鶏卵販売を手がけるエムイーシーフーズ(千葉県市原市)とグループ会社で鶏卵生産・加工業者のパートナーズ(同市)は、シンガポール向けの鶏卵輸出を開始する。2社が参画する日本産鶏卵の輸出促進の取り組み「パートナーズ輸出コンソーシアム」の一環として、早ければ5月ごろの出荷開始を見込む。今月中旬にはシンガポールで飲食・食品業界関係者らを対象に試食会を実施。1人当たりの卵消費量が多く、日本産鶏卵の需要が拡大している現地で自社商品をPRした。【清水美雪】
試食会で地養卵を使ったメニューを撮影する参加者ら=20日、シンガポール中心部(NNA撮影)
シンガポールでは、同国の食品庁(SFA)が認定した施設で生産されたものしか輸入が認められていない。パートナーズが千葉県木更津市に持つ直営鶏卵農場は2021年、食品庁から認定施設として承認を受けた。日本国内で同庁から認定された鶏卵農場としては8例目となった。
日本の農林水産省が主導する日本産品の輸出事業計画の一環として、千葉県ではパートナーズやエムイーシーフーズなどが加わる鶏卵輸出促進の取り組み「パートナーズ輸出コンソーシアム」が形成されている。同コンソーシアムでは対シンガポール輸出に向けた商流の構築を目指している。
この動きに伴い、パートナーズとエムイーシーフーズは鶏卵の輸出・販売に向けた準備を進めている。出荷するのは卵くささが少なくて甘みが濃い「地養卵」。地養素と呼ばれる特別な飼料で育てられた鶏が生んだ卵だ。
パートナーズとエムイーシーフーズはシンガポール向け輸出の開始に伴い、鶏卵の生産・販売を手がける現地のN&Nアグリカルチャーとビジネスパートナー契約を結んだ。月に40フィートコンテナ1個分の輸出を目指す。
N&Nアグリカルチャーは地養卵を現地スーパーマーケットに卸す予定。N&Nのマー・チンチュー最高経営責任者(CEO)によると、同社はマレーシア、タイなど海外産の卵を輸入しているが、日本産鶏卵を扱うのは初という。
エムイーシーフーズはこれまで、香港や米国向けに鶏卵を輸出した実績を持つ。現在は日本で鳥インフルエンザの感染事例が出ていることを受け、一時的に出荷を停止している。シンガポール向け出荷も当初は今年1月の開始を予定したが、鳥インフルエンザの影響で延期されている。具体的な輸出開始時期は未定だが、早くて5月ごろの輸出開始を見込む。
■試食会では半熟卵を提供
日本養鶏協会によると、22年の日本産鶏卵の輸出先は香港が最も多く、これに台湾、シンガポールが続く。金額ベースでは香港が全体の93%と大半のシェアを占める。
シンガポールの割合は2%にとどまるが、前年比では13%増の1億4,728万円と順調に伸びている。農林水産省は、日本産鶏卵のシンガポール向け輸出額で25年に5億円の目標を掲げている。
シンガポールでは、衛生面の観点から卵は加熱して食べるのが一般的で、日本のように生卵を食べる文化がほとんどない。ただ近年の日本食ブームを受けて生卵を使った料理などが注目を集め、日本の衛生的で生食可能な鶏卵の需要が高まりつつある。
パートナーズとエムイーシーフーズは、シンガポールで安全性が高く高品質な日本産鶏卵の需要を取り込みながら、農水省が掲げる輸出額目標の達成に貢献したい考え。輸出開始に先駆けて今月20日には、シンガポール中心部で食品・飲食業界、メディアの関係者らを集め、地養卵を使った料理を提供する試食会兼事業説明会を開催。約50人が参加した。
試食会では卵かけご飯、ぶっかけうどん、カヤトースト(ココナツなどを煮詰めたジャムを挟んだトースト)、茶わん蒸し、牛丼の5種類を半熟卵を付けて提供。家庭でも卵を使ってもらいやすいメニューを中心に選んだ。参加者からは「品質が高くておいしい卵だ」「とてもなめらかな食感だ」といった声が聞かれた。
試食会で提供された地養卵の卵かけご飯=20日、シンガポール中心部(NNA撮影)
エムイーシーフーズ営業企画部の小寺隆弘部長はNNAに対し、「対シンガポール輸出の開始に向けて19年から取り組みを始めた。パートナーズ輸出コンソーシアムを活用することで鶏卵の生産から輸出、販売までの商流構築を具体化しやすくなる」と説明した。
