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【日本の税務】一時帰国者が国内の免税店の利用をする場合について

第320回
望月さん:みらい先生、ご無沙汰をしております。
みらい:お久しぶりです。米国に赴任されて以来ですから、2年ぶりですね。
望月さん:はい。赴任期間は1年残っていますが、ようやく、まとまったお休みが取れたので、日本に一時帰国することができました。
みらい:相変わらずお仕事が忙しそうですね。日本ではゆっくり休めそうですか?
望月さん:そうしたいところですが、子供の学校もありますので、向こうに残った妻からいろいろと買い物を頼まれてしまって、ゆっくりしている時間はなさそうです。
みらい:そうですか、それは大変ですね。ちなみに、日本人である望月さんも、日本の免税店を利用すれば、お土産を購入する際の消費税について免除が受けられることはご存じですか?
望月さん:えっ?外国人旅行者が免税になるとは認識していましたが、私のような日本人でも、その制度を受けることができるのですか?
みらい:はい。この制度は、税務署の許可を受けた免税店で、要件を満たした非居住者が、対象物品を所定の手続きにより購入した場合に、消費税が免除される制度です。
望月さん:私は2年以上、米国に住んでいますから非居住者に該当して、この規定を受けることができるのですね。
みらい:はい。非居住者には、外国人旅行者に加えて、外国で勤務することを目的に出国した人で、一時的に帰国をしている方も該当します。ただ、購入時に4つの要件を満たしている必要があります。1.パスポートの帰国印が押されてから半年未満であること、2.在留証明または戸籍の付票の写しで海外に2年以上住んでいることが証明されること、3.証明書類に本籍地の地番が記載されていること、4.その書類の発行日が入国日の6カ月前の日以降であること——が必要になります。
望月さん:帰国前に妻に言われるがまま準備した書類はこのためだったのですね。どうやら要件は満たしているようですが、どのような物品が免除対象となりますか?
みらい:対象となる物品は、「消耗品」とされる飲食料品・化粧品類等と、「一般物品」とされる消耗品以外の家電・宝飾品等の2つの区分に限られています。そして、同じ免税店で購入した1日の合計額が5,000円以上である必要があり、「消耗品」の場合は上限50万円とされています。
望月さん:意外と適用範囲が広いですね。では、この制度を利用するための、手続きを教えてください。
みらい:「一般物品」の場合は、買い物をした際、お店に「購入者誓約書」(購入した物品を日本から持ち出す=輸出する=ことを誓約するもの)を提出します。また、お店で作成する「購入記録票」をパスポートに貼り付けて割印をしてもらい、その後、出国する際にこの書類を税関に提出します。「消耗品」の場合は、上記の手続きのほか「購入者誓約書」に購入した日から30日以内に輸出する旨を記載します。購入した消耗品は国内で消費されないよう、開封した場合にそれが分かるシールで封印されます。もし、出国前に誤って開封してしまったときには、出国時に税関で消費税相当額が徴収されるので注意が必要です。
望月さん:よく分かりました。この制度を利用して購入したいと思います。みらい先生、ありがとうございました。
筆者:みらいコンサルティンググループ/提供:NNA(先行連載)

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みらい:相変わらずお仕事が忙しそうですね。日本ではゆっくり休めそうですか?
望月さん:そうしたいところですが、子供の学校もありますので、向こうに残った妻からいろいろと買い物を頼まれてしまって、ゆっくりしている時間はなさそうです。
みらい:そうですか、それは大変ですね。ちなみに、日本人である望月さんも、日本の免税店を利用すれば、お土産を購入する際の消費税について免除が受けられることはご存じですか?
望月さん:えっ?外国人旅行者が免税になるとは認識していましたが、私のような日本人でも、その制度を受けることができるのですか?
みらい:はい。この制度は、税務署の許可を受けた免税店で、要件を満たした非居住者が、対象物品を所定の手続きにより購入した場合に、消費税が免除される制度です。
望月さん:私は2年以上、米国に住んでいますから非居住者に該当して、この規定を受けることができるのですね。
みらい:はい。非居住者には、外国人旅行者に加えて、外国で勤務することを目的に出国した人で、一時的に帰国をしている方も該当します。ただ、購入時に4つの要件を満たしている必要があります。1.パスポートの帰国印が押されてから半年未満であること、2.在留証明または戸籍の付票の写しで海外に2年以上住んでいることが証明されること、3.証明書類に本籍地の地番が記載されていること、4.その書類の発行日が入国日の6カ月前の日以降であること——が必要になります。
望月さん:帰国前に妻に言われるがまま準備した書類はこのためだったのですね。どうやら要件は満たしているようですが、どのような物品が免除対象となりますか?
みらい:対象となる物品は、「消耗品」とされる飲食料品・化粧品類等と、「一般物品」とされる消耗品以外の家電・宝飾品等の2つの区分に限られています。そして、同じ免税店で購入した1日の合計額が5,000円以上である必要があり、「消耗品」の場合は上限50万円とされています。
望月さん:意外と適用範囲が広いですね。では、この制度を利用するための、手続きを教えてください。
みらい:「一般物品」の場合は、買い物をした際、お店に「購入者誓約書」(購入した物品を日本から持ち出す=輸出する=ことを誓約するもの)を提出します。また、お店で作成する「購入記録票」をパスポートに貼り付けて割印をしてもらい、その後、出国する際にこの書類を税関に提出します。「消耗品」の場合は、上記の手続きのほか「購入者誓約書」に購入した日から30日以内に輸出する旨を記載します。購入した消耗品は国内で消費されないよう、開封した場合にそれが分かるシールで封印されます。もし、出国前に誤って開封してしまったときには、出国時に税関で消費税相当額が徴収されるので注意が必要です。
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