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各国のドローンに関する法規制の概要

1. 日本

ドローンについては、航空法(昭和27年法律第231号)第11章(第132条以下)において、「無人航空機」に関する登録、飛行等が規定されていて、その概要は以下の通りです。

ただし、実際に飛行させるにあたっては、重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成28年法律第9号)やその他の飛行制限を規定する道路交通法、自然公園法等の法令や条例での制限が課されていないかを確認する必要があります。また、無線設備の搭載に関しては総務省の免許等の取得が必要とされる場合がある他、映像撮影についての総務省ガイドラインが発表されています。2022年12月5日に「無人航空機総合窓口サイト」(https://www.mlit.go.jp/koku/info/index.html)が開設され、これらのドローンに関する情報が一元的に紹介されています。

(1) 飛行許可の必要な空域

航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれや、落下した場合に地上の人等に危害を及ぼすおそれが高い以下の空域においてドローンを飛行させるには、予め国土交通大臣の許可を受ける必要があります(法132条の85第1項)。

(A)空港等の周辺(進入表面等)の上空の空域

(B)緊急用無空域

(C)150m以上の高さの空域

(D)人口集中地区の空域

上記(A)および(D)については、国土地理院のホームページに地図が掲載されていて、(B)については、災害時等に国土交通大臣によって指定され、国土交通省のホームページで公示されます。

(2) 飛行の方法

ドローンの飛行にあたっては、以下①~④を遵守することが必要とされ、⑤~⑩に該当しない飛行(「特定飛行」)は技能証明を受けた者による機体認証を受けたドローンの操縦に限り認められます(法第132条の86第1項、第2項)。

①アルコールまたは薬物等の影響下で飛行させないこと

②飛行前確認を行うこと

③航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること

④他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと

⑤日中(日出から日没まで)に飛行させること

⑥目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること

⑦人(第三者)または物件(第三者の建物、自動車等)との間に30m以上の距離を保って飛行させること

⑧祭礼、縁日等多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと

⑨爆発物等危険物を輸送しないこと

⑩無人航空機から物を投下しないこと

(3) 国土交通大臣の承認等

(a) 機体の登録

ドローンを飛行させる前には、必ず機体の登録をして(法第132条の2)、登録記号を機体に表示して、リモートIDを機体に掲載することが求められます(法第132条の5)。

(b) 機体証明・技能証明

上記(2)⑤~⑩に該当しない特定飛行については、ドローンの第二種以上の機体認証と操縦者の二種以上の操縦技能証明の取得が必要とされます(法第132条の86第2項)。

(c) 飛行許可・承認

上記(1)で指定された空域でドローンを飛行させるには、ドローンの最大離陸重量が25㎏未満で一定の条件に該当し、飛行マニュアルの作成等無飛行の安全を確保するための必要な措置を講じる等により許可・承認を不要とすることができる場合を除き、予め申請して該当する飛行許可・承認を受ける必要があります(法第132条の85第2項)。

(d) 飛行計画の通報と飛行日誌の記録

上記(2)に該当する飛行を除き、特定飛行を実施する場合には、予め飛行計画を通報し(法第132条の88第1項)、飛行日誌を備置して、必要事項を記載しなければなりません(法第132条の89)。

 

2.タイ

(1)ドローン規制の概要

タイでは、2015年に遠隔操縦航空機のカテゴリーにおける無人航空機操縦・発信の許可申請規則および条件に関する運輸省の通達(2015)が発表され、ドローンの規制が開始されました。

現在では、上記発表に加え、航空法改正第14号(2019)、放送委員会テレビ事業及び電気通信員会の一般用無人航空機の周波数免許の基準及び条件に関する発表(2020)にもドローン規制の規定があり、タイ民間航空局(The Civil Aviation Authority of Thailand (“CAAT”))とタイ国家放送電気通信委員会(The National Broadcasting and Telecommunications Commission (“NBTC”))が管轄しています。

(2)ドローン登録の規制

タイでドローンを使用するためには、まずNBTCにて登録を行う必要があります。

また、以下の機体についてはCATTにて別途登録を行う必要があり、同登録にはドローン保険の加入が必須となっています。

・ 録画用カメラを搭載したドローン
・ 重量が2kgを超え25kg以下のドローン
・ 重量が25kgを超えるドローン(当該機体に関しては、飛行の都度、運輸大臣からの飛行許可も必要となります。)

(3)ドローン飛行の規制

タイのドローン飛行の規制は、機体の重量(2kg以下/2kg超25kg以下/25kg超の3つに区分されています)や使用目的(娯楽・スポーツ目的/その他の目的)によって細かく分かれています。以下は、ビジネスやイベントでドローンを使用する際の主な規制です。

(a) 飛行前における規制

・ 土地所有者の許諾を得ること
・ 登録証またはその写しや消火器を携帯すること
・ 身体生命に関する損害のため、別途保険(最低1回100万バーツ以上)に加入していること
・ 事故時の対応、医療処置、ドローンが制御不能になった場合の解決策等、緊急時の対応策を備えること

(b)飛行時の規制

・ 制限区域や限定区域、危険区域、官公庁の建物や病院の敷地内では、許可なく飛行してはならない
・ 空港または臨時飛行場から9km以内は許可なく飛行してはならない
・ 日の出から日没までの間で、機体を明確に視認できること
・ 雲の中や近くを飛行してはならない
・ 地上90メートルを超えて飛行してはならない
・ 有人飛行機の近くを飛行してはならない
・ 他人のプライバシーを侵害してはならない
・ 飛行業務に関係のない人、車両、建物に50メートル以上接近して水平飛行してはならない
・ 事故が発生した場合、操縦者または発射者は、ただちに所轄の官公庁に連絡しなければならない

上記の他にも、細かな規制があり、ドローンの重量や使用目的によっては更なる規制がなされる場合があります。また、各イベントやビジネスの種類や規模によって使用可能な周波数帯が異なるため、ドローンを操縦する際にはこの点にも注意することが必要です。

