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22年の日系予測昇給率3.74%7年ぶり高水準、人材不足影響

シンガポール日本商工会議所(JCCI)が法人会員を対象に実施した賃金調査で、2022年の予測昇給率(中央積立基金=CPF=の負担を除く)は3.74%となった。21年の実績より高く、7年ぶりの高水準となる見通しだ。現地で人材不足による売り手市場が強まる中、優秀な人材を取り込むために日系企業の間で高い給与を提示する動きが広がっていることが背景にあるようだ。

シンガポール日本商工会議所(JCCI)が法人会員を対象に実施した賃金調査で、2022年の予測昇給率は3.74%となった=シンガポール中心部(NNA撮影)

JCCIは21日に日本人会館とオンラインで同時開催した「NWC(全国賃金評議会)ガイドライン説明会・2022年賃金調査結果報告会」で、21年の予測昇給率などを公表した。
調査は4月1日から6月17日にかけて会員日系企業717社を対象に実施。365社から回答を得た。シンガポール法人の給与体系で賃金が支給される社員が対象で、駐在員は含まれない。
21年の昇給実績は3.12%で、20年実績(2.74%)を上回った。21年に実施した調査では、同年の昇給率は2.22%と予想され、12年ぶりの低水準となる見通しだったが、実際はこれを上回った。
全8業種のうち1業種を除いて20年実績を上回った。唯一下回ったのは新型コロナウイルス禍の打撃が大きかった分野を含む生活産業部会(人材関連、メディア、小売り・レストラン、観光、自治体・団体、その他個人向けサービス)で、20年実績の3.61%から2.68%に低下した。
22年の昇給率は、全体で21年の実績からさらに上昇し3.74%となる見通しだ。2年連続の上昇で、15年の3.78%以来の高水準となる。
業種別では、全8業種のうち7業種が21年実績を上回る見込み。最も高いのは第一工業部会(機械=輸送、精密、産業、一般、工作を含む=、金属、エンジニアリング)で5.99%。21年実績の2.78%から3.21ポイント上昇する計算だ。
法人サービス・ITは21年実績の4.13%から4.20%、第二工業部会(繊維、化学、食品、ガラス、ゴム、ガス、石油、セメント、印刷、紙、塗料など)は3.07%から3.65%にそれぞれ上昇することが見込まれている。
生活産業部会は2.99%となり、21年実績の2.68%を上回る見通し。ただ全業種の中で予測昇給率は最も低い。
建設・不動産は3.07%と、21年実績の3.31%から下がる予測となった。
JCCIの梁瑜事務局長はNNAに対し、22年の昇給率の見通しについて「昨今、会員企業の間で大きな課題となっている『人材の維持と獲得』がもたらす結果ではないか」と指摘。売り手市場の中、優秀な人材を取り込むため、より高い給料を提示することが必要になると付け加えた。
■賞与は前年下回る予測
調査ではボーナス(年間賃金補助=AWS=1カ月を含む)の実績と見通しも聞いた。21年の実績は、管理職で前年実績の2.48カ月から2.65カ月、非管理職で2.19カ月から2.39カ月にそれぞれ上がった。
22年の見通しは、管理職で2.48カ月、非管理職で2.25カ月となった。いずれも21年実績を下回る水準だ。
JCCIの梁氏は、「例年のデータを見ると、ボーナスの見通しが前年の実績やその年の実際の支払額よりも低くなることはよくある」と説明。回答率は昇給率予測が85%であるのに比べて、ボーナス予測は27%にとどまっているため、あくまで参考データになると付け加えた。

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JCCIは21日に日本人会館とオンラインで同時開催した「NWC(全国賃金評議会)ガイドライン説明会・2022年賃金調査結果報告会」で、21年の予測昇給率などを公表した。
調査は4月1日から6月17日にかけて会員日系企業717社を対象に実施。365社から回答を得た。シンガポール法人の給与体系で賃金が支給される社員が対象で、駐在員は含まれない。
21年の昇給実績は3.12%で、20年実績(2.74%)を上回った。21年に実施した調査では、同年の昇給率は2.22%と予想され、12年ぶりの低水準となる見通しだったが、実際はこれを上回った。
全8業種のうち1業種を除いて20年実績を上回った。唯一下回ったのは新型コロナウイルス禍の打撃が大きかった分野を含む生活産業部会(人材関連、メディア、小売り・レストラン、観光、自治体・団体、その他個人向けサービス)で、20年実績の3.61%から2.68%に低下した。
22年の昇給率は、全体で21年の実績からさらに上昇し3.74%となる見通しだ。2年連続の上昇で、15年の3.78%以来の高水準となる。
業種別では、全8業種のうち7業種が21年実績を上回る見込み。最も高いのは第一工業部会(機械=輸送、精密、産業、一般、工作を含む=、金属、エンジニアリング)で5.99%。21年実績の2.78%から3.21ポイント上昇する計算だ。
法人サービス・ITは21年実績の4.13%から4.20%、第二工業部会(繊維、化学、食品、ガラス、ゴム、ガス、石油、セメント、印刷、紙、塗料など)は3.07%から3.65%にそれぞれ上昇することが見込まれている。
生活産業部会は2.99%となり、21年実績の2.68%を上回る見通し。ただ全業種の中で予測昇給率は最も低い。
建設・不動産は3.07%と、21年実績の3.31%から下がる予測となった。
JCCIの梁瑜事務局長はNNAに対し、22年の昇給率の見通しについて「昨今、会員企業の間で大きな課題となっている『人材の維持と獲得』がもたらす結果ではないか」と指摘。売り手市場の中、優秀な人材を取り込むため、より高い給料を提示することが必要になると付け加えた。
■賞与は前年下回る予測
調査ではボーナス(年間賃金補助=AWS=1カ月を含む)の実績と見通しも聞いた。21年の実績は、管理職で前年実績の2.48カ月から2.65カ月、非管理職で2.19カ月から2.39カ月にそれぞれ上がった。
22年の見通しは、管理職で2.48カ月、非管理職で2.25カ月となった。いずれも21年実績を下回る水準だ。
JCCIの梁氏は、「例年のデータを見ると、ボーナスの見通しが前年の実績やその年の実際の支払額よりも低くなることはよくある」と説明。回答率は昇給率予測が85%であるのに比べて、ボーナス予測は27%にとどまっているため、あくまで参考データになると付け加えた。
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