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中国系、電動車で日系に挑む国際モーターショー、22日に開幕

自動車展示・販売会「第44回バンコク国際モーターショー」がきょう22日、首都バンコク北郊ノンタブリ県の展示場「インパクト」で開幕する。自動車や二輪車など合わせて40ブランド以上が出展。四輪の予約は前年比15~20%増を目指す。タイ市場で圧倒的なシェアを持つ日系に対し、中国系がバッテリー式電気自動車(BEV)やハイブリッド車(HV)など電動車で挑む構図が鮮明になっている。

トヨタは1トンピックアップトラックのEV「ハイラックス・レボBEV」を公開した=21日、タイ・バンコク北郊ノンタブリ県(NNA撮影)

タイの自動車販売数は18~19年に100万台を超えたものの、新型コロナの影響で20~22年は76万~85万台にとどまった。コロナ禍がほぼ収束したなかで、各社はコンセプトカーや新車を展示した。昨年のバンコク国際モーターショーでは158万人が来場。自動車の成約台数は3万1,896台だった。今年は前年比15~20%増を目指す。
21日に開かれたメディア向けのプレ公開では、トヨタ自動車が複数のドライブトレインを備えたコンセプトカーの展示を通じて、タイのカーボンニュートラルへの貢献を訴えた。タイ法人のタイ国トヨタ自動車(TMT)の山下典昭社長は、トヨタなどが出資する合弁会社コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)が17日にバンコクで開催した商用分野のカーボンニュートラルモビリティー試乗会を引き合いに、燃料電池車(FCV)やBEV、ハイブリッド車(HV)など用途や環境に応じて、さまざまな選択肢があることを強調。山下氏は「トヨタは09年に『カムリ』のハイブリッド車を投入して以来、タイで16万台の電動車を販売してきた」とし、「二酸化炭素(CO2)85万トン、250万本の植樹に等しい貢献をしてきた」と説明。これまでタイではハイブリッド車を5モデル、BEV「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」の合わせて6モデルを展開しており、電動車でもトヨタが産業をリードする存在であることをアピールした。
モーターショーでは、「トヨタ・マルチウェイ・フォー・ア・ベター・ワールド」のコンセプトの下、1トンピックアップトラック「ハイラックス・レボBEV」、FCV版スポーツタイプ多目的車(SUV)「カローラクロス」、液化石油ガス(LPG)を燃料とするハイブリッド車(HV)のタクシーなど、多様なパワートレインを搭載したコンセプトカーを展示している。
ホンダのタイ法人、ホンダオートモービル(タイランド)は、今月に相次いで発売を発表したSUV「CR—V」や小型SUV「WR—V」を中心にアピールする。特に6世代目となる新型CR—Vが市場投入されるのは、アジア太平洋地域では、タイが初めてとなる。ほかにセダン「シビック」のスポーツモデル「シビック・タイプR」の予約受付も開始。販売価格は399万バーツ(約1,538万円)に設定している。モーターショーの開催期間中に全モデル合わせて約4,000台の成約を目標に掲げている。
■三菱自、5年内に電動ピックアップ
三菱自動車工業は、1トンピックアップトラック「トライトン」のコンセプトカー「MITSUBISHI XRT Concept」を参考出品。21日には、タイ入りした加藤隆雄社長兼最高経営責任者(CEO)が自らプレゼンテーションを実施。プレゼン後の記者会見で、タイでは7月にXRTの発売を予定していることを明らかにした。コンセプトカーということで今回は詳細な言及は避けたが、トライトン用に開発した専用エンジンとプラットフォームを採用した信頼性と安全性の高い車に仕上がっていると強調した。また、電動ピックアップについても今後5年以内にタイに投入する考えを表明。現在、タイのEV市場で攻勢を強めている中国メーカーの製品は、デザイン性、性能とも目を見張るものがあるとした上で、それらに負けない「三菱らしい電動車」の投入を目指すと話した。タイ国内の充電インフラなどの状況を鑑みて、まずはハイブリッド車(HV)の展開を先行させることになるとした。
シェア2位のいすゞは1トンピックアップトラック「D—MAX(ディーマックス)Vクロス4×4」や乗用ピックアップ(PPV)「mu—X」をアピールしている。
■MG、トップ5入りを視野
「MG(名爵)」ブランド車を販売するMGセールス(タイランド)はステーションワゴンのBEV「MG—ES」を発表。価格は95万9,000バーツに設定した。40分で8割までの急速充電が可能で、航続距離は412キロ。また、7人乗りの多目的車(MPV)「MG MAXUS9」も発表している。同社の昨年の販売台数は2万8,000台だったが、今年は3万5,000~4万台を目指す。同社幹部は「下半期の市況によっては5万台に乗せ、タイのトップ5入りを目指す」と意気込んだ。
今月に東部ラヨーン県の工場を着工した比亜迪(BYD)は、小型車「ドルフィン(中国名:海豚)」を発表。価格は79万9,999バーツと、低価格に抑えた。3月22日から予約開始となり、7月1日からの納車を見込む。同社はタイで1万台を納車したSUV「ATTO3(アットスリー、中国名:元プラス)」を約110万バーツで販売しているが、「ドルフィン」は同モデルを大きく下回る価格となる。
長城汽車(GWM)タイランドは、ハイブリッドのSUV「GWMタンク500」を発売すると発表。2000ccのエンジンとモーターを搭載し、中国では昨年に20万台を販売したモデル。タイでは発売前の予約金5,000バーツを支払うことで、6万バーツ相当の特典を受けることができる。タイで展開中のBEV「欧拉(ORA)グッドキャット」は、2月9日に3,000台の予約を受け付けた。6月末までには6,000台を納車するとの見通しを示した。

