新型コロナウイルス禍でストップしていた日韓観光が、本格的な回復軌道に乗った。8月の訪韓者数は前月比で4割強増え、日本向けパッケージ旅行商品の予約率は急上昇している。韓国政府による無査証(ノービザ)入国の認可に加え、日韓両政府が入国前のコロナ検査を廃止したことも後押しとなりそうだ。日本政府も近くノービザ入国を再開するとの見通しもあり、韓国の観光・航空業界でも期待が高まっている。【清水岳志】
大手旅行会社のハナツアーは、海外旅行商品の目玉として日本へのパッケージ旅行のプロモーションを展開=韓国(同社HPのキャプチャ—)
韓国国土交通省の航空情報ポータルによると、日本の主要5空港(成田・関西・新千歳・中部・福岡)からの韓国路線(仁川空港到着ベース)の8月の利用客数は6万6,338人で、7月(4万5,553人)に比べて45.6%も増えた。格安航空会社(LCC)を中心に日本路線の運航便数を拡大したことに加え、ノービザ入国の再開が大きく後押しした。
韓国政府は現在、インバウンド(訪韓観光客)増大を狙い日本と台湾、マカオの3カ国・地域を対象にしたノービザ入国を認めている。当初は8月1カ月間の限定だったが、国内の旅行代理店など観光業界からの強い要望を考慮し、10月末まで期間を延長した。
韓国政府が期間限定ながらノービザ入国を認めたのは、インバウンド回復には多くの外国人観光客を呼び込む必要があると判断したためだ。韓国は7月から短期滞在の観光ビザの発給を再開したが、日本では申請者が殺到してビザを取得するのに1カ月ほど待たされる状況だった。
9月からは韓国入国時の陰性確認書の提出義務が撤廃され、韓国観光のハードルがさらに下がった。韓国政府や自治体は海外でのプロモーション活動を積極的に展開し、インバウンドの増大を図る考えだ。
■日本パックツアーの予約急増
インバウンドだけでなく、アウトバウンドの回復への期待も大きい。とりわけ、日本政府が今月7日から3回目のワクチン接種完了者に対して入国前のPCR検査を廃止し、添乗員なしのパッケージ旅行を認可したことから、日本への旅行商品の予約率が再び上昇している。
大手旅行会社のハナツアーによると、8月29~9月4日の日本行きパッケージ旅行商品の1日平均の予約率は、直前2週間(8月15~28日)の約4.1倍に急増した。また、全海外旅行商品の予約に占める日本への旅行商品の比率も、同期間に8.3%から26.1%まで拡大した。
ハナツアーは現在、「再び旅立つ日本旅行2」というプロモーションを実施中だ。東京や大阪、福岡の30万ウォン(約3万1,000円)代の格安パッケージ旅行商品を販売し、アウトバウンドの取り込みを図っている。同社関係者は「日本が段階的に外国人観光客の受け入れを拡大している。このため、10月以降に出発する日本への旅行商品に関する問い合わせが増えている」と話す。
他の旅行会社でも、日本向け旅行は人気商品のようだ。旅行会社の「ノランプンソン(黄色い風船)」では、8月31日から9月6日の海外旅行商品の予約件数が8月17~23日比で約2.4倍となった。行き先別では、東南アジアが38%、日本が24%、トルコが8%の順。同社は「国単位では、日本が最も人気が高い」と説明した。
■旅行業界が社員の復帰急ぐ
旅行需要の回復に合わせて、旅行会社や航空会社では休職中の社員を業務に復帰させる動きが目立っている。
モドゥツアーはこのほど、拡大する海外旅行需要に対応するため休職中だった全社員を復帰させると発表した。8月時点で勤務中の社員は平時の65%にとどめており、当初はその勤務体系を12月まで維持する計画だった。同社の関係者は「エンデミック(日常的に流行する感染症)による新型コロナ感染症に対する認識の変化で、冷え込んでいた旅行心理と需要が回復しつつあると判断した」と説明する。
地場LCC最大手の済州航空も、航空便の運航本数の増加に合わせて10月以降に休職中の客室乗務員を復帰させる方針という。
