RIZAP(ライザップ)グループが、小型のフィットネスジム「chocoZAP(チョコザップ)」の海外展開に向けて動き出している。中国本土では北京市と上海市にそれぞれ出店し、将来的な店舗展開につなげるテストマーケティングを始めた。運動に加えて美容やエンタメの要素を取り入れ、中国の競合他社の低価格路線とは一線を画したサービスで新たな市場開拓をうかがう。【北京・吉野あかね】
チョコザップ建国門店=2日、北京市
北京市東城区にオープンした「チョコザップ建国門店」。店内には10種類ほどのトレーニング機器やマッサージチェアが設置されている。
ライザップは昨年11月、北京市の朝陽区と東城区で計3店、上海市長寧区で計2店のチョコザップ店舗を開業した。
中国でも24時間営業し、料金は月149元(約3,100円)。日本の2,980円(税別)とほぼ同じ水準に設定した。入会費や事務手数料はゼロだ。
30代の男性利用者は「運動不足を感じていたので利用し始めた。会社から近いため隙間時間に通えて、高額なセールスもないところがいい」と話した。
チョコザップは、日本で2022年7月にサービスを本格的に開始した24時間使い放題のセルフ型のジムだ。ジムでの着替えや靴の履き替えを不要にした通いやすさや、1日5分の運動を掲げた気軽さが人気を集め、本格展開を始めてから1年5カ月で日本の会員数は100万人を突破した。
中国でも「誰でも気軽に、簡単に、楽しく通えるコンビニジム」のコンセプトを維持する。ライザップによると、「初心者向け」、「コンビニジム」といったコンセプトに対する中国の利用者の反応は良好だという。
■海外でも続々
ライザップは、中国をはじめ世界各地でチョコザップのテストマーケティングを始めている。
昨年末までに香港で2店、台中で1店、米ロサンゼルスで1店をそれぞれ出店した。海外のフィットネス参加率の高さから、同社は「海外のジム市場はポテンシャルが高い」と分析する。
テストマーケティングを進める地域の中で、最も多くの店舗を出したのが中国本土だ。
中国では肥満率の上昇や健康志向の高まりに伴い、フィットネス市場が急速に発展している。市場調査会社の艾瑞諮詢(アイリサーチ)によると、市場規模は18年の464億元から、21年に700億元以上へと成長。23年は840億元を超えたとみられ、26年には1,082億元に拡大する見通しだ。
一方で、ジム業界は出店競争が激しく、小規模の店舗が乱立する。中国のフィットネス業界団体、中国健美協会によると、全国のフィットネスジム(パーソナルジム含む)の店舗数は22年末時点で約13万1,000店。新型コロナウイルス禍に見舞われた22年には、主要都市にある店舗の倒産率は約14%となったが、それでも過当競争の状況に大きな変化はない。顧客を獲得するため低価格路線に振り切る店舗も広がっている。
サービス価格を下げる競合他社に対して、チョコザップはフィットネス以外のサービスで差別化を図る考えだ。
中国の店舗にもマッサージチェアやセルフエステ、ネイルのセルフサービスなどを設置。エンタメ性も打ち出して、ビリヤードやダーツ、ゴルフの練習をできるようにした。
初心者向けに特化しているジムは競合他社に少なく、「ターゲティングがしっかりできれば、勝機は大いにある」(ライザップ)とみる。
■手軽さにニーズ
ジムに手軽さを求める消費者が増えていることも追い風になりそうだ。アイリサーチは22年6月にまとめた調査結果で、年会費制の従来型ジムを選ばなくなっている理由として「会員の契約期間が長く、続けられない」「トレーナーの接客や能力に不満」「いつ閉店するかわからず、年会費を支払うリスクが大きい」とする消費者の声を挙げた。
アイリサーチは、「オンライン予約やスマート化設備を導入した新しい形態のジムが頭角を現す」と分析。消費者に新形態のジムを選ぶ理由を尋ねたアンケート(有効回答数は733件)では、「スマートフォンアプリで利用を予約できて便利」(43.0%)や「機械設備のスマート化率が高い」(37.8%)という声が目立った。
ライザップは「海外市場はチョコザップの成長戦略の一環。テストマーケティングの結果次第では、海外でも多店舗展開をしていく可能性はある」と意気込む。徹底したテストマーケティングで、ターゲティングやブランディングを進めていく考えだ。
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中国でも24時間営業し、料金は月149元(約3,100円)。日本の2,980円(税別)とほぼ同じ水準に設定した。入会費や事務手数料はゼロだ。
30代の男性利用者は「運動不足を感じていたので利用し始めた。会社から近いため隙間時間に通えて、高額なセールスもないところがいい」と話した。
チョコザップは、日本で2022年7月にサービスを本格的に開始した24時間使い放題のセルフ型のジムだ。ジムでの着替えや靴の履き替えを不要にした通いやすさや、1日5分の運動を掲げた気軽さが人気を集め、本格展開を始めてから1年5カ月で日本の会員数は100万人を突破した。
中国でも「誰でも気軽に、簡単に、楽しく通えるコンビニジム」のコンセプトを維持する。ライザップによると、「初心者向け」、「コンビニジム」といったコンセプトに対する中国の利用者の反応は良好だという。
■海外でも続々
ライザップは、中国をはじめ世界各地でチョコザップのテストマーケティングを始めている。
昨年末までに香港で2店、台中で1店、米ロサンゼルスで1店をそれぞれ出店した。海外のフィットネス参加率の高さから、同社は「海外のジム市場はポテンシャルが高い」と分析する。
テストマーケティングを進める地域の中で、最も多くの店舗を出したのが中国本土だ。
中国では肥満率の上昇や健康志向の高まりに伴い、フィットネス市場が急速に発展している。市場調査会社の艾瑞諮詢(アイリサーチ)によると、市場規模は18年の464億元から、21年に700億元以上へと成長。23年は840億元を超えたとみられ、26年には1,082億元に拡大する見通しだ。
一方で、ジム業界は出店競争が激しく、小規模の店舗が乱立する。中国のフィットネス業界団体、中国健美協会によると、全国のフィットネスジム(パーソナルジム含む)の店舗数は22年末時点で約13万1,000店。新型コロナウイルス禍に見舞われた22年には、主要都市にある店舗の倒産率は約14%となったが、それでも過当競争の状況に大きな変化はない。顧客を獲得するため低価格路線に振り切る店舗も広がっている。
サービス価格を下げる競合他社に対して、チョコザップはフィットネス以外のサービスで差別化を図る考えだ。
中国の店舗にもマッサージチェアやセルフエステ、ネイルのセルフサービスなどを設置。エンタメ性も打ち出して、ビリヤードやダーツ、ゴルフの練習をできるようにした。
初心者向けに特化しているジムは競合他社に少なく、「ターゲティングがしっかりできれば、勝機は大いにある」(ライザップ)とみる。
■手軽さにニーズ
ジムに手軽さを求める消費者が増えていることも追い風になりそうだ。アイリサーチは22年6月にまとめた調査結果で、年会費制の従来型ジムを選ばなくなっている理由として「会員の契約期間が長く、続けられない」「トレーナーの接客や能力に不満」「いつ閉店するかわからず、年会費を支払うリスクが大きい」とする消費者の声を挙げた。
アイリサーチは、「オンライン予約やスマート化設備を導入した新しい形態のジムが頭角を現す」と分析。消費者に新形態のジムを選ぶ理由を尋ねたアンケート(有効回答数は733件)では、「スマートフォンアプリで利用を予約できて便利」(43.0%)や「機械設備のスマート化率が高い」(37.8%)という声が目立った。
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