GWMはハイブリッドのSUV「タンク500」などを発表した=21日、バンコク北郊ノンタブリ県(NNA撮影)
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21日に開かれたメディア向けのプレ公開では、トヨタ自動車が複数のドライブトレインを備えたコンセプトカーの展示を通じて、タイのカーボンニュートラルへの貢献を訴えた。タイ法人のタイ国トヨタ自動車(TMT)の山下典昭社長は、トヨタなどが出資する合弁会社コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)が17日にバンコクで開催した商用分野のカーボンニュートラルモビリティー試乗会を引き合いに、燃料電池車(FCV)やBEV、ハイブリッド車(HV)など用途や環境に応じて、さまざまな選択肢があることを強調。山下氏は「トヨタは09年に『カムリ』のハイブリッド車を投入して以来、タイで16万台の電動車を販売してきた」とし、「二酸化炭素(CO2)85万トン、250万本の植樹に等しい貢献をしてきた」と説明。これまでタイではハイブリッド車を5モデル、BEV「bZ4X(ビーズィーフォーエックス)」の合わせて6モデルを展開しており、電動車でもトヨタが産業をリードする存在であることをアピールした。
モーターショーでは、「トヨタ・マルチウェイ・フォー・ア・ベター・ワールド」のコンセプトの下、1トンピックアップトラック「ハイラックス・レボBEV」、FCV版スポーツタイプ多目的車(SUV)「カローラクロス」、液化石油ガス(LPG)を燃料とするハイブリッド車(HV)のタクシーなど、多様なパワートレインを搭載したコンセプトカーを展示している。
ホンダのタイ法人、ホンダオートモービル(タイランド)は、今月に相次いで発売を発表したSUV「CR—V」や小型SUV「WR—V」を中心にアピールする。特に6世代目となる新型CR—Vが市場投入されるのは、アジア太平洋地域では、タイが初めてとなる。ほかにセダン「シビック」のスポーツモデル「シビック・タイプR」の予約受付も開始。販売価格は399万バーツ(約1,538万円)に設定している。モーターショーの開催期間中に全モデル合わせて約4,000台の成約を目標に掲げている。
■三菱自、5年内に電動ピックアップ
三菱自動車工業は、1トンピックアップトラック「トライトン」のコンセプトカー「MITSUBISHI XRT Concept」を参考出品。21日には、タイ入りした加藤隆雄社長兼最高経営責任者(CEO)が自らプレゼンテーションを実施。プレゼン後の記者会見で、タイでは7月にXRTの発売を予定していることを明らかにした。コンセプトカーということで今回は詳細な言及は避けたが、トライトン用に開発した専用エンジンとプラットフォームを採用した信頼性と安全性の高い車に仕上がっていると強調した。また、電動ピックアップについても今後5年以内にタイに投入する考えを表明。現在、タイのEV市場で攻勢を強めている中国メーカーの製品は、デザイン性、性能とも目を見張るものがあるとした上で、それらに負けない「三菱らしい電動車」の投入を目指すと話した。タイ国内の充電インフラなどの状況を鑑みて、まずはハイブリッド車(HV)の展開を先行させることになるとした。
シェア2位のいすゞは1トンピックアップトラック「D—MAX(ディーマックス)Vクロス4×4」や乗用ピックアップ(PPV)「mu—X」をアピールしている。
■MG、トップ5入りを視野
「MG(名爵)」ブランド車を販売するMGセールス(タイランド)はステーションワゴンのBEV「MG—ES」を発表。価格は95万9,000バーツに設定した。40分で8割までの急速充電が可能で、航続距離は412キロ。また、7人乗りの多目的車(MPV)「MG MAXUS9」も発表している。同社の昨年の販売台数は2万8,000台だったが、今年は3万5,000~4万台を目指す。同社幹部は「下半期の市況によっては5万台に乗せ、タイのトップ5入りを目指す」と意気込んだ。
今月に東部ラヨーン県の工場を着工した比亜迪(BYD)は、小型車「ドルフィン(中国名:海豚)」を発表。価格は79万9,999バーツと、低価格に抑えた。3月22日から予約開始となり、7月1日からの納車を見込む。同社はタイで1万台を納車したSUV「ATTO3(アットスリー、中国名:元プラス)」を約110万バーツで販売しているが、「ドルフィン」は同モデルを大きく下回る価格となる。
長城汽車(GWM)タイランドは、ハイブリッドのSUV「GWMタンク500」を発売すると発表。2000ccのエンジンとモーターを搭載し、中国では昨年に20万台を販売したモデル。タイでは発売前の予約金5,000バーツを支払うことで、6万バーツ相当の特典を受けることができる。タイで展開中のBEV「欧拉(ORA)グッドキャット」は、2月9日に3,000台の予約を受け付けた。6月末までには6,000台を納車するとの見通しを示した。
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