(4) 罰則規定と今後の動向

上記のように、タイでドローンを使用する際には、機体の登録や様々な規制の遵守が必要です。

運輸大臣の許可を得ずにドローンを使用したり、許可条件に反した場合には、「1年以下の懲役若しくは4万バーツ以下の罰金又はその両方に科す」(航空法改正第14号第78条)との罰則もあります。

また、現在タイではドローン使用の許可申請にあたって、申請者に試験を課す等の改正が検討されているとの情報もあります。今後のドローン規制の動向も含めて逐次確認しておくことが推奨されます。

 

3.マレーシア

マレーシアにおけるドローンに関する法令として、1969年民間航空法(Civil Aviation Act 1969)、2016年民間航空施行細則(The Civil Aviation Regulations 2016)及び1998年通信マルチメディア法(Communications and Multimedia Act 1998)があります。

(1)1969年民間航空法

民間航空法はマレーシアにおける民間航空機の運航について規定している主要な法律です。本法に基づき、担当大臣には空港及び航空サービスを提供する目的のためのライセンスの発行権限が付与されています。ライセンス(省庁により付与された空港事業の運営のためのライセンス以外のライセンス)の申請手続きは民間航空局長官による承認を得た上で民間航空局(Department of Civil Aviation)により手続きが進められます。

(2)2016年民間航空施行細則

民間航空施行細則は、民間航空法に基づき、下位法令として2016年3月31日に施行されました。航空機の登録、運行責任者、乗務員及びエンジニアのライセンス付与、航空機の販売、航空事故の調査、航空機の運航並びに航空機の担保について規定しています。

本施行細則Part XVIにおいて、無人航空機(ドローン)は、3種類規定されています。すなわち、①小型無人航空機(Small unmanned aircraft)、②小型無人偵察機(Small unmanned surveillance aircraft)、③無人航空機システム(Unmanned aircraft system)の3つです。

  • 小型無人航空機について、気球又は凧以外で、飛行するための設備を設置した、航空機を含む燃料を除いて重量が20Kg以下の無人航空システムを意味します。

小型無人航空機の責任者は飛行させるための許可は不要であるが、安全に飛行させなければならないとされています。また、衝突を回避する目的で、他の航空機、人、車両、船舶及び構造物との関係で飛行経路を監視するのに十分な小型無人機との直接的かつ肉眼的な接触を維持しなければならないとされています(施行細則142条)。

②小型無人偵察機は、いかなる形式の監視又はデータ取得を行うために装備された小型の無人航空機を意味します。

小型無人偵察機は、飛行前に民間航空局長官より許可を得ない限り、以下のいずれかの状況において、小規模な無人監視航空機を飛行してはならない旨規定されています(施行細則143条)。

・ 任意の指定区域上の場合
・ 指定区域から150メートル以内の場合
・ 1,000人を超える人が集まっている上空の場合
・ 1,000人を超える人が集まっている上空の150メートル以内の場合
・ 航空機の責任者の管理下にない任意の船舶、車両又は構造物から50メートル以内の場合
・ 人が50メートル以内にいる場合
・ 離陸又は着陸中に30メートル以内に人がいる場合

③無人航空機システムは、パイロットなしで運航されている航空機及びその関連要素を意味します。

以下の場合における人による航空機の飛行を禁止しています(施行細則140条)。

・ 航空交通サービス(ATS)ルート、ターミナルコントロールエリア(TMA)、コントロールゾーン(CTR)(通常は特定のエリア(空港など)の表面から上限まで)を含むクラスA、B、C又はGの空域)、航空管制措置が要求される場所、継続的な双方向無線通信が必要な場所
・ 飛行場交通ゾーン(飛行場(水上滑走路を含む)やヘリポートなどの飛行機の到着、出発又は移動に使用される地域の指定された寸法を意味する)
・ 地球表面から400フィート以上の高さ
・ 民間航空局長官の許可を得ない場合

いかなる者も民間航空局長官の許可を得ない限り、航空事業目的のための無人航空機システムの飛行は禁止されています(施行細則141条)。

航空機が燃料を含まずに20kgを超える場合、民間航空局長から航空機を飛行させる許可を事前に申請する必要があります(施行細則144条)。

(3)1998年通信マルチメディア法

  • 通信マルチメディア法は、担当大臣がライセンスに関連する通達を発布できる旨規定しています。当該規定に基づき、マレーシアの通信マルチメディア委員会(Malaysian Communications and Multimedia Commission)は、無人航空機システムを使用する場合には、特定の技術パラメーターを遵守しなければならない旨の通達を発布しています。

 

4.ミャンマー

(1) ドローンの法規制

ミャンマーではドローンに関して規定した法令は現時点では存在しません。

(2)事実上の規制

ドローンについて管轄する政府機関であるミャンマー民間航空局(DepartmentofCivil Aviation)によれば、ドローンについては以下の制限が課されるとのことです。また、実際にドローンをミャンマーに持ち込む場合及び使用する場合には事前にミャンマー民間航空局に確認する必要があります。

(a) 空港から半径8km(5 mile)以内でドローンを飛行させてはならない。
(b) ドローンは操縦者の視界の範囲内で飛行させなければならない。
(c) 高度120m(400 feet)を超えてドローンを飛行させてはならない。
(d) 夜間にドローンを飛行させてはならない。
(e) 速度160km/h(100 mph)以上でドローンを飛行させてはならない。
(f) 人の上空を飛行させてはならない。
(g) 人口が少ないエリアを除き、走行中の車両からドローンを飛行させてはならない。

 

5.メキシコ

(1)関連する法令

ドローンの使用に関して、民間航空法(Ley de Aviacion Civil)、メキシコ航空登録規則(Reglamento del Registro Aeronáutico Mexicano)、メキシコ公式規格「メキシコの空域で遠隔操縦航空機システム(RPAS)を運用するための条件NOM-107-SCT3-2019(以下、「本NOM」といいます。)」などを遵守する必要があります。なお、メキシコ公式規格(Norma Oficial Mexicana)とは通称「NOM」と呼ばれ、法的強制力のある規格基準です。

