ミャンマーの通貨チャットの実勢レートが弱含んでいる。米ドル高に伴いここ数週間でチャット安が進み、米財務省が21日にミャンマーの国営銀行2行を制裁対象に加えたと発表したことを受けて一時的に混乱。再び1米ドル(約141円)=3,000チャット台に乗ったとの情報も出ている。【小故島弘善】
ミャンマーの最大都市ヤンゴン市内の両替商=22日、ヤンゴン(NNA)
22日に最大都市ヤンゴン市内の両替商を巡ると、少なくとも3店舗が同日、実勢レートでの取引を見送り、事実上の開店休業状態となっていた。
ある関係者は「当局の取り締まりや抜き打ち調査が強化されるとの情報が広がっており、取引の中断を余儀なくされた。明日には実勢レートで外貨を売り買いできるようになる」と話した。
外貨取引の実質的な指標とされる闇レートの情報サイトは、22日午後時点の相場を1米ドル=3,000~3,200チャットと伝えた。ただ、米国による国営銀制裁に伴いチャット安が進行するとのうわさが影響しており、実際の取引は様子見の傾向があるという。
両替商の関係者は「チャット相場は不安定となっており、制裁や(マネーロンダリング=資金洗浄=やテロ資金を監視する国際組織『金融活動作業部会=FATF』による昨年10月の)ブラックリスト指定など目立った動きが市場を動揺させる。商売に影響が出ないようにしてほしい」とこぼした。
実勢レートは昨年8月に暴落して一時3,000チャット台に乗ったが、年末にかけて落ち着き、ここ数カ月は2,800~2,900チャット台と安値で安定していた。米ドル高を受けて今年5月後半からじわりとチャット安が進んでいた。
■軍政下で統制
ミャンマー外国貿易銀行(MFTB)の外貨両替窓口=22日、ヤンゴン(NNA)
ミャンマーでは国軍が2021年2月のクーデターで実権を握り、政情不安がチャットの暴落と不安定化を引き起こした。国軍支配下の中央銀行は昨年8月以降、公定レートを1米ドル=2,100チャットで据え置いており、今年5月下旬には「公定レートを変更する計画はない」と発表した。
軍政は公定レートと実勢レートとの乖離(かいり)が進む為替市場の安定化に躍起となっており、通貨の切り下げや外貨規制の導入を行った。公定レートは21年11月以降、1,780チャット前後としていたが、米ドルをチャットに両替することを義務付ける規制を打ち出した22年4月に1,850チャットへと切り下げ、同年8月には2,100チャットへと再び切り下げた。公定レートに対する売買の幅も狭く設定している。
複数のレートが併存する中、軍政の監視の目が厳しい銀行の外貨両替窓口は休業状態となっている。チャットが過大評価される公定レートで外貨を売る人は限られ、優遇レートで外貨を購入することは「特権」として一部業種などに限られる。
国外からミャンマーの銀行口座に外貨を送金した場合、原則として公定レートでチャットへと強制的に両替される。
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ある関係者は「当局の取り締まりや抜き打ち調査が強化されるとの情報が広がっており、取引の中断を余儀なくされた。明日には実勢レートで外貨を売り買いできるようになる」と話した。
外貨取引の実質的な指標とされる闇レートの情報サイトは、22日午後時点の相場を1米ドル=3,000~3,200チャットと伝えた。ただ、米国による国営銀制裁に伴いチャット安が進行するとのうわさが影響しており、実際の取引は様子見の傾向があるという。
両替商の関係者は「チャット相場は不安定となっており、制裁や(マネーロンダリング=資金洗浄=やテロ資金を監視する国際組織『金融活動作業部会=FATF』による昨年10月の)ブラックリスト指定など目立った動きが市場を動揺させる。商売に影響が出ないようにしてほしい」とこぼした。
実勢レートは昨年8月に暴落して一時3,000チャット台に乗ったが、年末にかけて落ち着き、ここ数カ月は2,800~2,900チャット台と安値で安定していた。米ドル高を受けて今年5月後半からじわりとチャット安が進んでいた。
■軍政下で統制
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ミャンマーでは国軍が2021年2月のクーデターで実権を握り、政情不安がチャットの暴落と不安定化を引き起こした。国軍支配下の中央銀行は昨年8月以降、公定レートを1米ドル=2,100チャットで据え置いており、今年5月下旬には「公定レートを変更する計画はない」と発表した。
軍政は公定レートと実勢レートとの乖離(かいり)が進む為替市場の安定化に躍起となっており、通貨の切り下げや外貨規制の導入を行った。公定レートは21年11月以降、1,780チャット前後としていたが、米ドルをチャットに両替することを義務付ける規制を打ち出した22年4月に1,850チャットへと切り下げ、同年8月には2,100チャットへと再び切り下げた。公定レートに対する売買の幅も狭く設定している。
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ミャンマー・ラオス・カンボジア情報
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