NNAの給与動向調査で、インドに進出している日系企業の2023年の昇給率が平均9.3%になることが分かった。堅調な経済成長を背景に、前年の実績(8.9%)を上回る見通しだ。人件費の上昇を「感じる」と答えた企業は9割を超えた。一方、人件費の許容限度を「現在の水準以上」と答えた企業は58.1%と、前回調査から拡大。経営状況が好転している状況もうかがえた。
調査は22年8月29日~10月3日に、インドの日系企業を対象に実施した。有効回答社数は105社で、内訳は製造業が55社、非製造業が50社。所在地別ではデリー首都圏(NCR)が77社、南部地域が18社、西部地域が10社だった。
23年の昇給について、「実施する」と答えた企業は全体の85.7%と、前年(22年見通し)から9.7ポイント上昇。一方、「未定」は前年から11.6ポイント下落し、12.4%となった。新型コロナウイルス感染症の流行がほぼ収束し、景気回復の進む経済状況が、昇給実施の判断を後押ししているようだ。実施月は「4月」が69社で最も多かった。
予定する昇給率は平均9.3%。業種別に見ると「運搬・倉庫」(16.3%)、「その他の非製造業」(13.3%)、「繊維」(12.3%)、「その他の製造業」(10.3%)、「貿易・商社」(10.0%)の5業種が2桁に達した。2桁の業種は、前年の2業種から増えた。最も低かったのは「食品・飲料」で6.0%だった。
23年の賞与については、全体の65.7%が支給を予定する。予定支給月数は平均1.3カ月。
■22年の昇給率、平均8.9%
一方、22年の昇給率と賞与の実績を見ると、全体の94.3%が昇給を「実施した」と回答した。昇給率は平均8.9%で、中国や韓国、ミャンマーを除く東南アジアの国々に比べて高かった。
賞与は全体の77.1%が支給し、支給月数は平均1.3カ月だった。
■日本人削減、20社が検討
22年の職種別の平均月給(税引き前)は、10部門・職位のうち7部門・職位で10万ルピー(約16万円)を超えた。今回の調査で人件費の上昇を「感じる」と回答した企業は全体の94.3%に上り、前回(93.3%)をわずかに上回った。
人件費の許容限度については36.2%が「現在の水準」と回答し、前年(50.7%)から大きく縮小した。一方、現在の水準以上と答えた企業の合計は58.1%と、前年から11.4ポイント拡大。「現在の水準の1.2倍」が35.2%と前年(25.3%)を大きく上回った。前年はなかった「現在の水準の3倍」とする回答も1件あった。
大部分の企業が人件費の上昇を切実に感じているものの、許容限度が拡大していることから、経営状況が好転している状況が読み取れる。
人件費上昇の対策(複数回答)には、「売上向上」を挙げる企業が83社と最も多かった。次いで多かったのは「業務効率化によるコスト減」で、72社が選択。「日本人駐在員削減」を検討する企業は20社、「現地人員削減」は14社、「撤退」は4社だった。
労務管理上の問題(複数回答)としては、「優秀な人材の確保」が77社で最も多く、「賃金上昇」が69社、「人材流動性の激しさ」が53社と続いた。
※給与動向調査の詳細データはNNAアジアビジネスデータバンク<https://www.nna.jp/corp_contents/service/statistics/>(有料)に収録されています。
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調査は22年8月29日~10月3日に、インドの日系企業を対象に実施した。有効回答社数は105社で、内訳は製造業が55社、非製造業が50社。所在地別ではデリー首都圏(NCR)が77社、南部地域が18社、西部地域が10社だった。
23年の昇給について、「実施する」と答えた企業は全体の85.7%と、前年(22年見通し)から9.7ポイント上昇。一方、「未定」は前年から11.6ポイント下落し、12.4%となった。新型コロナウイルス感染症の流行がほぼ収束し、景気回復の進む経済状況が、昇給実施の判断を後押ししているようだ。実施月は「4月」が69社で最も多かった。
予定する昇給率は平均9.3%。業種別に見ると「運搬・倉庫」(16.3%)、「その他の非製造業」(13.3%)、「繊維」(12.3%)、「その他の製造業」(10.3%)、「貿易・商社」(10.0%)の5業種が2桁に達した。2桁の業種は、前年の2業種から増えた。最も低かったのは「食品・飲料」で6.0%だった。
23年の賞与については、全体の65.7%が支給を予定する。予定支給月数は平均1.3カ月。
■22年の昇給率、平均8.9%
一方、22年の昇給率と賞与の実績を見ると、全体の94.3%が昇給を「実施した」と回答した。昇給率は平均8.9%で、中国や韓国、ミャンマーを除く東南アジアの国々に比べて高かった。
賞与は全体の77.1%が支給し、支給月数は平均1.3カ月だった。
■日本人削減、20社が検討
22年の職種別の平均月給(税引き前)は、10部門・職位のうち7部門・職位で10万ルピー(約16万円)を超えた。今回の調査で人件費の上昇を「感じる」と回答した企業は全体の94.3%に上り、前回(93.3%)をわずかに上回った。
人件費の許容限度については36.2%が「現在の水準」と回答し、前年(50.7%)から大きく縮小した。一方、現在の水準以上と答えた企業の合計は58.1%と、前年から11.4ポイント拡大。「現在の水準の1.2倍」が35.2%と前年(25.3%)を大きく上回った。前年はなかった「現在の水準の3倍」とする回答も1件あった。
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人件費上昇の対策(複数回答)には、「売上向上」を挙げる企業が83社と最も多かった。次いで多かったのは「業務効率化によるコスト減」で、72社が選択。「日本人駐在員削減」を検討する企業は20社、「現地人員削減」は14社、「撤退」は4社だった。
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