個人の外貨管理の概要を、「経常項目外為業務ガイド(匯発[2020]14号)」に基づいて解説します。
1.外貨と人民元の換金
① 外貨から人民元への換金(第54条)
個人(中国公民・外国人双方)は、身分証を提示すれば、年間累計US$5万の範囲内で、外貨から人民元に換金できます。
尚、近親者に対して、この自由換金(人民元転、外貨転)を委託することが認められます。近親者とは、配偶者、父母、兄弟姉妹、祖父母、外祖父母、孫、外孫を指します(第61条)。
② 人民元から外貨への換金
1)換金
中国公民は、年間累計US$ 5万以内であれば、銀行に身分証を提示すれば、人民元から外貨への換金が認められます。
一方、外国人個人には総量枠は認められておらず、中国内で取得した経常性人民元は、銀行に証憑書類を提示して、換金申請する必要があります(第59条)。
例えば、人民元建て給与の場合、身分証明書と個人所得税納税証明などを銀行に提示しますが、申告所得内であれば、通常は問題なく換金できます。
2)両替後の再換金
外国人個人が、外貨から人民元に換金した未使用残額の、外貨への再換金は、元となる換金証明(24ヶ月有効)に基づき認められます。制限金額は、一日の累計額はUS$ 500以内、出国手続き後の換金は、US$ 1,000以内となります(第60条)。
2.対外送金
① 中国人公民の経常性外貨対外送金制限(第64条)
1)外貨口座内資金の対外送金
外貨口座内の対外送金は、当日の送金額がUS$5万以内であれば、銀行に身分証明書を提示する事で認められます。それを超過する場合は、加えて、用途説明資料の提示が必要です。
これは、外貨口座内外貨は来歴が明確であるため、下記2)の現金の場合に比較して、大きめの送金枠が認められているものです。
2)外貨現金の対外送金
外貨現金を銀行に持ち込み、対外送金する場合は、当日の送金額がUS$ 1万以内であれば、身分証の提示で、送金が認められます。
それを超過する場合は、加えて、税関印のある「海关申报单」、若しくは、本人の、元の銀行預金の外貨引出証明と、用途説明資料の提示が必要です。
② 外国人個人の経常性外貨対外送金(第65条)
1)外貨口座内資金の対外送金
外貨口座内の外貨は、銀行に、身分証明書を提示することで、対外送金が認められます。
外国人には、上記①の通り、人民元から外貨への換金に付いては総量枠制限が無く、個別に銀行手続をした上で外貨換金を行います。このため、外貨口座内の資金の対外送金は、中国公民よりも規制が緩くなっています(送金額の制限がない)。
尚、企業に対してはクロスボーダー人民元決済が解禁されていますが、個人の場合は、まだ認められていません。よって、対外送金が必要な場合は、必ず外貨に換金した上で、送金する必要があります。
2)外貨現金の送金
外貨現金を銀行に持ち込み対外送金する場合、当日の送金額がUS$ 1万以内であれば、身分証の提示で対応が認められます。これは、中国公民と同様です。
それを超過する場合は、加えて、税関印のある「海关申报单」、若しくは、本人の、元の銀行預金の外貨引出証明と、用途説明資料の提示が必要です。
3.外貨現金管理
① 外貨現金引出(第86条)
個人の外貨現金の引出は、当日累計US$ 1万以内であれば、銀行に、身分証明書を提示すれば、認められます。
特別の必要性(外貨事情の悪い国への出国など)により、US$ 1万以上の現金引出が必要な場合は、身分証明書以外に、用途説明を所管の外貨管理局で備案した上で、「提起外币现钞备案表」を取得し、銀行に提示する必要があります。尚、備案書の有効期限は30日以内となります。
② 外貨現金の人民元への換金(第88条)
年間換金枠(US$ 5万)に基づく、外貨現金の人民元への換金は、当日累計US$ 1万相当以内であれば、身分証明書のみで認められます。それを超過する場合は、加えて、税関印のある「海关申报单」、若しくは、本人の、元の銀行預金の外貨引出証明と、用途説明資料の提示が必要です。
③ 外貨携帯制限(第89条)
個人の外貨携帯入境制限は、US$5,000以内であり、それを超過する場合は、税関申告が必要です。但し、同日内の複数回入国、短期間に多数入国する場合は、二回目以降は、金額に拘わらず、税関申告が必要です。
個人の出境時の外貨携帯は、直近の入境時の持ち込み申告記録がない場合、US$ 5,000超~US$ 1万以内の場合は、銀行に「携带外汇出境许可证」の発行を申請する必要があります。US$ 1万を超過する場合、取引銀行所在地の外貨管理局に、「携带外汇出境许可证」の発行を申請する必要があります。
執筆日:2022年3月29日