ドローンは、本NOM上の遠隔操縦飛行システム(Remotely Piloted Aircraft System-Sistema de Aeronave Pilotada a Distancia、以下「RPAS」といいます。)に該当します。RPASは、固定翼機、ヘリコプター、マルチコプター又は飛行船などの遠隔操縦航空機とそれに付随する遠隔操縦ステーション、必要な制御装置その他の付属品と定義されています。ただし、建造物内で運用されるRPASについては、本NOMは適用されません。

(2)RPASの分類

本NOMにおいて、RPASは、その用途に従い次の3つに分けられ、下表のように分類されています。RPASの分類によって、守らなければならない基準が異なります。

・ レクリエーション用RPAS (RPAS de uso Recreativo):RPASオペレーターがレクリエーション用に使用する遠隔操縦飛行システム
・ 商用RPAS(RPAS de uso Comercial):RPASオペレーターが営利目的に使用する遠隔操縦飛行システム
・ 非営利かつ個人的使用RPAS (RPAS de uso Privado No comercial):RPASオペレーターが非営利目的に使用する遠隔操縦飛行システム

(3)共通の規制

RPASの分類に関わらず、主に以下のような事項については共通して遵守する必要があります。

  • パイロットは、飛行場から9.2km超かつ、ヘリポートから900m超離れた場所で飛行させなければなりません。なお、飛行場やヘリポートは運輸通信省(Secretaría de Comunicaciones y Transportes)の連邦民間航空局(Dirección General de Aeronáutica Civil)がウェブサイトで公表する「飛行場及びヘリポートデータベース(Base de Datos de Aeródromos y Helipuertos)」に掲載されているものを指します。
  • 連邦民間航空局から夜間飛行の許可を得ていない限り、日の出から日没の間に飛行しなければなりません。
  • 航空路誌(Publicación de Información Aeronáutica)で指定されている禁止区域、制限区域、危険区域で飛行してはいけません。
  • 科学研究用のRPASは、連邦民間航空局からの許可、国立地理統計情報院(Instituto Nacional de Información Estadística y Geográfica:INEGI)からの許可及び国防省(Secretaría de la Defensa Nacional)からの許可を得る必要があります。

(4)分類に応じた規制

本NOMにおいては、上記(2)の分類に応じた規制が設けられています。その詳細を紹介することは紙幅の関係上できませんが、以下、主な規制について紹介いたします。

  • RPASの登録

レクリエーション用RPASMicroで最大離陸重量が0.250kgを超える場合、レクレーション用以外のRPASMicroの場合、RPASPequeñoの場合、その所有権、占有権、その他の権利を取得、譲渡、変更、担保、消滅させるための文書を連邦民間航空局のウェブサイトにおいて登録し、RPAS登録番号(Folio)を取得する必要があります。

PRAS Grandeの場合、航空機の国籍を特定するための書類である登録証明書(Certificado de Matrícula)を取得しなければなりません。登録証明書の取得は、RPASの所有権、占有権、その他の権利を取得、譲渡、変更、担保、消滅させるための文書の取得を通じて行われます。

  • 民事賠償責任保険

レクレーション用以外のRPASMicroの場合、第三者への損害賠償を目的とした民事賠償責任保険に加入していることを要します。

レクレーション用以外のRPASPequeño及びRPASGrandeの場合、有効な第三者賠償責任保険契約の承認文書(Oficio de Aprobación de la Póliza deSeguro de Responsabilidad Civil por daños a terceros)を得ていることを要します。

  • 運航許可

レクレーション用以外のRPASPequeño及びRPASGrandeの場合、連邦民間航空局より運航許可を取得する必要があります。

  • パイロットの許可又は免許

レクレーション用以外のPRASPequeñoの場合はRPASを操作する者がRPASパイロット許可(AutorizacióndePilotodelRPAS Pequeño)を得ていること、レクレーション用以外のPRASGrandeの場合はRPASを操作する者がRPASパイロット免許(Licencia de Pilotodel RPAS Grande)を受けていることをそれぞれ要します。パイロットの許可及び免許は、18歳以上であること、生来のメキシコ人であること、講習を受けることなどの要件が定められています。

なお、レクレーション用以外のRPASMicroであって夜間飛行などの特別運行許可を受ける場合は、RPASパイロット許可を有する操作者が操作することが求められるなどの例外もあります。

6.バングラデシュ

バングラデシュにおけるドローンの使用については、「ドローン登録及び飛行ポリシー2020年」に基づき、航空局が規制しています。同ポリシーでは、ドローン飛行が認められる条件、場所、許可が必要なドローンのタイプ等について定めています。

(1)ドローンの種類

以下の種類に基づき、許可が発行されます。

カテゴリA:レクレーション目的の使用

カテゴリB:教育や調査等の非商業目的のために、公的・民間の団体又は個人による使用

カテゴリC:調査、映像、映画、運搬等、商業的及び専門的な目的による使用

カテゴリD:政府又は軍隊による使用

(2)ドローンの使用地域

バングラデシュ国内を重要性及び安全性の観点で3種類の地域に区分し、ドローンの飛行を認めています。

(a) グリーンゾーン

・ 空港又は制限区域から3~5キロ以内の地上50フィート(15.24m)まで
・ 空港又は制限区域から5キロ以上離れた場所で、地上100フィート(30.48m)まで

グリーンゾーンでのドローン飛行について許可は不要です。

(b) イエローゾーン

制限地域、軍隊管轄区域、人口密度が高い地域、混雑地域はイエローゾーンとされ、管轄当局からの許可が必要です。

(c) レッドゾーン

危険地域、禁止地域、空港はレッドゾーンに区分され、ドローン飛行について特別許可が必要です。

(3)ドローン登録

以下の手続きにて、航空局よりドローン登録及び登録番号を取得することができます。

  • (a) カテゴリB及びCの場合、Air Navigation Orderに基づき、ドローン登録及び登録番号を申請します
  • (b) カテゴリAに該当し、ドローンが高度100フィート(48m)以上の飛行が可能又は重量5㎏以上(積載量含む)の場合は、登録が義務づけられています。
  • (c) 登録に必要な書類は以下の通り

