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自動車展向け中国系EV続々来月開幕、10ブランドが出展予定

インドネシア最大の自動車展示・販売会「ガイキンド・インドネシア国際オートショー(GIIAS)2024」が7月に首都ジャカルタ郊外で開催されるのを前に、中国系メーカーによる電気自動車(EV)投入の動きが活発になっている。今年のGIIASでは中国系ブランドが新たに5社出展し、計10ブランドとなる予定で、市場の9割以上のシェアを維持する日系11ブランドに迫る出展数となる。中国系の新規参入、既存ブランドともに今年前半のうちに新型EVの発表が相次ぎ、各社の競争が停滞する市場を刺激するか注目される。

インドネシア政府は将来的な現地生産の実施などを条件に、EVの完成車(CBU)輸入を優遇する制度を導入し、EVメーカーの進出を誘致している。写真は「インドネシア国際モーターショー(IIMS)2024」でBYDのブースを視察したジョコ・ウィドド大統領(右端)=2月、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

12日に公表されたGIIAS2024の出展ブランド数は、二輪・四輪合わせて過去最多の55ブランド。GIIASの出展数は中国系ブランドの増加などにより、年々増加傾向にあり、とりわけEV市場を構成するプレーヤーが急速に変化している。
EV市場に最も大きな影響を与えると考えられるのが、GIIASに初出展する中国のEV最大手、比亜迪(BYD)だ。BYDは1月に3車種を一気に投入し、今月中にも納車を開始する。
地元メディアがBYDディーラーの販売員の話として報じたところによると、GIIASの開催を前に、2月にインドネシアで披露していた、高級多目的車(MPV)「DENZA(騰勢)D9」の事前予約を開始した。NNAが現地法人BYDモーター・インドネシアに確認したところ、ナタン・スン取締役(オペレーション担当)は14日、「BYDモーター・インドネシアの正式な発表ではなく、コメントできない」と述べた。
BYDに対抗するように、既存のEVブランドも攻勢を強めている。インドネシア市場に2017年に進出した上汽通用五菱汽車(SGMW、ウーリン)は、23年12月と今年5月にハッチバックを矢継ぎ早に発売。現在、1~5月のEV販売台数で首位に躍り出ている。23年のEVブランド別販売で首位だった韓国・現代自動車は、今年前半は失速。一方、6月上旬に現地生産2モデル目となるEV「コナ・エレクトリック」の事前予約の受け付けを開始するなど再浮上を図る。

1~5月のEV販売台数で2位に付ける中国の奇瑞汽車(チェリー)は、2月にクロスオーバースポーツタイプ多目的車(SUV)のEV「オモダE5」を発売し、早期購入者向けに割引価格を提供するなどアピール。このほど正式に発表したガソリン車の小型SUV「ティッゴ5X」でも、事前予約の特別価格をさらに値下げした価格設定を行うなど、存在感を高めるために躍起となっている。
中国の合衆新能源汽車が展開するEVブランド「ナタ汽車」(ナ=口へんに那、タ=口へんに託のつくり、NETA)は、5月に発売した小型SUV「NETA V—II」に続き、GIIASで早くも中型SUVを発表する予定だ。
GIIASで正式参入する中国系ブランドには、タイに進出済みの広汽埃安新能源汽車(AION)や、北京汽車集団(BAIC)、奇瑞汽車傘下の「Jaecoo」と「JETOUR」があり、BAICは東南アジア初となる生産拠点の開設に関して発表を行う予定だ。

インドネシア市場に新規参入する広汽埃安新能源汽車(AION)のEV「Yプラス」(AIONのウェブサイトより)


■2~3年以内にEV届きやすく
自動車産業の専門家のベビン・ジュアナ氏は、NNAに対し、「中国ブランドによるEV投入は自動車産業に新しい風を吹き込んでいる」と指摘。EVは価格の高さがネックとなり普及の障害になってきたが、中国ブランドが従来よりも手に届きやすい価格でEVをそろえつつあるとした上で、モダンな内外装デザインのほか、寿命が長いリン酸鉄リチウムイオン電池(LFPバッテリー)などの性能面でも向上していると述べた。同時に、充電ステーションも増えてきたため、今後の急速に販売が伸びる可能性があるとした。

24年1~5月のEV販売で首位となっている上汽通用五菱汽車(SGMW)。ハッチバックEV「クラウドEV」(写真手前)や「ビンゴEV」(写真奥)を立て続けに投入している=4月、ジャカルタ特別州(NNA撮影)

中国系EVメーカーの参入表明や製品投入の動きを後押ししていると考えられるのが、政府が今年から施行した、将来的な現地生産などを条件としたEVの完成車(CBU)輸入に対する税制優遇だ。ベビン氏は「国内に工場が建設されるまでの間、減税を提供する新しい規制は、明らかにEV販売の加速に貢献している」と分析する。工場の準備が整い量産体制に入ることで、2~3年以内にEVが消費者に届きやすくなるだろうと述べた。
一方、ベビン氏は日系企業が強みを持つハイブリッド車(HV)については、大気汚染の緩和や石油消費量の減少に効果が期待できるため、「政府は早急に減税を導入するべきだ」と主張。ただし、大きな効果が期待できない「マイルドハイブリッド」(エンジンをアシストする機能に特化しバッテリーのみでは走行しないシステム)などは除くと付け加えた。
ベビン氏は「バッテリーEVに完全に移行する前に、多くの消費者がHVに乗ると考えられる。(HVに強みを持つ)日本ブランドに対する信頼は、高い品質と最新の機能を搭載することによって維持されるが、新しい中国ブランドの存在に日本ブランドは注意する必要がある」との考えを述べた。
中国ブランドがEVをてこにインドネシア市場へ本格的に参入する中、90%以上のシェアを維持する日系メーカーはGIIAS2024で、トヨタやホンダなどがHVを含めた電動車を中心に新車種を展示する予定だ。
国内の新車市場は、販売ブランド数が増加する一方、5月まで11カ月連続で前年同月割れとなり停滞期が続いている。国内最大の展示会の開催を契機に市場浮揚につながるかが注目される。

