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「韓国人と本音で討論」駐在員教育課程、権教授に聞く

韓国の「地域専門家」を育成するための教育プログラム「Gateway to Korea」(GTK)。韓国の延世大学が実施する「特殊大学院」の課程として、韓国在住の日系企業駐在員向けに開かれている。9月からは第9期の開講に加え、今年から韓国企業向けのプログラム「Gateway to Japan」(GTJ)も実施される。責任教授である延世大学の権聖主(コン・ソンジュ)兼任教授にプログラムの取り組みについて聞いた。

GTK責任教授の権氏=ソウル市(NNA撮影)

——プログラム開始から9年目を迎える。
政治や経済、文化など日韓の違いを理解するとともに、専門家から学生まで幅広いネットワークを構築することで、ビジネスの成功や社会貢献につなげるという趣旨で取り組んできた。
GTKでは、テーマごとに第一人者の専門家などを講師に迎え入れ、受講生を交えてディスカッションすることで、韓国における物事の本質や韓国人の考えを熟知してもらう。
日韓の歴史的背景から、日本人と韓国人はなかなか本音で話せないのが実情だ。クローズドな空間で自分が思っている意見をそれぞれぶつけ合いながら理解を深め、「韓国の地域専門家」を増やすことを目的にしている。
これまで1期20人の枠で計160人ほどの修了生を輩出した。教育制度の一環として駐在員にGTKを受講させる企業もあり、2016年のプログラム開始時から比べれば認知度はかなり高まってきている。
——好評なプログラムは。
昨年から始めた「未来対談『現役大学生との自由討論』」は非常に好評だった。日系駐在員が韓国の20~30代と直接議論を交わすことがほとんどないため、多くの刺激を受けたようだ。
「MZ」(1980年代~00年代生まれ)世代と呼ばれる韓国の若者は日本に対する関心が高く、日本製品に対する購買意欲も非常に高い。その若者の考えを正確に把握する上でも、良い機会になったのではないか。
——9期の目玉は。
高麗大学心理学科のホ・テギュン教授が講師を務める「社会心理学で見る、関係主義の『韓国人』」だ。韓国の日系駐在員が最も知りたいことは「韓国人とは何か」だと思う。これまでにいろんなテーマで韓国人について論じてきたが、なかなか答えを出すのが難しい。
ホ教授はこれに対し、これまで「集団主義」とされてきた韓国人を「関係主義」だと定義付けしている。社会の関係性の中で自分を捉える韓国人の特性について、社会心理学的に分析する講義は一見の価値があるだろう。
——登録料が高いと感じる人もいるようだ。
韓国の大学には、現職の経営者や教師などがレベルアップを図るために開設される「特殊大学院」という教育課程が数多くある。GTKも特殊大学院に位置付けられるが、登録料450万ウォン(約51万円、全14カリキュラム)は、他の特殊大学院のプログラムに比べて大幅に低く設定している。
また、カリキュラムの半分ほどは同時通訳で授業を進めているが、その場合はベテラン通訳者の配置などによりコストが大幅に上昇する。駐在員や日韓の学会、メディアなど約200人規模で実施する「日韓ネットワーキングパーティー」も参加費無料で実施するなど、赤字にならない最低のラインで運営している。
——一時的なプログラムにしないための取り組みは。
課程修了者は、オンラインで全てのGTK講義に生涯無料参加できるほか、日本に帰任した修了者の同門会である「GTK日本会」への参加により帰任後もネットワークを維持することが可能だ。こうした特典からも、修了者の満足度は非常に高い。
——今年からは日本進出韓国企業向けのプログラムを開始する。
GTKの逆バージョンで「GTJ」を9月に開講する。場所はGTKと同じ延世大学で、日本進出を準備する韓国企業が主な対象となる。プログラムを通じて、日韓の架け橋になる「知日」のビジネスパーソンを育成する目的がある。
日本専門の大学教授や日本メディア関係者などの講義に加え、日本の若者との「未来対談」や日系企業・機関への視察なども実施する予定だ。GTK日本会とのネットワークを深めるなど、相互理解を増進していければ日韓のビジネス環境もさらに向上していくはずだ。(聞き手=中村公)
GTK:
正式名称は「Gateway to Korea-Advanced Executive Program」。参加者は週1回、全14週間、政治経済・社会・文化に至る韓国社会全般と韓国でのビジネス戦略などを学べる。修了者は延世大学総同門会の正式会員になるため、GTKメンバーや講師陣だけでなく、延世大卒業生とのネットワークも構築できる。
権聖主兼任教授:
延世大学政治外交学科卒業後、同大学院政治学科で修士号を取得。錦湖アシアナグループ本部の戦略企画チームでの勤務を経て、東京大学大学院で国際政治学の博士号を取得した。

