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【日本の税務】海外勤務の延長で1年を超える場合の課税関係

第298回

張さん:みらい先生、お久しぶりです。

みらい:張さん、随分お久しぶりですね。そういえば、張さんは昨年の8月から10カ月間の予定でベトナムに赴任されていましたよね。ベトナムの生活はいかがですか?

張さん:そうですね。生活にはだいぶ慣れましたが、日本食が懐かしくて早く戻りたいです。実は3月に現地のプロジェクトの延長が決まりまして、支援が1年間延びることになりました。当初は海外での勤務期間が1年未満の予定だったので、「居住者」として所得税について国内勤務者と同様の課税をしてきました。今回のように、海外での勤務期間が1年間追加される場合、「非居住者」になりますよね?

みらい:そのとおりです。1年未満の海外勤務予定で出国した場合には、「居住者」として取り扱われますが、その後事情の変更があり海外勤務が1年以上となることが明らかになった場合には、その明らかになった日以降は「非居住者」となります。

張さん:そうなりますと、これまでの海外勤務期間(昨年の8月から3月現在)の給与の課税関係を訂正することになるのでしょうか?

みらい:当初の予定では海外での勤務期間が10カ月(1年未満)だったため、たとえ勤務期間が延長され1年以上になったとしても、過去にさかのぼって修正する必要はありません。

張さん:わかりました。安心しました。

みらい:あくまで延長が確定した時点から「非居住者」として取り扱うことになります。つまり、昨年の8月から延長が決まるまでは「居住者」ですので、日本で課税されます。延長が決まった後からは「非居住者」となるため、日本で勤務しない限り、日本で課税されないということになります。

張さん:なるほど、実際に海外に居住していた期間ではなく、1年以上となることが明らかになった時点で日本での課税関係を判断するのですね。よくわかりました。ところで、今年の年末調整はどのように行うのでしょうか?

みらい:張さんは延長が決まるまでは「居住者」となっているため、年末調整を行って税額の精算をする必要があります。「非居住者」となった後の給与については非課税となり、年末調整を行う必要がありません。

張さん:なるほど、配偶者控除と扶養控除の計算はどうなりますでしょうか?

みらい:年の途中で「居住者」から「非居住者」となった場合の配偶者控除と扶養控除については、非居住者となった時の現況によって判定を行います。例えば、配偶者について配偶者控除を受ける場合には、月割りなどはせずに満額控除できることとなります。

張さん:わかりました。安心しました。ところで、年末調整の対象とならない控除(医療費控除、雑損控除、寄付金控除)を受けることはできますでしょうか。

みらい:年末調整の対象とならない控除(医療費控除、雑損控除、寄付金控除)の適用を受ける場合は、確定申告を行う必要があります。確定申告には日本国内で「納税管理人」を定める必要がありますが、「納税管理人」についてはNNAに掲載された別のQ&Aを参考にしてみてください。

張さん:ありがとうございます。ご相談できて大変助かりました。早めに準備したいと思います。今日はいろいろと教えていただきありがとうございました。

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張さん:みらい先生、お久しぶりです。

みらい:張さん、随分お久しぶりですね。そういえば、張さんは昨年の8月から10カ月間の予定でベトナムに赴任されていましたよね。ベトナムの生活はいかがですか?

張さん:そうですね。生活にはだいぶ慣れましたが、日本食が懐かしくて早く戻りたいです。実は3月に現地のプロジェクトの延長が決まりまして、支援が1年間延びることになりました。当初は海外での勤務期間が1年未満の予定だったので、「居住者」として所得税について国内勤務者と同様の課税をしてきました。今回のように、海外での勤務期間が1年間追加される場合、「非居住者」になりますよね?

みらい:そのとおりです。1年未満の海外勤務予定で出国した場合には、「居住者」として取り扱われますが、その後事情の変更があり海外勤務が1年以上となることが明らかになった場合には、その明らかになった日以降は「非居住者」となります。

張さん:そうなりますと、これまでの海外勤務期間(昨年の8月から3月現在)の給与の課税関係を訂正することになるのでしょうか?

みらい:当初の予定では海外での勤務期間が10カ月(1年未満)だったため、たとえ勤務期間が延長され1年以上になったとしても、過去にさかのぼって修正する必要はありません。

張さん:わかりました。安心しました。

みらい:あくまで延長が確定した時点から「非居住者」として取り扱うことになります。つまり、昨年の8月から延長が決まるまでは「居住者」ですので、日本で課税されます。延長が決まった後からは「非居住者」となるため、日本で勤務しない限り、日本で課税されないということになります。

張さん:なるほど、実際に海外に居住していた期間ではなく、1年以上となることが明らかになった時点で日本での課税関係を判断するのですね。よくわかりました。ところで、今年の年末調整はどのように行うのでしょうか?

みらい:張さんは延長が決まるまでは「居住者」となっているため、年末調整を行って税額の精算をする必要があります。「非居住者」となった後の給与については非課税となり、年末調整を行う必要がありません。

張さん:なるほど、配偶者控除と扶養控除の計算はどうなりますでしょうか?

みらい:年の途中で「居住者」から「非居住者」となった場合の配偶者控除と扶養控除については、非居住者となった時の現況によって判定を行います。例えば、配偶者について配偶者控除を受ける場合には、月割りなどはせずに満額控除できることとなります。

張さん:わかりました。安心しました。ところで、年末調整の対象とならない控除(医療費控除、雑損控除、寄付金控除)を受けることはできますでしょうか。

みらい:年末調整の対象とならない控除(医療費控除、雑損控除、寄付金控除)の適用を受ける場合は、確定申告を行う必要があります。確定申告には日本国内で「納税管理人」を定める必要がありますが、「納税管理人」についてはNNAに掲載された別のQ&Aを参考にしてみてください。

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 みらいコンサルティンググループ
ミライ コンサルティング グループ みらいコンサルティンググループ
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みらいコンサルティング(旧中央青山PwCコンサルティング)は、グループに監査法人、税理士法人、社会保険労務士法人、各種事業会社を持つ総勢約300名の総合コンサルティングファーム。国内には東京本社のほか10都市に支社を展開。海外には中国(北京・上海・深セン)、シンガポール、タイ(バンコク)、ベトナム(ホーチミン・ハノイ)、マレーシア(クアラルンプール)に子会社を設立、現地にて日系企業の海外展開におけるビジネスコンサルティングを提供している。

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