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《日系進出》ABCマート、東南ア初進出HCM市に1号店、商品力で勝負

靴小売りチェーン大手のABCマートが、ベトナム南部ホーチミン市中心部に東南アジア1号店となる新店舗を開業する。世界の有名ブランドの靴を1カ所に集めた「マルチブランド」の店舗形態や他では手に入らない限定商品などの多彩なラインアップで、所得水準の向上で高まる購買需要を取り込んでいく。2023年中にはホーチミン市と首都ハノイ市で計6店舗まで拡大する計画だ。

29日にグランドオープン予定の「ABCマート・ドンコイ店」(同社提供)

■目抜き通りの超一等地
1号店を開設するのは、ホーチミン市1区のドンコイ通りとレタントン通りの角地という好立地。高級ファッションブランド店や雑貨店、日本人向け飲食店などが立ち並び、ファッショントレンドの発信地といえる場所に路面店を構えた。グランドオープンは29日を予定する。
店舗面積は305平方メートルで、アディダスやナイキ、プーマ、ニューバランス、バンズなどに加え、ベトナム初展開となるパトリックやホーキンスを加えた計12ブランドの商品を取りそろえ、ABCマート限定モデルも店頭に並べる。
ABCマートベトナムの山田圭ゼネラルディレクターはNNAに対し、「全体の約3割がベトナムではここでしか購入できない商品になっており、他社と異なる圧倒的な商品力で違いを見せることができる」と強みを説明した。
ABCマートグループは、8月末時点で海外に370店舗(韓国=296店舗、台湾=67店舗、米国=7店舗)を展開している。ベトナムは海外4カ国・地域目で、東南アジア進出は初めてとなる。韓国や台湾でもグローバルブランドの商品を1カ所に集めたマルチブランドの店舗形態は高い支持を得ているといい、経済成長による所得水準向上を背景に、若年層を中心にブランド(本物)志向の消費が伸びるベトナムでも商機があるとみている。
■靴消費市場、22年は17.4億米ドル
ベトナムは世界的な靴の製造拠点であり、靴の輸出額では中国に次ぐ第2位(21年時点)に付ける一方で、国内の消費市場も着実に成長している。
ドイツの市場調査会社スタティスタによると、新型コロナウイルス流行前の19年の靴の市場規模(合計売上高)は15億5,000万米ドル(約2,274億円)で、14年比では約1.5倍の水準に伸びている。20~21年はコロナ禍の影響でやや落ち込んだものの、22年の市場規模は17億4,000万米ドルに達すると同社は予測している。今後も右肩上がりの成長は続き、27年には24億7,000万米ドルまで伸びると見られている。1足当たりの平均価格も上昇しており、14年時点では10.06米ドルだったが、22年は15.78米ドルになると予測されている。

■競合少なく、大きな成長の余地
山田氏は、「ベトナムでは消費の『衣・食・住』のうち『食・住』は大きくなっているが、『衣』とそれに含まれる靴の市場は大きくない」と述べ、さらなる成長の余地は大きいと期待する。
ベトナムには製靴工場が多く点在し、安価なコピー品が流通しやすい温床にもなっている。これまではそれが靴の小売市場に海外から参入するネックになっていた。山田氏は「コピー品を買うか、海外からコストをかけて買ってくるかの選択になっている中で、『本物』をスタイリング(ファッション)目線で提案できれば、勝機はある」と自信をのぞかせる。
思い描くシナリオは、商品力と店舗立地を生かしてまずは富裕層と観光客、駐在員層を獲得することだ。若年層の知名度を高めるために、会員制交流サイト(SNS)などを駆使したマーケティングも準備している。
■23年中に6店舗に拡大
今年12月にはトゥードゥック市(ホーチミン市直属)のトゥーティエム新都市の商業施設「ティソモール(THISO MALL)」内に2号店を開設し、23年にはホーチミンとハノイ市を合わせて計6店舗まで拡大する計画だ。将来的には東南アジア各国へのさらなる展開も見据えている。