シンガポールでは、朝食メニューの定番であるカヤトーストに半熟卵が付いてくるなど、卵が多く食されている。エムイーシーフーズによると、現地の消費者1人当たりの年間卵消費量は平均388個で、日本の同337個を上回る。小寺氏は「卵の消費量が多いシンガポールに地養卵を届けたい」と意気込みを語った。将来的には卵焼きなど鶏卵の加工商品も売り込みたい考えだ。
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日本の農林水産省が主導する日本産品の輸出事業計画の一環として、千葉県ではパートナーズやエムイーシーフーズなどが加わる鶏卵輸出促進の取り組み「パートナーズ輸出コンソーシアム」が形成されている。同コンソーシアムでは対シンガポール輸出に向けた商流の構築を目指している。
この動きに伴い、パートナーズとエムイーシーフーズは鶏卵の輸出・販売に向けた準備を進めている。出荷するのは卵くささが少なくて甘みが濃い「地養卵」。地養素と呼ばれる特別な飼料で育てられた鶏が生んだ卵だ。
パートナーズとエムイーシーフーズはシンガポール向け輸出の開始に伴い、鶏卵の生産・販売を手がける現地のN&Nアグリカルチャーとビジネスパートナー契約を結んだ。月に40フィートコンテナ1個分の輸出を目指す。
N&Nアグリカルチャーは地養卵を現地スーパーマーケットに卸す予定。N&Nのマー・チンチュー最高経営責任者(CEO)によると、同社はマレーシア、タイなど海外産の卵を輸入しているが、日本産鶏卵を扱うのは初という。
エムイーシーフーズはこれまで、香港や米国向けに鶏卵を輸出した実績を持つ。現在は日本で鳥インフルエンザの感染事例が出ていることを受け、一時的に出荷を停止している。シンガポール向け出荷も当初は今年1月の開始を予定したが、鳥インフルエンザの影響で延期されている。具体的な輸出開始時期は未定だが、早くて5月ごろの輸出開始を見込む。
■試食会では半熟卵を提供
日本養鶏協会によると、22年の日本産鶏卵の輸出先は香港が最も多く、これに台湾、シンガポールが続く。金額ベースでは香港が全体の93%と大半のシェアを占める。
シンガポールの割合は2%にとどまるが、前年比では13%増の1億4,728万円と順調に伸びている。農林水産省は、日本産鶏卵のシンガポール向け輸出額で25年に5億円の目標を掲げている。
シンガポールでは、衛生面の観点から卵は加熱して食べるのが一般的で、日本のように生卵を食べる文化がほとんどない。ただ近年の日本食ブームを受けて生卵を使った料理などが注目を集め、日本の衛生的で生食可能な鶏卵の需要が高まりつつある。
パートナーズとエムイーシーフーズは、シンガポールで安全性が高く高品質な日本産鶏卵の需要を取り込みながら、農水省が掲げる輸出額目標の達成に貢献したい考え。輸出開始に先駆けて今月20日には、シンガポール中心部で食品・飲食業界、メディアの関係者らを集め、地養卵を使った料理を提供する試食会兼事業説明会を開催。約50人が参加した。
試食会では卵かけご飯、ぶっかけうどん、カヤトースト(ココナツなどを煮詰めたジャムを挟んだトースト)、茶わん蒸し、牛丼の5種類を半熟卵を付けて提供。家庭でも卵を使ってもらいやすいメニューを中心に選んだ。参加者からは「品質が高くておいしい卵だ」「とてもなめらかな食感だ」といった声が聞かれた。[caption id="attachment_12041" align="aligncenter" width="620"]試食会で提供された地養卵の卵かけご飯=20日、シンガポール中心部(NNA撮影)[/caption]
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シンガポールでは、朝食メニューの定番であるカヤトーストに半熟卵が付いてくるなど、卵が多く食されている。エムイーシーフーズによると、現地の消費者1人当たりの年間卵消費量は平均388個で、日本の同337個を上回る。小寺氏は「卵の消費量が多いシンガポールに地養卵を届けたい」と意気込みを語った。将来的には卵焼きなど鶏卵の加工商品も売り込みたい考えだ。"
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