものをお伝えします。往復の航空運賃、日当、宿泊費などの海外渡航費は会社が負担しているところが多いと思いますが、この海外渡航費について、会社の費用として認められない場合や、個人の給与課税で問題になる場合があります。
白井さん:どのような場合に問題になるのでしょうか?
みらい:会社の費用として認められるかどうかですが、まずはその海外出張が業務の遂行上必要なものかどうかが論点になります。これについては、その旅行の目的、旅行先、旅行期間等から実質的に判定することになります。白井さんの場合、新規プロジェクトの立ち上げに関わる海外出張なので、この点については問題なさそうですね。
白井さん:はい。私の今回の海外出張の目的は、タイ各地の工場視察、市場調査、現地法人との打ち合わせなど今後の業務遂行上必要となってくるものです。
みらい:次に、個人の給与課税についてですが、支給された海外渡航費の額が適正な額であるかどうかが論点となります。これについては、その旅行先における物価事情、旅行先経路等から勘案して、その支給額の適否を判断することになります。不相当に高額なものについては給与として取り扱われる可能性がでてきます。
白井さん:私の場合、タイまでの往復の航空運賃、滞在期間の宿泊料ともに通常の料金で、日当についても海外出張旅費規程に基づいて3,000円が支給される予定です。
みらい:金額についても問題なさそうですね。あと、給与課税となるのは海外出張期間中に休日を含んでいる場合です。休日等の余暇は観光地を回ったり、ゴルフをしたり、業務と関係ないことをして過ごす方も多いと思います。この業務と関係ない休日の滞在費用を会社が負担しているときの取り扱いも問題となることがあります。
白井さん:確かにそうですね。私も休日にはバンコクを観光したいと思っています。私の場合、休日にあたる土・日曜日の2日間の滞在費用は給与として取り扱われることになるのでしょうか?
みらい:海外渡航費ですが、海外出張がその旅行期間のおおむね全期間を通じて、明らかに会社の業務の遂行上必要であると認められるときは、たとえ休日を利用して観光した場合であっても、その休日期間中の滞在費用も含めた全額をその会社の旅費として取り扱うことができます。白井さんの場合、10日間のうち休日は土日の2日なので、おおむね全期間を通じて業務遂行上必要な海外出張と考えられます。したがって、給与として取り扱われる可能性は低いと思います。出張先での現地課税と租税条約についても確認しておいてくださいね。
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