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■目抜き通りの超一等地
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店舗面積は305平方メートルで、アディダスやナイキ、プーマ、ニューバランス、バンズなどに加え、ベトナム初展開となるパトリックやホーキンスを加えた計12ブランドの商品を取りそろえ、ABCマート限定モデルも店頭に並べる。
ABCマートベトナムの山田圭ゼネラルディレクターはNNAに対し、「全体の約3割がベトナムではここでしか購入できない商品になっており、他社と異なる圧倒的な商品力で違いを見せることができる」と強みを説明した。
ABCマートグループは、8月末時点で海外に370店舗(韓国=296店舗、台湾=67店舗、米国=7店舗)を展開している。ベトナムは海外4カ国・地域目で、東南アジア進出は初めてとなる。韓国や台湾でもグローバルブランドの商品を1カ所に集めたマルチブランドの店舗形態は高い支持を得ているといい、経済成長による所得水準向上を背景に、若年層を中心にブランド(本物)志向の消費が伸びるベトナムでも商機があるとみている。
■靴消費市場、22年は17.4億米ドル
ベトナムは世界的な靴の製造拠点であり、靴の輸出額では中国に次ぐ第2位(21年時点)に付ける一方で、国内の消費市場も着実に成長している。
ドイツの市場調査会社スタティスタによると、新型コロナウイルス流行前の19年の靴の市場規模(合計売上高)は15億5,000万米ドル(約2,274億円)で、14年比では約1.5倍の水準に伸びている。20~21年はコロナ禍の影響でやや落ち込んだものの、22年の市場規模は17億4,000万米ドルに達すると同社は予測している。今後も右肩上がりの成長は続き、27年には24億7,000万米ドルまで伸びると見られている。1足当たりの平均価格も上昇しており、14年時点では10.06米ドルだったが、22年は15.78米ドルになると予測されている。

■競合少なく、大きな成長の余地
山田氏は、「ベトナムでは消費の『衣・食・住』のうち『食・住』は大きくなっているが、『衣』とそれに含まれる靴の市場は大きくない」と述べ、さらなる成長の余地は大きいと期待する。
ベトナムには製靴工場が多く点在し、安価なコピー品が流通しやすい温床にもなっている。これまではそれが靴の小売市場に海外から参入するネックになっていた。山田氏は「コピー品を買うか、海外からコストをかけて買ってくるかの選択になっている中で、『本物』をスタイリング(ファッション)目線で提案できれば、勝機はある」と自信をのぞかせる。
思い描くシナリオは、商品力と店舗立地を生かしてまずは富裕層と観光客、駐在員層を獲得することだ。若年層の知名度を高めるために、会員制交流サイト(SNS)などを駆使したマーケティングも準備している。
■23年中に6店舗に拡大
今年12月にはトゥードゥック市(ホーチミン市直属)のトゥーティエム新都市の商業施設「ティソモール(THISO MALL)」内に2号店を開設し、23年にはホーチミンとハノイ市を合わせて計6店舗まで拡大する計画だ。将来的には東南アジア各国へのさらなる展開も見据えている。" ["post_title"]=> string(102) "《日系進出》ABCマート、東南ア初進出HCM市に1号店、商品力で勝負" ["post_excerpt"]=> string(0) "" ["post_status"]=> string(7) "publish" ["comment_status"]=> string(4) "open" ["ping_status"]=> string(4) "open" ["post_password"]=> string(0) "" ["post_name"]=> string(198) "%ef%bd%81%ef%bd%82%ef%bd%83%e3%83%9e%e3%83%bc%e3%83%88%e3%80%81%e6%9d%b1%e5%8d%97%e3%82%a2%e5%88%9d%e9%80%b2%e5%87%ba%ef%bd%88%ef%bd%83%ef%bd%8d%e5%b8%82%e3%81%ab%ef%bc%91%e5%8f%b7%e5%ba%97%e3%80%81" ["to_ping"]=> string(0) "" ["pinged"]=> string(0) "" ["post_modified"]=> string(19) "2022-10-15 04:14:22" ["post_modified_gmt"]=> string(19) "2022-10-14 19:14:22" ["post_content_filtered"]=> string(0) "" ["post_parent"]=> int(0) ["guid"]=> string(33) "https://nnaglobalnavi.com/?p=7020" ["menu_order"]=> int(0) ["post_type"]=> string(4) "post" ["post_mime_type"]=> string(0) "" ["comment_count"]=> string(1) "0" ["filter"]=> string(3) "raw" }
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