日本政府が近く、入国制限のさらなる緩和やノービザ入国の再開を発表すると予想されており、日本への旅行需要はさらに高まる公算が大きい。韓国人にとって日本は最も人気の海外旅行先であるだけに、日韓観光の本格的な往来の再開に対する観光・航空業界の期待は高まるばかりだ。
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韓国国土交通省の航空情報ポータルによると、日本の主要5空港(成田・関西・新千歳・中部・福岡)からの韓国路線(仁川空港到着ベース)の8月の利用客数は6万6,338人で、7月(4万5,553人)に比べて45.6%も増えた。格安航空会社(LCC)を中心に日本路線の運航便数を拡大したことに加え、ノービザ入国の再開が大きく後押しした。
韓国政府は現在、インバウンド(訪韓観光客)増大を狙い日本と台湾、マカオの3カ国・地域を対象にしたノービザ入国を認めている。当初は8月1カ月間の限定だったが、国内の旅行代理店など観光業界からの強い要望を考慮し、10月末まで期間を延長した。
韓国政府が期間限定ながらノービザ入国を認めたのは、インバウンド回復には多くの外国人観光客を呼び込む必要があると判断したためだ。韓国は7月から短期滞在の観光ビザの発給を再開したが、日本では申請者が殺到してビザを取得するのに1カ月ほど待たされる状況だった。
9月からは韓国入国時の陰性確認書の提出義務が撤廃され、韓国観光のハードルがさらに下がった。韓国政府や自治体は海外でのプロモーション活動を積極的に展開し、インバウンドの増大を図る考えだ。
■日本パックツアーの予約急増
インバウンドだけでなく、アウトバウンドの回復への期待も大きい。とりわけ、日本政府が今月7日から3回目のワクチン接種完了者に対して入国前のPCR検査を廃止し、添乗員なしのパッケージ旅行を認可したことから、日本への旅行商品の予約率が再び上昇している。
大手旅行会社のハナツアーによると、8月29~9月4日の日本行きパッケージ旅行商品の1日平均の予約率は、直前2週間(8月15~28日)の約4.1倍に急増した。また、全海外旅行商品の予約に占める日本への旅行商品の比率も、同期間に8.3%から26.1%まで拡大した。
ハナツアーは現在、「再び旅立つ日本旅行2」というプロモーションを実施中だ。東京や大阪、福岡の30万ウォン(約3万1,000円)代の格安パッケージ旅行商品を販売し、アウトバウンドの取り込みを図っている。同社関係者は「日本が段階的に外国人観光客の受け入れを拡大している。このため、10月以降に出発する日本への旅行商品に関する問い合わせが増えている」と話す。
他の旅行会社でも、日本向け旅行は人気商品のようだ。旅行会社の「ノランプンソン(黄色い風船)」では、8月31日から9月6日の海外旅行商品の予約件数が8月17~23日比で約2.4倍となった。行き先別では、東南アジアが38%、日本が24%、トルコが8%の順。同社は「国単位では、日本が最も人気が高い」と説明した。
■旅行業界が社員の復帰急ぐ
旅行需要の回復に合わせて、旅行会社や航空会社では休職中の社員を業務に復帰させる動きが目立っている。
モドゥツアーはこのほど、拡大する海外旅行需要に対応するため休職中だった全社員を復帰させると発表した。8月時点で勤務中の社員は平時の65%にとどめており、当初はその勤務体系を12月まで維持する計画だった。同社の関係者は「エンデミック(日常的に流行する感染症)による新型コロナ感染症に対する認識の変化で、冷え込んでいた旅行心理と需要が回復しつつあると判断した」と説明する。
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日本政府が近く、入国制限のさらなる緩和やノービザ入国の再開を発表すると予想されており、日本への旅行需要はさらに高まる公算が大きい。韓国人にとって日本は最も人気の海外旅行先であるだけに、日韓観光の本格的な往来の再開に対する観光・航空業界の期待は高まるばかりだ。
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