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バレンタインデーに日本酒を女性に照準、試飲会が盛況

日本貿易振興機構(ジェトロ)香港事務所は香港の繁華街・尖沙咀で10~12日、バレンタインデーに合わせた日本酒試飲会を開いた。「バレンタインに日本酒を」を合言葉に、主に日本酒になじみの薄い女性消費者に狙いを定めた。スパークリングやアルコール度数低めの日本酒など、初心者でも飲みやすい約50銘柄を用意。1,000人以上が会場を訪れ、日本酒の新たな魅力に触れた。【蘇子善、天野友紀子】

若い女性やカップルが多く来場し、さまざまな日本酒を味わった=10日、尖沙咀(ジェトロ香港提供)

ジェトロ香港が女性、特に若い女性にターゲットをしぼって大々的な日本酒試飲会を行うのは今回が初めて。試飲会は「ユア・ファースト・ラブ・サケ」と題し、尖沙咀の商業施設「美麗華広場(ミラ・プレース)」の地下1階・屋内広場で開催した。
ジェトロ香港の食品・酒類・観光プロモーション専門家、欧シ翹(シ=くさかんむりに止)氏によると、イベント名には香港の若い女性消費者が「初めて日本酒に恋をする」という意味が込められている。日本のバレンタインのように男性へのプレゼントを想定するのではなく、女性と日本酒との出会いの場を提供する試みだ。
■市場の裾野を広げる
香港は日本にとって主要な日本酒輸出先の一つだ。だが昨年は新型コロナウイルス対策で飲食店の営業が大幅に規制されたことから、香港への日本酒輸出額は前年比23.5%減の71億1,580万円と大きく落ち込んだ。
それでもジェトロ香港の山崎裕介・市場開拓部部長は「香港における日本酒人気は続いている」と断言し、消費の裾野を広げることでまだまだ輸出を伸ばせるとみている。昨年の日本酒輸出額が20年との比較では15.2%増、18~19年比では約2倍と大きく伸びており、日本酒の消費が現状ではまだ「飲食店」と「もともとアルコールを飲む人」に偏っていることが根拠だ。今回の試飲会を通じて「これまでとは違う客層に日本酒を広めたい。日本酒のイメージを親しみやすいものへと一新させ、飲みやすい日本酒もあることを伝えたい」と意気込む。
山崎氏によると、香港に輸入される酒類の6割はワインで、日本酒が占める割合は約5%と少ない。バレンタインに飲む酒をシャンパンやワインから日本酒へと換えてもらい、女性にも気軽に選ばれる酒とすることが目標だ。
■「こんな日本酒初めて」

アルコール度数の低い「ほろ酔い」銘柄。「普段はお酒を飲まない」という女性にも好評だった=10日、尖沙咀(NNA撮影)

高級スーパーマーケット「シティスーパー」などを展開するシティスーパーグループや酒元商店(サケ・モト)、福庫商行(Hukkuro)香港など、香港の酒販売業者10社が約50銘柄を選んだ。ジェトロ香港は50銘柄を◇スパークリング◇リキュール(果酒)◇ほろ酔い(微酔)◇ニュースタイル◇伝統の味(伝統滋味)——の5つに分類。カテゴリーごとに5つのブースを設け、試飲・プロモーションを行った。
会場での直売は行わなかったものの、取扱業者のウェブサイトなどにつながるQRコードを各銘柄の前に掲示。QRコードのリンク先から、各銘柄を注文・購入できるようにした。
11日には若い女性やカップルを中心に約1,000人が来場し、個性豊かな日本酒に舌鼓を打った。
欧氏や来場者に日本酒を紹介した女性スタッフらによると、スパークリングのブースでは宇宙旅行を経験した酵母を使った「スパークリング純米吟醸 宇宙に行ってきました。」(人気酒造、福島県二本松市)、リキュールでは桜の花びら入り「大雪渓 櫻酒」(大雪渓酒造、長野県北安曇郡池田町)、ニュースタイルでは白ワイン用のたるで熟成した「天の戸 純米吟醸 亀の尾 樽熟成」(浅舞酒造、秋田県横手市)などが特に人気。来場者からは「こんな日本酒は初めて」「飲みやすいんだと初めて知った」といった声が聞かれた。
飲みやすい銘柄や遊び心、特別感のある銘柄が好まれやすかったものの、「群馬泉 初しぼり 特別本醸造生酒」(島岡酒造、群馬県太田市)など、伝統的な日本酒を気に入る人も少なくなかったという。
期間中、全ブースで試飲し、どのカテゴリーの日本酒が最も気に入ったかを投票してくれた来場者には、香港の人気イラストレーター、ハロー・ウォンさんがパッケージをデザインした缶入りの日本酒「ICHI-GO-CAN(一合缶)」を贈呈した。さまざまな日本酒の一合缶を日本国内のほか香港やシンガポールへ輸出販売するスタートアップ企業のAgnavi(アグナビ、神奈川県茅ケ崎市)が、今回のイベントのために特別に製造した。
試飲会ではこのほか、チョコレートと日本酒のペアリングや、日本酒を飲むためのワイングラスに刻印をつけるワークショップといったイベントも開催。会場では14日まで、各銘柄の展示・紹介を継続する。