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12日に公表されたGIIAS2024の出展ブランド数は、二輪・四輪合わせて過去最多の55ブランド。GIIASの出展数は中国系ブランドの増加などにより、年々増加傾向にあり、とりわけEV市場を構成するプレーヤーが急速に変化している。
EV市場に最も大きな影響を与えると考えられるのが、GIIASに初出展する中国のEV最大手、比亜迪(BYD)だ。BYDは1月に3車種を一気に投入し、今月中にも納車を開始する。
地元メディアがBYDディーラーの販売員の話として報じたところによると、GIIASの開催を前に、2月にインドネシアで披露していた、高級多目的車(MPV)「DENZA(騰勢)D9」の事前予約を開始した。NNAが現地法人BYDモーター・インドネシアに確認したところ、ナタン・スン取締役(オペレーション担当)は14日、「BYDモーター・インドネシアの正式な発表ではなく、コメントできない」と述べた。
BYDに対抗するように、既存のEVブランドも攻勢を強めている。インドネシア市場に2017年に進出した上汽通用五菱汽車(SGMW、ウーリン)は、23年12月と今年5月にハッチバックを矢継ぎ早に発売。現在、1~5月のEV販売台数で首位に躍り出ている。23年のEVブランド別販売で首位だった韓国・現代自動車は、今年前半は失速。一方、6月上旬に現地生産2モデル目となるEV「コナ・エレクトリック」の事前予約の受け付けを開始するなど再浮上を図る。

1~5月のEV販売台数で2位に付ける中国の奇瑞汽車(チェリー)は、2月にクロスオーバースポーツタイプ多目的車(SUV)のEV「オモダE5」を発売し、早期購入者向けに割引価格を提供するなどアピール。このほど正式に発表したガソリン車の小型SUV「ティッゴ5X」でも、事前予約の特別価格をさらに値下げした価格設定を行うなど、存在感を高めるために躍起となっている。
中国の合衆新能源汽車が展開するEVブランド「ナタ汽車」(ナ=口へんに那、タ=口へんに託のつくり、NETA)は、5月に発売した小型SUV「NETA V—II」に続き、GIIASで早くも中型SUVを発表する予定だ。
GIIASで正式参入する中国系ブランドには、タイに進出済みの広汽埃安新能源汽車(AION)や、北京汽車集団(BAIC)、奇瑞汽車傘下の「Jaecoo」と「JETOUR」があり、BAICは東南アジア初となる生産拠点の開設に関して発表を行う予定だ。
[caption id="attachment_20619" align="aligncenter" width="620"]インドネシア市場に新規参入する広汽埃安新能源汽車(AION)のEV「Yプラス」(AIONのウェブサイトより)[/caption]

■2~3年以内にEV届きやすく
自動車産業の専門家のベビン・ジュアナ氏は、NNAに対し、「中国ブランドによるEV投入は自動車産業に新しい風を吹き込んでいる」と指摘。EVは価格の高さがネックとなり普及の障害になってきたが、中国ブランドが従来よりも手に届きやすい価格でEVをそろえつつあるとした上で、モダンな内外装デザインのほか、寿命が長いリン酸鉄リチウムイオン電池(LFPバッテリー)などの性能面でも向上していると述べた。同時に、充電ステーションも増えてきたため、今後の急速に販売が伸びる可能性があるとした。
[caption id="attachment_20616" align="aligncenter" width="620"]24年1~5月のEV販売で首位となっている上汽通用五菱汽車(SGMW)。ハッチバックEV「クラウドEV」(写真手前)や「ビンゴEV」(写真奥)を立て続けに投入している=4月、ジャカルタ特別州(NNA撮影)[/caption]
中国系EVメーカーの参入表明や製品投入の動きを後押ししていると考えられるのが、政府が今年から施行した、将来的な現地生産などを条件としたEVの完成車(CBU)輸入に対する税制優遇だ。ベビン氏は「国内に工場が建設されるまでの間、減税を提供する新しい規制は、明らかにEV販売の加速に貢献している」と分析する。工場の準備が整い量産体制に入ることで、2~3年以内にEVが消費者に届きやすくなるだろうと述べた。
一方、ベビン氏は日系企業が強みを持つハイブリッド車(HV)については、大気汚染の緩和や石油消費量の減少に効果が期待できるため、「政府は早急に減税を導入するべきだ」と主張。ただし、大きな効果が期待できない「マイルドハイブリッド」(エンジンをアシストする機能に特化しバッテリーのみでは走行しないシステム)などは除くと付け加えた。
ベビン氏は「バッテリーEVに完全に移行する前に、多くの消費者がHVに乗ると考えられる。(HVに強みを持つ)日本ブランドに対する信頼は、高い品質と最新の機能を搭載することによって維持されるが、新しい中国ブランドの存在に日本ブランドは注意する必要がある」との考えを述べた。
中国ブランドがEVをてこにインドネシア市場へ本格的に参入する中、90%以上のシェアを維持する日系メーカーはGIIAS2024で、トヨタやホンダなどがHVを含めた電動車を中心に新車種を展示する予定だ。
国内の新車市場は、販売ブランド数が増加する一方、5月まで11カ月連続で前年同月割れとなり停滞期が続いている。国内最大の展示会の開催を契機に市場浮揚につながるかが注目される。

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