・ ドローンの使用目的・ 仕様の写し
・ ドローン領収書
・ BTRC(Bangladesh Telecommunication Regulatory Commission)の認証(通信システムに影響を与えないこと)
・ 申請者の写真及び身分証明書
・ 携帯電話番号
・ 飛行中に生じる緊急時対応計画(ドローンのバッテリー切れ、制御不能等の場合の対応)
・ 国防省からの異議なしレター
・ その他、航空局が求める書類や情報

7.フィリピン

(1) フィリピンにおけるドローン法規制概要

フィリピンでは、航空局の管轄において、ドローンの使用について監督及び規制がなされています。フィリピンにおいては、ドローンの使用を規制するため、「PCAR」と呼ばれる規則が定められており、ドローンは、遠隔操縦される無人航空機であるとの定義がなされています。また、航空交通安全を目的とした登録と運用に関するガイドラインが定められています。

(2) 一般的な規制

フィリピンにおけるドローン規制法令によると、ドローンの使用は非商業的な使用と商業的な使用のいずれの場合においても、以下の一般的な規制を受けるとされています。なお、以下の規制は一例となります。

① 人口密集地の上空においては、ドローンが故障した場合にその地域を回避することができない高さで飛行させてはならない。

② ドローンを操作する者は、ドローンが飛行中、着陸もしくは離陸中、ドローン操作に直接関係のない者から少なくとも30メートル離れていることを確認しなければならない。

③ 航空局の事前承認がない限り、以下の範囲内でRPAを操作することはできない。

(a)地上高400フィート
(b)飛行場基準点から半径10キロメートル

(3) ドローンの商業的運用における規制

ドローンを商業的に運用する場合においては、業務運用については、「Operator Certificate」を取得する必要があり、以下の書類を提出が求められる場合があります。

① 製造元が発行する取扱説明書
② ドローン保険/第三者賠償責任保険に関する書類
③ 耐空特別証明書(該当する場合に限る。)
④ 航空局が発行するドローン登録証明書

また、「Operator Certificate」の保有者として認められるための要件が定められており、これらを満たす必要があります。

① ドローンを安全に運用するために適切な組織・体制を有していること
② 提案された業務を安全に実施するために、十分な資格と経験を有する人員を有していること
③ 使用するタイプのドローンを使用して提案された業務を遂行するのに適切な施設・設備を有していること
④ 操作を行うための適切な慣行と手順が確認されていること

さらに、操縦者としての証明書の取得も必要であるとされています。取得には、以下のような申請者の資格が必要とされています。

① ドローンメーカーが実施するトレーニングコースを、操縦しようとするタイプのドローンの操作について修了した者
② 管制空域外でドローンを操作した経験が5時間以上あること
③ 指定された試験に合格していること
④ 航空局の正規職員が実施するデモフライトに合格していること

(4) ドローンに関する違反行為についての罰則

フィリピンの航空局は、ドローンに関連する規則や規制に違反した場合、違反1件につき2万ペソから10万ペソの罰金で処罰すると定めています。また、違反した場合は、操縦者としての資格停止又は抹消事由に該当する場合があります。

8.ベトナム

(1) ドローン飛行の許可制

ベトナムでは、2008年に制定され2011年に改正された無人航空機及び超軽量航空機の管理に関する政令、2020年に制定された無人航空機と超軽量航空機の飛行禁止空域及び飛行制限区域の設定に関する首相決定などにより、ドローンに関する規制が行われています。

ドローンを飛行させるためには、飛行予定日の7営業日前までに、国防省に対し、飛行許可証を申請しなければなりません。

(2) ドローン飛行禁止区域

以下の区域では、ドローンの飛行が禁止されています。

・ 国防省が直接管理・管轄する特に重要な軍事区域及び国防建設区域

これらの区域から500m以内は飛行が禁止されます。

・ ベトナム共産党、ベトナム政府機関、地方機関、ベトナム国内にある外国の大使館、領事館などの区域

これらの区域から200m以内は飛行が禁止されます。

・ 国家防衛区域(軍事キャンプ、戦闘訓練区域、刑務所など)

これらの区域から500m以内は飛行が禁止されます。

・ 民間機及び軍用機が使用する空港内
・ ベトナムの空域に設定された航空路内
・ その他、国防、国家安全、社会秩序の維持のために当局の裁量で設定される区域

(3) ドローン飛行制限区域

以下の区域では、飛行許可にあたって当局が指定する条件に従ってドローンを飛行させる必要があります。

・ 高度120m以上の空域
・ 混雑している場所の上空
・ ベトナムと中国の国境からベトナム側に25,000mの区域
・ ベトナムとラオス、ベトナムとカンボジアの国境からベトナム側に10,000mの区域
・ 空港の飛行禁止区域の隣接区域であり、無人航空機と超軽量航空機の飛行禁止空域及び飛行制限区域の設定に関する首相決定の附属図に記載されている区域