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日韓の歴史的背景から、日本人と韓国人はなかなか本音で話せないのが実情だ。クローズドな空間で自分が思っている意見をそれぞれぶつけ合いながら理解を深め、「韓国の地域専門家」を増やすことを目的にしている。
これまで1期20人の枠で計160人ほどの修了生を輩出した。教育制度の一環として駐在員にGTKを受講させる企業もあり、2016年のプログラム開始時から比べれば認知度はかなり高まってきている。
——好評なプログラムは。
昨年から始めた「未来対談『現役大学生との自由討論』」は非常に好評だった。日系駐在員が韓国の20~30代と直接議論を交わすことがほとんどないため、多くの刺激を受けたようだ。
「MZ」(1980年代~00年代生まれ)世代と呼ばれる韓国の若者は日本に対する関心が高く、日本製品に対する購買意欲も非常に高い。その若者の考えを正確に把握する上でも、良い機会になったのではないか。
——9期の目玉は。
高麗大学心理学科のホ・テギュン教授が講師を務める「社会心理学で見る、関係主義の『韓国人』」だ。韓国の日系駐在員が最も知りたいことは「韓国人とは何か」だと思う。これまでにいろんなテーマで韓国人について論じてきたが、なかなか答えを出すのが難しい。
ホ教授はこれに対し、これまで「集団主義」とされてきた韓国人を「関係主義」だと定義付けしている。社会の関係性の中で自分を捉える韓国人の特性について、社会心理学的に分析する講義は一見の価値があるだろう。
——登録料が高いと感じる人もいるようだ。
韓国の大学には、現職の経営者や教師などがレベルアップを図るために開設される「特殊大学院」という教育課程が数多くある。GTKも特殊大学院に位置付けられるが、登録料450万ウォン(約51万円、全14カリキュラム)は、他の特殊大学院のプログラムに比べて大幅に低く設定している。
また、カリキュラムの半分ほどは同時通訳で授業を進めているが、その場合はベテラン通訳者の配置などによりコストが大幅に上昇する。駐在員や日韓の学会、メディアなど約200人規模で実施する「日韓ネットワーキングパーティー」も参加費無料で実施するなど、赤字にならない最低のラインで運営している。
——一時的なプログラムにしないための取り組みは。
課程修了者は、オンラインで全てのGTK講義に生涯無料参加できるほか、日本に帰任した修了者の同門会である「GTK日本会」への参加により帰任後もネットワークを維持することが可能だ。こうした特典からも、修了者の満足度は非常に高い。
——今年からは日本進出韓国企業向けのプログラムを開始する。
GTKの逆バージョンで「GTJ」を9月に開講する。場所はGTKと同じ延世大学で、日本進出を準備する韓国企業が主な対象となる。プログラムを通じて、日韓の架け橋になる「知日」のビジネスパーソンを育成する目的がある。
日本専門の大学教授や日本メディア関係者などの講義に加え、日本の若者との「未来対談」や日系企業・機関への視察なども実施する予定だ。GTK日本会とのネットワークを深めるなど、相互理解を増進していければ日韓のビジネス環境もさらに向上していくはずだ。(聞き手=中村公)
GTK:
正式名称は「Gateway to Korea-Advanced Executive Program」。参加者は週1回、全14週間、政治経済・社会・文化に至る韓国社会全般と韓国でのビジネス戦略などを学べる。修了者は延世大学総同門会の正式会員になるため、GTKメンバーや講師陣だけでなく、延世大卒業生とのネットワークも構築できる。
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