会場では日本酒関連のワークショップも複数開催=11日、尖沙咀(ジェトロ香港提供)
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ジェトロ香港の食品・酒類・観光プロモーション専門家、欧シ翹(シ=くさかんむりに止)氏によると、イベント名には香港の若い女性消費者が「初めて日本酒に恋をする」という意味が込められている。日本のバレンタインのように男性へのプレゼントを想定するのではなく、女性と日本酒との出会いの場を提供する試みだ。
■市場の裾野を広げる
香港は日本にとって主要な日本酒輸出先の一つだ。だが昨年は新型コロナウイルス対策で飲食店の営業が大幅に規制されたことから、香港への日本酒輸出額は前年比23.5%減の71億1,580万円と大きく落ち込んだ。
それでもジェトロ香港の山崎裕介・市場開拓部部長は「香港における日本酒人気は続いている」と断言し、消費の裾野を広げることでまだまだ輸出を伸ばせるとみている。昨年の日本酒輸出額が20年との比較では15.2%増、18~19年比では約2倍と大きく伸びており、日本酒の消費が現状ではまだ「飲食店」と「もともとアルコールを飲む人」に偏っていることが根拠だ。今回の試飲会を通じて「これまでとは違う客層に日本酒を広めたい。日本酒のイメージを親しみやすいものへと一新させ、飲みやすい日本酒もあることを伝えたい」と意気込む。
山崎氏によると、香港に輸入される酒類の6割はワインで、日本酒が占める割合は約5%と少ない。バレンタインに飲む酒をシャンパンやワインから日本酒へと換えてもらい、女性にも気軽に選ばれる酒とすることが目標だ。
■「こんな日本酒初めて」
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会場での直売は行わなかったものの、取扱業者のウェブサイトなどにつながるQRコードを各銘柄の前に掲示。QRコードのリンク先から、各銘柄を注文・購入できるようにした。
11日には若い女性やカップルを中心に約1,000人が来場し、個性豊かな日本酒に舌鼓を打った。
欧氏や来場者に日本酒を紹介した女性スタッフらによると、スパークリングのブースでは宇宙旅行を経験した酵母を使った「スパークリング純米吟醸 宇宙に行ってきました。」(人気酒造、福島県二本松市)、リキュールでは桜の花びら入り「大雪渓 櫻酒」(大雪渓酒造、長野県北安曇郡池田町)、ニュースタイルでは白ワイン用のたるで熟成した「天の戸 純米吟醸 亀の尾 樽熟成」(浅舞酒造、秋田県横手市)などが特に人気。来場者からは「こんな日本酒は初めて」「飲みやすいんだと初めて知った」といった声が聞かれた。
飲みやすい銘柄や遊び心、特別感のある銘柄が好まれやすかったものの、「群馬泉 初しぼり 特別本醸造生酒」(島岡酒造、群馬県太田市)など、伝統的な日本酒を気に入る人も少なくなかったという。
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