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1. 日本

ドローンについては、航空法(昭和27年法律第231号)第11章(第132条以下)において、「無人航空機」に関する登録、飛行等が規定されていて、その概要は以下の通りです。 ただし、実際に飛行させるにあたっては、重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成28年法律第9号)やその他の飛行制限を規定する道路交通法、自然公園法等の法令や条例での制限が課されていないかを確認する必要があります。また、無線設備の搭載に関しては総務省の免許等の取得が必要とされる場合がある他、映像撮影についての総務省ガイドラインが発表されています。2022年12月5日に「無人航空機総合窓口サイト」(https://www.mlit.go.jp/koku/info/index.html)が開設され、これらのドローンに関する情報が一元的に紹介されています。 (1) 飛行許可の必要な空域 航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれや、落下した場合に地上の人等に危害を及ぼすおそれが高い以下の空域においてドローンを飛行させるには、予め国土交通大臣の許可を受ける必要があります(法132条の85第1項)。 (A)空港等の周辺(進入表面等)の上空の空域 (B)緊急用無空域 (C)150m以上の高さの空域 (D)人口集中地区の空域 上記(A)および(D)については、国土地理院のホームページに地図が掲載されていて、(B)については、災害時等に国土交通大臣によって指定され、国土交通省のホームページで公示されます。 (2) 飛行の方法 ドローンの飛行にあたっては、以下①~④を遵守することが必要とされ、⑤~⑩に該当しない飛行(「特定飛行」)は技能証明を受けた者による機体認証を受けたドローンの操縦に限り認められます(法第132条の86第1項、第2項)。 ①アルコールまたは薬物等の影響下で飛行させないこと ②飛行前確認を行うこと ③航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること ④他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと ⑤日中(日出から日没まで)に飛行させること ⑥目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること ⑦人(第三者)または物件(第三者の建物、自動車等)との間に30m以上の距離を保って飛行させること ⑧祭礼、縁日等多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと ⑨爆発物等危険物を輸送しないこと ⑩無人航空機から物を投下しないこと (3) 国土交通大臣の承認等 (a) 機体の登録 ドローンを飛行させる前には、必ず機体の登録をして(法第132条の2)、登録記号を機体に表示して、リモートIDを機体に掲載することが求められます(法第132条の5)。 (b) 機体証明・技能証明 上記(2)⑤~⑩に該当しない特定飛行については、ドローンの第二種以上の機体認証と操縦者の二種以上の操縦技能証明の取得が必要とされます(法第132条の86第2項)。 (c) 飛行許可・承認 上記(1)で指定された空域でドローンを飛行させるには、ドローンの最大離陸重量が25㎏未満で一定の条件に該当し、飛行マニュアルの作成等無飛行の安全を確保するための必要な措置を講じる等により許可・承認を不要とすることができる場合を除き、予め申請して該当する飛行許可・承認を受ける必要があります(法第132条の85第2項)。 (d) 飛行計画の通報と飛行日誌の記録 上記(2)に該当する飛行を除き、特定飛行を実施する場合には、予め飛行計画を通報し(法第132条の88第1項)、飛行日誌を備置して、必要事項を記載しなければなりません(法第132条の89)。  

2.タイ

(1)ドローン規制の概要 タイでは、2015年に遠隔操縦航空機のカテゴリーにおける無人航空機操縦・発信の許可申請規則および条件に関する運輸省の通達(2015)が発表され、ドローンの規制が開始されました。 現在では、上記発表に加え、航空法改正第14号(2019)、放送委員会テレビ事業及び電気通信員会の一般用無人航空機の周波数免許の基準及び条件に関する発表(2020)にもドローン規制の規定があり、タイ民間航空局(The Civil Aviation Authority of Thailand (“CAAT”))とタイ国家放送電気通信委員会(The National Broadcasting and Telecommunications Commission (“NBTC”))が管轄しています。 (2)ドローン登録の規制 タイでドローンを使用するためには、まずNBTCにて登録を行う必要があります。 また、以下の機体についてはCATTにて別途登録を行う必要があり、同登録にはドローン保険の加入が必須となっています。 ・ 録画用カメラを搭載したドローン ・ 重量が2kgを超え25kg以下のドローン ・ 重量が25kgを超えるドローン(当該機体に関しては、飛行の都度、運輸大臣からの飛行許可も必要となります。) (3)ドローン飛行の規制 タイのドローン飛行の規制は、機体の重量(2kg以下/2kg超25kg以下/25kg超の3つに区分されています)や使用目的(娯楽・スポーツ目的/その他の目的)によって細かく分かれています。以下は、ビジネスやイベントでドローンを使用する際の主な規制です。 (a) 飛行前における規制 ・ 土地所有者の許諾を得ること ・ 登録証またはその写しや消火器を携帯すること ・ 身体生命に関する損害のため、別途保険(最低1回100万バーツ以上)に加入していること ・ 事故時の対応、医療処置、ドローンが制御不能になった場合の解決策等、緊急時の対応策を備えること (b)飛行時の規制 ・ 制限区域や限定区域、危険区域、官公庁の建物や病院の敷地内では、許可なく飛行してはならない ・ 空港または臨時飛行場から9km以内は許可なく飛行してはならない ・ 日の出から日没までの間で、機体を明確に視認できること ・ 雲の中や近くを飛行してはならない ・ 地上90メートルを超えて飛行してはならない ・ 有人飛行機の近くを飛行してはならない ・ 他人のプライバシーを侵害してはならない ・ 飛行業務に関係のない人、車両、建物に50メートル以上接近して水平飛行してはならない ・ 事故が発生した場合、操縦者または発射者は、ただちに所轄の官公庁に連絡しなければならない 上記の他にも、細かな規制があり、ドローンの重量や使用目的によっては更なる規制がなされる場合があります。また、各イベントやビジネスの種類や規模によって使用可能な周波数帯が異なるため、ドローンを操縦する際にはこの点にも注意することが必要です。 (4) 罰則規定と今後の動向 上記のように、タイでドローンを使用する際には、機体の登録や様々な規制の遵守が必要です。 運輸大臣の許可を得ずにドローンを使用したり、許可条件に反した場合には、「1年以下の懲役若しくは4万バーツ以下の罰金又はその両方に科す」(航空法改正第14号第78条)との罰則もあります。 また、現在タイではドローン使用の許可申請にあたって、申請者に試験を課す等の改正が検討されているとの情報もあります。今後のドローン規制の動向も含めて逐次確認しておくことが推奨されます。  

