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日系車工場、生産が正常化地震の影響限定、郊外に利点

ミャンマー中部を震源とする大地震の影響で一時的に生産を停止していたタイの日系自動車メーカーは3月31日、工場の生産が正常化した。強い揺れが確認された首都バンコクよりも東部や南東部に工場が位置していることもあり地震の揺れは小さく、生産への影響はほぼなかった。一方で想定外の事態に備えた対応策は今後の検討材料になりそうだ。

トヨタ自動車は地震の影響がほぼなかった=3月31日、首都バンコク(写真はサービス拠点、NNA撮影)

トヨタ自動車はバンコク東部のチャチュンサオ県など3カ所に工場を構えている。同社タイ法人の広報担当者は、31日午前時点で「ミャンマーの工場のほか、タイ国内の3工場はすべて通常通り稼働している」と説明した。従業員の安否は確認しているものの、今のところ被害は出ていない。
地震が発生した28日は、午後は安全確認のためミャンマー工場の稼働を一時停止した。タイ工場も一時停止したが、同日の夜勤から再開した。生産停止の期間が短かったこともあり、生産台数などへの影響はほぼなかった。
今後の設備の耐震補強や地震に備えた設備配置の変更などについては、安全が確認されているとして追加の対策は実施しない予定と話した。
日産自動車は31日からサムットプラカン県の工場の生産が正常化した。同社タイ法人の関係者によると、28日の地震発生時は全従業員を避難させた。その影響で工場は一時稼働を停止し、同日に再開しなかった。ただ週末は元々休みだったこともあり、生産への影響はほぼ出ていない。
安全状況については現在調査している。必要な対策は講じていく構えだが、現時点で被害が報告されておらず、具体的に決まったことはないと述べた。
タイは日系自動車メーカーの一大生産拠点だ。バンコクの近郊や主要な港湾であるレムチャバン港の周辺に集まっている。同港の周辺には日系企業が多く入居する工業団地がある。
地震の揺れは震源のミャンマー中部から1,000キロメートル以上離れたバンコクでも確認されたが、サムットプラカン県はさらに東に約50キロ、チョンブリ県やレムチャバン港がある地域はバンコクから南東に約100キロ離れている。こうした「地の利」により影響が軽微で済んだとみられる。
三菱自動車はチョンブリ県のレムチャバン港近くの工業団地に入居する工場の生産を止めなかった。同社広報担当者は「揺れが確認できなかったため、地震発生当日も通常通り稼働した」と話した。一方、バンコクに構えるオフィスでは地震発生時に退避命令が出たため全員脱出し、従業員全員の安全を確認した。現在は通常通りオフィスに出勤しているという。
ホンダのタイ法人関係者も地震による生産ライン設備への打撃は確認されなかったことを明らかにした。今後については必要な事前対策を進めていく考えを示した。
タイの自動車産業は、国内経済の減速や家計債務の膨張に伴い厳しい状況が続いている。2024年通年の自動車生産台数は、前年比20%減の147万台と2年連続で前年割れだった。それでも、サプライチェーン(供給網)などの観点から周辺国と比べて相対的に重要度が高い国に位置付けられている。

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トヨタ自動車はバンコク東部のチャチュンサオ県など3カ所に工場を構えている。同社タイ法人の広報担当者は、31日午前時点で「ミャンマーの工場のほか、タイ国内の3工場はすべて通常通り稼働している」と説明した。従業員の安否は確認しているものの、今のところ被害は出ていない。
地震が発生した28日は、午後は安全確認のためミャンマー工場の稼働を一時停止した。タイ工場も一時停止したが、同日の夜勤から再開した。生産停止の期間が短かったこともあり、生産台数などへの影響はほぼなかった。
今後の設備の耐震補強や地震に備えた設備配置の変更などについては、安全が確認されているとして追加の対策は実施しない予定と話した。
日産自動車は31日からサムットプラカン県の工場の生産が正常化した。同社タイ法人の関係者によると、28日の地震発生時は全従業員を避難させた。その影響で工場は一時稼働を停止し、同日に再開しなかった。ただ週末は元々休みだったこともあり、生産への影響はほぼ出ていない。
安全状況については現在調査している。必要な対策は講じていく構えだが、現時点で被害が報告されておらず、具体的に決まったことはないと述べた。
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地震の揺れは震源のミャンマー中部から1,000キロメートル以上離れたバンコクでも確認されたが、サムットプラカン県はさらに東に約50キロ、チョンブリ県やレムチャバン港がある地域はバンコクから南東に約100キロ離れている。こうした「地の利」により影響が軽微で済んだとみられる。
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ホンダのタイ法人関係者も地震による生産ライン設備への打撃は確認されなかったことを明らかにした。今後については必要な事前対策を進めていく考えを示した。
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