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① 外貨から人民元への換金(第54条)
個人(中国公民・外国人双方)は、身分証を提示すれば、年間累計US$5万の範囲内で、外貨から人民元に換金できます。
尚、近親者に対して、この自由換金(人民元転、外貨転)を委託することが認められます。近親者とは、配偶者、父母、兄弟姉妹、祖父母、外祖父母、孫、外孫を指します(第61条)。
② 人民元から外貨への換金
1)換金
中国公民は、年間累計US$ 5万以内であれば、銀行に身分証を提示すれば、人民元から外貨への換金が認められます。
一方、外国人個人には総量枠は認められておらず、中国内で取得した経常性人民元は、銀行に証憑書類を提示して、換金申請する必要があります(第59条)。
例えば、人民元建て給与の場合、身分証明書と個人所得税納税証明などを銀行に提示しますが、申告所得内であれば、通常は問題なく換金できます。
2)両替後の再換金
外国人個人が、外貨から人民元に換金した未使用残額の、外貨への再換金は、元となる換金証明(24ヶ月有効)に基づき認められます。制限金額は、一日の累計額はUS$ 500以内、出国手続き後の換金は、US$ 1,000以内となります(第60条)。
2.対外送金
① 中国人公民の経常性外貨対外送金制限(第64条)
1)外貨口座内資金の対外送金
外貨口座内の対外送金は、当日の送金額がUS$5万以内であれば、銀行に身分証明書を提示する事で認められます。それを超過する場合は、加えて、用途説明資料の提示が必要です。
これは、外貨口座内外貨は来歴が明確であるため、下記2)の現金の場合に比較して、大きめの送金枠が認められているものです。
2)外貨現金の対外送金
外貨現金を銀行に持ち込み、対外送金する場合は、当日の送金額がUS$ 1万以内であれば、身分証の提示で、送金が認められます。
それを超過する場合は、加えて、税関印のある「海关申报单」、若しくは、本人の、元の銀行預金の外貨引出証明と、用途説明資料の提示が必要です。
② 外国人個人の経常性外貨対外送金(第65条)
1)外貨口座内資金の対外送金
外貨口座内の外貨は、銀行に、身分証明書を提示することで、対外送金が認められます。
外国人には、上記①の通り、人民元から外貨への換金に付いては総量枠制限が無く、個別に銀行手続をした上で外貨換金を行います。このため、外貨口座内の資金の対外送金は、中国公民よりも規制が緩くなっています(送金額の制限がない)。
尚、企業に対してはクロスボーダー人民元決済が解禁されていますが、個人の場合は、まだ認められていません。よって、対外送金が必要な場合は、必ず外貨に換金した上で、送金する必要があります。
2)外貨現金の送金
外貨現金を銀行に持ち込み対外送金する場合、当日の送金額がUS$ 1万以内であれば、身分証の提示で対応が認められます。これは、中国公民と同様です。
それを超過する場合は、加えて、税関印のある「海关申报单」、若しくは、本人の、元の銀行預金の外貨引出証明と、用途説明資料の提示が必要です。
3.外貨現金管理
① 外貨現金引出(第86条)
個人の外貨現金の引出は、当日累計US$ 1万以内であれば、銀行に、身分証明書を提示すれば、認められます。
特別の必要性(外貨事情の悪い国への出国など)により、US$ 1万以上の現金引出が必要な場合は、身分証明書以外に、用途説明を所管の外貨管理局で備案した上で、「提起外币现钞备案表」を取得し、銀行に提示する必要があります。尚、備案書の有効期限は30日以内となります。
② 外貨現金の人民元への換金(第88条)
年間換金枠(US$ 5万)に基づく、外貨現金の人民元への換金は、当日累計US$ 1万相当以内であれば、身分証明書のみで認められます。それを超過する場合は、加えて、税関印のある「海关申报单」、若しくは、本人の、元の銀行預金の外貨引出証明と、用途説明資料の提示が必要です。
③ 外貨携帯制限(第89条)
個人の外貨携帯入境制限は、US$5,000以内であり、それを超過する場合は、税関申告が必要です。但し、同日内の複数回入国、短期間に多数入国する場合は、二回目以降は、金額に拘わらず、税関申告が必要です。
個人の出境時の外貨携帯は、直近の入境時の持ち込み申告記録がない場合、US$ 5,000超~US$ 1万以内の場合は、銀行に「携带外汇出境许可证」の発行を申請する必要があります。US$ 1万を超過する場合、取引銀行所在地の外貨管理局に、「携带外汇出境许可证」の発行を申請する必要があります。
執筆日:2022年3月29日
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