3.マレーシア

マレーシアにおけるドローンに関する法令として、1969年民間航空法(Civil Aviation Act 1969)、2016年民間航空施行細則(The Civil Aviation Regulations 2016)及び1998年通信マルチメディア法(Communications and Multimedia Act 1998)があります。 (1)1969年民間航空法 民間航空法はマレーシアにおける民間航空機の運航について規定している主要な法律です。本法に基づき、担当大臣には空港及び航空サービスを提供する目的のためのライセンスの発行権限が付与されています。ライセンス(省庁により付与された空港事業の運営のためのライセンス以外のライセンス)の申請手続きは民間航空局長官による承認を得た上で民間航空局(Department of Civil Aviation)により手続きが進められます。 (2)2016年民間航空施行細則 民間航空施行細則は、民間航空法に基づき、下位法令として2016年3月31日に施行されました。航空機の登録、運行責任者、乗務員及びエンジニアのライセンス付与、航空機の販売、航空事故の調査、航空機の運航並びに航空機の担保について規定しています。 本施行細則Part XVIにおいて、無人航空機(ドローン)は、3種類規定されています。すなわち、①小型無人航空機(Small unmanned aircraft)、②小型無人偵察機(Small unmanned surveillance aircraft)、③無人航空機システム(Unmanned aircraft system)の3つです。
  • 小型無人航空機について、気球又は凧以外で、飛行するための設備を設置した、航空機を含む燃料を除いて重量が20Kg以下の無人航空システムを意味します。
小型無人航空機の責任者は飛行させるための許可は不要であるが、安全に飛行させなければならないとされています。また、衝突を回避する目的で、他の航空機、人、車両、船舶及び構造物との関係で飛行経路を監視するのに十分な小型無人機との直接的かつ肉眼的な接触を維持しなければならないとされています(施行細則142条)。 ②小型無人偵察機は、いかなる形式の監視又はデータ取得を行うために装備された小型の無人航空機を意味します。 小型無人偵察機は、飛行前に民間航空局長官より許可を得ない限り、以下のいずれかの状況において、小規模な無人監視航空機を飛行してはならない旨規定されています(施行細則143条)。 ・ 任意の指定区域上の場合 ・ 指定区域から150メートル以内の場合 ・ 1,000人を超える人が集まっている上空の場合 ・ 1,000人を超える人が集まっている上空の150メートル以内の場合 ・ 航空機の責任者の管理下にない任意の船舶、車両又は構造物から50メートル以内の場合 ・ 人が50メートル以内にいる場合 ・ 離陸又は着陸中に30メートル以内に人がいる場合 ③無人航空機システムは、パイロットなしで運航されている航空機及びその関連要素を意味します。 以下の場合における人による航空機の飛行を禁止しています(施行細則140条)。 ・ 航空交通サービス(ATS)ルート、ターミナルコントロールエリア(TMA)、コントロールゾーン(CTR)(通常は特定のエリア(空港など)の表面から上限まで)を含むクラスA、B、C又はGの空域)、航空管制措置が要求される場所、継続的な双方向無線通信が必要な場所 ・ 飛行場交通ゾーン(飛行場(水上滑走路を含む)やヘリポートなどの飛行機の到着、出発又は移動に使用される地域の指定された寸法を意味する) ・ 地球表面から400フィート以上の高さ ・ 民間航空局長官の許可を得ない場合 いかなる者も民間航空局長官の許可を得ない限り、航空事業目的のための無人航空機システムの飛行は禁止されています(施行細則141条)。 航空機が燃料を含まずに20kgを超える場合、民間航空局長から航空機を飛行させる許可を事前に申請する必要があります(施行細則144条)。 (3)1998年通信マルチメディア法
  • 通信マルチメディア法は、担当大臣がライセンスに関連する通達を発布できる旨規定しています。当該規定に基づき、マレーシアの通信マルチメディア委員会(Malaysian Communications and Multimedia Commission)は、無人航空機システムを使用する場合には、特定の技術パラメーターを遵守しなければならない旨の通達を発布しています。
 

4.ミャンマー

(1) ドローンの法規制 ミャンマーではドローンに関して規定した法令は現時点では存在しません。 (2)事実上の規制 ドローンについて管轄する政府機関であるミャンマー民間航空局(DepartmentofCivil Aviation)によれば、ドローンについては以下の制限が課されるとのことです。また、実際にドローンをミャンマーに持ち込む場合及び使用する場合には事前にミャンマー民間航空局に確認する必要があります。 (a) 空港から半径8km(5 mile)以内でドローンを飛行させてはならない。 (b) ドローンは操縦者の視界の範囲内で飛行させなければならない。 (c) 高度120m(400 feet)を超えてドローンを飛行させてはならない。 (d) 夜間にドローンを飛行させてはならない。 (e) 速度160km/h(100 mph)以上でドローンを飛行させてはならない。 (f) 人の上空を飛行させてはならない。 (g) 人口が少ないエリアを除き、走行中の車両からドローンを飛行させてはならない。  

5.メキシコ

(1)関連する法令 ドローンの使用に関して、民間航空法(Ley de Aviacion Civil)、メキシコ航空登録規則(Reglamento del Registro Aeronáutico Mexicano)、メキシコ公式規格「メキシコの空域で遠隔操縦航空機システム(RPAS)を運用するための条件NOM-107-SCT3-2019(以下、「本NOM」といいます。)」などを遵守する必要があります。なお、メキシコ公式規格(Norma Oficial Mexicana)とは通称「NOM」と呼ばれ、法的強制力のある規格基準です。 ドローンは、本NOM上の遠隔操縦飛行システム(Remotely Piloted Aircraft System-Sistema de Aeronave Pilotada a Distancia、以下「RPAS」といいます。)に該当します。RPASは、固定翼機、ヘリコプター、マルチコプター又は飛行船などの遠隔操縦航空機とそれに付随する遠隔操縦ステーション、必要な制御装置その他の付属品と定義されています。ただし、建造物内で運用されるRPASについては、本NOMは適用されません。 (2)RPASの分類 本NOMにおいて、RPASは、その用途に従い次の3つに分けられ、下表のように分類されています。RPASの分類によって、守らなければならない基準が異なります。 ・ レクリエーション用RPAS (RPAS de uso Recreativo):RPASオペレーターがレクリエーション用に使用する遠隔操縦飛行システム ・ 商用RPAS(RPAS de uso Comercial):RPASオペレーターが営利目的に使用する遠隔操縦飛行システム ・ 非営利かつ個人的使用RPAS (RPAS de uso Privado No comercial):RPASオペレーターが非営利目的に使用する遠隔操縦飛行システム (3)共通の規制 RPASの分類に関わらず、主に以下のような事項については共通して遵守する必要があります。
  • パイロットは、飛行場から9.2km超かつ、ヘリポートから900m超離れた場所で飛行させなければなりません。なお、飛行場やヘリポートは運輸通信省(Secretaría de Comunicaciones y Transportes)の連邦民間航空局(Dirección General de Aeronáutica Civil)がウェブサイトで公表する「飛行場及びヘリポートデータベース(Base de Datos de Aeródromos y Helipuertos)」に掲載されているものを指します。
  • 連邦民間航空局から夜間飛行の許可を得ていない限り、日の出から日没の間に飛行しなければなりません。
  • 航空路誌(Publicación de Información Aeronáutica)で指定されている禁止区域、制限区域、危険区域で飛行してはいけません。
  • 科学研究用のRPASは、連邦民間航空局からの許可、国立地理統計情報院(Instituto Nacional de Información Estadística y Geográfica:INEGI)からの許可及び国防省(Secretaría de la Defensa Nacional)からの許可を得る必要があります。
(4)分類に応じた規制 本NOMにおいては、上記(2)の分類に応じた規制が設けられています。その詳細を紹介することは紙幅の関係上できませんが、以下、主な規制について紹介いたします。
  • RPASの登録
レクリエーション用RPASMicroで最大離陸重量が0.250kgを超える場合、レクレーション用以外のRPASMicroの場合、RPASPequeñoの場合、その所有権、占有権、その他の権利を取得、譲渡、変更、担保、消滅させるための文書を連邦民間航空局のウェブサイトにおいて登録し、RPAS登録番号(Folio)を取得する必要があります。 PRAS Grandeの場合、航空機の国籍を特定するための書類である登録証明書(Certificado de Matrícula)を取得しなければなりません。登録証明書の取得は、RPASの所有権、占有権、その他の権利を取得、譲渡、変更、担保、消滅させるための文書の取得を通じて行われます。
  • 民事賠償責任保険
レクレーション用以外のRPASMicroの場合、第三者への損害賠償を目的とした民事賠償責任保険に加入していることを要します。 レクレーション用以外のRPASPequeño及びRPASGrandeの場合、有効な第三者賠償責任保険契約の承認文書(Oficio de Aprobación de la Póliza deSeguro de Responsabilidad Civil por daños a terceros)を得ていることを要します。
  • 運航許可
レクレーション用以外のRPASPequeño及びRPASGrandeの場合、連邦民間航空局より運航許可を取得する必要があります。
  • パイロットの許可又は免許
レクレーション用以外のPRASPequeñoの場合はRPASを操作する者がRPASパイロット許可(AutorizacióndePilotodelRPAS Pequeño)を得ていること、レクレーション用以外のPRASGrandeの場合はRPASを操作する者がRPASパイロット免許(Licencia de Pilotodel RPAS Grande)を受けていることをそれぞれ要します。パイロットの許可及び免許は、18歳以上であること、生来のメキシコ人であること、講習を受けることなどの要件が定められています。 なお、レクレーション用以外のRPASMicroであって夜間飛行などの特別運行許可を受ける場合は、RPASパイロット許可を有する操作者が操作することが求められるなどの例外もあります。

6.バングラデシュ

バングラデシュにおけるドローンの使用については、「ドローン登録及び飛行ポリシー2020年」に基づき、航空局が規制しています。同ポリシーでは、ドローン飛行が認められる条件、場所、許可が必要なドローンのタイプ等について定めています。 (1)ドローンの種類 以下の種類に基づき、許可が発行されます。 カテゴリA:レクレーション目的の使用 カテゴリB:教育や調査等の非商業目的のために、公的・民間の団体又は個人による使用 カテゴリC:調査、映像、映画、運搬等、商業的及び専門的な目的による使用 カテゴリD:政府又は軍隊による使用 (2)ドローンの使用地域 バングラデシュ国内を重要性及び安全性の観点で3種類の地域に区分し、ドローンの飛行を認めています。 (a) グリーンゾーン ・ 空港又は制限区域から3~5キロ以内の地上50フィート(15.24m)まで ・ 空港又は制限区域から5キロ以上離れた場所で、地上100フィート(30.48m)まで グリーンゾーンでのドローン飛行について許可は不要です。 (b) イエローゾーン 制限地域、軍隊管轄区域、人口密度が高い地域、混雑地域はイエローゾーンとされ、管轄当局からの許可が必要です。 (c) レッドゾーン 危険地域、禁止地域、空港はレッドゾーンに区分され、ドローン飛行について特別許可が必要です。 (3)ドローン登録 以下の手続きにて、航空局よりドローン登録及び登録番号を取得することができます。
  • (a) カテゴリB及びCの場合、Air Navigation Orderに基づき、ドローン登録及び登録番号を申請します
  • (b) カテゴリAに該当し、ドローンが高度100フィート(48m)以上の飛行が可能又は重量5㎏以上(積載量含む)の場合は、登録が義務づけられています。
  • (c) 登録に必要な書類は以下の通り
・ ドローンの使用目的・ 仕様の写し ・ ドローン領収書 ・ BTRC(Bangladesh Telecommunication Regulatory Commission)の認証(通信システムに影響を与えないこと) ・ 申請者の写真及び身分証明書 ・ 携帯電話番号 ・ 飛行中に生じる緊急時対応計画(ドローンのバッテリー切れ、制御不能等の場合の対応) ・ 国防省からの異議なしレター ・ その他、航空局が求める書類や情報

7.フィリピン

(1) フィリピンにおけるドローン法規制概要 フィリピンでは、航空局の管轄において、ドローンの使用について監督及び規制がなされています。フィリピンにおいては、ドローンの使用を規制するため、「PCAR」と呼ばれる規則が定められており、ドローンは、遠隔操縦される無人航空機であるとの定義がなされています。また、航空交通安全を目的とした登録と運用に関するガイドラインが定められています。 (2) 一般的な規制 フィリピンにおけるドローン規制法令によると、ドローンの使用は非商業的な使用と商業的な使用のいずれの場合においても、以下の一般的な規制を受けるとされています。なお、以下の規制は一例となります。 ① 人口密集地の上空においては、ドローンが故障した場合にその地域を回避することができない高さで飛行させてはならない。 ② ドローンを操作する者は、ドローンが飛行中、着陸もしくは離陸中、ドローン操作に直接関係のない者から少なくとも30メートル離れていることを確認しなければならない。 ③ 航空局の事前承認がない限り、以下の範囲内でRPAを操作することはできない。 (a)地上高400フィート (b)飛行場基準点から半径10キロメートル (3) ドローンの商業的運用における規制 ドローンを商業的に運用する場合においては、業務運用については、「Operator Certificate」を取得する必要があり、以下の書類を提出が求められる場合があります。 ① 製造元が発行する取扱説明書 ② ドローン保険/第三者賠償責任保険に関する書類 ③ 耐空特別証明書(該当する場合に限る。) ④ 航空局が発行するドローン登録証明書 また、「Operator Certificate」の保有者として認められるための要件が定められており、これらを満たす必要があります。 ① ドローンを安全に運用するために適切な組織・体制を有していること ② 提案された業務を安全に実施するために、十分な資格と経験を有する人員を有していること ③ 使用するタイプのドローンを使用して提案された業務を遂行するのに適切な施設・設備を有していること ④ 操作を行うための適切な慣行と手順が確認されていること さらに、操縦者としての証明書の取得も必要であるとされています。取得には、以下のような申請者の資格が必要とされています。 ① ドローンメーカーが実施するトレーニングコースを、操縦しようとするタイプのドローンの操作について修了した者 ② 管制空域外でドローンを操作した経験が5時間以上あること ③ 指定された試験に合格していること ④ 航空局の正規職員が実施するデモフライトに合格していること (4) ドローンに関する違反行為についての罰則 フィリピンの航空局は、ドローンに関連する規則や規制に違反した場合、違反1件につき2万ペソから10万ペソの罰金で処罰すると定めています。また、違反した場合は、操縦者としての資格停止又は抹消事由に該当する場合があります。

8.ベトナム

(1) ドローン飛行の許可制 ベトナムでは、2008年に制定され2011年に改正された無人航空機及び超軽量航空機の管理に関する政令、2020年に制定された無人航空機と超軽量航空機の飛行禁止空域及び飛行制限区域の設定に関する首相決定などにより、ドローンに関する規制が行われています。 ドローンを飛行させるためには、飛行予定日の7営業日前までに、国防省に対し、飛行許可証を申請しなければなりません。 (2) ドローン飛行禁止区域 以下の区域では、ドローンの飛行が禁止されています。 ・ 国防省が直接管理・管轄する特に重要な軍事区域及び国防建設区域 これらの区域から500m以内は飛行が禁止されます。 ・ ベトナム共産党、ベトナム政府機関、地方機関、ベトナム国内にある外国の大使館、領事館などの区域 これらの区域から200m以内は飛行が禁止されます。 ・ 国家防衛区域(軍事キャンプ、戦闘訓練区域、刑務所など) これらの区域から500m以内は飛行が禁止されます。 ・ 民間機及び軍用機が使用する空港内 ・ ベトナムの空域に設定された航空路内 ・ その他、国防、国家安全、社会秩序の維持のために当局の裁量で設定される区域 (3) ドローン飛行制限区域 以下の区域では、飛行許可にあたって当局が指定する条件に従ってドローンを飛行させる必要があります。 ・ 高度120m以上の空域 ・ 混雑している場所の上空 ・ ベトナムと中国の国境からベトナム側に25,000mの区域 ・ ベトナムとラオス、ベトナムとカンボジアの国境からベトナム側に10,000mの区域 ・ 空港の飛行禁止区域の隣接区域であり、無人航空機と超軽量航空機の飛行禁止空域及び飛行制限区域の設定に関する首相決定の附属図に記載されている区域" ["post_title"]=> string(51) "各国のドローンに関する法規制の概要" ["post_excerpt"]=> string(0) "" ["post_status"]=> string(7) "publish" ["comment_status"]=> string(4) "open" ["ping_status"]=> string(4) "open" ["post_password"]=> string(0) "" ["post_name"]=> string(153) "%e5%90%84%e5%9b%bd%e3%81%ae%e3%83%89%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%81%ab%e9%96%a2%e3%81%99%e3%82%8b%e6%b3%95%e8%a6%8f%e5%88%b6%e3%81%ae%e6%a6%82%e8%a6%81" ["to_ping"]=> string(0) "" ["pinged"]=> string(0) "" ["post_modified"]=> string(19) "2023-04-03 20:47:58" ["post_modified_gmt"]=> string(19) "2023-04-03 11:47:58" ["post_content_filtered"]=> string(0) "" ["post_parent"]=> int(0) ["guid"]=> string(34) "https://nnaglobalnavi.com/?p=12635" ["menu_order"]=> int(0) ["post_type"]=> string(4) "post" ["post_mime_type"]=> string(0) "" ["comment_count"]=> string(1) "0" ["filter"]=> string(3) "raw" }
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世界11か国13拠点で日系企業の進出及び進出後のサポート

世界11か国13拠点(東京、大阪、佐賀、ミャンマー、タイ、マレーシア、メキシコ、エストニア、フィリピン、イスラエル、バングラデシュ、ベトナム、イギリス)で日系企業の進出及び進出後のサポートを行っている。具体的には、法規制調査、会社設立、合弁契約書及び雇用契約書等の各種契約書の作成、M&A、紛争解決、商標登記等の知財等各種法務サービスを提供している。

堤雄史(TNYグループ共同代表・日本国弁護士)、永田貴久(TNYグループ共同代表・日本国弁護士)

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